【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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おくすり

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 昔の私の一日はというと、寒いとか痛いとかそういう理由で目が覚めて、でも動くとお腹空いちゃうから隅っこでじっとして一日の大半を過ごした、皆が残した硬いパンの端を拾ってゆっくり口で溶かして食べて、おやつの後に床に零れたお砂糖舐めたりね。

 水は雨水飲んで、虫食べてお腹壊したり、人付き合いはなかったかな、私のせいで問題が起きると困るから、誰にも話し掛けなかったもの。とりあえず声を出して邪魔になると怒られちゃうから、空気みたいに暮らしてた。
 あ、違うな空気だったら捨てられないんだから、もっと他の……存在、わからないけど。
 だからそんな私といるメリットが分からないし、でもいてくれるんだからいっぱいいっぱいありがとうって言わないとって毎日思ってる。

 タツミの世界に触れて、あの時の私はちょっと可哀想だったなって思うけど、目が見えた瞬間から怪訝な顔されてスタートだった私には、あれが当たり前だったんだ。
 じゃあ今の私の暮らしはというと、これが幸せすぎて信じられない程よ。

 ベッドで寝てたけど、朝になるとタツミが見えるソファーの上のクッションで目が覚める。きっと起きた時にタツミがいないのがイヤって言ったから移動してくれたんだと思う。
 それで日課の卵を取りに行く、ちょっと遊ぶ、ミルク飲む寝る(昼寝)。
 起きる、お昼食べる、お掃除やお勉強する、遊ぶ、夕飯食べる、お風呂入る、寝る。
 毎日こんな感じだ。
 遊ぶの中にはお散歩やお絵かきやお手伝いも入ってる。
 お昼食べた後に寝ると、夜眠れなくなるからって、午前中に寝かしつけられちゃうんだな。
 あ、後毛づくろい2時間とかあるよ。
 タツミと私は何かとクンクンしたりペロペロしちゃうから、そういう時間って長いと思う。
 タツミが外出してる間はピヨや兎さんと遊んだり、常に何かしてて楽しいし寂しかったり退屈してる時間はないけど、でも、ふとタツミがこのまま帰って来なかったらどうしようって不安になって。
 鶏さんに相談したりとか、お家の中ウロウロしてムズムズして柱で爪とぎしてると、表の門の音がして、恥ずかしいけど猛ダッシュして飛び付いてる。

「ただいまネネ」
「ちゅう、ちゅうしてタツミ、ネネすき? きすしてタツミ」
「うん」

 抱っこしてもらってもう匂い擦りつける前にそんなのいいから、交わりたいって衝動が止まらない。
 肩に手を回して、いっぱい好きって言って、タツミは可愛いって返してくれる辰巳の眼鏡が邪魔すぎてカチカチ当たってるけど、そんなのいいから私の私の……。
 そんな感じになってしまった日は、ポンポンされても体の熱が収まらなくて、中々か猫になれなくて困る。
 胸も大きくなってしまって、この体の方が邪魔な所が多くて動きにくいから猫の方が可愛がってもらえるのに、どうしてか私も抱き締めたくて戻れない。

 お風呂が終わって布団に入ったらいつもは獣同士で最後の毛づくろいで就寝なのに、抱き合ってる最中にもっと自分からしがみつきたくて大きくなってしまった。
 実を言うとふわふわな豹の体に裸で抱き付くのが気持ちいいっていうのもある。
 指で髭を撫でて鼻にスリスリして、いつもみたいにいっぱいキスする、そのまま抱き締め合って寝たいのに、無意識に尻尾が豹柄の尻尾に巻き付いて離れないんだ。
 太い大人の尻尾に私の細い尻尾が絡んで、何かを誘っているみたいで、緊張する。
 この感情を言葉で表現できないから、太い尻尾を何度も尻尾で扱けばタツミはビクンってして。
「眠れない?」
「ん……」
 フワフワだった毛皮が筋肉質な胸板に変わった。

