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「あ、そーなのか。そいつはありがとうな! エート名前なんだっけ……」
「し、東雲千春です……」
「チハルな! 覚えた」
「は、はいっ」
珍しくトーマ先輩があだ名呼びしてない。
思いつかなかったのだろうか。
「もぉ、朝比奈先輩ってば何勘違いしてんだよ、守ってもらって感謝はしてるけどちーちゃんとはそんなんじゃないのにっ!」
「ま、まあまあすず……」
頬を染めてぷんぷん怒る(照れ隠し?)すずが可愛くて、さっき抱いた嫉妬みたいなものは綺麗に消え失せた。
ハルはすずの事が気になってるみたいだけど、すずの方はどうなんだろう?
「はーいちょっとみんないいかな、そのまま聞いてくれる?」
突然橘先輩が教室の真ん中に立ち、全員に向かって話し始めた。
「橘先輩、どうしたんですか?」
「ちょうどみんな揃ってるから報告をね。――先日斉賀君を襲った三人組だけど……彼らの処罰はしない予定だったんだけど、他の生徒に対して暴力等の前科が発覚してね、二週間の謹慎処分が決まったよ」
「え!?」
オレが驚いていると、ニ小山先輩が橘先輩に続いて言った。
「実は僕のところに数件タレ込みがあったんだよ~。それで理事長に相談して……斉賀君のこともあるし、まあ執行部の権力を示すいい機会かなってなってね。斉賀君は一年生だけど、執行係がナメられたらダメだし」
「あ……そっか」
橘先輩が変わって言った。
「未遂じゃなかったら退学だったんだし、朝比奈君が帰ってこなかったら危なかったんだろう? 妥当な処分じゃないかな」
「……」
先輩たちの言う通りだと思う。
オレだってあの夜はとても怖かったのだし……他にも被害者がいるのだとしたら、甘いことは言っていられないのかもしれない。
オレは、執行部の一員なんだから。
誰かがポンとオレの肩を叩いた。見ると、朝比奈先輩だった。
「ノンタン、気にスンナ……ってのは違うか。まあ、あいつらにはいい薬だろ。多分もう襲ってこねぇと思うし。それよりこの件は今日の放課後から掲示板に張り出されっから、明日から周囲が騒がしくなるっつか、ヤな視線を寄越してくると思うけど……俺的にはそっちの方が心配だぜ」
「あ……そう、ですか?」
陰口を叩かれるのはわりと慣れているから、直接暴力を振るわれるよりは全然大丈夫な気がする。
「だーいじょーぶです朝比奈先輩! ぼくが付いてますから!」
「お、俺も微力ですがのんさんの力になります。因縁をつけてくる輩がいたら朝比奈先輩の代わりにぶったおしますから……!」
すずは自分の胸を叩き、ハルは少々息巻いて言った。
そっか。今度は陰口を叩かれたって、オレは独りじゃないんだ。
それなら――
「おう、オメーら頼りにしてるぜ。俺の大事なノンタンを守ってくれな」
「「はい!」」
「なんか恥ずかしいんですけど……すず、ハル、ありがとう。朝比奈先輩も心配してくださってありがとうございます」
きっとオレは、大丈夫だ。
「し、東雲千春です……」
「チハルな! 覚えた」
「は、はいっ」
珍しくトーマ先輩があだ名呼びしてない。
思いつかなかったのだろうか。
「もぉ、朝比奈先輩ってば何勘違いしてんだよ、守ってもらって感謝はしてるけどちーちゃんとはそんなんじゃないのにっ!」
「ま、まあまあすず……」
頬を染めてぷんぷん怒る(照れ隠し?)すずが可愛くて、さっき抱いた嫉妬みたいなものは綺麗に消え失せた。
ハルはすずの事が気になってるみたいだけど、すずの方はどうなんだろう?
「はーいちょっとみんないいかな、そのまま聞いてくれる?」
突然橘先輩が教室の真ん中に立ち、全員に向かって話し始めた。
「橘先輩、どうしたんですか?」
「ちょうどみんな揃ってるから報告をね。――先日斉賀君を襲った三人組だけど……彼らの処罰はしない予定だったんだけど、他の生徒に対して暴力等の前科が発覚してね、二週間の謹慎処分が決まったよ」
「え!?」
オレが驚いていると、ニ小山先輩が橘先輩に続いて言った。
「実は僕のところに数件タレ込みがあったんだよ~。それで理事長に相談して……斉賀君のこともあるし、まあ執行部の権力を示すいい機会かなってなってね。斉賀君は一年生だけど、執行係がナメられたらダメだし」
「あ……そっか」
橘先輩が変わって言った。
「未遂じゃなかったら退学だったんだし、朝比奈君が帰ってこなかったら危なかったんだろう? 妥当な処分じゃないかな」
「……」
先輩たちの言う通りだと思う。
オレだってあの夜はとても怖かったのだし……他にも被害者がいるのだとしたら、甘いことは言っていられないのかもしれない。
オレは、執行部の一員なんだから。
誰かがポンとオレの肩を叩いた。見ると、朝比奈先輩だった。
「ノンタン、気にスンナ……ってのは違うか。まあ、あいつらにはいい薬だろ。多分もう襲ってこねぇと思うし。それよりこの件は今日の放課後から掲示板に張り出されっから、明日から周囲が騒がしくなるっつか、ヤな視線を寄越してくると思うけど……俺的にはそっちの方が心配だぜ」
「あ……そう、ですか?」
陰口を叩かれるのはわりと慣れているから、直接暴力を振るわれるよりは全然大丈夫な気がする。
「だーいじょーぶです朝比奈先輩! ぼくが付いてますから!」
「お、俺も微力ですがのんさんの力になります。因縁をつけてくる輩がいたら朝比奈先輩の代わりにぶったおしますから……!」
すずは自分の胸を叩き、ハルは少々息巻いて言った。
そっか。今度は陰口を叩かれたって、オレは独りじゃないんだ。
それなら――
「おう、オメーら頼りにしてるぜ。俺の大事なノンタンを守ってくれな」
「「はい!」」
「なんか恥ずかしいんですけど……すず、ハル、ありがとう。朝比奈先輩も心配してくださってありがとうございます」
きっとオレは、大丈夫だ。
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