マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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24 自覚

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(いやいや、そんなバカな……)

 しかし冗談でもダーリンと呼んだら、柴はまた笑うだろう。柴は基本ポーカーフェイスだが意外と笑い上戸で、普段は大人っぽいのに笑うと一気に幼くなるのだ。あの顔を礼二郎はまた見たくなった。

(まあ、言わないけど……でも柴君の笑った顔、可愛くて好きなんだよな。池永や平尾が笑ってもそんなことまったく思わないのに……俺、おかしいのかな)

「へー、礼二郎の彼氏は柴って言うのか。聞いたことねぇ名前だけどどこの学部の奴? もしくは先輩?」
「タメっぽかったぞ、理工だって。頭イイ上にすげぇオシャレなイケメンだった……タッパもあるし」
「なんだそのハイスペック男! しかも彼氏が礼二郎? 神様は不平等すぎるな~」
「なー、まあ俺、恋人は女の子がいいけど」
「そりゃそうだ」

 柴のことを思い出してつい現実逃避しかけていたが、礼二郎はハッとして二人に言い返した。

「ていうかそもそも付き合ってない! 池永の勘違いだ!」
「え? でも今日晩飯作って待つんだろ?」
「なにそれ礼二郎ちゃん、既に奥さんポジなの!?   付き合うのなんか通り越してるってこと!?」
「違うっつーの!   俺が柴君と話したいことがあるから呼んだだけ!! と、とにかく俺の命の恩人に対して失礼な発言をするな!」
「命の恩人だぁ!?」

 礼二郎の大袈裟な物言いに平尾は目を丸くして驚いたが、その耳元で池永が『昨日部屋に出たゴキブリを退治してくれたんだとよ』と囁き女将おかみのごとく、ボソボソ囁いた。

「えっ、それで惚れたってこと……? 礼二郎、さすがに単純すぎん?」
「な、やべーよな」
「なんか俺、だんだん心配になってきたんだけど」
「ん~でも、まあまあ良さそうな奴だったぞ? 柴クン」
「おい、さっきから何を二人でひそひそ話してるんだよ! なんか文句でもあるのかっ!?」

 礼二郎がプンスカと怒りながら言うと、二人は内緒話をやめて揃ってニヤけた顔を向けた。

「な、なんだよ……キモチワルイな」
「……でもなんつーか、付き合うのは時間のモンダイっぽいな」
「おう。礼二郎の方がゾッコンみたいだし……ま、俺たちは温かく見守ろうぜ」
「誰が誰にゾッコンなんだ! 誰が!」

   大体、付き合おうと言ってきたのは柴の方だ。

(あれ?   ……ってことは、柴君が俺にゾッコンってこと? いやいやいや!! 柴くんはすっごい軽い感じで付き合おうって言ってきたから!! 全然本気とかそういうんじゃなくて、なんていうか……)

 柴は礼二郎のことが『好き』だと言った。
 顔も性格も好みだと。だから付き合いたいと。

 今朝は軽く流してしまったが、よくよく考えたらこのうえないくらい、ちゃんとした告白ではないだろうか。

(……ど、どうしよう……)

「ふは、真っ赤じゃあん!   こんな礼二郎初めて見た、可愛いなー」
「照れんな照れんな、俺たちは応援してやるからな」
「~~っっ、うるさい! もうほっとけよ!」

 礼二郎は顔を真っ赤にしたまま二人に背を向けて、駅方面へ小走りで向かった。
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