何故私が王子妃候補なのでしょう?

柊 月

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第2章 私は学園で恋をする

生徒会に強制参加です

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「けほっ……かはっ……私は……絶対に認めません、よ……」



 あの後、直ぐにユリウス様は解放されて、咳き込みながら去っていきました。教室にはクリストファー様しかいませんが、私は姿を現す勇気はありません。お礼を伝えたいのに………。



「見苦しい所をお見せしましたね。申し訳ありません。どうか僕の事を怖がらないで下さい。またお会い出来たら嬉しいです」



 クリストファー様は見えない私に向けて言いました。物腰柔らかい様子はいつものクリストファー様でした。
 彼が退出した瞬間、私は魔法を解きます。



「どうしよう…………」



 先程までは嬉しくて嬉しくて、ほんの少しだけ自分の気が付かなかった思いが明らかになって戸惑いを感じていましたが、今は「恋」というものに恐怖を抱いています。

 私は本当に「恋」していいのだろうか。
 他人を本当に好きになって実感するこの葛藤した感情は、何とも言えない後味の悪さを感じました。

 そしてそのまま、私は魔導書を探すという本来の目的を忘れ、半ば上の空状態で寮に戻りました。





 **





 翌日。一旦荷物を置いて、また魔導書を探そうと思い帰ろうとしたその時、ジルフォード殿下に呼び止められました。



「殿下、いきなりどうなさったのですか」

「え?聞いてない?私達はどうやら挨拶を先輩方にしなければならないらしい」

「存じ上げませんでした………すみません……」

「いや、私からも言えばよかったよ、すまない。………チッ、あいつ自分でリズに言うから黙っとけって言った癖に言わないのか。無駄にしたな」



 後半に舌打ちが聞こえた気がしましたが、何かしてしまったでしょうか。また喧嘩は嫌なのですが。



「あぁ、それと、父上からリズへの文書を預かっているんだ。終わったら少しいいかな」

「畏まりました」



 そしてちゃっかりエスコートの形を取られてしまいました。やり手ですね。手を引っこ抜こうと思っても、痛くない位にくっと握られている為、私の力ではビクともしません。

 思わずげんなりしてしまった私を、くつくつ喉で笑う殿下。最近は、そうやって殿下の蒼が穏やかに細められるのを見るのが嬉しかったりする辺り、大分友達として私は懐柔されているようですね。腹黒全開な殿下は拒否したいですが、そうやって飾らない素の殿下は好ましく思います。………あくまでも友人としてですが。

 学園の廊下をずっと進んでいくと、魔術で施された精巧なドアロックが掛かっている部屋に着きました。こんな所に部屋があるのですね。初めて知りました。

 ノックをすると、中からこれまた硬派な美しい方が出てきました。体つきはがっちりとしていて、剣術を嗜んでいる方だと見受けられます。



「おう、2人共来たか。もう1人は来てるぜ。入れ入れ」



 殿下にも敬語を使わずフランクに話す先輩に驚きつつ、案内されるままに部屋に入ります。入室すると、何人かの先輩方とフリージア様が、円卓の周りの1人がけソファーにそれぞれ着席していました。



「1年生の3人、君達には生徒会に入ってもらう。俺は会長のゼノだ。よろしくな」



 急な展開に私は身を固くしましたが、殿下とフリージア様は動揺せずににこやかに微笑んだまま頷いていました。え、何故ですか。

 すると、会長の隣にいるインテリメガネの先輩――副会長が、補足をして下さいました。

 どうやら、入学前のクラス分けテストの上位3人が、毎年生徒会に強制参加のようなのです。えぇ………。私達3人の成績が公開処刑ですよ。動揺して引き上げていた口の端がピクリと動きました。



「安心して下さい。他の人達は誰が生徒会役員か知りません」

「……情報漏洩は絶対にありませんか……?」

「えぇ、ありませんよ。どの人にも口封じをしていますからね。もし何かの方法で一般生徒が知ってしまった場合は、その生徒は―――こうですね」



 と、親指で首を切るジェスチャーをする副会長。副会長、いい笑顔でやるものではないです、それ。



「それと、先程のドアロックは魔力を流して解除出来ます。では皆さんの魔力を記録しますのでこちらに来て貰えますか」



 そうして3人は副会長の後に従って、無事に生徒会に仲間入り致しました。…………出来ればこの展開は避けたかったです。

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