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連載
輪廻
袴田君に机の影に引き込まれて、後ろから抱っこされてるんだけど。
骨張った手を掴んで上見たら、しってされて。
何でよ、忘れ物ですかって出てったら良くない?!
って言いたかったのに、あ、嘘。
「もう~佐々木さん、別れましょうね言ったのに意味わかってる?」
「でもこんな俺好みのワンピース着て、皆に隠れてキスして誘ってきたの久瀬さんだよね?」
「そーだったかなぁ? 酔ってて覚えてないなぁ?」
ってめぐちゃんの言葉の後に、リップ音が響いて…………長い! 長いよ!! それに混じって高い声が聞こえる。
あ、あ、ちょっと待って何かするのこれ。
「ほら久瀬さん、課長の机に座った感想は? 俺これでも年商十億会社に貢献してたんだよ桐生君には負けるけど」
「社長の椅子に座りたーい」
「もうちょっと待ってよ、俺だって頑張ってるだろ。いや頑張っても社長は無理か」
「ふふ、ごめんごめん」
「いけないね、前ボタンのワンピースなんて。脱がせやすいようにって気遣い?」
「どこでも直ぐできるようにって?」
「ああ…………ごめん、こんなとこで」
「いいよ、GPSで行く先々見張ってるなんて本当に佐々木さんは奥さんに愛されてるね?」
「意地悪だなーそういうんじゃないって知ってる癖に」
「そんな顔しないでよ。ほらおっぱい揉んだら元気になるよ」
「久瀬さん色気って言葉知ってる?」
「じゃあもっとエッチな気持にさせてよ。その気にさせてくれたらやらしい事たくさんしてあげる」
「挑発? そんな真っ赤な顔してマウント取れる訳ないでしょ」
「あん、耳ダメ」
あ、そうなのエッチな事するんだ。
ん? ここで?! 会社で?
いや、私が言えた立場じゃないですけど。
ああ、GPSで奥さんに行動見張られてるから会社だったら怪しまれないって事?
テンパって頭の中グルグルの私を他所に袴田君はバインダーに手を伸ばすと、さっき使ってたペンを取ってグリップを引いた。
けれどペン先が出る事はなくて、暗闇で内側が赤く点滅を始めて…………。
足元にあった鞄手繰り寄せてスマホを出した。
【それ何?】
メッセージ打って見せたら、袴田君は耳元に唇を寄せて、
「ボイスレコーダー」
と小さな声で言って頷いた。
え? 何で録音するの? ああ、え? 告発みたいのしたいから? だから、わざと出て行かなかったの?
私達が隠れて座ってる所から二人の場所までは距離はあるけど、音は鮮明にこっちまで響いてきて、すっごいドキドキする!
「ちょっと、もうこんな時まで焦らさなくたっていいじゃん。早く触ってよ」
「だってもったいなくて」
「ん? こういう事できるの今日で最後だから?」
「…………」
「もう直ぐそういう顔するぅー」
「だってさ」
「そーゆーとこ変わらないよね、佐々木さんは」
「二人の時はその呼び方しないって約束」
「自分だって久瀬さんって呼んでるじゃん」
「俺は…………」
「なあに?」
「俺は……ずっと、いつだって…………めーちゃんって心の中で叫んでるよ」
「何それずるい聞こえないよ」
「ごめん」
「ずるいよね、たー君は昔っから変わんないね。ステータス重視のお父さんも昔のまんま? 良かったね渋谷に行けて喜んでくれた?」
「もちろん俺以外は皆喜んでるよ」
「んん………アッもう、おっぱいいいから下も触って……キスもいっぱいして?」
「ねえ、めーちゃん好き」
「うん、知ってるよずっと昔から」
これから始まるであろう二人の色事もさる事ながら、あのちょっと待ってめーちゃんって……あれ? その呼び方って。
深いキスの粘着質な音と一緒にめぐちゃんの濡れた声が聞こえてきて、このズキンズキンってするのはエッチな場面に遭遇したからではないと思う。
