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【第1部】―真珠の白を薔薇色に染上げて―
1.女海賊団参上
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ヴィルヘルミーナの白い海賊船
1 女海賊団参上
私が、大西洋を北上しビスケー湾にあるサンタンデールの街に行く商船に対し、略奪行為を行っていた時のことであった。
「おいこら、待て! この海賊どもめ!」
フェロル港からスペイン海軍の軍用艦が急速接近してきた。
「『待て!』といわれて待つ馬鹿はおらんわな」
「そうだよ、なあ、お頭?」
「あぁ! で、あの野郎、誰が海賊だ。おら!?」と、怒りをまき散らしているのは、キャプテンのキーナ・コスペルだ。
「そうよ、私達は海賊じゃないわ」と、相槌をついたのは、相棒のエマリー。
副キャプテンだ!
「そうだ、我らは私掠船なのだ、海賊ではないッ。
あくまで、悪い奴の積み荷を頂いている。その分は税金を納めているんだ。文句あるまい」
「その税金をどこの国に納めているのだ。敵国だろうが、お前ら!」と、海軍の船がやかましい。
そうなのだ、スペインで私掠船登録をしておきながら、キーナ達が、今、襲っている船はスペインの商船なのだから、スペイン海軍が飛んでくるのも納得なのだが。
さて、私掠船とは、そもそも、何かというと、国家登録した略奪行為を認められている船と船員のことだ。
まあ、言うなれば、海賊の国家免許があるってことだな。
もちろん、自国の船は襲えない。
特に敵対国を襲ってくれれば、国も海軍を出さずに、相手にダメージを与えられる。
そして、奪った物品には、税金の30%を戴くのだ。
30%、たったそれだけ?
日本の法人税よりも、安いじゃないかッ!?
と、思う無かれ、税金が少ないから、活発に敵対国の商船を襲ってくれるのだ。
海軍を使わず敵にダメージを与え、しかもだ、税収入になる!
国家としては、言うこと無しだ。
海賊側としては、安心して海賊行為が出来るのだから、人気商売だ!
ただルールはある。
『自国と敵対している国と私掠船契約、ダブルスタンダードをしないこと』、これが条件だ。
そう、だから、私掠船は旗と船名と船主と船長の名前は登録する。
この船、船主や出資者、船長の関係はこうだ。
船主、または、船会社は、所有する船を船長に貸し出し、仕事を依頼する。
船長は船員を集め依頼を受ける。
仕事を完了すると、税金をさっ引いた分から、船主と船長で取り分は半額だ。
船長は、その半額から自分の報酬と船員の報酬を渡すのだ。
そこで、船長は自分で船を持つことを夢見るわけだ。
船も船員も自分で賄えれば、全額、手に入る。
では、船主は半額も取って儲かるだろうと思うかもしれないが、船の修理など管理が大変な上、海賊に船ごと奪われることもある。
つまり、保険の無いこの中世に於いて、半額は、さほどウマくはないだろうが、やはり船長は船を求め、船主は船員を求めている。
すべて頂きたいのだ!
これぞ、海のロマンと言うやつだ。
さて、キーナは何故、海軍に追われているのかというと、旗を変え、名前を変え、あらゆる国と私掠船契約をしているので、誰を襲っても儲かる仕組みにしていたのだ。
それを、あるスペインの海軍大佐が気付き、逮捕しようというのだ。
「お頭、海軍の奴ら、発砲するようです」と、言ったのは、砲術長のヤスミンだ!
