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連載
ハ・キャ・マーラ君ソフ トゥ 赤坂 デ ゴファン・タッベール~戸惑う夜の調べ緊張を添えて ~
通話終了ボタンを押して袴田君はにっこり笑った。
「ならこれから夕飯でも、だそうです」
「だそうです、じゃないよ!! そんな急にポンポンとこれからの人生を決めていいんですか!」
「尾台さん俺の所にお嫁さんに来たって言ったじゃないですか」
「言ったけどぉ!」
「なら、ゆっくりしても今しても未来は変わらないでしょう」
「ん?」
「俺と尾台さんは運命共同体ですから時間位で未来は左右されません。俺の隣にはずっと尾台さんだけ、ずっと側にいるって誓ったでしょう? もう一回体に教えた方がいい? ん? ん?」
「重い事言いながらイケメン近づけてくるの止めて下さい!!」
「んー大好き尾台さん」
「私はあんま好きじゃないんで、こっち来ないで! 人前でちゅうするのもダメ!!」
「あら、緊張のあまり尾台さんのツンが増してる」
「人をツンかデレで判断しないで!」
フンってして先を歩く訳だけど、本当本当本当どうしよう!!
私も頑張らなくちゃって言ったけど、あんな……袴田君みたいに日本語上手に話せないよ!!
え? 何だっけ、袴田君さっきうちで何て言ってたっけ! まずは会えて嬉しいって言って、その後は出会い? を話せばいいの? 袴田君との出会いっていっても話したのは、つい一ヶ月前からなんだけど……んん?? ちょっと待ってよ私達付き合ってねぇぞ! 大丈夫かそんなんで!
交際0日で結婚初夜みたいな漫画は好きだけど、現実にはかなりきつくないですかね! そんで出会いを話した後、袴田君は何故かうちの家族褒めて私も褒めていた気がする!
んんん? だとすると私が袴田君のお祖父ちゃんを褒めるの? は? 会社経営頑張ってますね、いいよいいよ順調に右肩成長してるよって? 子会社の営業事務がどこから目線で言う気だよ! え? それで袴田君、イケメンですよね性格ドエスで尊敬してますって言って(?!)いやいや、仕事頑張ってますよしゅごい! って言いたいけど、そんな事言ったらあの眼鏡人、レンズキラッとさせて「事業所王におれはなる!!!」とか言いそうじゃないか!? そんで、結婚させて下さいって頭下げ……。
えええ…………(白目)。
「尾台さん?」
「お!」
「どうしました?」
「お先に失礼します!!」
「しませんよ」
走り出そうと思った腕を掴まれて、
「やだやだ!! 淫魔の実の能力を使って私を懐柔しようとするのは止めて下さい!!」
「ちょっと尾台さんそういう言葉を人前で口にするのは止めましょう。何が不安なの」
「不安しかないですよばかぁ!」
嫌だ無理だもん! どう考えったって挨拶の練習する時間ないし何話していいのか分かんないよ!
ってゆうか袴田君はいつ練習してたの?!! 昨日普通のエッチしてたし朝も隙あらばちょっかい出してきて寸前までそんな雰囲気出さなかったじゃん!!
もう! 本当はこういうのって2週間くらい前に余裕を待って連絡するし、事前にお互いの親の情報等を交換しあい対策を取るんじゃないの?!(ゼクシィ調べぇ!!)
本当に無理って抜け出そうとしたら後ろから抱きすくめられてしまった。
「逃げないで尾台さん、大丈夫です俺から全部話すから尾台さんは隣に座ってくれるだけで充分です」
「そんな訳にいかないよ」
「それこそ、尾台さんだって2週間後に俺の祖父に会って下さいなんて言ったらご飯喉通らなくなっていたでしょう。だからこの勢いで行きますよ、ずっと側にいるから一緒にいて? ちょっと夕飯食べたらそれでおしまいです」
「“ちょっと夕飯”のハードルが高すぎますよ」
胸のとこで交差する手が優しく体すりすりしてきて、頭にキスされて唇が耳元まできた。
「頑張ってくれたら、今夜はトロける甘いエッチしてあげるから」
「それ結局袴田君がエッチしたいだけ!」
「尾台さんはしたくないの」
「むむむ」
反抗したいのに、トロける甘いの所を思いっきり耳の中で言われてご飯頑張ろうって思ってる私はどうしようもないな!!
