好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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21、山田清白のナイスアシスト劇場

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 ぼくの親友ことのんちゃんは、今朝から何かと忙しい。
 学校に来たらいきなり吉永先生に呼び出されるし、帰ってきたらボーっとしてるし。
 移動教室中にいきなり朝比奈先輩のことが好きだって告白してくるし、昼休みにはその先輩が迎えに来るし。

 なんていうか、感情の振り幅が凄い。
 帰ってきたらどんな話をしてくれるんだろう、楽しみだなあ。
 元々のんちゃんは美少女顔負けの可愛さだけど、朝比奈先輩を好きだって自覚した顔はほんとにもう、やばかった。
 どっからどう見ても恋する乙女だった。
 薔薇色の頬にうるうると潤んだ大きな瞳。
 その瞳を縁取る長い睫毛は震えていて……可愛すぎて思わず溜息が漏れちゃったよ。
 のんちゃんは男の子だからそんなこと言われても全然嬉しくないだろうけどね。
 でも可愛いものは可愛いんです!

「なぁ山田っ、斉賀君ってさぁ」

 そんな可愛いのんちゃんの恋は、うまくいくと思う。
 ぼくの目には、最初から朝比奈先輩はのんちゃんのことがすごく気に入っているように見えたし。
 だって既に『ノンタン』とか、こっちが恥ずかしくなる甘ったるいあだ名で呼んでるしさあ!(のんちゃんは嫌がらせと思ってそうだけど)
 自分が周りに恐がられてることを知ってる上で、のんちゃんにベタベタしてるし。
 それも食堂とかの目立つ場所でね。
 あれは絶対に確信犯だよなぁ……。

「おい山田! 無視すんなよぉ!」

 のんちゃんだって、朝比奈先輩の悪い噂を聞いた時点で普通は恐がって近づかないはずなのに、何故か懲りずに朝比奈先輩の方へ自分から行っていた。
 そりゃー好きだからだろうって第三者は思うよ。
 すごい否定してたけども。

「山田、聞いてんのか!? なぁって!」

 何で急に自覚したのかなぁ。
 吉永先生と何の話をしたのかもまだ聞いてないし……ああ~気になるッ!
 そういえば、さっき朝比奈先輩も吉永先生を気にしてたなぁ……ヨッシーがどうとかなんとかって。
 吉永先生が最初からのんちゃんに構い過ぎているのは、ぼくも思ってたけど。
 ま、まさか吉永先生までのんちゃんことを狙っているとか……!?

「なあおいって山田! いい加減にこっち見ろよ、無視すんな! さっきのって例の恐いって噂の朝比奈先輩だよな。なんで斉賀君を連れて行ったんだよ!? お前斉賀君と仲いいから何か知ってるんだろ、教えてくれよっ」

 のんちゃんが気にすると思って言わなかったけど、ぼくは一人ボッチで昼食を食べることなんてワケないのだ。
   むしろ一人の方がいいまである。
 けどこうやってのんちゃんのことが気になって仕方がないクラスメイト達がしつこく話しかけてくるから、ぼくは一人ランチすらままならない。
 のんちゃんが一緒にいる時はみんなのんちゃんを意識して話しかけてこないけど、ぼくが一人になった途端しつこく話しかけてくるとか、ほんとに全員一列に並べて順番に顔面殴りたくなるなぁ。
 いや、なんでもない。

「のんたんとか呼んでたよな?」
「まさかもう付き合ってるんじゃないよな……?」
「マジ!? でも朝比奈先輩ってめっちゃ手ェ早いって有名だよな。中学の頃から」
「じゃあもう斉賀君は処女じゃないってことかぁ!?」
「つーか男でも処女って言うのか?」
「そりゃそうだろ! あああ、斉賀君のケツは俺が狙ってたのに~!」

「うるっさ、下品、黙れ」

 普段は見せない辛辣な顔と声でそう言ったら、クラスメイト達は急に押し黙った。
 こいつらに説明する義理はないんだけど、これ以上ぼくの貴重な昼休み時間が邪魔されるのは耐えられないよぉ!
 のんちゃんが執行部に入ったってことはまだ正式に発表されてないから、ぼくが勝手に広めるわけにもいかないし……。
 ぼくの剣幕にビビってだいぶ大人しくなったクラスメイト達だったが、まだしつこく話しかけてくる猛者がいた。

「な、なぁ山田、オマエ斉賀君と一番仲良いじゃん? ホントのところはどうなんだよ」
「何が?」
「だからぁ、斉賀君は朝比奈先輩と付き合ってんのかってこと!」

 うーん。どう答えるべきか……。
 まだ付き合ってないけど、すぐ付き合うことになりそうだしなぁ。
 だからって他人が勝手にペラペラ喋っていいもんじゃないよね。
 けど、朝比奈先輩がのんちゃんを教室まで迎えにきたのは、きっと『そういう意図』に間違いないだろう。
 ドアのそばに立っていた姿をぼくが見つけたとき、朝比奈先輩は確実にC組の男子全員を牽制していた。

『オマエら、俺のものに手ェ出すなよ?』

 って。
 ぼくは朝比奈先輩のこと、噂がある分少しだけコワイと思うけど、別に嫌いじゃない。
 話したら普通に優しかったし、ぼくのこと変なあだ名付けて呼んでくれたし。(こけしっちて、見た目に100パーセント振り切ったあだ名だよなぁ)
 何よりのんちゃんの好きな人だしね。
 だから、ぼくは朝比奈先輩の思惑に協力しようと思いまーす!

「うん、付き合ってるみたいだよ? だから君たち、あまりウカツなこと言わないほーがいいよ。朝比奈先輩にキッツイお仕置きされたくないならね!」

 ぼくが薄笑いを浮かべながらそう言った途端、教室のあちこちから絶叫みたいなうめき声みたいなのが響いて、廊下を歩いていた人たちが驚いていた。
 これは一体どっちに対する反応だろうか。
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