猫田くんと犬塚くん

すずなりたま

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   理音は脱いだりするような仕事は全部断って、ファッションモデルだけに専念することにしたらしい。なので仕事の時間は少し減って、放課後の部活にも前より参加できるようになった。勿論、朝練も復活した。
   でも今度は部活で疲れて帰るから、朝なかなか起きれない癖は直っていない。俺は起こす楽しみがあるからその方がいいけど。 

   変わったことといえば……。

 もう理音は俺が勝手に部屋に入ってもテンパることはなくなった。それどころか寝ぼけて(わざとか?)ベッドに引っ張りこんだり、キスしてきたり……正直、色々と朝からヤバい。毎朝理性と戦っている俺、えらい。そして今は朝練中だ。

「昂平、サーブ練やろうぜ!」
「おう」

   好きだって伝えてからますます理音が可愛く見えて困る。ジャージを来てる理音でさえ可愛く見えるって、俺、相当重症だ。

「昂平、あぶない!」
「え?」

   ふと、顔をあげた。次の瞬間に聞こえた、ものすごい音。

 ドゴッ!!!!

「ぎゃあああーッ昂平ーッ!!!」

   それは俺の顔面に、理音のジャンプサーブが綺麗にヒットした音だった。

「痛ってぇ……」

   朝練が終わり、シャワーを浴びて教室に戻った。理音にぶつけられた顔面がまだジンジンと痛む。まるで最近の俺を制裁するかのような痛みだ。くそ、しっかり理性を保てよ、俺……!
 ――そもそも、なんで俺がこんなに必死で理性と戦っているのかというと。

   理音と気持ちが通じて両想いになったのが3週間ほど前。もちろんその夜に俺は理音と致そうと思ったが、あいにく母さんは日勤で家に居た。その次の日も、その次の日も。そしてその次の日、ようやく母さんが夜勤で俺は理音を家に呼ぼうと思った。が。
   そんなときに限って理音に仕事が入り、結局また致す予定は流れた。そんなことが続いたため、俺はなかなかその機会に恵まれなかった。そして度重なるすれ違いの中で俺が耳にした、クラスの女子の会話がこちら。

『付き合いだしたからってすぐ手ぇ出そうとするとか、まじサイテ―!!』
『あーそれはサイテ―だね、すぐ別れたほうがいいよ』
『もちろん別れてやったって!普通にバカじゃん?付き合いだしたからってすぐ自分のものと思うなんて。誰もお前のものじゃねーっつーのって股間蹴りあげてやったよ』
『エリコ、まじ男前~!でもホント、大事にしようとかそういう気持ちはないのかねー?』
『ないない。あいつらマジでサルじゃん?てゆーかサル以下だよ』
『エリコきつーい!』

   サル以下……………だと? 俺は犬塚だから、犬だ。
   ってわけにはいかないんだろうな、うん。

   その会話を聞いて以来、俺は考え直したのだ。今すぐ理音を押し倒したいが、確かにそれは俺の勝手な欲望だ。理音は受け入れる側だし(勝手に決定した)心の準備というか……そもそも俺を受け入れる気はあるのか!?
   男同士のセックスの仕方は知っているんだろうか。俺は調べたけど。とにかく男同士のセックスはネコ役に多大な負担をかけるという。俺は理音を抱きたいけど、無理はさせたくない。大事にしたいと思っているし、日々甘やかして大事にしている。けどセックスもしたい。でもなかなかタイミングが合わない。というかそもそも……

   という無限ループに陥っているのだった。
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