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53 .パウパウのキラキラとお友達 39
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パウパウは違和感で目を覚ました。
なんだか体が重たい。
「ん?」
ゆっくりと辺りを見渡す。
「……ん~?」
(川の字で眠る、じゃなくて、これ何て字かな?)
パウパウを抱きくるんでいたミッちゃんの腕の中から、そぉっと振り向いたらグー姉様が。ミッちゃんの肩口からはマールちゃんが眠っているのが見えた。
頭のところにはマアガが長々と横たわり、間を埋める横棒のように仔ネコたちが夫々お腹を見せて転がっている。
パウパウのお腹の上にはハヤツが頭を乗せていた。
重たかったのは、このせいだ。
(ん~、冊の字かなぁ)
ハネの部分が無いのが残念だ。
ちょびっと寝苦しい。
でも、幸せ。
「んふふ」
みんなが眠っているようなので、手で口を覆って笑いを堪えてから、パウパウはミッちゃんの寝顔を見つめる。
白磁のような肌に銀色の髪がさらりとかかる。
眠っているミッちゃんは、宝石で作った彫像のようだった。
(奇麗だなぁ……)
「……ふふっ」
パウパウが身じろぎしたため、起こしてしまったのかミッちゃんが小さく笑った。
瞼を開けると、青紫のラ・ベルの花みたいな色をした瞳でパウパウを見た。
「おはよう、パウパウ」
ドキドキしているパウパウの額にキスをしてくれる。
(おはようのキスだ!)
「ミッちゃん、おはよ…」
パウパウは、ちょっと恥ずかしかったけれど、お返しのキスをミッちゃんの頬に送る。
ミッちゃんは、目を見開いてからキスを受けた頬を指先で触れて、ふわりと微笑んだ。
「ふふ、嬉しいなぁ」
「ぼくも、ぼくもね、なんだか嬉しい」
嬉しくて、胸がキュっとなる。
「おはよう、パウ坊。わしにはキスをくれないのかな?」
背中のほうからグー姉様の声がして、パウパウは体を起こし
「グー姉様、おはよう」
やっぱり、ドキドキしながら頬にキスをする。
「あぁ、確かにこれは、嬉しいのう」
そう言って、パウパウの頬にキスを返してくれた。
「さぁ、朝ごはんを食べようか」
「あ、マールちゃんは?」
「叔父上は朝に弱いんだよね」
「どうせ、しばらく起きてこないから、あのままでよい」
そう言いながらも、そっと身を起こして立ち上がるグーリシェダに、扉の横の魔道人形さんが声を掛けた。
「おはようございます。差し出がましいかと思いましたが、ご朝食を整えてございます」
「……なんと、まぁ」
グーリシェダは、ちょっと目を細めて魔道人形を見た。
「おはよう、からくりさん、御飯、なに?」
「おはようございます、パウパウ様。クラムチャウダーとサンドイッチ、ヨーグルトと柑橘の果実水をご用意しております」
「美味しそうだねぇ、ミッちゃん」
「そうだね、急いで支度をしようか」
グーリシェダは、雑貨屋の扉を抜ける二人を見送って、魔道人形に声をかけた。
「ありがとう。ところで聞くが、何故、そのメニューにしたのかの?」
「はい。パウパウ様が喜ばれるかと推察いたしました。不都合がありますでしょうか?」
「いいや、ありがとう。わしも食すのが楽しみだ」
微笑みを浮かべて、雑貨屋に続く扉を開いた。
用意された魔道人形さんの朝食は素晴らしかった。
軽く炙った薄切りのミッシュブロードにオレンジ色のチーズとハム、ディルとパセリを乗せたオープンサンド。
花扇貝とルソリアを使った、貝の旨味が濃厚なクラムチャウダー。
花の香がする蜂蜜が添えられたヨーグルト。
「からくりさん、美味しいよ。ありがとう!」
パウパウの声に、魔道人形さんは奇麗にシャラシャラと音をさせて一礼すると、扉の横の定位置に立つ。
「うん。美味しいね、パウパウ」
「うん!」
「で、今日は、どうするのじゃ?」
そうグーリシェダに尋ねられたとき、パウパウは帰る時刻が迫っていることを思い出して、食べる手が止まった。
「どうしたパウパウ?」
