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23 謎の彼氏くん
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授業が終わったあと、礼二郎はなるべく誰とも目を合わさないようにして足早に大学を出た。否、出ようとしたのだが……
「あれ? こてっちゃん?」
それまでトテトテと礼二郎の後ろを着いて歩いていた虎鉄が、門の内側でピタリと足を止めたのだ。
(ま、まさか大学の外までは一緒に行けないとか……!?)
そのまさかである。礼二郎がさらに一歩前に進んでも、虎鉄はそこに結界があるかのように動かない。
帰宅中の他の学生が、門の前でモタモタと何かをしている礼二郎を怪訝な目で見ながら何人も横を通り過ぎて行く。
(こてっちゃんお願い、俺のバイト先にもついてきて……!!)
クウ~ン
虎鉄はまるで人間のように、困った顔でフリフリと首を振った。『それはできない相談です』と言っているようだった。
(なんで!? あ、柴君との距離が離れすぎたらダメってこと!?)
ワン!
今度は『ご明察です!』と言っているように明るく一鳴きした。今日ずっと一緒にいたので二人の意思疎通はバッチリである。
「そ、そんなぁ……どうしよう……」
「おーい礼二郎! お前何でさっさと帰るんだよ!」
ガックリ肩を落としたところで、名前を呼ばれた。顔を上げると、キャンパスの方から池永と平尾が小走りで礼二郎の元へと走ってくるところだった。
「池永、平尾……」
「お前今日バイトだろ? しんどいなら俺が代わりに行ってやろうかと思ってさ。まだ仕事覚えてるし」
「え、別に大丈夫だよ。ありがとう」
池永は以前礼二郎と同じコンビニでバイトしていた。今は別の場所でバイトしているが、それがきっかけで仲良くなったという経緯がある。
一瞬その言葉に甘えようかとも思ったが、今は体調がいいので断った。
「でも彼氏に晩メシ作るんだろ? 遅くなっていいのかよ」
「は? ……彼氏?」
彼氏とはいったい誰のことだ。ていうかそもそも、彼氏なんて存在しないのだが。
「え、なになに何の話? 彼氏ってなんのこと!?」
謎の『彼氏』という存在について考え込んでしまった礼二郎を無視して、池永が興味津々な平尾に説明し始めた。
「礼二郎の奴、昨日ちえりちゃん達との合コンのあとに何故か彼氏作ってんだよ。意味わかんなくね? それで今日の2限もサボったんだよな。──あ、今更だけど平尾って男同士に偏見あった?」
「いんや、俺にベクトル向けられない限りは無いけど……ていうかマジで!? 俺らの礼二郎ちゃんにまさかの彼氏ィ!? 経済学部の全女子が泣くぞ! しかもサボりの理由がなんかやらしいな!」
「おい、おまえらさっきから何の話をしてるんだ?」
さすがに聞き捨てならなさすぎる。2限をパスしたのは純粋な体調不良だし、しかもそれが何故やらしいのか全く理解できない。
それと礼二郎に恋人が出来て泣くのは経済学部だけじゃなくて、この大学全ての女子と言い換えて欲しいと思った。
たしかに今朝、柴に『俺たち付き合っちゃう?』と言われたけど――……
(あ……っ)
礼二郎は、何故か急にそのことを思い出した。そして、そんな柴にキスをされたことも思い出して、ぶわっと赤面した。
「なんだよ~、午前中に盛大にノロけたの忘れたとは言わせねぇぞ。柴君はお前のことを守ってくれる頼れるダーリン♡ なんだろ? 赤くなっちゃってさぁ、こっちが照れるっつーの」
「だ、だだだ、ダーリン!?」
そんな呼び方をした覚えはない。でももし柴と付き合うことになったら、柴のことをダーリンと呼ばなくてはいけないのだろうか。
「あれ? こてっちゃん?」
それまでトテトテと礼二郎の後ろを着いて歩いていた虎鉄が、門の内側でピタリと足を止めたのだ。
(ま、まさか大学の外までは一緒に行けないとか……!?)
そのまさかである。礼二郎がさらに一歩前に進んでも、虎鉄はそこに結界があるかのように動かない。
帰宅中の他の学生が、門の前でモタモタと何かをしている礼二郎を怪訝な目で見ながら何人も横を通り過ぎて行く。
(こてっちゃんお願い、俺のバイト先にもついてきて……!!)
クウ~ン
虎鉄はまるで人間のように、困った顔でフリフリと首を振った。『それはできない相談です』と言っているようだった。
(なんで!? あ、柴君との距離が離れすぎたらダメってこと!?)
ワン!
今度は『ご明察です!』と言っているように明るく一鳴きした。今日ずっと一緒にいたので二人の意思疎通はバッチリである。
「そ、そんなぁ……どうしよう……」
「おーい礼二郎! お前何でさっさと帰るんだよ!」
ガックリ肩を落としたところで、名前を呼ばれた。顔を上げると、キャンパスの方から池永と平尾が小走りで礼二郎の元へと走ってくるところだった。
「池永、平尾……」
「お前今日バイトだろ? しんどいなら俺が代わりに行ってやろうかと思ってさ。まだ仕事覚えてるし」
「え、別に大丈夫だよ。ありがとう」
池永は以前礼二郎と同じコンビニでバイトしていた。今は別の場所でバイトしているが、それがきっかけで仲良くなったという経緯がある。
一瞬その言葉に甘えようかとも思ったが、今は体調がいいので断った。
「でも彼氏に晩メシ作るんだろ? 遅くなっていいのかよ」
「は? ……彼氏?」
彼氏とはいったい誰のことだ。ていうかそもそも、彼氏なんて存在しないのだが。
「え、なになに何の話? 彼氏ってなんのこと!?」
謎の『彼氏』という存在について考え込んでしまった礼二郎を無視して、池永が興味津々な平尾に説明し始めた。
「礼二郎の奴、昨日ちえりちゃん達との合コンのあとに何故か彼氏作ってんだよ。意味わかんなくね? それで今日の2限もサボったんだよな。──あ、今更だけど平尾って男同士に偏見あった?」
「いんや、俺にベクトル向けられない限りは無いけど……ていうかマジで!? 俺らの礼二郎ちゃんにまさかの彼氏ィ!? 経済学部の全女子が泣くぞ! しかもサボりの理由がなんかやらしいな!」
「おい、おまえらさっきから何の話をしてるんだ?」
さすがに聞き捨てならなさすぎる。2限をパスしたのは純粋な体調不良だし、しかもそれが何故やらしいのか全く理解できない。
それと礼二郎に恋人が出来て泣くのは経済学部だけじゃなくて、この大学全ての女子と言い換えて欲しいと思った。
たしかに今朝、柴に『俺たち付き合っちゃう?』と言われたけど――……
(あ……っ)
礼二郎は、何故か急にそのことを思い出した。そして、そんな柴にキスをされたことも思い出して、ぶわっと赤面した。
「なんだよ~、午前中に盛大にノロけたの忘れたとは言わせねぇぞ。柴君はお前のことを守ってくれる頼れるダーリン♡ なんだろ? 赤くなっちゃってさぁ、こっちが照れるっつーの」
「だ、だだだ、ダーリン!?」
そんな呼び方をした覚えはない。でももし柴と付き合うことになったら、柴のことをダーリンと呼ばなくてはいけないのだろうか。
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