 もちろんタツミは裸で、薄いシーツを一枚かけているだけの私達を月明かりが照らしてる。
 服なんてこの前まで寒いから着てるだけだったのに、妙に恥ずかしくってシーツに潜り込んでタツミに抱き付いて胸に顔を埋めた。
「ネネ」
「お薬……」
「うん?」
「お薬がほしーの」
 答えれば、背中を優しく撫でてくれていた手がするっと腕と頬を撫でて顎を掴まえられて上を向かされる。
 この家に来たばかりの時のハグは安心していただけだったのに、最近の私は可笑しいんだ、だって今だってタツミと目を合わせただけで顔が赤くなって体にじんわり熱がこもってきて、息だって苦しい。
「薬? どこが痛い?」
「ここ」
 ぎゅうって腕に力を込めてタツミの体で膨らみかけた胸を潰す、体温いっぱい感じて涙出そうなくらい、苦しい。
 そしたらタツミは緑の目を一瞬しかめて、唇を噛む、私はいつの間にか肩で息をするくらいに呼吸が荒くなってて、どんどん視界が歪んできた。
「ここが苦しいの、ネネお薬ほしーの」
「薬は……」
「治してタツミ」
 声が震えてきて、体中ジンジン熱くなってきて、泣きそうだ。なのに、
「薬は、あげられない」
「え?」
 タツミの顔が近付いて、薄明りの部屋の中で怖い位に牙が光ってる、でもその光は綺麗でエメラルドの宝石みたいな瞳もキラキラ輝いてて。
「ネネは何が欲しいの」
「…………」
「本当に欲しい物は何」
 タツミの息が顔にかかって吸い込めば肺で呼吸が混ざった、細められた瞳孔にゾクッてして勝手に指が綺麗な唇に触れた。
 触れた瞬間カッと体が熱くなる、指先が震えて離さそうと思ったら前歯で甘噛みされて、それだけで全身粟立って体キツく抱き締め直されて、見つめ合う熱く絡んだ視線で分かってしまった。
「何が欲しい?」
「あ……」
「何」
「うんっと……」
「何」

 キスしてしまいそうな位唇が寄って、もう熱い息がどちらのかわからない位の距離で、なぜだか下半身が疼いて自分から顔を傾けた。



「タツミが欲しいの」


 目を見て、掠れた声で一生懸命答えたけれど、タツミは何も言わなかった、言わなかった、んじゃなくて口がくっついてもう話せなかった。
 いつもだったら、キスしててもその合間に話せたかもしれない、でも今日のキスはいつもと違っていた。
 荒々しくてタツミじゃないかと思った、柔らかく舌が絡み合うじれったいマーキングのキスじゃない。
 強く奥まで舌を突っ込まれて、息が吸えない程だった、でも苦しいはずなのに、私もそれに応えるように舌を動かした。
 大きな舌に口の中を占領されて口端から唾液が漏れてくる、顎にまで伝ってそれでも止めてくれないし、更に激しく唇が交差した。
 ネネって甘い声で呼んでくれるから喉が鳴ってしまって、必死になってタツミの唾液をすすった、長い指が尻尾の付け根と腰と背中辺りを摩ってきて、ビクビクって止まらない、いつも撫でられてお尻上がっちゃうとこ、今日はキスしながらだし、何だかお股が可笑しくなる。
「タツミィ……」
「もっとキスしたい」
「ダメ、頭溶けちゃ……ぅんんんッ」
 二人の唾液で濡れた唇がまた擦れて、下唇を噛まれてまた何も考えられなくなって体の力が抜けていく、歯の裏側全部舐められてタツミの湿った息を深く吸い込んで頭の奥から痺れてくる。
 火照った唇が顔中にキスしてくれて、なんだか、今日はいつもの違う空気が漂ってるなって思った。
 落ち着く抱擁じゃない、どんどん気持ちが滾ってくる、耳くすぐられて声が我慢できなくて、首筋にも唇が滑ってきて、こんなの初めてで体捩れてしまった。
「逃げちゃダメ」
「らって」
「俺が欲しいんだろ」
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