【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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ネネ

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「万歳ってしてみて」
「バイザイ?」
「こう」
 タツミが両手をあげたから真似っ子したら、スポンって服を脱がされてしまった。
「どうして脱がすの? 寒いよ返して」
「隠したりしないの?」
「え?」
「裸、俺に見られて恥ずかしくないの?」
「???」
 頬をくすぐられて目を閉じる、そのまま顎のラインをなぞられて手を舐めてしまった。
「そっか」
「皆着ていたから着ていただけだよ、それにこの姿だと服着ないと寒いし」
 なるほど、っとお風呂の横に置かれたカゴにタツミは服を放って目の前のドアを開けた、そしたらお花の良い香りのする柔らかい湯気に全身を包まれて視界が真っ白になる。
 煙が途切れて、現れたのは白黒のタイルと金色の猫足が支える真っ白いバスタブ、そこには赤とピンクのバラが浮かんでいた。
「可愛い!」
 タツミの服掴んでお風呂と顔を交互に見たら、額にキスされて。
「いいよ」
「うん!」
 こんなの絵本で見たお姫様が入るお風呂では?! プカプカ優雅に浮かぶバラを一つ手に取って、嗅いだ事のない、高級っていうのかな、お外で咲いてるバラとは違う匂い。
 パタンとドアが閉まって振り向けば、タツミは腰にタオルを巻いていた。
「何でそこ隠すの何があるの」
「凄いのがついてる」
「!!!」
 ちょっと警戒してお耳ピン! してしまった、凄いって何?!!
 タツミは答えないで一瞬だけニヤッてして手桶でバラを避けてお湯を掬った、自分の手に掛けて、金色の蛇口をひねる。
「何してるの」
「少し熱いから水を足す」
「この花食べられるの」
「お腹痛くなるから食べちゃダメ」
 こんなにいい匂いがするのに! 少ししてタツミは桶でお湯を混ぜると、
「目閉じて耳伏せて」
 手で顔を覆ってくれて頭の天辺をお湯をかけられた、耳伏せてって言われても怖くないし嫌じゃないから無理だった。
 ただ何だろう……さっきまでお風呂の中バラの良い香りだったのに、私が湿ったせいでなんか変な匂いになってるぅ。

 バスタブに手ついて、薄目を開けたら、
「ヒッ!!」
「直ぐ綺麗にしてあげる」
 私の足のとこ流れていくお湯真っ黒黒だ! ちょっと汚いどころではないぞ! って思ったけど寒くて消えた暖炉の中で寝た時もあったしな、もちろんお風呂なんて初めてだし。
 何度かお湯を掛けられて黒いのが流れなくなった頃、タツミは石鹸を泡立てて優しく体を洗ってくれた。
 甘いミルクの香りのする石鹸だった。
「やっぱり一回じゃ泡立たないね」
「?」
 直に流されて、もう一回、次は体中モコモコになって体中泡に包まれて楽しい。
「タツミは? タツミは洗わないの?」
「洗うよ」
「じゃあ私が洗ってあげる!」
 ってアワアワの体をいっぱいタツミに擦り付ける足や腰に抱き付いてスリスリ纏わりついてたら。
「やめッ……」
「凄い所も洗う!」
「俺は大丈夫だから」
「あん」
 気を使ったつもりだったんだけど、お湯掛けられて泡を流されてしまった。
「ほら綺麗になった」
「?」
 大きな手がキュキュっと曇った鏡を拭いて、自分の姿を見て何度も瞬きしてしまった。
 右に動いたら右に動くし、手を上げたら手を上げる、お耳握って揺れる尻尾も私だ!

 けど!!

