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七章 ひきこもり
第五十九話
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背中にディルアスを感じ、この世界に初めて来たときのことを思い出す。
あの時もこうやってゼルの背に乗せてくれた。
あれから色々あったなぁ、そんなに昔でもないのに懐かしく思う。
広い空と大地との境目を遠くに、ただ風の音だけを感じ空を行く。
何て気持ち良いのだろう。
大きく深呼吸をした。
風の音に掻き消されないようディルアスは耳元に口を近付け呼んだ。
「ユウ、どうだ?」
ディルアスの声が耳元に響いて緊張する。
「気持ち良いよ、とても! ありがとう」
お礼を言おうと思って振り向くと、間近に顔があって、ドキッと心臓が跳ねた。
あ、危なかった、もう少しで顔と顔でぶつかるところだったよ。
慌てて前に向き直すと、後ろから腰に腕を回され支えられた。
しばらく飛び続けると、その先には水平線が広がった。
青のような緑のような、さらには紫のようにも見えたり。不思議な色の海だった。太陽の光を浴びてキラキラと光り、まるで宝石の耀きのようだ。
「綺麗……」
ゼルは崖の上に降り立った。二人ともゼルから降りると、ディルアスはゼルに話しかけ、ゼルは再び空へと消えた。
「ゼルは?」
「しばらく自由にさせた」
ん? 二人きり!? 二人きりなの!? えぇ!?
「ここから海がよく見える。好きなだけいると良い」
そう言うとディルアスは座るよう促した。
崖の上に腰を下ろし、眼下には不思議な美しい海が広がる。
二人きりには緊張するが、せっかくこんなに素敵なところなんだ。目に焼き付けておこう。
座ってゆったり眺めていると、ディルアスは結界を張ったときのように、私の後ろに座り背凭れ代わりとなった。
「デ、ディルアス!」
あの時と違うのは腰に手を回し後ろから抱き締められたことだ。
後ろから抱き締められ、そして私の肩にディルアスは顔を埋めた。
ドキドキした。これはもうドキドキでしかないでしょ! どうしたら良いのか分からず固まるしかなかった。
「ユウ、すまない」
「!?」
消え入りそうな泣きそうな、そんな声でディルアスは言った。
「ど、どうしたの!? ディルアス!?」
抱き締める手に力が入る。
「すまない……すまない……」
何度も苦しそうにすまないと小さな声で繰り返す。
こんなにディルアスを苦しめていたなんて。
「ディルアスが謝らないで! ディルアスは何も悪くないじゃない!」
顔は見えないが泣いているような気がした。そんなの嫌だ! 私はディルアスの笑った顔が見たかったのに!
「ディルアス! ディルアス! 謝らないでよ。私は謝られたくない。私はずっとディルアスの笑った顔が見たかった」
「笑った……顔?」
「うん。ずっと見たかった。笑った顔が。ディルアスの幸せそうな顔が」
ディルアスがそっと顔を上げた。
「今は無理でもいつか笑った顔が見れたら嬉しいな」
消えてしまう前に。
それは言えなかった。きっとまた負担にしてしまうから。
その後はただ海を眺めた。
二人とも無言でただ海の音と風の音だけが響いていた。
でも今はそれが心地よかった。
あの時もこうやってゼルの背に乗せてくれた。
あれから色々あったなぁ、そんなに昔でもないのに懐かしく思う。
広い空と大地との境目を遠くに、ただ風の音だけを感じ空を行く。
何て気持ち良いのだろう。
大きく深呼吸をした。
風の音に掻き消されないようディルアスは耳元に口を近付け呼んだ。
「ユウ、どうだ?」
ディルアスの声が耳元に響いて緊張する。
「気持ち良いよ、とても! ありがとう」
お礼を言おうと思って振り向くと、間近に顔があって、ドキッと心臓が跳ねた。
あ、危なかった、もう少しで顔と顔でぶつかるところだったよ。
慌てて前に向き直すと、後ろから腰に腕を回され支えられた。
しばらく飛び続けると、その先には水平線が広がった。
青のような緑のような、さらには紫のようにも見えたり。不思議な色の海だった。太陽の光を浴びてキラキラと光り、まるで宝石の耀きのようだ。
「綺麗……」
ゼルは崖の上に降り立った。二人ともゼルから降りると、ディルアスはゼルに話しかけ、ゼルは再び空へと消えた。
「ゼルは?」
「しばらく自由にさせた」
ん? 二人きり!? 二人きりなの!? えぇ!?
「ここから海がよく見える。好きなだけいると良い」
そう言うとディルアスは座るよう促した。
崖の上に腰を下ろし、眼下には不思議な美しい海が広がる。
二人きりには緊張するが、せっかくこんなに素敵なところなんだ。目に焼き付けておこう。
座ってゆったり眺めていると、ディルアスは結界を張ったときのように、私の後ろに座り背凭れ代わりとなった。
「デ、ディルアス!」
あの時と違うのは腰に手を回し後ろから抱き締められたことだ。
後ろから抱き締められ、そして私の肩にディルアスは顔を埋めた。
ドキドキした。これはもうドキドキでしかないでしょ! どうしたら良いのか分からず固まるしかなかった。
「ユウ、すまない」
「!?」
消え入りそうな泣きそうな、そんな声でディルアスは言った。
「ど、どうしたの!? ディルアス!?」
抱き締める手に力が入る。
「すまない……すまない……」
何度も苦しそうにすまないと小さな声で繰り返す。
こんなにディルアスを苦しめていたなんて。
「ディルアスが謝らないで! ディルアスは何も悪くないじゃない!」
顔は見えないが泣いているような気がした。そんなの嫌だ! 私はディルアスの笑った顔が見たかったのに!
「ディルアス! ディルアス! 謝らないでよ。私は謝られたくない。私はずっとディルアスの笑った顔が見たかった」
「笑った……顔?」
「うん。ずっと見たかった。笑った顔が。ディルアスの幸せそうな顔が」
ディルアスがそっと顔を上げた。
「今は無理でもいつか笑った顔が見れたら嬉しいな」
消えてしまう前に。
それは言えなかった。きっとまた負担にしてしまうから。
その後はただ海を眺めた。
二人とも無言でただ海の音と風の音だけが響いていた。
でも今はそれが心地よかった。
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