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外伝1 ゲリュイオンとねがいごと
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ファフとロムラスに出逢う前。
チナ「ねぇねぇ、エイリ! 前から聞こうと思ってたんだけど」
ここは首都イザヴェルのカフェ。
三人でミクリンティーを飲みながらおしゃべり中。
エイリ「ん? なに?」
チナ「なんで雷魔法と闇魔法にしたの? 魔法の中でも特に使いづらい二つじゃない?」
エイリは”雷と闇の双剣使い”と呼ばれているように、雷魔法と闇魔法のエキスパートだ。
エイリ「え、いやそれは……私が選んだんじゃなくて、魔法に選ばれたというか……」
チナ「いやそういうのいいから」
セツナ「……ふふっ」
エイリ「えぇぇ……。あの、氷はセツナと被るでしょ?」
セツナ「うん。」
エイリ「炎は熱血というか、努力!みたいなのが私には合わないし……」
チナ「えーそんな理由? エイリ、炎魔法も得意だったのに、もったいない!」
セツナ「……じゃあ、水とか風は?」
エイリ「水は地味なイメージがあって、風も派手な技ないし」
チナ「あー、確かにエイリの使う技、ピカピカして派手なやつ多いもんね! 見た目重視というか」
エイリ「そ、そんな、人を自己顕示欲の塊みたいに言わないでよ……じゃあさ、セツナはなんで氷魔法にしたの?」
「うわ、こっちに飛んできた」と思ったけど口には出さない。
セツナ「……私は氷魔法が得意だったから。」
エイリ「うわー、フツーだフツー!」
セツナ「……そういえばチナは? チナって魔力高かったでしょ?」
チナは私たちに匹敵するほどの魔力量があるにもかかわらず、魔法を使わない。
チナ「私? うーん、魔法を練習するヒマがあったら、魔術具を一個でも開発したい、かな!」
セツナ「……そっか。チナはそれでいいと思うよ。」
予想通りの答えだった。
チナとは子供のころからの付き合いだが、当時から魔術具以外のことに興味のない子だった。
……ちなみにエイリとも幼馴染だが、あの頃のエイリは泣き虫で、私たちの後ろについて離れないような人見知りだった。
いつからこうなったのか。まあでも、人見知りなのは今でも変わらないかな。
エイリ「ほんと、チナって魔術具狂いだよねー。他に興味あることってないの?」
チナ「えー、なんだろ。そうだなぁ……ダンジョンかな!」
セツナ「……ダンジョン?」
ダンジョン――魔物や宝箱が自然と湧いてくる、冒険者に人気のスポット。
チナ「そう、聞いたことない? ダンジョンを踏破したものは願いを一つ叶えられる!って」
ダンジョン踏破は全冒険者、いや人類の目標であり、今のところ踏破者はいないとされている。
ダンジョンの奥深くに進むにつれ、どんどん魔物のランクは上がっていく一方、冒険者たちは疲労し、魔術具の魔力も切れていく。
持ち込める食糧にも限りがある上に、地上に一瞬で転移できるような魔術具はないので、復路分の食糧も考慮して進まなければならない。
そういった理由により、踏破は困難とされている。
エイリ「あー、知ってる知ってる」
セツナ「……何か叶えたいことでもあるの?」
チナ「うん、死んじゃったパパにどうしても聞きたいことがあってね」
エイリ「チナのお父さんって魔術師だったんだっけ?」
チナ「そう! パパはあんまり有名じゃなかったけど、凄腕の魔術師だったんだ! 私が魔術師になったのもパパの影響だし、魔術師になった今でもパパは私の目標なの!」
エイリ「ふぅん。で、ダンジョン踏破してまで聞きたいことって、なに?」
チナ「パパはね、たっくさんの術を思いついてたみたいで。訳の分からないヘンテコな術から実用的な術まで、色々。でも実際に魔術具を作るのはすごくお金がかかるから、術の作り方だけ記したメモを残してたんだ。これまで私が作ってきた魔術具も、それをヒントに完成させたものが多いの。エイリの”片目が赤くなる”魔術具も、パパ考案」
