マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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11 柴のカミングアウト

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「そういえば食器、普通に二人分あったんだね。俺は一人分しか持ってないけど……もしかして彼女の分?」

 柴が不思議そうな顔で尋ねた。

「か、彼女なんていない!   食器が二人分なのはおせっかいな兄の仕業なんだ、大学生になったら俺にも彼女の一人や二人出来るだろうからって……まったく、大きなお世話だよな」

   でも今回普通に役に立ったので、過保護な兄に感謝はすべきかもしれない。

「ふうん、お兄さんいるんだ。ていうか彼女が二人も出来たら食器足りなくない?」
「たしかに! いやまあ、結局まだ一人も出来ないんだけどさ」
「彼女を二人作るってところはツッコまないんだね?」

 礼二郎はボケ殺しなので――というか本人が天然ボケなので他人のボケに気付かない――柴はくすくす笑いながらセルフで突っ込んだ。

「あっ! そうだ、俺二股とかしたことないから!」

 というか一股もしたことないが、それはわざわざ言わなかった。

「槐君、何で彼女作らないの? 昨日も合コンだったんじゃないの?」
「え、なんでそれを?」
「昨日部屋尋ねたとき、女物の香水の匂いがしたから」

 そうだった。柴が来る前、自分でも嫌になるくらいに香水臭かったのを思い出した。

「合コンって言っても人数合わせみたいなものというか……俺は行きたくなかったのに、友達が無理矢理連れて行ったんだ。でも、もう行かない」
「どうして?」
「両隣の女の子が二人とも香水臭くてすごく飯が不味かったんだ。だからもう奢るって言われても絶対行かないぞ!」
「……それは災難だったねぇ」

 プリプリ怒りながら言う礼二郎の頭を、柴はごく自然に撫でた。

 大人しく撫でられながら、礼二郎は柴を見つめて言った。

「……昨日も思ったけど、柴君の手ってなんだか安心するな」
「え?」
「駅でナンパから助けてくれたときも、昨日涙をぬぐってくれたときも、今もさ。なんでだろう?」

 撫でられているから──というより、側にいるだけで安心するのだ。理由は分からない。
 昨日『守りたい』と率直に言われたからだろうか。しかしそれだけでは到底説明のつかない、絶対的な安心感だ。
   白檀の香りのせいだろうか。
   怖いものが何も寄ってこないような、強力なお守りを抱いているような――……

   礼二郎は自然と目を閉じて、自分からも柴の手に頭を擦り付けた。

「俺、もしかして口説かれてる?」
「へっ?」

 真顔で問われて、礼二郎はハッとした。

(お、俺は今、男相手に何を言って……ていうか何をした!?)

「ち、ち、違ッ! その、そういうんじゃなくてぇ!!   あ、兄貴と間違え、いや兄貴にも最近はこんなことされないけどッッ」
「槐君になら、口説かれても大歓迎だけど」
「え!?」
「俺、どっちでもイケる奴だから」
「ええ!?」

 柴はニッコリ笑って言った。礼二郎は一応ノリで驚いたが、本心は。

(ど、どっちでも行けるってのは何なんだ……!?   ていうかどこに行くんだ!?)

 あまりよく分かっていなかった。
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