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〃
「はあ、熱燗で身体があったまりますね」
「富士山を眺めながらゆで卵を食べてお酒を飲むってなかなかオツでいいね。寒いけど」
「甘酒ってすごく甘ぁい……飲めなくはないけど」
「そりゃあ、甘酒だからな」
甘酒はあまり亜衣乃の口に合わなかったようで、微妙な顔をして飲んでいる。
それでも、大人二人が酒を飲むので自分も酒と名のつくものを飲んでみたかったのだろう。
三人はその後、お土産屋の中で売っていたおでんも少々食べて、大涌谷を後にすることにした。
「次はどこに行くんですっけ?」
「そうだな、とりあえずさっきの桃源台駅に戻って……亜衣乃、どこに行きたいんだっけ」
「星の王子様ミュージアムだよ! 今日のメインなの!」
「そう、それだ。そこに行ったらホテルへ行こう」
観光する場所はほぼ亜衣乃に任せている大人二人組だった。
ホテルだけは何やら霧咲が気合いを入れて選んだようだが。
帰りのロープウェイは行きほどは混み合っておらず、早めにゴンドラに乗れた。
3人は再び桃源台駅に戻り、バス乗り場に向かおうとしたのだが。
「ねーまこおじさん、亜衣乃トイレ行きたい」
「え。さっき駅の中にトイレがあったのに、行きたくなかったのか?」
「さっきはしたくなかったの!」
「しょうがないな……」
霧咲と榛名がトイレを探し始めた。
少し歩くと広めの駐車場があり、そのすぐそばに公衆トイレが見つかった。
「じゃあ亜衣乃、行ってきなさい」
「はーい」
二人になった榛名と霧咲は、ふう、とどちらともなく一息ついた。
「亜衣乃ちゃん、可愛いですね」
「少し我儘だけどね。でも小学生の女の子はああいうものかな」
「俺に対してももっと我儘になって欲しいんですけど……」
「その内嫌でもなるだろうから、今は猫被って君にイイ顔してるあの子を堪能したら?」
「そうですね……」
亜衣乃が榛名にも我が儘を言うようになる。
しかしそれは、中学生になってからだろうか。それとも高校生になってからだろうか。
何故か今のままでは、距離はずっと縮まらないような気がした。
「そんなに慌てて親になろうとしなくてもいいんじゃないかな。今はまだあまり実感がないと思うけど、君があの子にとって必要な人間であることは変わりないんだから、君はもっと自信を持っていいんだよ」
「そう、ですかね……」
「だって君、ずっと俺と一緒に居てくれるんだろう?」
「……そのつもりですけど」
そう言ったら、霧咲はニコリと笑った。
優しい顔で微笑まれて、榛名の鼓動は少し速くなる。
「早く君と一緒に暮らしたいな。4月になる前には、宮崎のご両親に挨拶に行かなきゃね」
「どうして4月になる前なんですか?」
「色々とキリがいいだろう。亜衣乃も学年が上がるし……というか、転校するしね。今のマンションじゃ少し狭いから広いところに移ろうとも思ってるし、車も買い替える」
「そう、ですね……」
榛名が、霧咲と亜衣乃と家族になると宣言したら、榛名の両親はどんな反応をするだろう。
粗方の予想は付くが、今更何を言われたってそれを覆す気はない。
たとえ親子の縁を切られたとしても、だ。
霧咲と亜衣乃に嫌な想いをさせてしまうかもしれないな、と想像して榛名は霧咲に見えないようにため息をひとつついた。
「富士山を眺めながらゆで卵を食べてお酒を飲むってなかなかオツでいいね。寒いけど」
「甘酒ってすごく甘ぁい……飲めなくはないけど」
「そりゃあ、甘酒だからな」
甘酒はあまり亜衣乃の口に合わなかったようで、微妙な顔をして飲んでいる。
それでも、大人二人が酒を飲むので自分も酒と名のつくものを飲んでみたかったのだろう。
三人はその後、お土産屋の中で売っていたおでんも少々食べて、大涌谷を後にすることにした。
「次はどこに行くんですっけ?」
「そうだな、とりあえずさっきの桃源台駅に戻って……亜衣乃、どこに行きたいんだっけ」
「星の王子様ミュージアムだよ! 今日のメインなの!」
「そう、それだ。そこに行ったらホテルへ行こう」
観光する場所はほぼ亜衣乃に任せている大人二人組だった。
ホテルだけは何やら霧咲が気合いを入れて選んだようだが。
帰りのロープウェイは行きほどは混み合っておらず、早めにゴンドラに乗れた。
3人は再び桃源台駅に戻り、バス乗り場に向かおうとしたのだが。
「ねーまこおじさん、亜衣乃トイレ行きたい」
「え。さっき駅の中にトイレがあったのに、行きたくなかったのか?」
「さっきはしたくなかったの!」
「しょうがないな……」
霧咲と榛名がトイレを探し始めた。
少し歩くと広めの駐車場があり、そのすぐそばに公衆トイレが見つかった。
「じゃあ亜衣乃、行ってきなさい」
「はーい」
二人になった榛名と霧咲は、ふう、とどちらともなく一息ついた。
「亜衣乃ちゃん、可愛いですね」
「少し我儘だけどね。でも小学生の女の子はああいうものかな」
「俺に対してももっと我儘になって欲しいんですけど……」
「その内嫌でもなるだろうから、今は猫被って君にイイ顔してるあの子を堪能したら?」
「そうですね……」
亜衣乃が榛名にも我が儘を言うようになる。
しかしそれは、中学生になってからだろうか。それとも高校生になってからだろうか。
何故か今のままでは、距離はずっと縮まらないような気がした。
「そんなに慌てて親になろうとしなくてもいいんじゃないかな。今はまだあまり実感がないと思うけど、君があの子にとって必要な人間であることは変わりないんだから、君はもっと自信を持っていいんだよ」
「そう、ですかね……」
「だって君、ずっと俺と一緒に居てくれるんだろう?」
「……そのつもりですけど」
そう言ったら、霧咲はニコリと笑った。
優しい顔で微笑まれて、榛名の鼓動は少し速くなる。
「早く君と一緒に暮らしたいな。4月になる前には、宮崎のご両親に挨拶に行かなきゃね」
「どうして4月になる前なんですか?」
「色々とキリがいいだろう。亜衣乃も学年が上がるし……というか、転校するしね。今のマンションじゃ少し狭いから広いところに移ろうとも思ってるし、車も買い替える」
「そう、ですね……」
榛名が、霧咲と亜衣乃と家族になると宣言したら、榛名の両親はどんな反応をするだろう。
粗方の予想は付くが、今更何を言われたってそれを覆す気はない。
たとえ親子の縁を切られたとしても、だ。
霧咲と亜衣乃に嫌な想いをさせてしまうかもしれないな、と想像して榛名は霧咲に見えないようにため息をひとつついた。
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