マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

文字の大きさ
15 / 76

12 好みの話

しおりを挟む
   柴は焦っている礼二郎の頭を撫でくり回しながら言った。

「ごめん、警戒させちゃった?   でも大丈夫だよ、好みだからっていきなり襲ったりしないから。こう見えて紳士です」
「え? 好みって……誰が?」
「槐君だけど?」
「え。俺って柴君の好みなのか? 顔が?」
「うん」
「そうなのか……男にも好かれる俺の魅力、凄いな……」
「そうだね(笑)」

 礼二郎は柴の言葉に混乱して、他人事のような他人事ではないような、なんだかよく分からないことになっていた。

「外見も好みだけど、話してみて性格も好きだなあって思ったよ」
「俺の?」
「うん、槐君の。可愛くて飽きない」
「まあ俺、顔も性格も良いし運動も家事も出来るパーフェクトヒューマンだから……正直飽きはこないと思う」
「そうなんだ(笑)」

 柴は、自分のことを良いように淡々と話す礼二郎が面白すぎて、箸が止まって笑いを堪えきれなかった。

(なんで柴君は俺の言うことにいちいち笑っているんだ?   俺は大真面目なんだが??)

 解せぬ、と礼二郎は思った。

「で、どうする? 俺たち付き合っちゃう?」
「付き合……えぇ!?」
「そういう流れだったんじゃないの?」
「な、流れとは?」

   柴の言ってる意味が分からず、礼二郎は思わず聞き返した。

「だから、槐君はさっき俺の事を口説いたでしょ?   で、俺も槐君の顔と性格が好みだから付き合ってもいいよってこと」
「なるほどそういう流れか……って、俺口説いてないからぁぁ!! 柴君は男の子だよな!?   俺もそうだぞ!?」
「俺はどっちもイケるってさっき言ったじゃん」
「えっあれってそういうこと!? 男も女もオッケーってことか!?」
「え、今?   ……さっきはどういうことだと思ってたの?」

   よく分からなかったが、『イケる』を『行ける』と勝手に脳内変換して……

「電車かバスかどっちでも行けるみたいな……?」
「んふっww」

   ついに柴は腹を抱えて大笑いした。『槐君、最高』と全力で草を生やしながら。

「そんなに笑うなんて柴君、ひどい」

 礼二郎は恨みがましい目つきで柴を睨んだ。柴はあまりにもツボだったのか、ひとしきり笑ったあと目じりの涙をぬぐいながら謝る。

「ごめんごめん、槐君って本当に見た目と中身が違いすぎるっていうか、もっとチャラいのかと勝手に思ってたからさ……あ、でも俺は実際の槐君の方が好きだよ。ギャップ萌えっていうかね」
「好き!?   俺のことが!?」
「うん」

   少々ニュアンスに違いはあるものの、突き詰めればそういうことなので、柴は軽く頷いた。
   礼二郎は、今まで自分に近づいてきた女たちは(ベッドインせずとも)礼二郎が霊を見て泣き叫んだり激痛発言をすると、普通にドン引きして『なんか思ってたんと違う…』と言って去っていった。

   なのでそういう面を知られたあとに告白された(?)のは初めての体験で……礼二郎は性別のことも忘れ、いたく感動していた。

(う、嬉しい……!   俺のそういう面を知ってもまだ好いてくれてるなんて……! 柴君優しいしかっこいいし、いっそ軽いノリで付き合ってもよくないか? 大学生なんだし!)

 さっきの柴の言い方も軽いノリだった。なので、あまり重たく捉える必要はないのだろう。男同士で付き合う方法はよく分からないが、きっと友達と変わらないんじゃないかと礼二郎は思う。

(でも、)

「やっぱり付き合うのは、……」

   漠然とした不安がある。柴のことは普通に人間として好きだが──

 親しくなればなるほど、嫌われた時が余計に辛い。

「ごめん、俺槐君のこと困らせてるね。さっきのことはいったん忘れてくれる? まずは普通に友達として仲良くなりたいな」
「うん……ごめん」
「いや、俺の方がごめん。なんか軽いノリで言っちゃって」

 柴は頭を下げて真面目に礼二郎に謝った。礼二郎はその姿を見て、何故かチクリと胸が痛んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

登山

むちむちボディ
BL
趣味として山登りを楽しむ中年男性に起こる物語です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...