マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

文字の大きさ
29 / 76

しおりを挟む

『あいつ、視えてるぞ』
『視えてるな』
『おーい』
『おーい』
『おーい』
『こっちも視てくれー』
『おーい』

(見るな、俺を呼ぶな……! こわい、こわいよぉ……っ)

「池永ぁ、礼二郎ちゃん今日はどしたん~?」
「いや、それが体調悪いみたいで……帰れっつってんだけど、動かないんだよ」
「まじ? 礼二郎だいじょぶか?」

(こわい……柴君、助けて、柴君……っ)

 友人たちが心配してくれているのに、霊の声が混じっていて怖くて顔が上げられない。顔を上げたらきっとそこには……


 ワンッ!!


「!?」

   唐突な犬の鳴き声に、礼二郎は俯いていた顔を上げた。心配そうな顔をした池永の頭の上に、何故か虎鉄がご機嫌な顔で乗っていた。

「こてっ……ちゃん……」
「え、何?」

   ハッ!

(ヤバ、他の奴には視えないんだった!)
 
   虎鉄は池永の頭を蹴って飛び上がり、礼二郎のそばの机の上に音もなく着地した。嬉しそうに尻尾を振っている。
 まるで『大丈夫だよ』と言ってくれているように――。

 虎鉄が一鳴きした途端、礼二郎を呼ぶ霊達の声はピタリと止んだ。

「……っ」

 礼二郎は安心して、思わず涙が溢れそうになった。

「あ、先生来たよ」
「礼二郎、ほんとに大丈夫か~?   無理そうだったらすぐ言えよな、医務室連れて行ってやるから」
「ん……」

(でも、なんでこてっちゃんが俺に憑いてるんだろう。もしかして、柴君が俺を心配して寄越してくれたのかな……?)

ワフンッ

 そのとおり、とでも言うように虎鉄が鳴いた。

(そっか……ありがとう)

   虎鉄もまぎれもなく礼二郎が苦手な幽霊だというのに、何故かちっとも怖くない。怖いよりも可愛さの方が遥かに勝っているのだ。それと、柴の相棒だからだろうか……。

   触れられないのは分かっているが、礼二郎は講義中に何度かこっそりと虎鉄の背中を撫でた。そのたびに池永に『礼二郎、その手はいったい何してんだ?』と突っ込まれたが、なんでもないと誤魔化した。

 その日の講義やゼミの活動は、虎鉄のおかげで最後までこなすことができた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

登山

むちむちボディ
BL
趣味として山登りを楽しむ中年男性に起こる物語です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...