「タツミ!」
「うん」
 鏡の自分を指差して言う。
「黒猫!!!」
「うん可愛い」
「黒猫が映ってるよ?!」
「そうだよ、君は黒猫でしょ?」
 そうだったんだ?! 髪を引っ張って本物だ!
「私ずっと灰色だと思ってた」
「家にきてからたくさん産毛が抜けてた、今も梳かしたし、後汚れていたからくすんで見えていたのかも」
「私が黒猫だって知ってたの?」
「さあ? 別に色なんてどうでもいい」
「そう」
 タツミは抱っこしてくれて、バスタブの前に立つ。
「怖い?」
「?」
「お湯」
「ううん、楽しみ」
 体バタバタしちゃって、タツミが少し笑って抱っこのままゆっくりお湯に浸かれば、湯船は丁度いい高さだった。
 バラがプカプカ揺れて温かくていい匂いで……すっごいきもちいい。
 耳垂れちゃうし顔緩んじゃう。
「良かったお風呂好きな子で」
「ん? タツミは嫌いなの」
「嫌い、ではないけど、一人で入るだけだし好きではなかったかな」
「そっか、私はお風呂初めて入ったの、好き!」
「可愛い」
 タツミはバラの花を目の前にいっぱい集めてくれて、ふーってやったら向こう行って、花びら摘まんで散らすのも楽しかった。
 楽しい度にタツミの顎にお耳のとこ擦り付けておいた。
 もうちょっと遊びたかったんだけど、タツミは私を抱えたままお湯から上がってしまって。
「のぼせる」
「うん」
 お膝に寝かされてた時もそうだったけど、こんなフワフワなタオルって存在するのって? ってくらいの優しい肌ざわりのタオルで全身を拭かれて、一応ブルブルってしたけど髪の毛も拭いてくれた洗ったら髪はサラサラになった。
 またお花の香りのするの液体を体に塗られて、私はまだ小さいからお肌が弱いから塗るんだって。
 見上げたら、今度はお洋服首に通されて、手を伸ばしたら可愛い蝶々が舞っているワンピースだった。
「可愛いお洋服……」
「これからはちゃんと下着も履こうね」
「ぱんつ!!」
 白いの履かせてくれて、今までお股スースーしてたから違和感! スカート捲ってじーとパンツ見てたら。
「女の子はそういうことしない」
「わかった! しない!」
 裾を叩いて、背筋を伸ばす洗面所の鏡を見れば、私とは思えない黒猫が立っていた。
 ドライヤーを掛けてもらって髪の毛に艶が増す、お耳や尻尾にもオイルを付けられてピカピカに輝いてる。
「私、意外と、毛並み、綺麗!!」
「毎日俺が梳かす」
「うん、される!」
 自分でこれは維持できなさそうなので!
 鏡を見ながら、ほーほーってしている間、チラってタツミの方を見たら、眼鏡を外して雑に髪を拭いていて、目が合えば瞼を細めて、口調は冷たい? けど視線がどこまでも温かくってまた顔を体に擦りつけておいた。

 お風呂から出たら、もう夕方だった。
 窓からオレンジ色の光が差し込んで、家の中まで赤く染まっていた、いつもだったらこれから寒くなるし、どこで暖を取ろうかな、食べるモノ見付けられるかな、暗くなってオバケに連れて行かれちゃったらどうしよう、とかどんどん不安が積もる時間。

 カチッて時計から音がして、そっちを見たら、ポッポ、ポッポって鳩さんが飛び出してきた。
「6時に鳴く」
「もっと近くで見たい」
「いいよ」

 抱っこしてもらって勢いよく飛び出た鳩に鼻先を突かれて、思わず手が出てしまった。
「あ」
「大丈夫、直せる」
 鳩さん倒れてしまって、ごめんさないだ。
「お腹空かない?」
「うん」
 タツミは時計を外して、床に置くとキッチンに立って腕を捲ってる。
「お手伝い、する!」
「うん」
 台を持って来て隣に並んで、何作るんだろうってワクワクしてたら、タツミは大きな手を濡らして塩を軽くつけて手の平にお米を乗せた。
「置いて」
「うん」
 それってさされたピンクの摘まんで入れて、またお米乗せて握ってる。
「何?」
 そのリズミカルな手の動きに勝手に尻尾が揺れてしまった。
「おにぎり」
「オニギリー」
 最後に黒いの巻いて、お皿に乗せてもう一つ。
 それと卵を焼いたの野菜の入ったスープだった。
「少しづつ色んな物食べて行こうね」
「うん! うん!!」
 二人分の食事だけど、一人分のお皿に持って、お膝の上でご飯を食べた。
 おにぎりの中身はお魚だって、ほんのり塩味がして美味しい。
 お味噌汁っていうのも、卵もふわふわで作るの難しそうだったけど、全部好きな味!
 食べ終わったら、タツミはまた満足そうにお腹を撫でていた。

 気が抜けたら猫に戻っていまって、この姿だと私の小ささが倍目立つなってできるだけ大の字で自分を大きく見せていたら顔いっぱい撫でてきて、耳の付け根揉み揉みされて、はわわ……ってなる。
 そしたら、チリンって音がして。
「?」
「首輪」
「??」
 金色の鈴のついた首輪を首につけて、お鼻ツンツンされた。
「ネネ」
 見詰めあって呼ばれて、勝手にミィって返事をした。
「そうだよ、君の名前はネネ」
「ニャア」

「俺が決めたから、今日から君はネネ」
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