胸の奥で何か違う気持ちが渦巻いてる。
「めーちゃん気持ちいい?」
「どうしてそんな顔するの、大好きな女の子とエッチしてるのに泣きそうじゃん、酔ってるの? 昔は私が痛いって言っても色々した癖に」
「ごめん」
「嘘、気持ち良かったよ。全部全部気持ち良かった、たー君に触られるんだったら何だって良かった。ねえ私も変わったよ? もうあの頃の私じゃないの泣き虫は卒業したんだ。ほらもう挿れていいよ、したくて辛いでしょ? こんなんなってるじゃん」
「めー……ちゃ、あヤバイ熱い」
「あ……んぅ、はぁ……もっと奥まで入ってきてよ、痛くしたっていーんだよ? ここは誰も邪魔しにこなッん、んんんー!!!」
「ああ、すっげ気持ち……あの時のままだ、ずっとずっと気持ちだって……俺はあの時のまま」
肌がぶつかる音とそれに合わせてめぐちゃんの短い喘ぎ声が聞こえて、そっかやっぱり佐々木さんてっと思ったら、もうドキドキなんてそんな気持ち消え失せていた。
この前まで二人の関係が嫌で嫌で仕方なかった、不倫する奴なんて最低とか、めぐちゃん弄びやがってとかそんな風に思ってたけど。
「ごめんね、めーちゃん昔も今も俺は君を傷つけてばかり。あの時あの封筒を掴んで、めーちゃんの手を引いて逃げ出していたら俺達に違った未来があったのかなってずっと考えてる。毎晩夢に見るあの日の光景、後悔してる。幼い君を一人残してしまった事、誰よりも大切だった君に全て押し付けてしまった事俺は最低」
「違う、あッ……ん、無理だよ……逃げたってどうせまた掴まってたよ。あの時私達は別れて正解だった、それしか道はなかったよ」
「それでも」
「私はね…………私はもう少し早く再会したかったなって思うよ、でも意味ないじゃんそんなの考えたってさ過去に執着するのは止めようよ。“大丈夫、今日より明日は明るいよ”ってそう言って図書館で毎日私の手握ってくれたじゃん。傷つけたなんてどうしてそんな勝手な事言うの? 私は救われたんだよ。一度目は恐怖と孤独から、二度目は死の悲しみから、突然現れて二度も私を救ってくれた、十年ぶりに会ったたー君は昔と変わらず格好良かったよ?」
「…………ねえめーちゃん」
「ああ、アッ……なあに?」
「俺と駆け落ちしないか。いや、しよう。今度こそ二人で遠く遠く」
「たー君…………」
ギシギシと規律的に響いていた音が止まって、また唇を擦り合わせてる音が響いた。
長い事その音がして…………、
「何言ってるの、小さい時散々話したよ? お父さんいないの寂しいって、たー君子供と仲良いんでしょ」
「だけど」
「ねえこっちでするの止めよ? たー君私見てるの辛いよね。後ろからいっぱい気持ちいいのして?」
「めーちゃん……」
「ほら……あ、っ好き、コレ……奥までいっぱい。昔もこっちの方が好きだったでしょ、私の体抱き締めて離してくれなかったじゃん」
また一定の音が始まって、私はもう力が抜けて袴田君に寄りかかっていた。
背中から心臓の音が聞こえた、口を塞ぐ手を強く握った。
「仕方なかったんだよ。神様はね、もう一度私達を引き合わせるのが精一杯だったの。たー君は頑張ってるよ手首切らなくなったの偉いじゃん。今だっていっぱい我慢してる、誰も責めないよ親の決めた結婚なんだからたー君は悪くないよ」
「そんな事」
「悪くないよ!! 悪くないの! 仕方なかったの、私は分かってるから……だからさ………………だから」
「うん」
「生まれ変わったら…………今度は私と結婚してくれるって約束して? また好きになってくれるって誓って? 芋虫でも鳥でも犬でも木でも花でもビルでも石でも海の波でもなんでもいいよ、また見つけにきてね私待ってるから」
「約束する」
