【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

文字の大きさ
3 / 66

ホーリツで決まっているので

しおりを挟む
 家に戻る時、庭にある木をじっと見つめてたら。
「食べる?」
「これなーに?」
「さくらんぼ」
「さくらんぼー?」
「うん、食べられるんだよ」
 肩に座らせてくれて、いきなりおっきくなっるから視界が高くて耳が下がってしまった。
「怖い?」
「ううん」
「赤いの好きなだけ採って」
 宝石みたいに艶々で綺麗な真っ赤な丸。枝にいっぱいなっててこれが食べられるなんて!
「さくらんぼを持って、回すと取れるから実だけを茎からもぎ取って」
「うん、できるかな」
「茎の根元には、次の年の花芽がついてて、それが取れてしまうともうさくらんぼが出来なくなる」
 うう、何か難しいこと言ってる?
 摘まんで、くるってしたら意外と簡単にプチッと取れた。
「できた」
「上手」
「こういうのしたの初めて」
 タツミが持っていた袋にコロって転がして、見上げれば、まだまだいっぱいさくらんぼがあってお尻尾ゆらゆらしてしまった。
「タツミ……」
「いいよ」
 袋いっぱい採ってタツミは台所で直にさくらんぼを洗ってくれた。
 うろうろしてたけど、台所の中が見えなくて部屋の入口に置いてあった箱引っ張ってきてそこに登る。
 わああい、中見えた。
「賢い」
「?」
「いいこ」
 そんな事でも褒めてくれるんだ? ボールに入れられたさくらんぼは水に濡れて輝いていた。
 もう気になって耳ピクピクしちゃうし、尻尾もパタパタしちゃって。
「手ベタベタするから洗うね」
「ん? うん」
 手なんて洗ったことなかった……大きな手に包まれて冷たい水で手の平を擦り合わせる、ってゆうか、お水面白い……! 細い管からちょろちょろ出るの! パンチすると跳ねて……。
「お水で遊ぶのは後でしてあげるから、今は手拭くよ」
「うん」
 お皿に盛られたさくらんぼ、どんな味なんだろうってワクワクして椅子に座ったタツミに膝を叩かれれば自然と乗ってしまった。
 恥ずかしいとかいいから早く早くって頭擦り付ければ大きな手がさくらんぼを一粒摘まんで言う。


「小さな猫は一人でこれを食べてはいけないと法律で決まってる」


「ホーリツ?」
「破ったらオバケが出る」
「オバケ!!!」
 何で急に怖い話するの! って睨み上げたら額にタツミの唇が触れた。おでこに……何で?
「今のなーに?」
「キス」
「きす」
「可愛い人にはするって法律で決まってる」
「破ったらオバケでちゃうの!!」
「出る」
 そんなの恐いからあ! って前髪掴んでおでこ差し出して、

