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〃
「亜衣乃ちゃん、そんなことを気にしてたの?」
「そんなこと、じゃないよ。アキちゃん」
亜衣乃は年始に蓉子と霧咲宅を訪れた際、自分の出生について聞いていたのだろう。
聞いていなければ、蓉子が榛名を殴ろうとしたあのタイミングで乱入出来るはずもない。
亜衣乃が榛名に対してずっと遠慮気味だった原因は単なる人見知りなどではなく、そのことが引っかかっていたのだと榛名はやっと理解した。
少しの間、沈黙が流れた。
暫くしたのち、榛名の方から口を開いた。
不用意に亜衣乃を傷付けないよう、言葉を選びながら話す。昨夜の霧咲のように。
「……亜衣乃ちゃんは、俺のこと好き?」
榛名のその問い掛けに、亜衣乃はコクンと頷いた。
素直なその反応に、榛名は自然に笑みが零れる。
「俺も亜衣乃ちゃんのこと大好きだよ。誠人さんと同じくらいね」
「ほんと?」
「本当だよ。何回も言ってるだろ? 誰の子とか関係ないよ。それに亜衣乃ちゃんは誠人さんの娘じゃなくても姪っ子なんだし。好きじゃなきゃ家族になろうなんて思わないし、俺も最初からそんな無責任なことは言わないよ。まあ……お互いまだまだ知らない部分もあるから不安がないわけじゃないけど、それは亜衣乃ちゃんだって同じだし。っていうか、きっと俺よりも亜衣乃ちゃんのほうが不安だよね? 男のママなんて大丈夫なのかなって」
「そんなことないよ!」
「そう? ありがとう。……でも、不安に思ったっていいんだよ。それが普通なんだから」
これは昨日、霧咲が自分に言ってくれた言葉だ。
「……」
「今回のことは本当に俺達の問題だから、亜衣乃ちゃんは何も悪くないんだ。俺達っていうか、俺の問題かなぁ……」
「アキちゃんの?」
「うん。詳しい事は言えないけど……将来亜衣乃ちゃんがお嫁にいくときに、今の俺の気持ちが分かるかもね」
「えー!?」
「ふふっ」
「アキちゃん、それって……」
亜衣乃が言いかけたその時、浴室のドアが勢いよくガラッと開かれた。
そしてそこには、全裸で何故か仁王立ちの――下半身はタオルで隠してあるが――霧咲がいた。
「誠人さん!? おはようございます、よく一人で起きれましたね」
霧咲は意外と朝が弱いのだ。
なので一緒に寝た日の朝は、スマホのアラームが鳴る前にいつも榛名が起こしている。
「おはよう暁哉……それと亜衣乃、おまえ昨日俺達と風呂に入るのを嫌がっていたくせに、何で暁哉だけならいいんだ」
霧咲は榛名への挨拶はそこそこに、亜衣乃の方を軽く睨みながらそう質問した。
亜衣乃は特に恥ずかしがる様子もなく、シレッとした顔で答える。
「アキちゃんはママだからいいんだもーん」
「なんだそりゃ……暁哉だって男なんだから本来はパパだぞ、ああ寒い! それと目が覚めた時に知らない場所で一人ぼっちだった俺の気持ちを少しは考えてくれ二人とも! くそぉ寒いな!」
「さみしがりやですか」
ブツブツ文句を言いながら、霧咲も露天風呂へと入って来た。
「あーっまこおじさん、10歳の壁を壊したわね!」
「そんなもの俺には見えない。また何度でも建設し直してくれ」
「もぉぉ!」
三人が一緒に入ってもまだ余裕のある湯船に浸かりながら、これって結局家族風呂だなぁ、と榛名は思う。
そして、幸せな気持ちに浸るのだった。
「そんなこと、じゃないよ。アキちゃん」
亜衣乃は年始に蓉子と霧咲宅を訪れた際、自分の出生について聞いていたのだろう。
聞いていなければ、蓉子が榛名を殴ろうとしたあのタイミングで乱入出来るはずもない。
亜衣乃が榛名に対してずっと遠慮気味だった原因は単なる人見知りなどではなく、そのことが引っかかっていたのだと榛名はやっと理解した。
少しの間、沈黙が流れた。
暫くしたのち、榛名の方から口を開いた。
不用意に亜衣乃を傷付けないよう、言葉を選びながら話す。昨夜の霧咲のように。
「……亜衣乃ちゃんは、俺のこと好き?」
榛名のその問い掛けに、亜衣乃はコクンと頷いた。
素直なその反応に、榛名は自然に笑みが零れる。
「俺も亜衣乃ちゃんのこと大好きだよ。誠人さんと同じくらいね」
「ほんと?」
「本当だよ。何回も言ってるだろ? 誰の子とか関係ないよ。それに亜衣乃ちゃんは誠人さんの娘じゃなくても姪っ子なんだし。好きじゃなきゃ家族になろうなんて思わないし、俺も最初からそんな無責任なことは言わないよ。まあ……お互いまだまだ知らない部分もあるから不安がないわけじゃないけど、それは亜衣乃ちゃんだって同じだし。っていうか、きっと俺よりも亜衣乃ちゃんのほうが不安だよね? 男のママなんて大丈夫なのかなって」
「そんなことないよ!」
「そう? ありがとう。……でも、不安に思ったっていいんだよ。それが普通なんだから」
これは昨日、霧咲が自分に言ってくれた言葉だ。
「……」
「今回のことは本当に俺達の問題だから、亜衣乃ちゃんは何も悪くないんだ。俺達っていうか、俺の問題かなぁ……」
「アキちゃんの?」
「うん。詳しい事は言えないけど……将来亜衣乃ちゃんがお嫁にいくときに、今の俺の気持ちが分かるかもね」
「えー!?」
「ふふっ」
「アキちゃん、それって……」
亜衣乃が言いかけたその時、浴室のドアが勢いよくガラッと開かれた。
そしてそこには、全裸で何故か仁王立ちの――下半身はタオルで隠してあるが――霧咲がいた。
「誠人さん!? おはようございます、よく一人で起きれましたね」
霧咲は意外と朝が弱いのだ。
なので一緒に寝た日の朝は、スマホのアラームが鳴る前にいつも榛名が起こしている。
「おはよう暁哉……それと亜衣乃、おまえ昨日俺達と風呂に入るのを嫌がっていたくせに、何で暁哉だけならいいんだ」
霧咲は榛名への挨拶はそこそこに、亜衣乃の方を軽く睨みながらそう質問した。
亜衣乃は特に恥ずかしがる様子もなく、シレッとした顔で答える。
「アキちゃんはママだからいいんだもーん」
「なんだそりゃ……暁哉だって男なんだから本来はパパだぞ、ああ寒い! それと目が覚めた時に知らない場所で一人ぼっちだった俺の気持ちを少しは考えてくれ二人とも! くそぉ寒いな!」
「さみしがりやですか」
ブツブツ文句を言いながら、霧咲も露天風呂へと入って来た。
「あーっまこおじさん、10歳の壁を壊したわね!」
「そんなもの俺には見えない。また何度でも建設し直してくれ」
「もぉぉ!」
三人が一緒に入ってもまだ余裕のある湯船に浸かりながら、これって結局家族風呂だなぁ、と榛名は思う。
そして、幸せな気持ちに浸るのだった。
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