Childhood friend lover 【著 CHIYONE】

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Childhood friend lover4

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 制服っていうは人を格好良く見せるもんだよな。
 オレのお父さんはゲームプログラマーだったから私服だった。母さんはチェーン店のファミレスで働いてたし出勤は普段着。
 ハイジはお父さんは弁護士でお母さんは霞が関のOL、二人共出勤する時はスーツにオフィスカジュアルってすげー格好良く見えてな、小さい時お父さんにうちもスーツで出勤してよ、なんて文句言った思い出あり。
 大分家柄に格差があるお隣同士じゃねえか? って思うけど、大きくなってからハイジと話したらそうでもないみたいだった。
「別にうちの父さん弁護士事務所構えてる訳じゃないし、雇われで働くには労働時間と給料は見合ってないと思うよ。母さんは育児もあるし、性格的に責任のある仕事は断ってるって話してて昇級する可能性は0だったしね」
 だそうで、じゃあうちはと言うと、こっち来て再就職したお父さんのゲーム会社、開発に携わったゲームが軒並み爆発的ヒットして、震える額の給料が振り込まれたって、お父さんはそのままその会社で今はゲームディレクターとして働いてるし、お母さんは私シフトリーダーになったのと自慢してたかと思えば最終的には店長になってた。
 オレ達子供は知らんけど、いつもニコニコしてる間で実はピリピリしてたんだろうか。

 で、それはいいや制服、案の定一緒に買いに行く、三年間着たいからって一年生でぶかぶか着るのはお馴染みの光景だと思う。
 ちなみオレの方が背が高いのは昔からずっと変わらない、体重はハイジのが重いけど。
 入学式の朝、制服姿で迎えにきたハイジを見た時は何かグッとくるものがあったぞ。
 そっかもうサッカーのティーシャツじゃねえんだって、大きくなったなあお前、顔は変わらずアホ面なままだけど。

「何か翔の制服姿って変だな」
「お前程じゃねえよ」
「クラス一緒かな」
「一緒だと嫌だな」
「…………だよな」

 嫌なのかよ、まあいいよオレも嫌だし!!!
 で、本当にクラスは別になって、ハイジはじゃあボクはこっちだからとあっさりオレに背を向けた。
 始めて入った教室は同じ小学校の奴らも多かったし、特別窮屈な思いもしなかった。
 無理に友達を作ろうなんて思わない性格だし、目立ちたいとも思わない、モテたいとも……いやモテはしたいな、オレのハイジちゃんは小学校で現れなかったから、きっと中学で出会うはずだ。

 入学早々、部活の説明会があって無関心に体育館の舞台を眺めていた、うちの中学は絶対どこかの部活に入らないといけないって。
 プリントをざっと眺めて消去法でパソコン部だなってもう決めてあったから、他の部の説明は全く興味なかった。
 そしてパソコン部の男率の高さといったらなかったけど、教室と違ってここには女子がいないから気取る必要もないし居心地は悪くなかった。
 ずっと黙っていた皆がやってるそのゲーム、実はオレの親父が開発してんすよ、にフオオオオオオオ!!! ってブヒブヒ鼻息荒く興奮してくれる先輩達も嬉しかった。
 ハイジはあれ、サッカー部の説明を輝かしい瞳で眺めていたっけな。

 放課後、やっぱりハイジはオレの所にきて、何も言わないし、オレの何も言わずに鞄を持って二人で教室を出た。
 でも、なんとなくわかっていた、きっと中学入ったら今までみたいに一緒に帰れないんだろうなって。
 ハイジは肩に掛けた鞄を背負い直しながら言う。

「翔もサッカー部入らない?」
「冗談は顔だけにしとけよ」
「え? 翔ってサッカー上手いと思うけどなあ」
「遊びでボール蹴ってんのはいいけど、朝練だ自主トレだ土日は試合だってオレは無理だから」
「えー? でもそしたら明日から練習あるしもう一緒に帰れないぞ?」
 流そうと思ったのに、立ち止まった信号で顔を覗き込んで聞かれて、アホ面を殴るしかなかった。
「イデッ!」
「だから何だよ、普通に一人で帰ればいいだろ? 皆そうしてるし」
「皆……ああそうか、皆、ね?」
「オレもパソコン部、意外と力入れてて忙しそうだからお前となんて話してらんねーわ」
 信号が変わって、いつもなら同時に歩き出すのに何故か一歩を踏み出したのはオレだけで数歩進んで振り返る。
「ハイジ?」
「そっか、寂しくなったらいつでもグランド覗けよ」
 目を細めてどや顔でニヤっとされて覗かねえよクソが! ってオレを横切るハイジに蹴りを入れた。

