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第六章 ヴィルヘルミーナの白い海賊船
番外編 ヴァルプルギスの夜 4
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また、魔女が潜り込んできたのか!
今度は、父のところでなく、何故、私のところなのか?
いや、父のところにも、潜り込んでいるかもしれない。
私一人で、闘えるのか?
すると、黒いオーラを纏うものが、もう一人現れた。
かなりの美人だ。
私は、娘やアンをはじめ、専属の使用人に力を行使した。催眠術からのプロテクトだ。
しかし、私は、忘れていたのだ。
まさか、夫を狙っているとは思わなかったのだ。私がターゲットだと思っていたからだ。
その夜は、夫のフォルカーは書類仕事を遅くまでしていたのだが、夫の罵倒する声が聞え、私は驚いて、夫の執務室に駆けて行った。
部屋の中には、例の女が倒れていた。
「この卑しい女め」と、珍しく夫が怒りを堪えられない様子だ。
「フォルカー、どうしたの?」
「この卑しい女が、色仕掛けで私を侮辱した」と。
私は、「まあ、やってしまったらどうですの」と言おうと思ったが、女からの黒いオーラ―を見て、これは策略だと気づいた。
単なる、色仕掛けではない。
大きな罠がある。
しかし、私が力を使わなくとも、よく耐えましたわね。
夫が、大声で何やら言っているが、私のことも、この女が悪く言ったらしく、許せない様だ。
――まあ、なんと良い夫なの。
「処罰は明日考える」とフォルカーは言って、下がらせたが、翌朝にはこの女はいなかった。
私は、隙を見ては、フォルカーにも催眠術のプロテクトを掛けておいた。
そして、幼い娘には、より強いプロテクトと力を使うことにした。
息子を亡くし、私にはこの子しかいないのだから。
私は、屋敷内の魔女を一掃し、しばらくは安心して暮らしていた。
あれから、すっかり趣味と化していた乗馬を楽しんでいた時のこと。
障害物を飛び越えていたら、何故か、急に人気がなくなった。
「おかしいわ。いつもなら、障害物は人が集まるはずなのに」
そして、馬がジャンプした際、四方から矢が飛んできた。
「これはクロスボウ!」
見事に転倒し、私は、頭部から落ち首も骨折したのが分かった。
しばらくして、アンが駆けてきた。
「奥様、奥様ッ」
「あぁ、アン」
その時、アンと眼があった。
私は、無意識に力を発動してしまったのだろう。
「分かりましたわ。奥様。このことは秘密にいたします」と、アンは言ってくれた。
そして、私は気を失い、絶命してしまった。
あぁ、娘が社交界に出るところは見たかったわ。
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