Childhood friend lover 【著 CHIYONE】

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Childhood friend lover6

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 あれは忘れもしない、中学生の時だ、何だかその日は学校終わってから消防車のサイレンがうるせえなって思ってた。
 そしたらさ、夕方に突然町中が暗闇に包まれた。
 携帯で調べる前に防災無線が知らせた理由はこうである。

 町外れ工場で火災が発生して送電線が損傷、町の一部が停電、鎮火していないため、復旧には時間がかかるとの事だった、停電してんのに防災無線の放送はできんだすげーってのは置いといて、じゃあどうするってなる。
 幸いにも冬で、冷蔵庫のもんは痛み難いし、でも真っ暗じゃなんもできないなってお隣様同士で時間潰しに一泊でもすりゃ、明日には電気復旧してるだろって結論だった。
 こんなんだから、もし学校休んだとしても許してくれるよ、とオレのお父さんの発案に、イイネイイネと乗っかってくるのがオレの母でありハイジの両親におばあちゃんだった。
 ハイジの両親は表向き固い仕事してるけど、その分プライベートじゃグータラ、オンオフがハッキリしてる、そんな両親だった。
 すげー酒も飲むし、騒ぐしな、面倒臭い一面も持っていた。
 そんで、なぜかハイジは沖田家の車に同乗してきて、おい翔あっちむいてホイしようぜって誘ってくる、するかボケッ! いくつだよ。
 ハイジを無視してハンドルを握るお父さんにオレは聞いた。
「これどこに行くの?」
「新井さんとさ、たまには温泉でも入ってゆっくりしたいですよねーなんて話してて、じゃあ一番近い所検索してお台場の温泉施設にしたよ」
「ああ、あの大江戸なんちゃらって所?」
 なんとなーく聞き返せば助手席に座っていたお母さんは後ろに振り向いて言った。
「そうそう! そこそこ、もう家族で旅行に行っても翔は喜ぶ年じゃないし、家族でお出掛け楽しみね!」
「別に誘われれば行くし」
 まあ、いやな顔はするかもしれねえけど、は言わないで横向いたら、ハイジは拍手していた。
「いいですね、温泉! しかもいいな三人で行こう! って計画立ててくれるお母さん最高!」
「やだありがとうハイジ君!」
「何ゆえのヨイショだテメーは」
 肩殴ってハイジはヘラヘラしてて、正直オレも恥ずかしい、よりも久々の小旅行にワクワクしてた。
 そんで到着して、思った以上に規模がでかくて昔の町並みを模した内装に遊べる風呂に祭りの雰囲気が楽しくてハイジとはしゃいでしまった、風呂入って飯食って最高かよ、また来よ。
 でもふとハイジの裸見んのって小学生以来だなあってこっそりジロジロ見てしまう。

 小学生の頃、町内会でお神輿担ぐと帰りに銭湯の券もらえたんだよ、だからハイジと行った、それ以来。
 何が気になるって下半身だよな、何か色々気になる癖にハイジが隠さずバーンってしてるから、オレが目逸すの必死だったって意味わからない状況。
 いや、だってその頃アイツ彼女いたし、その……あれ、エロイ事してんのかなって思ったら軽く吐き気をもよおしたぞ。
 まあ風呂は楽しかったよ、もれなく我慢大会始まるけど、触って冷たいって分かってるのに水風呂入って驚くハイジとかマジで写真撮りたくなるくらいマヌケで爆笑だった。
 んで、何となーくこう、ハイジも彼女とこういう思い出あんのかなって思ったりする、もしかしたらデートで既に彼女と来てるかもしんねーだろ。
 お互い知らない時間が多くなって、成長するにつれて話さなくなって、知りたくもなくなって。

 幼馴染なんてハイジしかいないから知らんけど、大人になるってそういうことだろ。
 深入りしないで目を伏せる、そういうのが荒波立てずに良好な関係築けるって、オレはこの短い人生でそう学んだんだけど違うか? 皆価値観違うのに気に入らない事、気になる事、指摘しあったってたらケンカになるだけじゃん、楽しい時だけ楽しいって気持ち共感できればそえでいいんだよ後は知らんってオレは見て見ぬフリ。

 それで高校生になって、制服は学ランからブレザーになった。
 ネクタイっていいよなって二人で練習して悪戦苦闘しながら結んだ癖に、結局式典以外、オレ達は面倒くせーってネクタイを結ばなかったな。

 他校に彼女がいるってハイジは公言してるから、中学の時程女子は寄り付かなくなって、その分サッカーに熱中しいるようだった。
 オレは相変わらずモブその4位な立ち位置だ、それでも知名度があるのは快活聡明文武両道な新井 ハイジ君がたまにオレに話掛けてくるからだと思う。

