初めから恋だった

すずなりたま

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   男同士で円滑にセックスをするために、自分でナカを綺麗にするのも、挿入しやすいようにローションを仕込んでおくのももう慣れた。
   初めの頃はそれらの行為が苦痛だったが、いつしかそれも感じなくなった。
 抱かれる準備をしていると、いつもあの日のことを思い出す。初めて凌介に抱かれた夜のことを。

   大学時代、その日はゼミの打ち上げで、俺は生まれて初めてアルコールを摂取した。
 しかし俺の身体は分解酵素が無かったようで、一口飲んだだけで気分が悪くなってしまった。
 そんな俺を凌介は介抱してくれた上、寮の部屋まで連れて帰ってくれたのだ。
   アルコールのせいで俺は通常の判断能力を失っていたのだろうか。
 何故かそういう雰囲気になり、俺と凌介はなし崩し的にセックスをしていた。
   凌介が抱く側で、俺が抱かれる側。
 自然と役割がそうなったのは俺が童貞だったのと、気付いたら──というレベルでごく自然に奴に押し倒されていたからだ。
   俺は当時から陰気で女っ気も皆無だったが、男前で人当たりが良い凌介は男女問わずモテていた。
 だからあの時も、俺なんかに手を出さずとも呼べば喜んで来る女は数多あまただったはずだ。
   不思議に思ったけど、俺を抱いた理由を詳しく聞いたことは一度もない。
 きっと凌介は、男同士のセックスに並々ならぬ興味があっただけなのだろう。
   そして、俺とその非生産的な行為を彼此25年も続けているのは、男同士でする方が女性とするよりも気持ちがいいからだろう、と俺は勝手に結論付けている。
 俺は正しい使い方をしたことがないので、あくまで勝手な想像だが。





「はっ……あ、あ……っ!」 

   凌介のものを全部挿入された際は、どうしても声が外に洩れてしまう。この我慢はほぼ無意味で、ただの意地のようなものだ。

「海里、奥すごい締め付けてる……そろそろお前も俺が欲しかったんだろ?」
「っるさぃな……!あっ、あっ」

   前立腺を緩く突かれると、気持ちよすぎて俺のつまらない意地はすぐにほどけてしまう。

「気持ちいい?」
「ん、いいっ……もっと、」
「ふふ。海里、かわいいな」
「っかわいい、って……」

   俺を幾つだと思っている?
   奴は一浪しているから一応俺の方が年下だが、それでももう今年で43……いや、44になるというのに。
   凌介は俺の唇に顔を寄せて、コーヒーの苦味が残った厚い舌でしつこいキスをしたあと、やけに真面目な顔で言った。

「お前はずっとかわいいよ。じゃなきゃこんなことしない」
「あ、たまおかしい……」
「お前に言われたくない」
「アァッ!」
 
   俺の言葉がムカついたのか、いきなり一番奥を強く突かれた。俺は腰だけを高く上げさせられた体勢──いわゆる四つん這いで、後ろからしっかりと腰を掴まれている。凌介からも、快楽からも逃げられない。

「凌介、そこだめ……ぁ、」

   凌介は頭がおかしい。
 大学人というのは皆変人揃いで、教授をしている凌介は変人の筆頭だとも言えるが──
   俺は一般的に見て、20年前ならともかく今は可愛くともなんともないただのオッサンなのだ。
 寝起きで髭も剃ってないし、髪も軽くタオルドライしただけで、快楽に何度も振り乱した今はまるで鳥の巣状態だ。
 その上、若い時からだけど──随分と白い物も混じってきている。
   こんな俺をかわいいなんて言葉で形容する頭のおかしい人間は、どこを捜しても凌介しか居ないだろう。
   他に何人もいてたまるか。

「ハァッ、海里、海里、」
「凌介、はげしすぎ、ちょっと待っ……アアッ!」

   後ろを突かれながら、ついでとばかりに乳首を弄られて、思わず甲高い声が出る。

「何?もっと? 」
「違っ……ばか、ア、アーッ」
「分かった」 

   一体何が分かったのか説明してもらいたい。
   ……恥ずかしいという意識は、一応ある。
2人共もういい歳なのに、こんな時間からあられもない声を出して激しく交わっていて。でも、世間の常識とやらを今更自分達に当て嵌めるつもりは毛頭ない。
   それは俺たち2人の共通認識でもある。

「海里、も、出すぞッ……」
「はっ、はぁ、おれも、あ、あ、りょ、すけ、おれもイクっ……」

   俺は凌介があらかじめ敷いていたバスタオルに、凌介は俺のナカ兼ゴムの中に、思い切り精液を迸らせた。
   荒い息を整えながら、俺は凌介の耳元で囁く。


「……もっかいシて……」
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