Childhood friend lover 【著 CHIYONE】

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Childhood friend lover5

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いつもはグラウンド見て黄色い声援送ってた女子が急に謙虚になって、その理由がハイジ君彼女できたんだってーだった。


それを聞いた時のオレの心情ってなんだろうな、そっか……ってそりゃそうだよなって? ああ、わからんな。
わからんけど、仕方ないだろみたいな、怒りや焦りや不安、ともまたなんか違う、でも心がグラッときた、失望とも違うな? 何だろうな、裏切らた訳でもないんだし、言葉にできないけど、経験したことのないような気持がオレの胸にあった。


中二の夏だった。
クソ暑い日だった、扇風機と風鈴とかき氷でオレ達は涼を得ていた。
夏にハイジのおばあちゃんが大量に買い置きしてるみぞれのイチゴ味、それにハイジが家にある練乳をかけてくれる。
空には入道雲が浮かんでてさ、縁側に座って、足冷やすかってバケツに水入れて足突っ込んで。
そのおかげか死ぬ程は暑くない、蝉は柿の木の下で一匹死んでたけど。

「明日は沖田家の冷蔵庫のピノ早食い対決しような」
「いいけど、お前アーモンド味も食えよ?!」
「ええ! やだなあ、いらないよなあアーモンド味」
「最強はやっぱバニラだよな」
嫌いじゃないけど、毎回オレに押し付けてくるからアーモンドばっか食う羽目になるんだよってハイジ睨んで。
当然だけど、文化部のオレと違ってハイジは明らかに体の作りが変わっていた、日に焼けて成長期だし骨格にしっかりした筋肉ついてる、半袖から覗くハイジの腕の太さを見つめてしまった。
「翔?」
「ん? ああ、あっと…………お前さ」
「ん」
「……なあハイジ」
「うん?」
「彼女、出来たんだって?」

聞けば無言、でも特に驚く様子もなくハイジは最後のみぞれを一気に喉に流し込む。
飲み込んで冷たい息を吐いて、オレの方を向いた。

「ああ、できた」
「…………そっか」
誤魔化したりとか、隠したりとしないで、真っ直ぐ目を見て言われてオレの方が怯んで、慌ててかき氷を食べる。
もうあんまり残ってなくて、木のスプーンじゃすくい難い、いつもはイライラするけど、今は話を中断するのにちょうどいい。
「何? 気になる?」
「あ?」
上から言われてなんかムカついて睨めば、ハイジは思った程、挑発的な目はしてなかった、むしろ困ったような目だった気がする。
けど、毛が生えたのも彼女が出来たのもハイジが先という事実は正直ムカつくよなって感情のままオレは言う。
「ならねえよ、どうせその彼女とやらも可愛くないんだろうし、本当はお前がバカでうんこだって知らないのに付き合うとか言ってんだろ?! 長く続かねえよ」
「どうかな?」
「っつかお前、キスとかしたの?」
何となく聞けばハイジは目を見開いて、逸らした。
ええ……何その反応きっしょ! はあ? したって意味か? 知らんし。
が、ハイジはシレッと言う。
「してない」
「ふぅん?」
まあいいよ、隣に住んでる男のキスシーンなんてオレが想像したくねえし。
でも……ああ、あっそ、本当に付き合ってるんだってぬるくなったみぞれの甘ったるい汁を飲んだ。
無言になって蝉がうるさく感じた、芝生も傷みそうな位の太陽の光だった。
だから、バケツの水とかき氷位じゃ涼しくなんなくて、オレは頭かしくなって言ってしまったんだと思う。

「キス…………したいの? ハイジはその子のどういうとこが好きなの?」

って、だって、普通の男ならさ、チン毛生えてきたみたいに、彼女できたできたって言うと思ったのに、ハイジはそういってはしゃいで言わないのなんでだ? オレに可哀想とか思ってる? いや、ハイジってそういうのは思わないだろ? じゃあ何であんま喜んでないんだろう。
ハイジは足入れてたバケツから足を引いて、ぬるくなった水を庭にぶちまけると、濡れた足をそのままにして言う。

「わからん」

と一言。
「は?」
「色々あってさ、好きって言われたんだ。で、とりあえず付き合うってなったんだよ。彼女の好きなところは……どうかな、手段を選ばない? なんつーか一生懸命なとこかな? いい所って言うなら」
「へえ、そうかよ。で、キスはするのかよ」
「相手がしたいと言うのなら?」
「お前は?」
「は? 何でそんなの気になんの? ははーーーーん翔、さてはボクのファーストキスを狙っているな?!!」
「あ?」

飲み干したかき氷のカップで近付いてくる顔面押して、何言ってんんだコイツは?!! ただ、好きな人と付き合うってどういう気持ちなんかな思っただけだっつーの。
そんなんでオレ達の話は終わって、それからあんまりそういう異性の話はしなくなったな。
部活が終わった放課後とかに会ってるのかもしれないけど、そういう場面オレは知らないしハイジの口からは惚気とかキモくて聞く気にもなれなかったしな。
が、直ぐ別れると思ってたのに、驚く事にその彼女と大学卒業まで続いてたって凄くないか、家にも来てた痕跡ないし、あんまり話も聞かなかった、イベント毎にも特に彼女が! なんて素振りも見せなかったのに、彼女の話を聞けばあの時の中学の女子とまだ縁が続いてるって。
どんだけ好きなんだよそいつって、もう高校も入ると、他校に彼女がいるってわかれば女子も憧れはするものの(府に落ちない)ハイジハイジ言わなくなってオレのストレスもいくらか減ったかな。

オレはというと、やっぱりやっぱりやっぱりな、と自分で納得してしまう程に、運命の人は現れなかった。
でも何となくわかっていたよ、お父さんもお母さんもたまにケンカする、ハイジも今一交際に興奮してない、周りは彼女彼氏だって騒いでるけど、ツイッターインスタで愚痴こぼしては直ぐ別れてる、で、またくっ付いてる、なのに別れてる、そして直ぐ他の人と付き合ってるって感じで、全く運命の、この人!!!!!!!!! みたいなヤツ見た事ない!!

中学校結構女子の人数いたし高校もそれなりに人数いたのに、オレにはこの人!! っは
現れなかったよ。

あ、高校はまさかの射程に入れてた都立高校がハイジと被ってオレはぜってー受かるから!! って
メンチきってたら、あっさりあいつも受かりやがった。
偏差値69ってそこそこだと思うんだけど、このムカつく幼馴染と切磋琢磨しながら勉強してしまって、いつの間にか合格発表で抱き合ってしまったのは内緒だ、が、クラスはやっぱり違うけどな!!!

そして、新入生面々見ても運命の女子見つからず……でも、おおおおパソコン部あんのかよやったーってやってたら、晴天の霹靂とはこのことだ。
驚くなかれ、まさかのオレに。
オレ様に










彼女ができたのだ。
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