 やっぱり朝練があるって翌日からハイジがうちに迎えに来なくなった、別に寂しくなんかないけど。
 別々に家帰って来ても壁に向かってサッカーボール蹴っちゃったりなんかして、うぜーから隙さえあればオレはエアガンでハイジを狙撃してた。
「イテ―んだよ、構ってほしいなら口で言えよ」
「ほしくねえよ、バンバンうっせーんだよ」
 これが俺達に新しく増えた日常の会話だった。

 そんで嘘だろって思うのがまさかのハイジが中学でもモテているという所だ。
 安定のバカみたいなヘラヘラした顔なのに、女子曰くサッカーになると一転、真剣な顔になるのが最高らしい。
 地毛証明書が必要な色素の薄い髪をオシャレに刈り上げて、練習大変だって言う割に中学に入っても落ちない成績、平等に優しくていつも明るい。

 何だよ、モテそうなプロフしてんじゃねえかよ、オレと真逆じゃねえか、っつかあいつ、いつ勉強してんだよ、こっちはそんなに忙しいくないってーのに上位キープすんの必死なんだがな。

 学業優先を推奨してる学校だったから、試験の前後は部活も緩くなって、そうと決まればアイツはHR後必ずオレの教室に向かえに来た。
 二年生にもなると、後輩からも慕われて、ハイジ君がクラスに来たともなればうちの女子共はキャーキャーだった、そんなに? そんなにか? こいつ鼻くそ食ってたヤツだぞ?!!
 夏休みは、電気代削減だって交互に家に行って宿題したりした。
 でも話す事なんかねえから黙々と宿題するだけだし、休憩すっかってなったらハイジは飛行機の模型持ち出してビューンってやって小学生かよ。
 が、ムカつくのは恐竜のフィギュア見て名前から身長体重オレの知らない身体能力特徴まで覚えてるって所だよ。
 フィギュアの一体を手に取ってヤツは言う。
「お、これまだあったんだ、エウストレプトスポンデュルスじゃん。小さい時翔好きだったよな」
「エウストレプト……? そうだったか?」
「だよジュラ紀中期カロビアン南部に生息していたって図鑑で読んだぞ」
「ふーん」
「獰猛な肉食恐竜だぞ、がおおおおお」
「ハイジ」
「ん?」
「お前そのジャージ後ろ前逆じゃね」
「おおおおおおおっとそうか、じゃあ次トイレで直そ」
「そんな知識ひけらかしても、所詮お前はハイジだからな? クソだせーバカだからお前は」
「ひけらかしてねえだろ、大事な思ひ出じゃん」
 オレ一押しのミクロパキュケファロサウルスと勝手に戦わせてるから取り上げて棚に戻した。
 大事な思ひ出ってなんだよ、そんなの恥ずかしいから忘れとけよハゲってハイジを睨めば安定のバカみたいな顔だ。
 だってそうだろ、幼稚園の時それまで皆興味もってくれなかった恐竜に唯一話聞いてくれたのがハイジでオレはこれが好きだのここが格好いいだのすげー力説してしまった思ひ出があるんだよ、そんなのまで覚えられててたまるか。
 イラッときたからその後は無言で勉強した、昼飯も一緒にソーメン食った、その後も勉強した、会話もなくな。
 で、次の日はオレがハイジの家に行く翌日はハイジがまた家に来る、休みなんて大体そんなんだった。
 遊びに行くって選択肢はなかったからな、ハイジはサッカーの練習や試合もあったし休みは勉強に没頭したいらしくて、オレも置いてかれたら癪だからアイツがやってる分は必死になって問題解いたよ。
 それに夏だ冬だと気候が猛威を振るう中、外に出ようとは思わなかった、そんな中学生の青春。

 で、それだけで良かったのに中学生の青春はこれだけでは終わらなかった。
 ハイジにキャーキャー言ってた女子が急に声を上げなくなって、何かと思ったらその理由が勝手に耳に入ってしまった。
 そんでアイツに聞いてみた。


「なあハイジ」
「うん?」







「彼女、出来たんだって?」



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