「ううん、……ミッちゃん、ぼくね、ぼく、……」
帰りたくないとは言えない。
いくらハイエルフ達が優しくても、流石に、ここに居たいと言うのは迷惑だと分かっている。
昨夜の、変な知識のスイッチが入っていないパウパウならば言えたかもしれないが、昨日より我儘を言うことが出来なくなったパウパウは、俯くことしかできなかった。
「……だいじょぶ。ぼく、いつ帰るの?」
その様子にパウパウが考えていることを察したグーリシェダが微笑む。
「ふむ、好きなだけ居てよいぞ、パウ坊の父上には許しを貰っておる」
「え?」
言われた言葉が理解できなくて、パウパウは顔を上げてグーリシェダを見た。
「食事が終ってから話すつもりだったが…パウ坊、我らの所で暮らすのはイヤかの?」
「え?」
「ウネビのお家でなく、うち…といっても、色々な所に家があるから、こことは限らないけれど、好きなだけ私のところに居ていいんだよ」
「え?」
ミッちゃんの言葉にパウパウは目を見開いた。
「…帰らなくて……いいの?」
二人は微笑みながら、頷いている。
ハヤツの時と同じように、パウパウの返事を待っていてくれた。
「……ここに居たい。ミッちゃんと、みんなと一緒に居たいよぅ」
パウパウは自分の椅子から滑り落ちるようにして降りて、ミッちゃんの横に立って両手を広げる。
「ん?パウパウ、どうしたのかな?」
抱っこを強請って来た子を抱き上げてミッちゃんは膝の上に座らせた。
「…いいの、こ、ここで食べる」
声が震えていることに、ハイエルフ達は気が付いた。
「そう?」
「……うん」
ミッちゃんの服をぎゅっとして、パウパウは泣き顔を見せないように胸に顔を埋めた。
(嬉しくっても、涙って出るんだ……)
ジワリと滲んできた涙を、ミッちゃんのシャツで拭っているのは内緒だ。
「ほら、まだ御飯が途中だよ。ヨーグルトが残っている」
ぴとりっと貼り付いたパウパウを撫ぜながら、そう言うとパウパウは口を開けた。
「ふふ、鳥の赤ちゃんが戻って来たね」
ミッちゃんはそう笑って自分のヨーグルトをパウパウの口に運んだ。
「ちょっとぉ、みんな起こしてよぅ!」
文句を言いながらマールジェドが入ってきて、そんな二人の様子を見た。
「あ~、なに、もう言っちゃったの?え~、私が言いたかったのにぃ」
「マールちゃん、おはよ。何が言いたかったの?」
滲んだ涙を無かったことにしたパウパウが尋ねた。
「おはようパウちゃん。今後の予定よ、予定!」
魔導人形さんに食事を用意してもらったマールジェドは、スプーンでパウパウを指しながら言う。
行儀が悪い。
「予定?」「予定?叔父上が」「マールが予定を立てる?」
「そうよ!パウちゃんと一緒に暮らしたらねぇ~帝都に可愛い服を買いに行ったり、お菓子も買いに行くでしょ~あと虫取りも行きたいし、魚釣りもしたいし~模型造りも教えてあげたいしねぇ。いっぱい楽しい事を一緒にしようね!ってお兄さんぶりたかったのに」
(それ、夏休みに親戚の子が遊びに来て、張りきってるイトコのお兄ちゃん……)
パウパウが異世界知識を発揮した。
まったく、役に立たない知識だ。
いや、知識ですらない。
「いや、叔父上お兄さんは無理があるだろう。それに、遊ぶ話なんてしていない」
「……マールよ、それはお前の遊びたい予定であろ?」
「……マールちゃん、温室のお仕事、あるんだよね?」
「そんなぁ~、なんでよぅ」
四才児にお仕事の話をされたマールジェドは、文句をいいつつ朝食を食べて、今日の予定を話し始めた。
「まず、地面を掘り下げるための計画と設計。あと天井の歪みの修理ね。その後、あっちから木を運んだりってなりそうだけど、ギンちゃんのお友達だけは、先に連れてきてあげたいの」
「寂しいのは、可哀そうだもんね」
うんうんとパウパウは頷いた。
「わしもトヒル殿と、そのギンちゃんに会ってみたい。一緒に行ってよいかの?」
なにか思う処があるらしいグーリシェダが今日は温室に同行することとなった。
なんだか体が重たい。
「ん?」
ゆっくりと辺りを見渡す。
「……ん~?」
(川の字で眠る、じゃなくて、これ何て字かな?)
