【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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ショサイ

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 もっともっと気持ちを伝えたい時はどうしたらいいの?

 の答えにタツミは額にキスしてもう少し大人になったら教えてあげるって言った。

 大人……大人って何だ。



 朝が来た、いつもと同じ、空腹で目が覚めた朝だった。
 フカフカの布団の上に丸くなってて首元に鈴、それだけでもう今日一日幸せだろうなって口元が笑ってしまう。
 起き上がったらやっぱり猫で、あくびして伸びして、ぶるぶるって体振るえば目はぱっちりだ。少しだけ顔を洗ってベッドから降りる、ベッドの足クンクンして首擦りつけて、マーキングしとかないと!
 あっちも! こっちも!! ってお部屋の中はタツミの匂いと私の匂いが混じり合っていた。

 タツミの匂いを辿りながら、いた! って顔を上げればキッチンに立ってて、邪魔にならないように足に絡みつく、たくさん足にすり寄ってこっちにも私の匂いつけとかないと。
「おはようネネ」
「ミ」
 頭撫でてくれて、そのまま尻尾の方までこちょこちょしてくるから、お尻が上がってしまった、気持ちい。
「おいで」
 手の平差し出されて、腕、肩って駆け上がってほっぺにちゅうする。
「可愛い」
「ニャア」
 ほっぺと首といっぱい舐めて、挨拶って大事!
「パンケーキ焼く」
「?」
「甘くてもいいし、ハムとチーズでもいいし、卵と牛乳食べさせたいから朝ご飯に丁度いいと思って」
 ボールの中には真っ白い粉が入ってて、片手で卵を割って落とせば黄身が双子だった。
「ミ!!」
「ピッタリくっついて俺とネネ」
 顔をこっちに傾けてスリスリされて私も額で押し返した。
 タツミの口ペロペロしてたら、開いて。
「あ、でも二人で食べるならもう一枚くらい焼いてもいいかな」
「ミ?」
「だったら卵ももう一つ取って来ないと」
「……」
「朝採ったんだけど、他のは茹でてしまったんだよね」
 指差さす先にある水の張ったボールには卵が沈んでて、おお!!
「わ、私! 採ってくる!!」
「おっと……」
「タツミのお手伝い、する!」
 肩から落ちないようにタツミは体を支えてくれて、用意してあった昨日のワンピースと下着を着せてくれた。
 首に付いた鈴を鳴らされて、喉をくすぐられて、こんな期待された目初めてだから、頑張るって拳を強く握った、燃えてくる!!
「待っててね? タツミ!」
「うん何かあったら呼んで」
「呼ばない!!」

 走って家を出て、小屋の柵を掴んで中を覗き込んだ。
「おはようございます! 私……あの、私! ネネって言うの!!! 宜しくね」






 あ、嘘……まさかの無視。

 鶏さん、私なんか見ないでご飯啄ばんでて……そっか声聞こえなかったのかな?!
「あのお!! おはようございまっす!! 私、ネネ!! 卵一つ下さいッ!!!」

 私ってこんな大きな声出るんだ、今度こそ! と思ったけど鶏さんこっち見ず……!
 む! あ、でもそこに卵あるや! ならば話は早いぞ!
 柵よじ登ってそーっと卵に手を伸ばしたら、
「コケェエエエッ!!!!」
「キャ!!!」

 卵に指が触れた瞬間一斉に鶏さんが羽広げて威嚇してきて、鳥に怒られたのなんて初めてだから、ビックリで耳もぺったんこだし尻尾もお股に入ってしまった。
「ご、ごめんなさい! あ……卵だもんね、採られたら嫌だよね? えっと……でもそれ欲しく」
「コケコケコケェエエエッコココココ!!!」
「きゃああごめにゃさい!」
 飛び上がられて、怖くって、だって鶏さんおっきいもん、小屋から出たくても入り口から入らないで柵乗り越えてきちゃったから、外鍵で開けられない。
 うえん! 恐いッ!! っでもお手伝いするって私が言ったんだもん! 猫になちゃって頭啄ばまれてお耳隠したらお尻啄ばまれて、でも絶対タツミって呼ばない! ぎゅうって丸まってたら、板の隙間から真っ赤の瞳を目が合った。
 あ……併設されてる小屋に住んでる真っ白い兎さん親子。
 夫婦と子供一人、もしゃもしゃニンジン食べてるんだけど、じっと私見つめててこっちにおいでって言っている感じがして、突かれながら頑張って兎小屋に移ったら、それ以上鶏さんは追いかけてこなかった。

