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葛藤
———トントントン
足音が近づいてくる。
慌ててスマホを置いて、参考書を開いた。
「おかえり。」
おじさんがふと顔を覗き込んでくる。
「まだ勉強してたのかい?」
「いや、流し読みしてただけだよ。
それより、さっきスマホ鳴ってたけど、大丈夫?
お仕事の用事とかじゃない?」
おじさんはスマホを確認し、一瞬だけ視線を落としたあと、
いつもの柔らかい笑顔で「大丈夫だよ」と答えた。
まるで、何も問題ないかのように。
「じゃあ、またね。」
「うん。今日はありがとう。」
結局、僕は何も聞かないままおじさんの家をあとにした。
頭から離れない、「SMクラブ・Night」。
ネットで検索しても一切情報が出てこない。
意図的に隠されている、そう考えるのが自然だった。
それでも、いや、だからこそ、僕は興味を抑えられなかった。
自分が"M"だと自覚してから、
こういう世界への興味は消えたことがない。
ただ、もしおじさんが”そう”じゃなかったら……
もし母さんたちに知られでもしたら……。
リスクは、あまりにも大きい。
ピリリリ…
突然の着信音に、心臓が大きく跳ねた。
画面にはおじさんの名前。
夜にかけてくるなんて、何かあったのだろうか。
「もしもし。」
「さっくん?急にごめんね。今、大丈夫?」
「うん、どうしたの?」
「さっき君が帰った後、部屋にシャーペンが落ちててね、
これ、さっくんのかなと思って。」
「あ、そうかも…ごめん。」
「大丈夫だよ。届けようか?」
「ううん、自分で取りに行くよ。いつなら大丈夫?」
「いつでもいいよ。ただ、あんまり遅い時間はだめだからね。」
「わかった、じゃあ明日取りに行くね。」
……迷ってても仕方がない。
「はい。さっくんので合ってた?」
「ありがとう。」
「うん。気を付けて帰ってね。」
「……あ、うん。」
「ん?どうかした?」
「あ、いや、えっと……」
「?」
軽く息を吸い、言葉を整える。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど、時間ある?」
足音が近づいてくる。
慌ててスマホを置いて、参考書を開いた。
「おかえり。」
おじさんがふと顔を覗き込んでくる。
「まだ勉強してたのかい?」
「いや、流し読みしてただけだよ。
それより、さっきスマホ鳴ってたけど、大丈夫?
お仕事の用事とかじゃない?」
おじさんはスマホを確認し、一瞬だけ視線を落としたあと、
いつもの柔らかい笑顔で「大丈夫だよ」と答えた。
まるで、何も問題ないかのように。
「じゃあ、またね。」
「うん。今日はありがとう。」
結局、僕は何も聞かないままおじさんの家をあとにした。
頭から離れない、「SMクラブ・Night」。
ネットで検索しても一切情報が出てこない。
意図的に隠されている、そう考えるのが自然だった。
それでも、いや、だからこそ、僕は興味を抑えられなかった。
自分が"M"だと自覚してから、
こういう世界への興味は消えたことがない。
ただ、もしおじさんが”そう”じゃなかったら……
もし母さんたちに知られでもしたら……。
リスクは、あまりにも大きい。
ピリリリ…
突然の着信音に、心臓が大きく跳ねた。
画面にはおじさんの名前。
夜にかけてくるなんて、何かあったのだろうか。
「もしもし。」
「さっくん?急にごめんね。今、大丈夫?」
「うん、どうしたの?」
「さっき君が帰った後、部屋にシャーペンが落ちててね、
これ、さっくんのかなと思って。」
「あ、そうかも…ごめん。」
「大丈夫だよ。届けようか?」
「ううん、自分で取りに行くよ。いつなら大丈夫?」
「いつでもいいよ。ただ、あんまり遅い時間はだめだからね。」
「わかった、じゃあ明日取りに行くね。」
……迷ってても仕方がない。
「はい。さっくんので合ってた?」
「ありがとう。」
「うん。気を付けて帰ってね。」
「……あ、うん。」
「ん?どうかした?」
「あ、いや、えっと……」
「?」
軽く息を吸い、言葉を整える。
「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど、時間ある?」
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