「ずっとずっと待ってるからね絶対だよ。やだ泣かないで? 私もらい泣きしちゃうんだから、ねえキスしよう。初めての時の「めーちゃん泣かないで」って慰めてくれたおまじないのキス、覚えてる?」
「覚えてるよ、必ず……迎えに行くから待っててめーちゃん大好き」
「大好きじゃないでしょ」
「ごめん、愛してるめーちゃん」
「ありがとう、私も愛してるよ。本社頑張ってね元気でね」
二人の愛の告白を聞いて、好きって何だろう愛って何だろうって思った。
こんなにこんなに好きで、心の繋がりを求めているのに、二人は「好き」を皆の前で口にしちゃいけないんだ。
私が思っているより好きって重く尊い言葉だった。
「昔と違ってもう何回も出来ない? いいんだよたくさん出して」
「イケるよずっとめーちゃんと繋がってたい」
「た―君……私さもう昔と違うから今度は赤ちゃん産めるんだよ? 一人で大事に育てるから、だからた―君のいっぱい頂戴。そしたら、そし……たら私頑張って……またさよならするからぁ」
「俺だって……」
「ねえたー君……ねえ私、本当は…………ねぇ……本、当は、もう離れ……たくな、よずっと一緒にいたいよ……やっぱり一人は寂しいよ」
「恵……」
「ごめんね? こんな私が………………好きになって……ごめんなさい……バイバイ、ありがとう…………大好き」
気が付けば涙がぽろぽろと零れていた、口を塞がれていて良かったと思った。
転がっていたボールペンの録音を示す赤い光が点滅する度、私も涙が落ちていた。
顔の半分を覆っていた手がゆっくりと離れる、口と鼻がぐずぐずで涎と鼻水が糸を引いた。
汚いとか恥ずかしいなんて思う前に、袴田君にキスされて何も言えなかった。
私も首に縋り付いて舌を絡ませた。
激しい二人には私達の音なんて聞こえていないだろうけど、それでも音が漏れないように気を付けながらいっぱい袴田君と交わった。
少しだけできた唇の隙間で、
「好きだよ尾台さん」
小さく呟かれたいつもの言葉に胸を貫かれて息が吸えなかった。
骨張った手を掴んで上見たら、しってされて。
何でよ、忘れ物ですかって出てったら良くない?!
って言いたかったのに、あ、嘘。
「もう~佐々木さん、別れましょうね言ったのに意味わかってる?」
「でもこんな俺好みのワンピース着て、皆に隠れてキスして誘ってきたの久瀬さんだよね?」
「そーだったかなぁ? 酔ってて覚えてないなぁ?」
ってめぐちゃんの言葉の後に、リップ音が響いて…………長い! 長いよ!! それに混じって高い声が聞こえる。
あ、あ、ちょっと待って何かするのこれ。
「ほら久瀬さん、課長の机に座った感想は? 俺これでも年商十億会社に貢献してたんだよ桐生君には負けるけど」
「社長の椅子に座りたーい」
「もうちょっと待ってよ、俺だって頑張ってるだろ。いや頑張っても社長は無理か」
「ふふ、ごめんごめん」
「いけないね、前ボタンのワンピースなんて。脱がせやすいようにって気遣い?」
「どこでも直ぐできるようにって?」
「ああ…………ごめん、こんなとこで」
「いいよ、GPSで行く先々見張ってるなんて本当に佐々木さんは奥さんに愛されてるね?」
「意地悪だなーそういうんじゃないって知ってる癖に」
「そんな顔しないでよ。ほらおっぱい揉んだら元気になるよ」
「久瀬さん色気って言葉知ってる?」
「じゃあもっとエッチな気持にさせてよ。その気にさせてくれたらやらしい事たくさんしてあげる」
「挑発? そんな真っ赤な顔してマウント取れる訳ないでしょ」
「あん、耳ダメ」
あ、そうなのエッチな事するんだ。
ん? ここで?! 会社で?
いや、私が言えた立場じゃないですけど。
ああ、GPSで奥さんに行動見張られてるから会社だったら怪しまれないって事?
