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チュンチュンッ
鳥のさえずりが森に広がる
ポタッ ポタッ
森の奥にある水の音も
そんな声、音で目が覚めた友里恵
「ぷふぁ~よく寝た…」
…だよね
わかってたよ、うん。
悲しくないよ、うん…
ごめん、やっぱり嘘
悲しい…シュン
やっぱりバブバブ赤ちゃんなのね…!!ウルッ
これは逃れられない運命なのね!!キラン
うん、嬉しくないよ本当に
疲れすぎて寝ちゃったけど
よくこんな森で寝れたな、私。
結構図太かったらのね…フフ
それにしてもこれからどうしようかな~
歩けないし動けても体力的に絶望ブラフ
こんな森に人なんているとも思えない
いるとしたら野生動物しかいない……
いやッ!よく無事起きれたよほんとッ!!
寝てる間に食べられてたかも!?
はぁぁ~
優しい優しい動物いないかね~
優しい優しい人間は訪れないかね~
自力でなんとか出来る体じゃないのが
難点だよね。
(…バブバブバブバブ)
声に出していないつもりでも
バブバブ言っちゃうのね…
はぁぁ~憂鬱だ~
携帯があるわけでもなし
テレビがあるわけでもなし
退屈していた友里恵は
なんとか暇を潰そうと1人しりとりをし始めた
「りんご~ごりら~らっきょ~よーぐると~……」
そんなことをしながら時間は過ぎていき
少し空がオレンジ色になっていた頃だった
奥の方から何かやってくる気配がしてきた
なんだろう…!
人間…?
それとも…野生の動物…?!!ブルッ
友里恵は全身震えながらも近づいてくる
まだその正体が分かっていなかったがそれでもその何かを追い払おうと必死に叫ぶ
「いやッ!こないでッッ!!」
「くるなくるなくるなッッ!!」
必死にバブバブ赤ちゃんなりに叫ぶ
だがだんだん近づいてくるものから
なにか話し声のような人間の声のような
ものが聞こえてきた…
「おいっ!
…おいってば!!」
やっぱり!!
人間の声だ!!
よかった!動物じゃないみたいね!!
でも1人じゃなさそう…??
「なんだよ」
「お前はついてこなくていいと
言っただろう」
「ゼン!!」
ゼン… ?
人間の名前…?
なんだろうゼンって人なんか怖い…
「だから何回も言っている!!カイルはついてこなくていい!!」
「そんな訳にはいかないだろ!!
お前1人で行かせるか!!」
カイル… ?
もう1人の名前かな?
にしても声大きいッッ!
「なら遅れるなよ」
「お前なあ…
せめてもう少しゆっくり歩いてくれ…」
そんな2人の声が聞こえた友里恵は
野生の動物ではなく人間であることに一安心したが、かといって人間でも大人ではなさそうな声に不安を感じた
声的に大人…ではないよね?
え、大丈夫かな
大人のほうが頼りになるんだけどなあ…シュン
さっきまでは人間の声に喜べたが
大人では無いだろう声に少し残念に思ってしまった友里恵
でもやはり人間だと分かったことで
助かる!!!
そう思い
一生懸命に声をかける
「ここよここ!!」
「「ッッッ?!」」
一生懸命声掛けたかいあってか
声が2人に届いた
「こっちから聞こえるぞッ!!」
「ああ、分かってる行くぞ!」タタタッ
急いで向かう2人に
そのまま声をかける友里恵
「そうよ!こっちよ!」
バサバサッ
草を切りながら木を避けながら
やっと2人が友里恵の元に辿り着いた
そこで初めてゼンとカイルは友里恵と出会った
うわぁぁぁ~
運良すぎかも、私!!
転生して2日目で助けられるなんて
それもこんな森の奥で!!!
やった!
このまま誰もこないかと思った…
本当に…良かったあ…ッッ
「…うぅぅ、ぶわぁぁぁんッッ」
「「ええぇ?!」」
つい友里恵は嬉しくなり安心したせいかだんだん抑えきれなくなり泣き始めてしまった
それにゼンとカイルは驚きながらも必死に
あやそうとカイルが抱き上げ左右に揺らすが
ゼンはどうすればいいか戸惑っていた
「泣かないで!大丈夫だからね~!
ほ~ら!怖いお兄さんじゃないよ~♪
こっちのお兄さんも怖い化け物じゃないよ~♪」
「おい…誰が化け物だって…?」
「びゃぁぁぁッッぅうううッッ」
またしても友里恵はゼンの顔に驚き泣くつもりがなかったがやっぱり赤ん坊だからだろうかなぜか泣いてしまう
「「ッッ?!!」」
「おいゼン!怖い顔するなよ!
この子が怖がってるだろうが!!」
「そんなつもりは!!
悪かった、もう大丈夫だから…
泣かなくていい」
ゼンは少し悲しそうな顔を向けるが
大丈夫大丈夫だ っと何度も言いながら
友里恵の頭を撫でた
ああ、この人怖くない…
触り方がすごく…優しい…
こんな人を怖いだなんて
失礼なこと思っちゃったなあ…
それにしても
頭撫でられるの気持ちいぃ…ウトウト
どうしよう…また寝ちゃうぅ…ウトウト
泣き叫び疲れたのかそのまま目を閉じて
うとうとしていた
そしてやっと泣き止んだ赤ちゃんに
ゼンとカイルは一息つき
「…… 寝ちゃったのかな?」
「そうかもしれん」
2人して少しの間赤ちゃんを眺めていたが
ここが森の中だということに思い出して
カイルが慌て始める
「やべぇよ!今のうちに森から出ようぜッ!!じゃないと日が沈んじまうッ!」
「!!…ああ、そうだな早く出よう」
2人は急いで森の外へ向かい
赤ちゃんが起きないよう気をつけながら…
______________________________
「はぁはぁはぁッッ…」
「無事出られたなッッ…」
「ああ…はぁはぁ…」
なんとか日が沈む前に森の外に出れたことで
ゼンとカイルは安心した
でもやはり不思議に思ってしまう
なぜ赤ん坊が森の中に…
そしてよりにもよってあの森に…
「でも赤ん坊無事で本当によかったな!
ゼンの言ってた通りだったな!」
「だから言っただろう、あのまま偽物かもと思って行かなかったら危なかった」
「…悪かったよ…でもゼン、今度もし同じようなことがあったとしたら1人で行こうとするなよ」
「ああ、カイル…俺も悪かった…」
「ッッ!ああ!お互い様だ♪」
お互い顔を見合わせて笑った
怖かったがなんだかカイルは無性に嬉しかったのだ、それはゼンも同じようだった。
でもそれもすぐに消える
そう、この赤ん坊の事だ。
これからこの赤ん坊をどうしようか…
このままにしておけないし…
「ゼン、父さんに聞いてみたらどうだ?」
「ああ、そうだな父さんならなんとかしてくれるかもしれない」
「してくれるさ!
俺達の父さんなんだから♪」
「ああ、そうだなッ」フフ
「…でも帰ったらゲンコツがくるぞ」
「…… 」
ゼンの言葉にカイルは思わず黙る
2人とも心の中で同時に思う…
帰りたくたい!!
そうこう話していると
だいぶ日が沈んでにきたことで
二人は焦る
いつもは学校終わるとすぐ帰る俺達が
遅いのだから心配しているかもしれない
ゼンとカイルは赤ん坊を起こさないよう
気をつけながら急いで家に帰る
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