「こちらも発砲用意!」と、キャプテンのキーナが答える。
「キーナ、やるのね」と、副キャプテンのエマリーが言うと、
「あぁ、大砲の性能を見せつけてやるよ」と、キーナが笑った。
海軍が、“ドォーン”と発砲したが、キーナの船には、ギリギリとどかなかった。
「よし、今度はこちらの番だ」
「うてぇぇ!?」
“ドォーン、ドォーン、ドォーン”と、三連発打ち込まれた。
そのうち、一発が甲板に着弾したようだ。こちらの大砲は最新の大砲なのだ。
射程距離では負けない。
さて、海軍の船では、火消しに海兵たちの動きが、慌ただしくなっている。
そうこうしていると、我々は海軍から逃げ切れた。
さあ、ここからは、イングランドの海域、旗を取り替えることになる。※1
そして、船名も“Der Schlüssel zur Zukunft”号から“The key to the future”号に変わる。
ドーバー港に着くと、税関へ一直線に向かい、スペイン人から奪ったものを換金する。
そして、税関に掲げられているエリザベス女王の自画像に手を合わせて、なにやらそれらしいことを、ぶつくさ言って、「あぁ、私達が生活出来るのも、女王様のお陰です」と聞こえるように付け加え、職員の目をスルーする。
「カネも手に入ったら、やることは、飯、酒、そして!?」
「男ですかね?」と、イリーゼが言った。
「男!?」と、船員達が繰り返した。
「はい、男は要らないのですか? 一緒に飲むと楽しいですよ」
「やはり、街の娘は違うだっちゃ」と、カントリー娘のイライザがぶつくさ言っている。
その時、突堤から入港の鐘がなった。
もう、一船、入港するようだ。
「ほう、おそらく私掠船、同業者だろう。どんな船か? 見ておくか!」
と、女どもは、ぞろぞろと突堤近くの建物に登った。
なんと、その船は真っ黒な大型船だ。
「禍々しい」と、イリーゼは言ったが、皆、同じ意見だろう。
「船体を黒にする意味が分からん」
「まるで、ドラゴンだよな」
「悪趣味やわ!」
まあ、平たく言うと“俺たち海賊”ですと、言っているようなものだ。
その海賊船は “Ein Golden Paradies”号だった。
いや、全然、“Gold” ではなくて、真っ黒だから!
『どんな奴が船長をしているのか?』と、ワタクシ、キーナは気にはなった。
『見てみたい』
黒い大型船から積み荷がおろされ始めたが、船長らしき男は現れなかった。
「お頭、行きますぜぃ」
「あぁ、わかった」と、キーナは答え、街に出かけることにした。
海の上では、お洒落とは程遠い連中なのだから、“街のカッコも出来るようにしろ”と船員には言っている。
キーナは、海賊稼業を楽しんでいるが、実は、お貴族様なのだ。
船員達が、海賊を辞めた後、何も出来ずに食えない。
嫁のもらい手がないでは、困るだろうと言うことで、船員達には、お洒落を推奨している。
そして、皆、昼間に買ったドレスを着込んで、飲みに行くことにするぞ。
ドレスアップし、海賊には見えんだろう。
ガハハ!
しかし、普通のお嬢さんにしては、どいつもこいつも、やや腕が太いかな?
まあ、よかよか!?
いつもの待ち合わせ場所に集まり、酒場へ行く。
「お頭、今日は個室が借りれませんでした? すみません」
ほう、我々以外に個室を借りた奴らがいるのか!
それは、相当な飲み助だな。顔を見てやろうぞ!
いつもの酒場に入ると、女将さんが、駆け寄ってきた。
「今日は、申し訳ありません。個室が空かなくて」
「いや、このテーブルで楽しませてもらうよ」
「少し、サービスさせてもらうわね」
「それは、それは、ご馳走さま」と、皆で笑いあった。
ドレスアップした、ややゴツ目の女、数十人が一階を占拠してしまった。
なんか目立つな。
知らん振りしておこう。
何と言っても、ワタクシは、ドイツ貴族のご婦人なのだ。
見た目も中身も本物だ!
が、ゴツ苦しいのが、
「お頭は、何にしますか?」と、聞いてくる。
「あぁ……」、イリーゼ君、駄目やん。大きな声で言ったら!
しかも『お頭』は、ちょっとね。
まあ、取り敢えずは、乾杯だ!
「長旅、お疲れさん」
「うあぁー」と、女どもははしゃぎだした。
しばらくして、出来上がった頃だった。
それは、突然のことだった。
酒場の入り口が、開いたと思ったら、男達が、ドカドカと入ってきた。
しかも、ドレスアップした我々など、目もくれずにだ!?
「!?」という感じの船員達だか、彼らの入っていった所が、我々が借りれなかった個室だった。
「女将さん、今日もお世話になるよ」と、長身の男が入ってきた。
「いらっしゃい。いつも、ありがとうございます。キャプテンも」
キャプテンと呼ばれる男が、続いて入ってきた。
「女将さん、いつも、すまない」と、キャプテンと言われる男が返答した。
これまた長身の良い男だ。
いや、そんなことより、この黒ずくめの男は、後から入ってきた私掠船の船員達に違いない!?
そして、あの時、居なかった船長が、この男か?
海賊は海賊を知る。
ニオイでわかる。
こいつらは、海賊だ。間違いない“Ein Golden Paradies”号の連中だ。
それは、うちの船員達も感づいたようだ。
「お頭、あれは?」
「あぁ、間違いないだろう。“Ein Golden Paradies”号の連中だ」
「そやけど、あの船には、女もいるやん」と、エマリーが言った。
本当だ!?
一体こいつら、どういう集まりなんだ?
