マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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15 サラリーマン

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「そこの君、大丈夫かい? 気分が悪いのなら席を替わるよ」
「あ、ありがとうございます。ご親切にどうも……」
「って、君は昨日のかわ……ンンッ、イケメン大学生じゃないか!   昨日とは違う時間帯なのに会うなんて偶然だなぁ~!」
「え?」

 周りの乗客には大学生のイケメン同性カップルが人前で堂々とラブシーンを繰り広げているようにしか見えなかったが――片方が具合が悪い、というのもイチャつくための口実ではないかと思われていたり、いなかったり――そんな痛カップルの片割れである礼二郎に声をかけたのは、二人の後ろに座っていたサラリーマンだった。

 そしてその人物は、偶然にも昨日礼二郎をナンパしかけていたリーマンだったのだ。

「ほら、ここに座りなさい」
「ど、どうも……昨日からお世話かけます」
「いやいや気にしないで。──ところで君は朝が弱いのか? 昨日も倒れてたし、低血圧なんじゃないか?」
「いや、その……」

 昨日は窓の外に見えた血まみれの女性の霊に驚きすぎて腰が抜けたのだ。
   今日は……
 そこまで思い出して、礼二郎はハッとした。

(この声……もしかして、昨日の女の人の霊か!?)

   根拠は無いものの、何故かそう思った。

「朝はしっかり食べないとダメだぞ~?」
「いや、あの……ハイ……」

 サラリーマンは再び礼二郎に会えて嬉しいのか、馴れ馴れしく話しかけてくる。
   礼二郎は言われなくてもしっかり食べてますよ! と言い返したかったが、そんな元気はなかった。

「そんなこと、見ず知らずの貴方に言われなくても彼は俺と二人で朝食はしっかりと食べましたよ。しかも彼の手作りの味噌汁を。――ね、槐君」
「う、うん」
「ふーん、そうなんだ。二人で朝食を?   へえ~……」

 代わりに柴がサラリーマンに(マウント全開で)言い返した。
 なんとなく誤解を生みそうな言い方だったが――近くで聞いていた乗客達は二人が朝まで一緒に過ごす深い仲であると瞬時に悟った――礼二郎にはツッコむ元気もない。

「ていうか君、昨日も邪魔してくれたけどこの子の彼氏かい?」
「……違いますけど」

 何故か柴とリーマンは喧嘩腰で、礼二郎は意味が分からない。
   霊の声は相変わらず続いている。というか……

『許さん、このクソリーマン、殺す、絶対殺す、ぶち殺す……』

 もう既に脳内ではなく、直接隣ぐらいの位置から聞こえていた。

(ひいぃ、声が近い近い……ッ!! え、リーマン? さっきから許さないってのは、もしかしてこの人のことを言ってるのか?)

『そうよ……』

(返事した──!!!)

 頭痛は若干マシになったものの、初めて霊と意思疎通を交わしたことに、礼二郎は少なからずショックを受けた。



「かっ、彼氏でもないのに僕と彼の再会を邪魔をするんじゃないよ! 出勤時間が違うのに今日も会えたということは、僕達はきっと運命なんだ!」
「二日連続偶然会っただけで運命感じるとか超単純っすね」
「なんだとぉ! 生意気な小僧め!」
「小僧とか百億年ぶりに言われた」

 柴とリーマンの小競り合いもしばらく続いていた。
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