エイリ「そうなの!?」
セツナ「……そうだったんだ。」
エイリの左の赤目は生来のものではなく、チナに頼んで作ってもらった魔術具の効果によるものだ。
だからお風呂入るときとか寝るときは普通に黒目。
チナは鞄から一冊の本を取り出す。
チナ「これは、パパが残した最後のメモ書きが記された本。最後のページに書かれてたから、最近まで気付かなかったんだ」
セツナ「……何が書かれてたの?」
チナ「”太古の三術”――飛行・圧縮・転移――文明の滅亡とともに失われた術について。今、世界中の魔術師が血眼になって研究してるその答え、かもしれないこと」
エイリ「え!? すごいじゃん、チナのお父さんそんなことまで思いついてたんだ」
チナ「うーん、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。所々省略されてるし、字も汚くて読めないところあるし、最後まで書かれてなくてさ」
セツナ「……そっか。チナはそのことについて、直接お父様に聞きたいんだ。」
チナ「うん! ……ま、パパともっかい話したいだけ、なのかも」
エイリ「そっか。……私なら、魔術具使わなくても目が赤くなるようにお願いしようかな!」
チナ「なにそれ! あははッ」
エイリ「それにさ、チナならもうそんなメモが無くたって自分で作れるでしょ? 逆に、自分で開発してお父さんに見せた方がカッコよくない?」
チナ「……そうだね! いつまでもパパの力を借りようとしてた私がバカだった!」
セツナ「……エイリ、たまに良いこというよね。」
エイリ「たまにってねぇ……。じゃあセツナは、どんな願い事にするの?」
セツナ「……私かぁ。私は――」
チナ「あ、そうだ! セツナにも前から聞きたかったことがあったんだ」
セツナ「――え? なに?」
チナ「セツナってさ、上はすごく厚着じゃない?」
セツナ「……うん。」
チナ「なのになんで下はそんなにミニスカートなの?」
エイリ「あー! それ私も気になってた!」
エイリがニヤニヤした顔で下を見てくる。気持ち悪かった。
チナ「ねぇねぇ、エイリ! 前から聞こうと思ってたんだけど」
ここは首都イザヴェルのカフェ。
三人でミクリンティーを飲みながらおしゃべり中。
エイリ「ん? なに?」
チナ「なんで雷魔法と闇魔法にしたの? 魔法の中でも特に使いづらい二つじゃない?」
エイリは”雷と闇の双剣使い”と呼ばれているように、雷魔法と闇魔法のエキスパートだ。
エイリ「え、いやそれは……私が選んだんじゃなくて、魔法に選ばれたというか……」
チナ「いやそういうのいいから」
セツナ「……ふふっ」
エイリ「えぇぇ……。あの、氷はセツナと被るでしょ?」
セツナ「うん。」
エイリ「炎は熱血というか、努力!みたいなのが私には合わないし……」
チナ「えーそんな理由? エイリ、炎魔法も得意だったのに、もったいない!」
セツナ「……じゃあ、水とか風は?」
エイリ「水は地味なイメージがあって、風も派手な技ないし」
チナ「あー、確かにエイリの使う技、ピカピカして派手なやつ多いもんね! 見た目重視というか」
エイリ「そ、そんな、人を自己顕示欲の塊みたいに言わないでよ……じゃあさ、セツナはなんで氷魔法にしたの?」
「うわ、こっちに飛んできた」と思ったけど口には出さない。
セツナ「……私は氷魔法が得意だったから。」
エイリ「うわー、フツーだフツー!」
セツナ「……そういえばチナは? チナって魔力高かったでしょ?」
チナは私たちに匹敵するほどの魔力量があるにもかかわらず、魔法を使わない。
チナ「私? うーん、魔法を練習するヒマがあったら、魔術具を一個でも開発したい、かな!」
セツナ「……そっか。チナはそれでいいと思うよ。」
予想通りの答えだった。
チナとは子供のころからの付き合いだが、当時から魔術具以外のことに興味のない子だった。
……ちなみにエイリとも幼馴染だが、あの頃のエイリは泣き虫で、私たちの後ろについて離れないような人見知りだった。
