マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

文字の大きさ
24 / 76

18 柴の正体

しおりを挟む
 礼二郎はさっきの出来事を未だ消化できず、可愛らしくぴょこぴょこと左右に振れる柴犬の尻尾を見つめたままぼーっとしていた。
 すると、柴が口を開いた。

「えーっと……何から話せばいいかな。さっきはいきなりキスしてごめん。あの女の人、よっぽどあのおっさんを恨んでたのかなかなか槐君から離れてくれなくて……直接俺の力を吹き込んだんだ。あ、背中もバシバシ叩いてごめん、痛かっただろ」
「俺の力、って……?」
「俺の霊力」
「おれのれいりょく?」

 礼二郎はマンガの話かな……? と一瞬現実逃避しかけたが、柴が真剣な顔をしているのでそのツッコミは一旦飲み込んだ。
 それにたった今マンガのような出来事が起きたのは、まぎれもない事実なのだ。

「この柴犬は俺の相棒で、名前は虎鉄。可愛いだろ?」
「コテツ……こてっちゃん……」
「既にあだ名呼びか(笑)よかったな、虎鉄。槐君はお前に好意的だぞ」

ワン!

「いやいや、こんな可愛いわんちゃんに好意的じゃない方がおかしいでしょ」
「そんなことないよ、小型犬が苦手な人って結構いるし」
「そうなんだ……可愛いのに」
「霊だけどね」
「ッ!」

 突然そう言われて、霊だと分かっているのに礼二郎はビクッと肩を揺らした。たとえば可愛いクマのぬいぐるみを愛でているときに突然、『熊って本当は肉食獣だけどね』などと言われたような感じだ。

「あの、柴君はさ……」
「――うん」
「なんとなく状況から推測すると、つまりアレなの? 令和の陰陽師というか、霊媒師というか、ゴーストバスターズ……!?」
「ぶはっ(笑)」

 礼二郎がとても神妙な顔で問うものだから、柴はつい噴き出してしまった。

「わ、笑いごっちゃないぞ! 俺は真面目に聞いて――」
「うんうん、ごめん。いきなり横文字出てきたから驚いちゃって。えーっと、ウチは寺だから陰陽道ではないかな。霊媒師……もまあ近いけど、俺は除霊師って自称してるよ」
「除霊って……やっぱゴーストバスターズじゃんか!!」
「ひとりだけどね」
「こてっちゃんいるじゃん!!」
「あ、そっか。(犬は複数形に入れてもいいのか?)でもコイツ、霊側だけど」
「あああ、そうだったァ……!」

 霊が霊を倒す場合はどう呼ぶのだろう? 礼二郎は頭を抱えた。

「あ、電車来た。槐君、気分はどう? 大学行ける? 多分2限はもう間に合わないけど」
「うう、行くぅ……」
「ふは、真面目だなぁ」

 柴はこどものように口を尖らして『行く』と言った礼二郎に苦笑して、礼二郎はそんな柴をむぅっと睨みつけた。

「柴君はメガネなのに、真面目を笑う……」
「メガネが全員真面目だと思わないよーに。しかもこれ、ダテだし」
「なに!? つまり、オシャレメガネ!?」
「オシャレかどうかは知らないけど、顔を隠したいだけだよ」
「な、なんで……?」
「あーホラ、急がないとドアが閉まる!」

 柴が礼二郎の腕を引っ張り、電車に乗り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

登山

むちむちボディ
BL
趣味として山登りを楽しむ中年男性に起こる物語です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...