さて、黒ずくめの正体は?
※1 イングランドでは、国から海賊旗を渡される。
1 女海賊団参上
私が、大西洋を北上しビスケー湾にあるサンタンデールの街に行く商船に対し、略奪行為を行っていた時のことであった。
「おいこら、待て! この海賊どもめ!」
フェロル港からスペイン海軍の軍用艦が急速接近してきた。
「『待て!』といわれて待つ馬鹿はおらんわな」
「そうだよ、なあ、お頭?」
「あぁ! で、あの野郎、誰が海賊だ。おら!?」と、怒りをまき散らしているのは、キャプテンのキーナ・コスペルだ。
「そうよ、私達は海賊じゃないわ」と、相槌をついたのは、相棒のエマリー。
副キャプテンだ!
「そうだ、我らは私掠船なのだ、海賊ではないッ。
あくまで、悪い奴の積み荷を頂いている。その分は税金を納めているんだ。文句あるまい」
「その税金をどこの国に納めているのだ。敵国だろうが、お前ら!」と、海軍の船がやかましい。
そうなのだ、スペインで私掠船登録をしておきながら、キーナ達が、今、襲っている船はスペインの商船なのだから、スペイン海軍が飛んでくるのも納得なのだが。
さて、私掠船とは、そもそも、何かというと、国家登録した略奪行為を認められている船と船員のことだ。
まあ、言うなれば、海賊の国家免許があるってことだな。
もちろん、自国の船は襲えない。
特に敵対国を襲ってくれれば、国も海軍を出さずに、相手にダメージを与えられる。
そして、奪った物品には、税金の30%を戴くのだ。
30%、たったそれだけ?
日本の法人税よりも、安いじゃないかッ!?
と、思う無かれ、税金が少ないから、活発に敵対国の商船を襲ってくれるのだ。
海軍を使わず敵にダメージを与え、しかもだ、税収入になる!
国家としては、言うこと無しだ。
海賊側としては、安心して海賊行為が出来るのだから、人気商売だ!
ただルールはある。
『自国と敵対している国と私掠船契約、ダブルスタンダードをしないこと』、これが条件だ。
そう、だから、私掠船は旗と船名と船主と船長の名前は登録する。
この船、船主や出資者、船長の関係はこうだ。
船主、または、船会社は、所有する船を船長に貸し出し、仕事を依頼する。
船長は船員を集め依頼を受ける。
仕事を完了すると、税金をさっ引いた分から、船主と船長で取り分は半額だ。
船長は、その半額から自分の報酬と船員の報酬を渡すのだ。
そこで、船長は自分で船を持つことを夢見るわけだ。
船も船員も自分で賄えれば、全額、手に入る。
では、船主は半額も取って儲かるだろうと思うかもしれないが、船の修理など管理が大変な上、海賊に船ごと奪われることもある。
つまり、保険の無いこの中世に於いて、半額は、さほどウマくはないだろうが、やはり船長は船を求め、船主は船員を求めている。
すべて頂きたいのだ!
これぞ、海のロマンと言うやつだ。
さて、キーナは何故、海軍に追われているのかというと、旗を変え、名前を変え、あらゆる国と私掠船契約をしているので、誰を襲っても儲かる仕組みにしていたのだ。
それを、あるスペインの海軍大佐が気付き、逮捕しようというのだ。
「お頭、海軍の奴ら、発砲するようです」と、言ったのは、砲術長のヤスミンだ!