テンパって頭の中グルグルの私を他所に袴田君はバインダーに手を伸ばすと、さっき使ってたペンを取ってグリップを引いた。
けれどペン先が出る事はなくて、暗闇で内側が赤く点滅を始めて…………。
足元にあった鞄手繰り寄せてスマホを出した。
【それ何?】
メッセージ打って見せたら、袴田君は耳元に唇を寄せて、
「ボイスレコーダー」
と小さな声で言って頷いた。
え? 何で録音するの? ああ、え? 告発みたいのしたいから? だから、わざと出て行かなかったの?
私達が隠れて座ってる所から二人の場所までは距離はあるけど、音は鮮明にこっちまで響いてきて、すっごいドキドキする!
「ちょっと、もうこんな時まで焦らさなくたっていいじゃん。早く触ってよ」
「だってもったいなくて」
「ん? こういう事できるの今日で最後だから?」
「…………」
「もう直ぐそういう顔するぅー」
「だってさ」
「そーゆーとこ変わらないよね、佐々木さんは」
「二人の時はその呼び方しないって約束」
「自分だって久瀬さんって呼んでるじゃん」
「俺は…………」
「なあに?」
「俺は……ずっと、いつだって…………めーちゃんって心の中で叫んでるよ」
「何それずるい聞こえないよ」
「ごめん」
「ずるいよね、たー君は昔っから変わんないね。ステータス重視のお父さんも昔のまんま? 良かったね渋谷に行けて喜んでくれた?」
「もちろん俺以外は皆喜んでるよ」
「んん………アッもう、おっぱいいいから下も触って……キスもいっぱいして?」
「ねえ、めーちゃん好き」
「うん、知ってるよずっと昔から」
これから始まるであろう二人の色事もさる事ながら、あのちょっと待ってめーちゃんって……あれ? その呼び方って。
深いキスの粘着質な音と一緒にめぐちゃんの濡れた声が聞こえてきて、このズキンズキンってするのはエッチな場面に遭遇したからではないと思う。
胸の奥で何か違う気持ちが渦巻いてる。
「めーちゃん気持ちいい?」
「どうしてそんな顔するの、大好きな女の子とエッチしてるのに泣きそうじゃん、酔ってるの? 昔は私が痛いって言っても色々した癖に」
「ごめん」
「嘘、気持ち良かったよ。全部全部気持ち良かった、たー君に触られるんだったら何だって良かった。ねえ私も変わったよ? もうあの頃の私じゃないの泣き虫は卒業したんだ。ほらもう挿れていいよ、したくて辛いでしょ? こんなんなってるじゃん」
「めー……ちゃ、あヤバイ熱い」
「あ……んぅ、はぁ……もっと奥まで入ってきてよ、痛くしたっていーんだよ? ここは誰も邪魔しにこなッん、んんんー!!!」
「ああ、すっげ気持ち……あの時のままだ、ずっとずっと気持ちだって……俺はあの時のまま」
肌がぶつかる音とそれに合わせてめぐちゃんの短い喘ぎ声が聞こえて、そっかやっぱり佐々木さんてっと思ったら、もうドキドキなんてそんな気持ち消え失せていた。
この前まで二人の関係が嫌で嫌で仕方なかった、不倫する奴なんて最低とか、めぐちゃん弄びやがってとかそんな風に思ってたけど。
「ごめんね、めーちゃん昔も今も俺は君を傷つけてばかり。あの時あの封筒を掴んで、めーちゃんの手を引いて逃げ出していたら俺達に違った未来があったのかなってずっと考えてる。毎晩夢に見るあの日の光景、後悔してる。幼い君を一人残してしまった事、誰よりも大切だった君に全て押し付けてしまった事俺は最低」
「違う、あッ……ん、無理だよ……逃げたってどうせまた掴まってたよ。あの時私達は別れて正解だった、それしか道はなかったよ」
「それでも」
「私はね…………私はもう少し早く再会したかったなって思うよ、でも意味ないじゃんそんなの考えたってさ過去に執着するのは止めようよ。“大丈夫、今日より明日は明るいよ”ってそう言って図書館で毎日私の手握ってくれたじゃん。傷つけたなんてどうしてそんな勝手な事言うの? 私は救われたんだよ。一度目は恐怖と孤独から、二度目は死の悲しみから、突然現れて二度も私を救ってくれた、十年ぶりに会ったたー君は昔と変わらず格好良かったよ?」