 兎さんに一応ペコってしとくけど、特に私を気にする様子はなくて、でも向こうの鶏小屋を覗けば鶏さんめっちゃ興奮してこっち威嚇してるから、ここから出るにでられなかった。
 むしろ、申し訳ないので兎さんの邪魔にならないように隅っこでじっとしてた。

 どうしよう、私とっても使えない黒猫じゃなかろうか、たった一つの卵も採ってこれないなんて。
 ぅえん、泣けちゃうよお、一人じゃなのに、一人な気がして心細くて。

「ミィ」

 お耳ぺったんこで一度鳴いたら、
「遅くなってごめん」
 大きな手が体を掴んで小屋から引っ張り出してくれた。
 いっぱいっぱい体擦りつけて、何か色々耳も尻尾も治ってくれないし、不安で不安で仕方ない。
「まだ小さいのに無理させてごめんね」
 違うって顔振るんだけど、もっと抱き締めて欲しくて胸の顔を埋めてしまった。

 それでそのまま帰ったら、待ってたのはホットケーキじゃなくて、ホットミルクだった、ほんのり甘くてお菓子みたいな匂いのするミルク。
 昨日よりいっぱいフミフミしながら飲んで、終わったらゲップさせられて、やっぱりお腹ちゃぽちゃぽになってタツミは満足してるし、ケーキは入らなかった。
 入らなかったし、お腹いっぱいになっちゃって、さっき起きたばかりだと思うんだけど、あくび止まらない。
「怖い思いして一気に体力使ったでしょ」
「……」
 目擦るけど、頭ぽけっとしちゃって……パンパンになったお腹を撫でられればもう夢の中だった。


 こんな気持ちいいお昼寝初めてで、目が覚めてタツミと自分の匂いのするソファーには温かい午後の日差しが当たっていた。
 タツミ本人がいないのはちょっと寂しいけど、おトイレも行きたいし探そう。
 と言っても、匂いと気配でベッドやリビングにはいなさそうだから、ショサイ? だな。

 部屋の前に立って扉クンクンして、うん、ここから気配する。
 耳澄ませば、あ……声? タツミの声。
【ああ、うん……ちょうどいいのが手に入ったから、素材としては文句ない。生かすも殺すも俺次第って…………うん、楽しみにしてて】
 何の話だろう、壁一枚向こうにいるだけなのに、ちょっと不安で。
「ミィミィ……」
 ドアをカリカリして、ちょっとうろついて……またカリカリする。
「ニャ、ニャア」
 開けてってウロウロしてたら、少しドアが開いて。
「ごめん、ここにいるよ」
「タツミ!」
 少し屈んだ体にダイブして、いっぱい好きって言っておかないと。
「寂しかった?」
「うん、起きたらタツミいないの恐い」
「そうか、気を付ける」
「わがまま言って怒らないの?」
「可愛いって思っただけ」

 そのまま抱っこでトイレまで連れて行ってはお昼だ。
 ご飯に鰹節かけたのとお肉焼いたのと野菜、タツミのを抱っこで少しづつ貰って、美味しいけど……。
「私食べて寝てるだけじゃない?」
「後少し遊ぶ」
「そんでいいの?!」
「そんなんでしょ、子猫なんだから」
 お茶飲ませてくれて、そんな王様みたいな生活あるって言いたかったけど、恥ずかしくて言えないからデザートに置いてあったさくらんぼ、口に咥えてはいって渡した。
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