いつからこうなったのか。まあでも、人見知りなのは今でも変わらないかな。
エイリ「ほんと、チナって魔術具狂いだよねー。他に興味あることってないの?」
チナ「えー、なんだろ。そうだなぁ……ダンジョンかな!」
セツナ「……ダンジョン?」
ダンジョン――魔物や宝箱が自然と湧いてくる、冒険者に人気のスポット。
チナ「そう、聞いたことない? ダンジョンを踏破したものは願いを一つ叶えられる!って」
ダンジョン踏破は全冒険者、いや人類の目標であり、今のところ踏破者はいないとされている。
ダンジョンの奥深くに進むにつれ、どんどん魔物のランクは上がっていく一方、冒険者たちは疲労し、魔術具の魔力も切れていく。
持ち込める食糧にも限りがある上に、地上に一瞬で転移できるような魔術具はないので、復路分の食糧も考慮して進まなければならない。
そういった理由により、踏破は困難とされている。
エイリ「あー、知ってる知ってる」
セツナ「……何か叶えたいことでもあるの?」
チナ「うん、死んじゃったパパにどうしても聞きたいことがあってね」
エイリ「チナのお父さんって魔術師だったんだっけ?」
チナ「そう! パパはあんまり有名じゃなかったけど、凄腕の魔術師だったんだ! 私が魔術師になったのもパパの影響だし、魔術師になった今でもパパは私の目標なの!」
エイリ「ふぅん。で、ダンジョン踏破してまで聞きたいことって、なに?」
チナ「パパはね、たっくさんの術を思いついてたみたいで。訳の分からないヘンテコな術から実用的な術まで、色々。でも実際に魔術具を作るのはすごくお金がかかるから、術の作り方だけ記したメモを残してたんだ。これまで私が作ってきた魔術具も、それをヒントに完成させたものが多いの。エイリの”片目が赤くなる”魔術具も、パパ考案」
エイリ「そうなの!?」
セツナ「……そうだったんだ。」
エイリの左の赤目は生来のものではなく、チナに頼んで作ってもらった魔術具の効果によるものだ。
だからお風呂入るときとか寝るときは普通に黒目。
チナは鞄から一冊の本を取り出す。
チナ「これは、パパが残した最後のメモ書きが記された本。最後のページに書かれてたから、最近まで気付かなかったんだ」
セツナ「……何が書かれてたの?」
チナ「”太古の三術”――飛行・圧縮・転移――文明の滅亡とともに失われた術について。今、世界中の魔術師が血眼になって研究してるその答え、かもしれないこと」
エイリ「え!? すごいじゃん、チナのお父さんそんなことまで思いついてたんだ」
チナ「うーん、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。所々省略されてるし、字も汚くて読めないところあるし、最後まで書かれてなくてさ」
セツナ「……そっか。チナはそのことについて、直接お父様に聞きたいんだ。」
チナ「うん! ……ま、パパともっかい話したいだけ、なのかも」
エイリ「そっか。……私なら、魔術具使わなくても目が赤くなるようにお願いしようかな!」
チナ「なにそれ! あははッ」
エイリ「それにさ、チナならもうそんなメモが無くたって自分で作れるでしょ? 逆に、自分で開発してお父さんに見せた方がカッコよくない?」
チナ「……そうだね! いつまでもパパの力を借りようとしてた私がバカだった!」
セツナ「……エイリ、たまに良いこというよね。」
エイリ「たまにってねぇ……。じゃあセツナは、どんな願い事にするの?」
セツナ「……私かぁ。私は――」
チナ「あ、そうだ! セツナにも前から聞きたかったことがあったんだ」
セツナ「――え? なに?」
チナ「セツナってさ、上はすごく厚着じゃない?」
セツナ「……うん。」
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エイリ「あー! それ私も気になってた!」
エイリがニヤニヤした顔で下を見てくる。気持ち悪かった。
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