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〃
榛名の疑問を目だけで感じたのか、霧咲は続ける。
「勿論、スタッフに黙っていたのはそっちの方が俺にとって色々と都合が良かったからだよ。とは言っても結婚していると公言したわけじゃない。あっちが勝手に勘違いしているだけなんだ。他の先生達は俺が独身だと知っている」
「透析室に来てた、奥さんと娘さんっていうのは……」
「実の妹と姪だ。ちょっと事情があって何度か俺の職場まで会いに来てる。そこを偶然見られたんだ」
「……」
「その……事情についてはまた後で話すよ。色々と複雑だし、俺にも心の準備がいるから……」
(心の準備……?)
「とりあえず、目下の誤解は解けたかい? 解けてないのなら今から宮崎の市役所に行って、俺の戸籍を取り寄せてもらおう。そうすれば俺が独身だということも分かるし、そのまま君と籍を入れることもできる」
「え?」
榛名はきょとん、とした顔で霧咲を見つめた。
「未来を用意する、と言っただろう? 本当は指輪を用意したかったんだけど生憎買いに行く時間がなかった。君が余計な勘違いをしたせいだぞ」
「……」
霧咲は少し怒ったような口調でそう言ったが、その表情は困ったように眉を下げて、笑っていた。
霧咲の弁明は終わったようだ。
しかし榛名はぽかんとした顔のまま、霧咲をじっと見つめていた。
「暁哉?」
霧咲は榛名の頬を流れる涙を親指で拭いながら、優しくその名前を呼んだ。
すると榛名も、やっと声が出るようになったらしい。
「ほんとに……本当に結婚してないんですか?」
「……うん、本当」
「だってそれが本当なら俺、馬鹿じゃないですか! 一人で勘違いして、あんなに泣いて、仕事まで休んで……っ」
安堵からか、涙は次から次へと溢れて止まらない。
「本当にね。というか、なんでまず俺に真実を確かめなかったの?」
「そんなの怖くて! それに確かめたりしたら、その時点でフラれるって思ったから……っ」
その言葉に霧咲は苦笑して、榛名の頬にキスをした。
涙の味は少ししょっぱくて、それがひどく愛しい。
「はあ……きみは本っ当~に馬鹿だね。常識的に考えて、フラれるのは完全に俺の方だろうが」
「……」
霧咲はもう一度、今度は榛名の瞼に口づけた。
榛名も目を閉じて、そのキスを受け入れる。
「本当に、君は……馬鹿だ」
「だっ……て……」
(そんなに何回も馬鹿だって言わないでよ……馬鹿だけど)
霧咲はコツン、と榛名の額に自分の額を当てた。
そして、噛み締めるように言った。
「俺みたいな男を、こんなに深く愛して……」
「……っ」
「責任は取るよ。一生そばにいるって約束する」
「……霧咲、さん」
霧咲は、もう一度榛名をきつく抱きしめた。
榛名も霧咲の身体にしがみつく。
「一緒に東京に帰ろう」
「っはい……」
二人はここが空港のトイレだということも忘れて、暫く抱き合っていた。
「勿論、スタッフに黙っていたのはそっちの方が俺にとって色々と都合が良かったからだよ。とは言っても結婚していると公言したわけじゃない。あっちが勝手に勘違いしているだけなんだ。他の先生達は俺が独身だと知っている」
「透析室に来てた、奥さんと娘さんっていうのは……」
「実の妹と姪だ。ちょっと事情があって何度か俺の職場まで会いに来てる。そこを偶然見られたんだ」
「……」
「その……事情についてはまた後で話すよ。色々と複雑だし、俺にも心の準備がいるから……」
(心の準備……?)
「とりあえず、目下の誤解は解けたかい? 解けてないのなら今から宮崎の市役所に行って、俺の戸籍を取り寄せてもらおう。そうすれば俺が独身だということも分かるし、そのまま君と籍を入れることもできる」
「え?」
榛名はきょとん、とした顔で霧咲を見つめた。
「未来を用意する、と言っただろう? 本当は指輪を用意したかったんだけど生憎買いに行く時間がなかった。君が余計な勘違いをしたせいだぞ」
「……」
霧咲は少し怒ったような口調でそう言ったが、その表情は困ったように眉を下げて、笑っていた。
霧咲の弁明は終わったようだ。
しかし榛名はぽかんとした顔のまま、霧咲をじっと見つめていた。
「暁哉?」
霧咲は榛名の頬を流れる涙を親指で拭いながら、優しくその名前を呼んだ。
すると榛名も、やっと声が出るようになったらしい。
「ほんとに……本当に結婚してないんですか?」
「……うん、本当」
「だってそれが本当なら俺、馬鹿じゃないですか! 一人で勘違いして、あんなに泣いて、仕事まで休んで……っ」
安堵からか、涙は次から次へと溢れて止まらない。
「本当にね。というか、なんでまず俺に真実を確かめなかったの?」
「そんなの怖くて! それに確かめたりしたら、その時点でフラれるって思ったから……っ」
その言葉に霧咲は苦笑して、榛名の頬にキスをした。
涙の味は少ししょっぱくて、それがひどく愛しい。
「はあ……きみは本っ当~に馬鹿だね。常識的に考えて、フラれるのは完全に俺の方だろうが」
「……」
霧咲はもう一度、今度は榛名の瞼に口づけた。
榛名も目を閉じて、そのキスを受け入れる。
「本当に、君は……馬鹿だ」
「だっ……て……」
(そんなに何回も馬鹿だって言わないでよ……馬鹿だけど)
霧咲はコツン、と榛名の額に自分の額を当てた。
そして、噛み締めるように言った。
「俺みたいな男を、こんなに深く愛して……」
「……っ」
「責任は取るよ。一生そばにいるって約束する」
「……霧咲、さん」
霧咲は、もう一度榛名をきつく抱きしめた。
榛名も霧咲の身体にしがみつく。
「一緒に東京に帰ろう」
「っはい……」
二人はここが空港のトイレだということも忘れて、暫く抱き合っていた。
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