はい!! ってしたらタツミはいっぱいきすしてくれた。
「オバケあっちいった?」
「うん、それでさくらんぼの中には呪いの卵が入ってるから出さないと食べられない」
「呪い……?」
「オバケの呪い」
「ひ!! 何でそんなモノ庭に植えてるの!?!」
「食べると美味しいから」
 タツミは口にポイとさくらんぼを入れちゃって、
「にゃ!」
 あああ! 待って呪いの……! って口いっぱい引っ掻いてみたけど、タツミは平気な顔でモグモグして口に指を入れて黄色の小さな丸いのを出した。
「呪いの卵」
「おおおおお!」
「食べるとお腹から木が生える」
「木? それはお外の木???」
「そう、あの大きな木がいきなりお臍から生えてくる」
「!!!!!」
 この小さな丸いのに、そんな力が……!? まさに呪いの卵だ……。
 耳後ろ向きになっちゃってペタンコ、もう味とかどうでもいいやって思ったら、タツミがいいこいいこしてくれた。
「でも凄く美味しい」
「…………」
「食べる?」
「…………」
「食べる?」
「…………」
 気になるけど、そんな……私呪いの卵口にいれるの恐いし……。
 お洋服きゅうって掴んだら、タツミは笑ってさくらんぼを取った。
「だから、さくらんぼが食べたい時は俺に言うんだよ」
「?」
 口に含んで、また呪いの卵を出して、卵をじっと見てたらするっと大きな手が顎を掴んで上に向かせてきた、自然と緑の瞳と見つめ合う。
 頭支えられて、タツミの顔が近付いて、きす? ぷにって互いの唇が触れた、一瞬タツミの耳がビクンってなった。
「たちゅッ……んん」
 話そうと思ったら口に何か入ってきて、じわって感じたことのない甘い液体。
 少し苦しくなって体離そうとしたけど、腰を掴まえられて動けないし、頭も持たれてて苦しいのも甘いのも受け入れるだけ。
 くちゅって口から音がして、つるって舌で感じたのはさくらんぼの皮の感触だ、指で触れたから覚えてる。
 それから初めてのさくらんぼの香りと、味と、ザラザラしたのを味わった。
 いい香りがして、さらっと甘くて……ザラザラしたのだけが口の中動いてる、タツミの目キラキラしてて瞬きを一緒にして唇が離れた。
「美味しい?」
「ん……」
 さくらんぼの果肉は噛めば噛むほど汁が出てきて、甘いのに酸っぱくて美味しい。
「食べる?」
 スッとタツミの手がテーブルのお皿に伸びて、まだ食べたくて頷けばタツミはにやってした。
 そしてまた呪いの卵を出すため、タツミはさくらんぼを口に入れてくれて……もしかしたらお腹から木が生えちゃうかもしてないのに、なんて勇気のある人なんだろうってキュンてしてしまった。
 でも、何だろう……嬉しいような、なんだか目ギラギラしてて……怖い? 卵を出してまた覆いかぶさってくる胸に両手をついた。
「何この手」
「……だって……私……タツミに……食べられそうで」
「……」
「まだ太ってないから食べちゃだめぇ」
 涙出そうになった目で睨んでみたけど、タツミからでた言葉はまさかの。

「可愛い……」

 だった、やっぱ食べられちゃう! って口きゅうって閉じてみたけど、両手首を片手で掴まれて、またきすされて、ザラザラしたのでいっぱい口の中擦られる、上顎なぞられてぞわってして、背筋びくんって勝手に力抜ける、体が引けてしまったらタツミの口が離れた。
 私の口から真っ赤な舌が伸びてて、ああ、そうなんだアレが私の口に入ってたんだって思った。
 さくらんぼモグモグしてたら、タツミはもう次のさくらんぼ手に取って首傾げてきたから、私は噛んでいたのを急いで飲み込んで、口を開けた。
 いっぱい食べたら太っちゃうのに、でもいらないなんて言えなかった。
「口」
「もっと……」
 でもその後食べたのは二粒で、たくさん取った残りはお菓子に? 使うって。
 それよりも、もうさくらんぼを食べてもいないのに、タツミはいっぱいキスしてきて、ほっぺとか首とかむずむずするし、タツミのしっぽピン! ってしてるし、さっきから何か言ってて気になっちゃう。
「好き……好き……」
「すき?」
「うん、可愛いくて好きだからキスしてる」
 額合わせてきてゴリゴリされて、見つめ合って軽く唇が触れるのいっぱいする。
 なんか、あの……猫の時にペロペロするのと同じ感覚なのかな。お姉ちゃんやお母さんがこの姿になってこんなキスしてるの見た事なかったけど。
「好きだとキスするの?」
「一緒にすきっていっぱい言って?」
「え?」
「せーの」
 至近距離で目があったまま「すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきす」
「あ!!!!」
「ね? 好きはきすだから、きすだから好き」
「わかった」
 よくわからなかったけど、好きがキスになったのは確かだから、タツミが好きって言ったら、じゃあキスだって自分からちゅってしたら、口押えて震えていた。
「タツミ? タツミ!!!」
「大丈夫」
「でも」
 タツミは立ち上がって私のこめかみにキスして言った。
「お風呂沸いてるから入ろうか」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

処理中です...