運命のひと~生真面目な看護師は意地悪イケメン医師に溺愛される~

すずなりたま

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89 安心できる場所*


 霧咲はゆっくりゆっくりと腰を推し進めてくる。
 榛名が苦しくないよう、丁寧に優しく。
 それは焦らしているようでもあり、榛名は一度イッたせいかいつもよりも余裕を持って感じていた。

「あ……あぁ! すごい、どんどん入って来てるっ!」

 だから、ますます霧咲を煽るようなことを言ってしまう。

「実況されると少し恥ずかしいな。気持ちいい?」
「きもちいいっ……はぁっ、太くて……ナカ擦れるの、気持ちいい……」

 榛名は涙目で視界が少しぼやけているが、霧咲の目を真っ直ぐに見つめて言った。
 本当に気持ちよくてたまらない。
 女性とは違う自分のカラダが霧咲のモノを受け入れてこうなるのが、本当に不思議だ。

「俺もすごく気持ちいいよ、君のナカ……沢山締め付けてくるから、すぐイッてしまいそうだ」
「はぁっはぁっ、もっと……誠人さんももっと気持ちよくなって? 俺のことも気持ちよくして……」
「んっ、いいよ」

 霧咲はそう言うと榛名の両足を自分の肩に掛け、挿入途中だった自身の全てをグッと奥まで押し込んだ。
 霧咲の腰と榛名の臀部が完全にくっつき、榛名は歓喜の声をあげる。
 身体は弓のようにしなり、ガチガチに勃起した自身が体液を零しながらふるふると頼りなげに揺れているのが丸見えだった。

「はあぁっ! あーっ……」
「ンッ、動いても、いい?」
「いいっ、動いて……!」

 榛名の許可が出た後、霧咲は律動を開始した。
 最初はゆっくりと、徐々に早く。

「あっ、あぁっ、ああんっ」
「んっ! 暁哉っ、暁哉ッ!」

 榛名の口からは小さくも甘い喘ぎがひっきりなしで溢れ出し、霧咲も榛名の名前を呼ぶ。
 もうお互いのことしか考えられず、どんどん高みへ登って行く。
 霧咲が激しく揺さぶっていると、不意に榛名が手を伸ばしてきた。

「まことさっ……キス、キスしたぃっ!」
「ん……」

 霧咲は一旦榛名の足を降ろすと、今度は思い切り広げさせてその中に自分の身体を割り込ませた。
 そしてすぐ前のめりになってその魅惑の唇へ吸い付く。
 榛名も霧咲の首に腕を回し、もう離さないというくらいがっちりと抱きついた。

「ふふっ……誠人さん、つかまえた」
「君には最初から捕まってるよ」
「うん……俺も……」

 榛名は嬉しそうに笑って、自らも霧咲の柔らかな唇に吸いついた。

「今日の君は本当に可愛いな……いつも可愛いけどね」

 霧咲もそのキスに答えながら、再び緩く腰を動かし始める。

「チュッ……ンンッ!あふっあんっ」

 榛名の甘く喘ぐ声とリップ音、そして粘膜のこすれ合う音が静かな室内に響いている。
 二人はたまらない気持ちになり、もうその言葉しか言えなくなった。

「暁哉、愛してる……!」
「はっ……おれも……っア、愛してる……まことさっ」
「愛してるよ、君だけだ……」

 囁くように何度も言いながら、霧咲は榛名の両目から流れる涙を舐めとっていた。
 そして霧咲の腰の動きは徐々に早くなっていき、もう一度榛名を絶頂へと導いて行く。

「はぁっ……ああ、アッ、も、だめ、また、イクッ」
「いいよイって」
「あ、あ、あん、ふっ、ああッ……!」
「ンッ……!」

 また先に榛名が達して、その締め付けにより霧咲も榛名のナカへゴム越しに射精したのだった。



 ふたりは亜衣乃に気付かれないように、こっそりと順番に軽くシャワーを浴びた。
 最初に榛名、そして霧咲。ドアを開閉するときも音を立てないようにそっと行動する。
 時刻は深夜の1時に差し掛かったところだった。

「……亜衣乃ちゃん、起きてなかったですか?」

 シャワーを浴びたあとに亜衣乃の様子を見てくる、と言った霧咲がソロソロと寝室に戻ってきたので、榛名はそう尋ねた。

「うん、大丈夫。なんか今日観た映画の夢を見てるのかな? こう、腕を振って魔法でもかけてるみたいな仕草をしてたよ。生意気な感想を言ってたけど、やっぱりまだ子供だな」
「なにそれ可愛い! 俺も見たかったです」
「残念ながら一回きりだったね」

 元のようにパジャマを着込んで、二人は並んでベッドに横になった。

「ねえ誠人さん。亜衣乃ちゃんはやっぱり俺に遠慮してますよね、なかなか本音を見せてくれないっていうか……猫を被ってるというか」
「うん、でもまあそれは仕方ないんじゃないかな。君はまだ知り合ったばかりのお兄さんだからね」
「ですよね……」

 榛名だって自分が亜衣乃の立場だったら、知り合ったばかりの大人に我儘を言ったりなんてできない。
 遠慮だってするし、猫だって被るだろう。
 けれど、される側になると少し淋しい。
 これは大人の勝手な感情だとは分かっているけれど。

「亜衣乃は、今はただ怖がってるんだ。君に嫌われることを何よりもね」
「えっ?」
「実の母親とあんなことになったんだ、当然だろう? 君が新しいママになると言ってくれたのは本当に嬉しかったんだろうけど……『母親』に嫌われることを極端に恐れてるんだ、あの子は」

 霧咲の言葉に、榛名は眉をしかめる。

「俺は、亜衣乃ちゃんを簡単に嫌ったりなんかしませんよ。そんな生半可な気持ちで言ったんじゃありませんから」
「もちろんだ。けど、亜衣乃にそれを信じてもらうにはこれから行動で示していくしかない。大変だろうけど……俺は君ならきっとできるって信じてるよ」
「うん……有難うございます」

 霧咲は、榛名をそっと抱き寄せた。
 榛名も大人しくその腕の中に納まり、その胸に耳を当てる。

「俺も、伯父から父親になるから……一緒に頑張ろう」
「はい」

 霧咲が励ましてくれることが嬉しい。
 なんだって出来そうな気がする。
 目を閉じると、ドクン、ドクンと霧咲の心音が聴こえる。
 自分が世界一安心して眠れるのはこの場所だ、と榛名は思った。
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