マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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「槐君、大丈夫?」
「柴君……」

   柴の手が、優しく礼二郎の額に触れた。

「目を閉じて、何も考えないで、ゆっくりと深呼吸してごらん」
「……うん……」

   礼二郎は柴の言う通りにした。すると、吐き気はだんだんと治まってきた。
 
(柴くんの手、暖かくてきもちい……)

「大体の事情は察したよ。──虎鉄!」

ワンッ

「!?」

(柴くん、さっきも思ったけどやっぱりこのわんちゃんの名前呼んだ?   コテツって名前なのか? ていうか――視えてるのか??)

「除霊は中止だよ。その代わり、ソレを槐君からオッサンに移す」

ワフッ

「はぁ?   何を移すって?」

   リーマンは怪訝な顔をして柴に聞き返したが、柴はブツブツと何かを唱えたあと、にっこりと笑って言った。

「何でもありません。おかれさまでした、どうぞ会社へ行ってください」
「な、なんだよ……気持ち悪いな。はあ、なんかいきなり肩が凝ったな」

   リーマンはこれ以上礼二郎たちに関わりたくないと思ったのか、駅の階段を降りてそそくさと立ち去った。
 彼の背後には、あの女性がぴったりとくっついていた。

「槐君、俺たちはもう少し休憩してから行こう。ていうか大学行ける?」
「多分……」
「無理しなくていいよ」

 電車がいくつか到着していたが、まだ乗る気になれず見送った。

ハッハッ

 駅のベンチに並んで座った礼二郎と柴の足元で、小さな柴犬が激しく尻尾を振っている。最初は本物の犬かもしれないと思ったが、空中から突然現れたし、半分透けているのでやはり霊で間違いないらしい。

(霊なのに、可愛いな……触りたい)

   きっと触っても、指を通り抜けてしまうだろうけど。
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