だって今日も袴田君声は腰にくるくらいいいんだもん。
耳にちゅっちゅてされてゾクゾクして目を閉じた。
「ちょっと目隠しでもしてみますか? 手首を縛って……少し不自由な位が五感が刺激されて違った快感味わえるかもしれませんよ」
「ヒッ!」
「どうします? “受験のストレスからしていた万引きが見付かって事務室に連れて行かれ、家に連絡しない見返りに肉奴隷になる女子高生の調教」
「もう止めて下さい!!(濡れるからぁ!)」
「する?」
「する!」
後ろ向いて両手で胸ドーンってしたけど袴田君微動だにせず、にやってされて結局落ち着くまで抱っこしてくれた。
のに、せっかく落ち着いたはずだったのに、待ち合わせのホテルのロビーで私は尋常じゃない汗をかいていた。
だって吹き抜けのエントランスに吊り下げられた四つのシャンデリアが、巨大すぎて……もうなんて言うか口開けて見ちゃうほどの大きさで煌びやかで、外資系って感じの豪華絢爛なロビーに倒れそうだった。
良かった……一応綺麗な服装しててトイレ行って帰って来たら、袴田君は立派な装花を眺めていた。
真っ赤なバラのプリザーブドフラワーが千本、ロビーを華やかに彩っていてじっと見つめる袴田君の横顔は端整で独特の雰囲気が出ていて声を掛けるのを迷う程綺麗だった。
直に私の視線に気が付いて、いつもの様に優しく笑って尾台さんって呼んでくれた。
綺麗ですねって少しお花の話をして、袴田君はポツリと始めた。
「ちなみに俺は大学生まで放浪してて貧乏学生だったし、こういう所で昔から飯食ってたような幼少期じゃないですからね」
「ん?」
「高校は寮でその前はアパート暮らしでした。祖父と暮らすようになっても贅沢に悦を感じる性格ではなかったので金がある方が快適だなと思う位で豪遊していた訳でもないし、こういう所にも来ていません。性格だって御茶ノ水に来てから矯正したって感じで、俺はどちらかと言うと…………そうですね、らいおん君に近い性格だったと思います」
「らいちゃんって……え? あれ反抗期だからあんなんなんですよ! 昔はもっと私の後ろでもじもじしてるような大人しい男の子で」
「そう、だから万年反抗期みたいな。俺本当に尾台さんにしか興味ないからこの世界にあなたしかいらないんですよ。そんなんで周りなんてどうでもいいって感じで尖ってたと思います」
「尖ってたの!」
「まあ今の俺も俺で……別に猫被ってる訳じゃないんですけどね。ああ……そんな事ないか尾台さん前だけは特別仕様になってるな。この「袴田君」って性格は尾台さんや桐生さんを見て改心したんです」
ふーんって頷いてたら、袴田君が小さな声であ、クソジジー発見って言った。
そっちを見たらわわわわわ!! 年一、恵比寿で開かれる総会でしか見た事がない、本当に本当に本物の本社の会長が現れて、袴田君に待たせたなって言った後、私を見て笑ってくれた。
「じーちゃん、こちら俺の愛しの尾台 絵夢さん、さっき彼女の家族にも挨拶してバッチリ結婚の了承貰ってきたから」
「そそそそんな待ってそんなザックリした紹介の仕方?!! は、初めまして、雄太さんとおお、お付き合い? させてもらっています。尾台絵夢でしゅ」
「雄太の祖父の三神武雄です。そんな緊張しないで? さ、話は上で」
何だか、おお……並んでると確かに似ているかもしれない。
おじいちゃん、とは形容しがたいスッと伸びた背筋に銀髪のツーブロックに髭って……そうなんだ、袴田君も年を取ったらこうなるのかな。
そりゃエントランスであれだもん! 覚悟はしてたけど、連れてこられた所はホテル最上階の個室のフレンチで尾台さん無事死亡だった。
ガチガチに固まっていた私を袴田君は優しくエスコートしてくれた。
お祖父様が食事は適当に前菜から出るから、絵夢さんはワイン赤と白どちらが好きですかって聞かれて袴田君が好きです! とか答えちゃうばかばか!! テンパりすぎだから!
でも良かった……乾杯は緊張したけどお酒に逃げられる……女性だからシャンパンの方が好きかなって頼んでくれた。
一口飲んだらシュワシュワの超美味しいいい匂いする!
「ふぁ美味しいです」
「それは良かった」
そういえば、シャンパン飲んだのいつぶりだっけ…………お友達の結婚式で出たような……普段は飲まないし、こんな美味しいんだ袴田君見たらシャンパンの瓶を眺めてる。
「クリュッグ……ってこれ十万位するシャンパンじゃないの」
「じゅっ……?!!」
飲んじゃったのもう戻せないどうしよう!!
「いいんだよ、女性との晩餐に百円の缶コーヒーが出てくる訳ないだろう」
「待って下さい私感想が美味しいしか言えない語彙力が乏しい人間なんですが大丈夫ですか」
「絵夢さん、美味しいしいものは美味しいでいいんですよ」
笑ってくれてるけどぉ!
袴田君はふぅん? んじゃいっぱい飲もってトプトプ注いでるよ! それ何万円分?!!
肘引っ張って、もうやだやっぱり居たたまれない! と袴田君に小声で訴えとく。
「ねえ無理だよ! これあれでしょ! 何か料理名が春風と共にとか、たおやかな調べとか、深海からの贈り物とかそういう、謎の形容詞で表される料理が運ばれてくるんじゃないの! 私そういうの分からないからぁ!」
「大丈夫ですよ、ここそういう格式張った所じゃないですから、まあまあゆっくり食べんしゃいって運んできますよ」
「博多弁で?!!」
言ってたらイケメンギャルソン君が来て、目の前に料理の盛られたお皿が。
「トリュフとブッフサレ リ・ド・ヴォとレンズ豆のガトー仕立て、自家製サーモンマリネ 海の恵みの宝石仕立て新鮮な千葉産ガーデングリーンとキャビアを添えて」
「袴田君ッ!!」
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