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18 柴の正体
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礼二郎はさっきの出来事を未だ消化できず、可愛らしくぴょこぴょこと左右に振れる柴犬の尻尾を見つめたままぼーっとしていた。
すると、柴が口を開いた。
「えーっと……何から話せばいいかな。さっきはいきなりキスしてごめん。あの女の人、よっぽどあのおっさんを恨んでたのかなかなか槐君から離れてくれなくて……直接俺の力を吹き込んだんだ。あ、背中もバシバシ叩いてごめん、痛かっただろ」
「俺の力、って……?」
「俺の霊力」
「おれのれいりょく?」
礼二郎はマンガの話かな……? と一瞬現実逃避しかけたが、柴が真剣な顔をしているのでそのツッコミは一旦飲み込んだ。
それにたった今マンガのような出来事が起きたのは、まぎれもない事実なのだ。
「この柴犬は俺の相棒で、名前は虎鉄。可愛いだろ?」
「コテツ……こてっちゃん……」
「既にあだ名呼びか(笑)よかったな、虎鉄。槐君はお前に好意的だぞ」
ワン!
「いやいや、こんな可愛いわんちゃんに好意的じゃない方がおかしいでしょ」
「そんなことないよ、小型犬が苦手な人って結構いるし」
「そうなんだ……可愛いのに」
「霊だけどね」
「ッ!」
突然そう言われて、霊だと分かっているのに礼二郎はビクッと肩を揺らした。たとえば可愛いクマのぬいぐるみを愛でているときに突然、『熊って本当は肉食獣だけどね』などと言われたような感じだ。
「あの、柴君はさ……」
「――うん」
「なんとなく状況から推測すると、つまりアレなの? 令和の陰陽師というか、霊媒師というか、ゴーストバスターズ……!?」
「ぶはっ(笑)」
礼二郎がとても神妙な顔で問うものだから、柴はつい噴き出してしまった。
「わ、笑いごっちゃないぞ! 俺は真面目に聞いて――」
「うんうん、ごめん。いきなり横文字出てきたから驚いちゃって。えーっと、ウチは寺だから陰陽道ではないかな。霊媒師……もまあ近いけど、俺は除霊師って自称してるよ」
「除霊って……やっぱゴーストバスターズじゃんか!!」
「ひとりだけどね」
「こてっちゃんいるじゃん!!」
「あ、そっか。(犬は複数形に入れてもいいのか?)でもコイツ、霊側だけど」
「あああ、そうだったァ……!」
霊が霊を倒す場合はどう呼ぶのだろう? 礼二郎は頭を抱えた。
「あ、電車来た。槐君、気分はどう? 大学行ける? 多分2限はもう間に合わないけど」
「うう、行くぅ……」
「ふは、真面目だなぁ」
柴はこどものように口を尖らして『行く』と言った礼二郎に苦笑して、礼二郎はそんな柴をむぅっと睨みつけた。
「柴君はメガネなのに、真面目を笑う……」
「メガネが全員真面目だと思わないよーに。しかもこれ、ダテだし」
「なに!? つまり、オシャレメガネ!?」
「オシャレかどうかは知らないけど、顔を隠したいだけだよ」
「な、なんで……?」
「あーホラ、急がないとドアが閉まる!」
柴が礼二郎の腕を引っ張り、電車に乗り込んだ。
すると、柴が口を開いた。
「えーっと……何から話せばいいかな。さっきはいきなりキスしてごめん。あの女の人、よっぽどあのおっさんを恨んでたのかなかなか槐君から離れてくれなくて……直接俺の力を吹き込んだんだ。あ、背中もバシバシ叩いてごめん、痛かっただろ」
「俺の力、って……?」
「俺の霊力」
「おれのれいりょく?」
礼二郎はマンガの話かな……? と一瞬現実逃避しかけたが、柴が真剣な顔をしているのでそのツッコミは一旦飲み込んだ。
それにたった今マンガのような出来事が起きたのは、まぎれもない事実なのだ。
「この柴犬は俺の相棒で、名前は虎鉄。可愛いだろ?」
「コテツ……こてっちゃん……」
「既にあだ名呼びか(笑)よかったな、虎鉄。槐君はお前に好意的だぞ」
ワン!
「いやいや、こんな可愛いわんちゃんに好意的じゃない方がおかしいでしょ」
「そんなことないよ、小型犬が苦手な人って結構いるし」
「そうなんだ……可愛いのに」
「霊だけどね」
「ッ!」
突然そう言われて、霊だと分かっているのに礼二郎はビクッと肩を揺らした。たとえば可愛いクマのぬいぐるみを愛でているときに突然、『熊って本当は肉食獣だけどね』などと言われたような感じだ。
「あの、柴君はさ……」
「――うん」
「なんとなく状況から推測すると、つまりアレなの? 令和の陰陽師というか、霊媒師というか、ゴーストバスターズ……!?」
「ぶはっ(笑)」
礼二郎がとても神妙な顔で問うものだから、柴はつい噴き出してしまった。
「わ、笑いごっちゃないぞ! 俺は真面目に聞いて――」
「うんうん、ごめん。いきなり横文字出てきたから驚いちゃって。えーっと、ウチは寺だから陰陽道ではないかな。霊媒師……もまあ近いけど、俺は除霊師って自称してるよ」
「除霊って……やっぱゴーストバスターズじゃんか!!」
「ひとりだけどね」
「こてっちゃんいるじゃん!!」
「あ、そっか。(犬は複数形に入れてもいいのか?)でもコイツ、霊側だけど」
「あああ、そうだったァ……!」
霊が霊を倒す場合はどう呼ぶのだろう? 礼二郎は頭を抱えた。
「あ、電車来た。槐君、気分はどう? 大学行ける? 多分2限はもう間に合わないけど」
「うう、行くぅ……」
「ふは、真面目だなぁ」
柴はこどものように口を尖らして『行く』と言った礼二郎に苦笑して、礼二郎はそんな柴をむぅっと睨みつけた。
「柴君はメガネなのに、真面目を笑う……」
「メガネが全員真面目だと思わないよーに。しかもこれ、ダテだし」
「なに!? つまり、オシャレメガネ!?」
「オシャレかどうかは知らないけど、顔を隠したいだけだよ」
「な、なんで……?」
「あーホラ、急がないとドアが閉まる!」
柴が礼二郎の腕を引っ張り、電車に乗り込んだ。
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