「こちらも発砲用意!」と、キャプテンのキーナが答える。
「キーナ、やるのね」と、副キャプテンのエマリーが言うと、
「あぁ、大砲の性能を見せつけてやるよ」と、キーナが笑った。
海軍が、“ドォーン”と発砲したが、キーナの船には、ギリギリとどかなかった。
「よし、今度はこちらの番だ」
「うてぇぇ!?」
“ドォーン、ドォーン、ドォーン”と、三連発打ち込まれた。
そのうち、一発が甲板に着弾したようだ。こちらの大砲は最新の大砲なのだ。
射程距離では負けない。
さて、海軍の船では、火消しに海兵たちの動きが、慌ただしくなっている。
そうこうしていると、我々は海軍から逃げ切れた。
さあ、ここからは、イングランドの海域、旗を取り替えることになる。※1
そして、船名も“Der Schlüssel zur Zukunft”号から“The key to the future”号に変わる。
ドーバー港に着くと、税関へ一直線に向かい、スペイン人から奪ったものを換金する。
そして、税関に掲げられているエリザベス女王の自画像に手を合わせて、なにやらそれらしいことを、ぶつくさ言って、「あぁ、私達が生活出来るのも、女王様のお陰です」と聞こえるように付け加え、職員の目をスルーする。
「カネも手に入ったら、やることは、飯、酒、そして!?」
「男ですかね?」と、イリーゼが言った。
「男!?」と、船員達が繰り返した。
「はい、男は要らないのですか? 一緒に飲むと楽しいですよ」
「やはり、街の娘は違うだっちゃ」と、カントリー娘のイライザがぶつくさ言っている。
その時、突堤から入港の鐘がなった。
もう、一船、入港するようだ。
「ほう、おそらく私掠船、同業者だろう。どんな船か? 見ておくか!」
と、女どもは、ぞろぞろと突堤近くの建物に登った。
なんと、その船は真っ黒な大型船だ。
「禍々しい」と、イリーゼは言ったが、皆、同じ意見だろう。
「船体を黒にする意味が分からん」
「まるで、ドラゴンだよな」
「悪趣味やわ!」
まあ、平たく言うと“俺たち海賊”ですと、言っているようなものだ。
その海賊船は “Ein Golden Paradies”号だった。
いや、全然、“Gold” ではなくて、真っ黒だから!
『どんな奴が船長をしているのか?』と、ワタクシ、キーナは気にはなった。
『見てみたい』
黒い大型船から積み荷がおろされ始めたが、船長らしき男は現れなかった。
「お頭、行きますぜぃ」
「あぁ、わかった」と、キーナは答え、街に出かけることにした。
海の上では、お洒落とは程遠い連中なのだから、“街のカッコも出来るようにしろ”と船員には言っている。
キーナは、海賊稼業を楽しんでいるが、実は、お貴族様なのだ。
船員達が、海賊を辞めた後、何も出来ずに食えない。
嫁のもらい手がないでは、困るだろうと言うことで、船員達には、お洒落を推奨している。
そして、皆、昼間に買ったドレスを着込んで、飲みに行くことにするぞ。
ドレスアップし、海賊には見えんだろう。
ガハハ!
しかし、普通のお嬢さんにしては、どいつもこいつも、やや腕が太いかな?
まあ、よかよか!?
いつもの待ち合わせ場所に集まり、酒場へ行く。
「お頭、今日は個室が借りれませんでした? すみません」
ほう、我々以外に個室を借りた奴らがいるのか!
それは、相当な飲み助だな。顔を見てやろうぞ!
いつもの酒場に入ると、女将さんが、駆け寄ってきた。
「今日は、申し訳ありません。個室が空かなくて」
「いや、このテーブルで楽しませてもらうよ」
「少し、サービスさせてもらうわね」
「それは、それは、ご馳走さま」と、皆で笑いあった。
ドレスアップした、ややゴツ目の女、数十人が一階を占拠してしまった。
なんか目立つな。
知らん振りしておこう。
何と言っても、ワタクシは、ドイツ貴族のご婦人なのだ。
見た目も中身も本物だ!
が、ゴツ苦しいのが、
「お頭は、何にしますか?」と、聞いてくる。
「あぁ……」、イリーゼ君、駄目やん。大きな声で言ったら!
しかも『お頭』は、ちょっとね。
まあ、取り敢えずは、乾杯だ!
「長旅、お疲れさん」
「うあぁー」と、女どもははしゃぎだした。
しばらくして、出来上がった頃だった。
それは、突然のことだった。
酒場の入り口が、開いたと思ったら、男達が、ドカドカと入ってきた。
しかも、ドレスアップした我々など、目もくれずにだ!?
「!?」という感じの船員達だか、彼らの入っていった所が、我々が借りれなかった個室だった。
「女将さん、今日もお世話になるよ」と、長身の男が入ってきた。
「いらっしゃい。いつも、ありがとうございます。キャプテンも」
キャプテンと呼ばれる男が、続いて入ってきた。
「女将さん、いつも、すまない」と、キャプテンと言われる男が返答した。
これまた長身の良い男だ。
いや、そんなことより、この黒ずくめの男は、後から入ってきた私掠船の船員達に違いない!?
そして、あの時、居なかった船長が、この男か?
海賊は海賊を知る。
ニオイでわかる。
こいつらは、海賊だ。間違いない“Ein Golden Paradies”号の連中だ。
それは、うちの船員達も感づいたようだ。
「お頭、あれは?」
「あぁ、間違いないだろう。“Ein Golden Paradies”号の連中だ」
「そやけど、あの船には、女もいるやん」と、エマリーが言った。
本当だ!?
一体こいつら、どういう集まりなんだ?
さて、黒ずくめの正体は?
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