「…………ねえめーちゃん」
「ああ、アッ……なあに?」
「俺と駆け落ちしないか。いや、しよう。今度こそ二人で遠く遠く」
「たー君…………」
ギシギシと規律的に響いていた音が止まって、また唇を擦り合わせてる音が響いた。
長い事その音がして…………、
「何言ってるの、小さい時散々話したよ? お父さんいないの寂しいって、たー君子供と仲良いんでしょ」
「だけど」
「ねえこっちでするの止めよ? たー君私見てるの辛いよね。後ろからいっぱい気持ちいいのして?」
「めーちゃん……」
「ほら……あ、っ好き、コレ……奥までいっぱい。昔もこっちの方が好きだったでしょ、私の体抱き締めて離してくれなかったじゃん」
また一定の音が始まって、私はもう力が抜けて袴田君に寄りかかっていた。
背中から心臓の音が聞こえた、口を塞ぐ手を強く握った。
「仕方なかったんだよ。神様はね、もう一度私達を引き合わせるのが精一杯だったの。たー君は頑張ってるよ手首切らなくなったの偉いじゃん。今だっていっぱい我慢してる、誰も責めないよ親の決めた結婚なんだからたー君は悪くないよ」
「そんな事」
「悪くないよ!! 悪くないの! 仕方なかったの、私は分かってるから……だからさ………………だから」
「うん」
「生まれ変わったら…………今度は私と結婚してくれるって約束して? また好きになってくれるって誓って? 芋虫でも鳥でも犬でも木でも花でもビルでも石でも海の波でもなんでもいいよ、また見つけにきてね私待ってるから」
「約束する」
「ずっとずっと待ってるからね絶対だよ。やだ泣かないで? 私もらい泣きしちゃうんだから、ねえキスしよう。初めての時の「めーちゃん泣かないで」って慰めてくれたおまじないのキス、覚えてる?」
「覚えてるよ、必ず……迎えに行くから待っててめーちゃん大好き」
「大好きじゃないでしょ」
「ごめん、愛してるめーちゃん」
「ありがとう、私も愛してるよ。本社頑張ってね元気でね」
二人の愛の告白を聞いて、好きって何だろう愛って何だろうって思った。
こんなにこんなに好きで、心の繋がりを求めているのに、二人は「好き」を皆の前で口にしちゃいけないんだ。
私が思っているより好きって重く尊い言葉だった。
「昔と違ってもう何回も出来ない? いいんだよたくさん出して」
「イケるよずっとめーちゃんと繋がってたい」
「た―君……私さもう昔と違うから今度は赤ちゃん産めるんだよ? 一人で大事に育てるから、だからた―君のいっぱい頂戴。そしたら、そし……たら私頑張って……またさよならするからぁ」
「俺だって……」
「ねえたー君……ねえ私、本当は…………ねぇ……本、当は、もう離れ……たくな、よずっと一緒にいたいよ……やっぱり一人は寂しいよ」
「恵……」
「ごめんね? こんな私が………………好きになって……ごめんなさい……バイバイ、ありがとう…………大好き」
気が付けば涙がぽろぽろと零れていた、口を塞がれていて良かったと思った。
転がっていたボールペンの録音を示す赤い光が点滅する度、私も涙が落ちていた。
顔の半分を覆っていた手がゆっくりと離れる、口と鼻がぐずぐずで涎と鼻水が糸を引いた。
汚いとか恥ずかしいなんて思う前に、袴田君にキスされて何も言えなかった。
私も首に縋り付いて舌を絡ませた。
激しい二人には私達の音なんて聞こえていないだろうけど、それでも音が漏れないように気を付けながらいっぱい袴田君と交わった。
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