パウパウを抱きくるんでいたミッちゃんの腕の中から、そぉっと振り向いたらグー姉様が。ミッちゃんの肩口からはマールちゃんが眠っているのが見えた。
頭のところにはマアガが長々と横たわり、間を埋める横棒のように仔ネコたちが夫々お腹を見せて転がっている。
パウパウのお腹の上にはハヤツが頭を乗せていた。
重たかったのは、このせいだ。
(ん~、冊の字かなぁ)
ハネの部分が無いのが残念だ。
ちょびっと寝苦しい。
でも、幸せ。
「んふふ」
みんなが眠っているようなので、手で口を覆って笑いを堪えてから、パウパウはミッちゃんの寝顔を見つめる。
白磁のような肌に銀色の髪がさらりとかかる。
眠っているミッちゃんは、宝石で作った彫像のようだった。
(奇麗だなぁ……)
「……ふふっ」
パウパウが身じろぎしたため、起こしてしまったのかミッちゃんが小さく笑った。
瞼を開けると、青紫のラ・ベルの花みたいな色をした瞳でパウパウを見た。
「おはよう、パウパウ」
ドキドキしているパウパウの額にキスをしてくれる。
(おはようのキスだ!)
「ミッちゃん、おはよ…」
パウパウは、ちょっと恥ずかしかったけれど、お返しのキスをミッちゃんの頬に送る。
ミッちゃんは、目を見開いてからキスを受けた頬を指先で触れて、ふわりと微笑んだ。
「ふふ、嬉しいなぁ」
「ぼくも、ぼくもね、なんだか嬉しい」
嬉しくて、胸がキュっとなる。
「おはよう、パウ坊。わしにはキスをくれないのかな?」
背中のほうからグー姉様の声がして、パウパウは体を起こし
「グー姉様、おはよう」
やっぱり、ドキドキしながら頬にキスをする。
「あぁ、確かにこれは、嬉しいのう」
そう言って、パウパウの頬にキスを返してくれた。
「さぁ、朝ごはんを食べようか」
「あ、マールちゃんは?」
「叔父上は朝に弱いんだよね」
「どうせ、しばらく起きてこないから、あのままでよい」
そう言いながらも、そっと身を起こして立ち上がるグーリシェダに、扉の横の魔道人形さんが声を掛けた。
「おはようございます。差し出がましいかと思いましたが、ご朝食を整えてございます」
「……なんと、まぁ」
グーリシェダは、ちょっと目を細めて魔道人形を見た。
「おはよう、からくりさん、御飯、なに?」
「おはようございます、パウパウ様。クラムチャウダーとサンドイッチ、ヨーグルトと柑橘の果実水をご用意しております」
「美味しそうだねぇ、ミッちゃん」
「そうだね、急いで支度をしようか」
グーリシェダは、雑貨屋の扉を抜ける二人を見送って、魔道人形に声をかけた。
「ありがとう。ところで聞くが、何故、そのメニューにしたのかの?」
「はい。パウパウ様が喜ばれるかと推察いたしました。不都合がありますでしょうか?」
「いいや、ありがとう。わしも食すのが楽しみだ」
微笑みを浮かべて、雑貨屋に続く扉を開いた。
用意された魔道人形さんの朝食は素晴らしかった。
軽く炙った薄切りのミッシュブロードにオレンジ色のチーズとハム、ディルとパセリを乗せたオープンサンド。
花扇貝とルソリアを使った、貝の旨味が濃厚なクラムチャウダー。
花の香がする蜂蜜が添えられたヨーグルト。
「からくりさん、美味しいよ。ありがとう!」
パウパウの声に、魔道人形さんは奇麗にシャラシャラと音をさせて一礼すると、扉の横の定位置に立つ。
「うん。美味しいね、パウパウ」
「うん!」
「で、今日は、どうするのじゃ?」
そうグーリシェダに尋ねられたとき、パウパウは帰る時刻が迫っていることを思い出して、食べる手が止まった。
「どうしたパウパウ?」
「ううん、……ミッちゃん、ぼくね、ぼく、……」
帰りたくないとは言えない。
いくらハイエルフ達が優しくても、流石に、ここに居たいと言うのは迷惑だと分かっている。
