総務の袴田君が実は肉食だった話聞く!?

文字の大きさ
41 / 154
連載

恋の魔法

 例えば、今から大阪に行こうと思ったとする。
 お金がかからない手段を取るなら、高速バスに乗ったり、中央線で新宿まで出て大船まで行って東海道線に乗ったり。
 これだと乗車時間八時間かかるけどお金は一番かからない。
 その他にも新幹線、飛行機、早く着きたいならそういう手段もある。



 つまりはそういう事なのだ。




 ここに行ってみたい、ああなりたい、こうなりたい。
 それが妄想なのか、実現できるものなのかって言うのは、そこまでのプロセスが明確に頭の中にあるかだと思う。


 有名になりたい、お金持ちになりたい、多くの人を救いたい。


 大きな夢を持つことは大事かもしれないけど、その足掛かりが全くなく漠然と夢だけをイメージしたってそんなのただの妄想で終わってしまうんだ。
 だから…………だから、そうなりたいなら、今どしたらいいのかって所が一番大事なんだ。

 そんな事分かっていながら、王子様現れないかなとか結婚したいくらい好きな人欲しいとか、言ってた。
 だったら何をしなきゃいけないのかって所に目を瞑って。
 いつもの生活続けてたんじゃそんな人に出会えないって分かってた癖に何も始めなかった。







 袴田君を横目で見た。




 うん、そうだ、こないだ私は袴田君がもし犯罪者だったらどうしようって怯えた。
 じゃあそれは何でって考えたら、うん、袴田君との関係を真剣に考えていたからだ。
 妄想や夢じゃない、現実を具体的に、このまま私達はどうなっていくんだろうって考えた。
 そうなった時にもし袴田君が犯罪者だったり怖い事してたら、それ以上先に進めないって思ったんだ。

 そっか、私は自分が思っていた以上に袴田君の事真剣に考えてた…………。



 袴田君はベッドで寝たままTシャツ袖を通す私をじっと見てて、やだ、嘘、格好いい……すっごい好き。
 でも絶対言いたくないから口隠して、Tシャツ着て………………また目合って……やっぱ抑えられなくなって飛びついたらそのまま抱き締めてくれた、ああやだやだ止めて口から出ちゃう。

「何尾台さんこういう可愛いの俺弱いんだから止めて? イカせていい? お腹の奥からとろとろになっちゃうヤツ」
「だーめ」
「でもごろごろ喉鳴らしにきてますよね、ほら首撫でられて気持ち良さそうにしてる」
「袴田君」
「はい」
「嫌いじゃないよ」
「ふふふ……」

 言ってキスしてベッドからまた降りた。

「俺の事本当に考えてくれてるんですね。真っ直ぐ気持ち伝えにきてくれたの初めてじゃないですか」
「知らんし」

 プイってしてジャージ履いてキッチンに向かった。

「袴田君お腹」
「食べます」

 食い気味に言われて、袴田君の方は向かないけど口元笑っちゃった。
 こないだ美味しいそうな厚切りベーコン大家さんから貰ったからチャーハン作りたかったんだ。

 そうしたら、後ろから袴田君がぎゅってしてきて、たまに頭にキスしたり手元見てきたり、

「座って待ってて下さい」
「たまには俺も作りたいし、尾台さんが具合悪い時や妊娠、出産して俺がキッチンに立つ場面もあるだろうから見ておかなきゃ」

 って…………。
 あの……その時も尾台さんって呼んでんのかなって気にいなったけど、じゃあ今から呼ぶ練習しますねって“絵夢”っなんてあの声で呼ばれたら腰抜けちゃうから言わないでおいた。

 炒める順番やその理由や味付け、袴田君真剣に聞いてくれるの、少し顔左に上げただけで顔あるの、格好いいの、ちょっと待ってくれ! 意識してからの袴田君の攻撃力強すぎィ!!

 もう顔を見るのも辛いのに、また一緒に食べるご飯は美味しくて楽しくて、いつか……お膝でご飯とかした…………いや全然したくないしッ!!