 帰り道、駅前でハイジと彼女が歩いてる姿を見た事がある。
 ああ、そうかだから今日は部活なかったのにオレの所に来なかったんだって、そりゃま幼馴染<彼女で当然なんだけど、ハイジと目が合って、ハイジは、あ! って顔したのにオレは誰だお前とでも言うように目を逸らしてその場を過ぎ去った。
 正しいだろ? だってこいつ幼馴染の翔、だなんて紹介されてもさ、相手だって高校変わって会える時間減ってんのにオレで時間取られたくないだろうって幼馴染なりに、気を使ったんよ、オレは間違ってない。
 ハイジのサッカー部が規律厳しくて窮屈そうだったから、オレはわざと制服着崩したり髪も染めてみたりイキってみたけど、外見変えた所で何も変わらなくて直ぐ元に戻した。
 何よりこれ、高校デビューっぽくて恥ずかしいって思ってしまって、そんな輩とつるむのも面倒臭くて、無理すんなオレ、とその後は背伸びのないPC大好き高校生を過ごした。

 それであれだ、ラノベになってしまいそうな胸キュンストーリーではなくても、オレ達モブだって細々と恋はしてるんだ。

 長かったな、オレはもう高3になっていたよ、彼女は高1。
 運命を感じたかと言われたら、それはなかった。
 だってオレは告白されるまで、彼女を存在すら知らなかったから、声を掛けられて、そこで初めて顔と名前を知った。
 彼女は部活の説明会キュンっと運命を感じたんだと、キラキラな目で言う。
「一目見た時から好きになってしまって…………仲良くしてください」
 と深々と頭を下げて、誰かに見られたらどうしようって顔が赤くなって心臓もバクバクで。
 彼女の後頭部を見て、好き、とか、運命、とかどうでもよくなってしまった、そんな事よりほら! オレを好きだって言ってくれる子もいるんだよ!! って大興奮だ。
 顔を上げたその子が可愛いかって聞かれたらわかんないけどオレと一緒でモブ位置だ、そういうもんだろ、モブはモブと付き合う、身の丈に合ってていい。
 で、連絡先を交換して、家帰ったら初めてのデートスポットとか、若者の服装とか、すべらない話とか検索しまくりだった。
 ハイジをエアガンで撃ってる暇なんてねえよ、だってオレは彼女ってヤツを知らないからな。
 女子の生態を知らないし、何が喜ぶんだろうって箇条書きにしたりレポートにまとめたりして、もうそれは勉強の域だった。
 仕方なかろう友達には彼女いないし、ハイジに聞くのは嫌だったから隠してた。

 そんな日々が続いた夜の十時、風呂上がってゲームのプログラミングしてたら開いてる窓からハイジが柿投げてきやがったのだ。
「イテーよハゲ」
「今年は美味いの出来たから食えよ」
「いらねえよ」
「何でだよ翔好きだったろ、っつか何してんの? 最近忙しそうじゃん」
「あ? そりゃオレだって……」
 の後が困った、ハイジは窓の向こう側でシャリシャリ柿食ってる。
「オレだって、何?」
「オレだって…………その……オレだって青春してんだよ」
 目見ずに、投げ付けられた柿食って言えば、ハイジからシャリシャリいってるのが消えて、一言。
「マジか」
 って言った。
 オレは窓に視線を移さずにPCだけ見て答える。
「ああ」
「え? マジで? マジでその子翔が好きなの?」
「お前、失礼にも程があるだろ」
「そっか……」
 ハイジはそれ以上何も言わなかったし、オレもお母さんから呼ばれて、その場を離れてしまった。

 そんなもんだろう、オレだってハイジに彼女が出来た時、色々聞かなかったし、そういうもんだ。
 それで、オレ達の交際は順調だった。
 手を繋ぐとか、その、キスとか抱き締めるって物理的な物はなかったよ、本当行き帰りに昔の話したり、たまに昼ご飯食べたり清い関係。
 そりゃ、交際経験のあるやつらは告白のその日にキス位すませんのかもしれないけど、正直どうしていいのかわからないし、オレなんかに特別な感情抱いてくれたってだけで、なんか救われた気さえしてたんだ、好きとかわからないけど一緒にいるだけで満たされるもんがあった。

 バレー部の彼女は休みの日も部活があるから、会える日は楽しかった。
 楽しかった、だから、ハイジのあの彼女が出来たのに冷めた感じが信じられなかった。
 オレはローなフリして内心テンションハイだったよ。


 でもその交際? って呼べるのか分からない関係は長くは続かなかったね、直に現実を突きつけられて、このオレ様も意気消沈しちゃうんだな。



 ハイジの誘いも断って、試験が終わった帰り道、彼女は自転車を押しててオレはその横を歩いていた。
 試験の話もそこそこに、分かれ道になって彼女は言ったのだ。











「それであの……沖田先輩ってハイジ先輩と仲いいんですよね?」
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