昨夜の、変な知識のスイッチが入っていないパウパウならば言えたかもしれないが、昨日より我儘を言うことが出来なくなったパウパウは、俯くことしかできなかった。
「……だいじょぶ。ぼく、いつ帰るの?」
その様子にパウパウが考えていることを察したグーリシェダが微笑む。
「ふむ、好きなだけ居てよいぞ、パウ坊の父上には許しを貰っておる」
「え?」
言われた言葉が理解できなくて、パウパウは顔を上げてグーリシェダを見た。
「食事が終ってから話すつもりだったが…パウ坊、我らの所で暮らすのはイヤかの?」
「え?」
「ウネビのお家でなく、うち…といっても、色々な所に家があるから、こことは限らないけれど、好きなだけ私のところに居ていいんだよ」
「え?」
ミッちゃんの言葉にパウパウは目を見開いた。
「…帰らなくて……いいの?」
二人は微笑みながら、頷いている。
ハヤツの時と同じように、パウパウの返事を待っていてくれた。
「……ここに居たい。ミッちゃんと、みんなと一緒に居たいよぅ」
パウパウは自分の椅子から滑り落ちるようにして降りて、ミッちゃんの横に立って両手を広げる。
「ん?パウパウ、どうしたのかな?」
抱っこを強請って来た子を抱き上げてミッちゃんは膝の上に座らせた。
「…いいの、こ、ここで食べる」
声が震えていることに、ハイエルフ達は気が付いた。
「そう?」
「……うん」
ミッちゃんの服をぎゅっとして、パウパウは泣き顔を見せないように胸に顔を埋めた。
(嬉しくっても、涙って出るんだ……)
ジワリと滲んできた涙を、ミッちゃんのシャツで拭っているのは内緒だ。
「ほら、まだ御飯が途中だよ。ヨーグルトが残っている」
ぴとりっと貼り付いたパウパウを撫ぜながら、そう言うとパウパウは口を開けた。
「ふふ、鳥の赤ちゃんが戻って来たね」
ミッちゃんはそう笑って自分のヨーグルトをパウパウの口に運んだ。
「ちょっとぉ、みんな起こしてよぅ!」
文句を言いながらマールジェドが入ってきて、そんな二人の様子を見た。
「あ~、なに、もう言っちゃったの?え~、私が言いたかったのにぃ」
「マールちゃん、おはよ。何が言いたかったの?」
滲んだ涙を無かったことにしたパウパウが尋ねた。
「おはようパウちゃん。今後の予定よ、予定!」
魔導人形さんに食事を用意してもらったマールジェドは、スプーンでパウパウを指しながら言う。
行儀が悪い。
「予定?」「予定?叔父上が」「マールが予定を立てる?」
「そうよ!パウちゃんと一緒に暮らしたらねぇ~帝都に可愛い服を買いに行ったり、お菓子も買いに行くでしょ~あと虫取りも行きたいし、魚釣りもしたいし~模型造りも教えてあげたいしねぇ。いっぱい楽しい事を一緒にしようね!ってお兄さんぶりたかったのに」
(それ、夏休みに親戚の子が遊びに来て、張りきってるイトコのお兄ちゃん……)
パウパウが異世界知識を発揮した。
まったく、役に立たない知識だ。
いや、知識ですらない。
「いや、叔父上お兄さんは無理があるだろう。それに、遊ぶ話なんてしていない」
「……マールよ、それはお前の遊びたい予定であろ?」
「……マールちゃん、温室のお仕事、あるんだよね?」
「そんなぁ~、なんでよぅ」
四才児にお仕事の話をされたマールジェドは、文句をいいつつ朝食を食べて、今日の予定を話し始めた。
「まず、地面を掘り下げるための計画と設計。あと天井の歪みの修理ね。その後、あっちから木を運んだりってなりそうだけど、ギンちゃんのお友達だけは、先に連れてきてあげたいの」
「寂しいのは、可哀そうだもんね」
うんうんとパウパウは頷いた。
「わしもトヒル殿と、そのギンちゃんに会ってみたい。一緒に行ってよいかの?」
なにか思う処があるらしいグーリシェダが今日は温室に同行することとなった。
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