 もうちょっとやだ…………死ぬ……二十七年貯めに貯めた、なんかこうカップル見たり漫画読んでて、ええなぁって思ってたアレやソレ噴出してくる。
 いつか私もしてみたいな、みたいのあるじゃん。

 え? 言ってみる? 一つくらいなら言ってみる? 
 袴田君ならしてくれるよね。

 ええ……何から言おう。

「どうしたんですか尾台さんもじもじしておしっこ?」
「違いますよ!! 食事中」
「だってご飯食べてないじゃないですか」
「えっとあの……美味しいですか?」
「もちろんですよ、さっきから美味しいですって言ってるでしょう聞こえてませんでした?」
「ええっと……あの聞こえてました、その……袴田君」
「はい」
「罵ってもらっていいですか」
「雌豚」
「ヒッ!!!!」

 スプーン咥えて後ろに倒れてしもたがな!! ちょっと待って何でそれチョイスしてしまったの。

「ちょっと尾台さんどうしたんですか、美味しいではなくてそういう褒め方が好きなんですか」
「何でもないですさようなら」
「まだごちそうさまもしてませんよ」
「だったら起こして!!」
「はいはい」

 もう食べにくいから、袴田君の隣にいって寄りかかって食べる!!

「テーブルも良いですけど、こういうローテーブルって言うんですか? 床に座って食べるのだと距離が近くていいですね」
「本当だね、美味しいですね。袴田君に作るって考えたら今まで一番上手にできました」
「尾台さん…………マジ何なの? ……そんな上目使いで言ってきて……ええ? 抱いていいの? 頭おかしくなるまで愛撫して精子枯れるまでハメ潰していいの?」
「もう一声!」
「ブチ犯して俺専用の体にして失神するまで優しく嬲ってあげる」
「ちぬ……」
「おっと」

 倒れた体を受け止めてくれた。

「袴田君何これ、私が想像してた理想のカップルの会話と全然違うんだけど」
「でも尾台さん凄く満足そうな顔してますよ」
「南無……」

 袴田君の膝に滑り落ちて、膝枕で口開ける。
 目が合ってスプーンを口に運んでくれてうふふふっふふふふっふふふふってめっちゃ気持ち悪い感じになっていた。
 起き上がってお返し! って袴田君にも食べさせたりして、何これ……カップルってご飯だけでもこんな楽しいのかよ、これは爆発しろ!! って言われても仕方ないよ!


 そんなんで、ご馳走さましてちょっと化粧してる間に袴田君が洗いものしてくれて、こんな服どうですかってピンクのスカート見せてみたら、袴田君は間髪入れずに好きって答えてくれた。
 ああ、そうですか、お前のために買ってきた訳じゃないし着ないけどねって台詞を背中にくっ付きながら言う。


 準備して着替えて家を出た。
 袴田君が私を上から下まで見て、

「やっぱり尾台さんはピンク似合いますね」
「そーですか」
「スタイルが良いのでスーツや制服のビシッとしてるのももちろん素敵ですけど、そういう柔らかい色合いの服の方が優しい尾台さんの温かい人柄と調和していて和みます」
「う………………そう、かなアリガト」

 真面目に褒められて挙動不審になっちゃって袴田君に隠れよう。

「あ、こんにちは大家さん」
「え?」
「あら、絵夢ちゃんと会社の眼鏡君! なあに? デート?」

 袴田君が会話を始めて、背中から顔出したら大家さんが玄関前掃いていた。

「はい、水族館に」
「あら~いいわね~気を付けてね」
「はい、行ってきます」
「いっ、行ってきます、ああ! 大家さんベーコン美味しかったです! ありがとう」
「いいのよ~貰い物だから。じゃあまたね」

 お尻叩かれて、袴田君いつの間に大家さんと仲良くなったんだよ。

「朝出る所見られなければ、泊まった事にはなりませんよね。と夜中に迷いに迷って行ったんですけど正解でした」

 とか言ってきて、ちょっとぉ! それ袴田童君ご本人濃厚説!! ってなったけど恥ずかしすぎてもう言わないです。

 私は繋ぎたくないけどどうしてもというなら手繋いだっていいんだからね! って言ったら繋いでくれるし、キスしてくるし、はあ好きだこれ。


 電車の中だって些細な話題で延々と会話が続いてしまう。
 ちょっと見つめ合ったらキスしちゃって、胸がじわじわ焼けてくる。

 恋って好きってこういう時間なんだ。
 知らなかった、世界にはこんな時間があったんだ。
感想 360

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! ✽全28話完結 ✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 ✽他誌にも掲載中です。 ✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。 →表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041