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しおりを挟む「おっはよーんわんこ!今月号見たか―い?」
理音が初めて表紙を飾った雑誌で、宇佐木に後ろから頭をはたかれた。なんつー挨拶の仕方だこの野郎。それと勿論雑誌は買ってある。軽く三冊ほど。
音を立てながら宇佐木は俺の後ろに着席した。どうやら雑誌は今朝コンビニで買ってきたらしく、パラパラとページをめくっている。
「理音くんの特集ページ、まじでたまんないね!かっこいいわ~、同じ男として憧れるわ~」
「憧れるのはお前みたいな小綺麗系の男だけだろ」
俺は理音が大好きだが、理音みたいになりたいと憧れたことはない。そもそも骨格が違うからな。理音は華奢だし細いし、憧れる男は少数じゃなかろうか。理音のようになりたいと思っているのは宝塚的な女のほうが多いんじゃないかと俺は思っている。
「なに?わんこ、朝から盛大なため息ついてさぁ。まさかまだ理音くんに手ぇ出してねーの?」
「……タイミングが合わないんだ」
「タイミングぅ?そんなもんお前、放課後部活のあとにでも部室ででもヤれるだろうが。なんなら昼休みの保健室でもいいよ。もちろん、俺もその場にいるけどな」
「冗談じゃない」
ぎろっと睨むと、宇佐木はぶんぶんと手を振った。
「冗談に決まってんでしょ。つーかまじで、なんで?せっかく両想いになったってのに。まさか、一度押し倒して拒否られたの?」
「ちーがーうー」
ナチュラルに失礼な奴だな!自分が保健室のおっさんに相手にされないからって!(暴言)
このまま拒否られたと勘違いされたままでいるのもシャクだから、俺は正直に言うことにした。こいつはバリネコ(なんか妖怪みたいだ)だって言うし、なんか参考になるかも。
「だからいきなり襲いかかったらカラダだけが目的っぽいというか、理音がそう思うかもしれないだろ。俺は理音を大事にしたいんだ。身体にも負担かかるっていうし……」
俺はサルなんかじゃないっていう主張はなんとなくできなかった。どうせ『知ってるよ、犬だろ』って返ってくることだろう。
「ええっ!?まさかお前がそんなこと考えてたなんて、お兄さんまじでびっくりだよ!!」
「俺は一人っ子だし、なんだその言い草は。俺が普段から理音を大事にしてないみたいじゃないか」
「いやいや、大事にしてると思うよ。……つーか、大事にしすぎてると思うよ、過剰に」
「……過剰に?」
俺、そんな言われるほど理音に過保護か?宇佐木は呆れた、と言わんばかりに深いため息をついた。
「どうせ女子の会話でも聞いてそう思ったんだろ」
「な、なんでわかる!?」
「当たり前だろ、バカわんこ」
ぐぬぬ。何も言い返せない。
「お前ねぇ……もしかして、理音くんの方から誘われたりはしてないか?」
「えっ?」
理音から俺にセックスのお誘い?いやいやいや、そんな徴候があったら俺は気付くはず……たぶん!
「あんまり余計なこと言ってまた痴話ゲンカに巻き込まれるのはごめんだから、お馬鹿なわんこに一つだけ忠告しといてやるよ」
「……おう」
ゴクリ、と唾を飲み込んで俺は次の言葉を待った。こういう時はホントに頼りになるな、宇佐木先生。
「理音くんもお前と同じ男だ、ってこと」
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