【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

文字の大きさ
71 / 96
九章 遭遇

第七十一話

しおりを挟む
 森を抜け平地に出ると魔物の姿が露になった。

「ディルアス……」

 鼠……普通の鼠よりは大きい。でも小型化したルナやオブくらいの抱っこ出来そうな大きさだ。
 それほど強くはなさそうな魔物だ。
 しかし、数が……数が半端ない。百匹以上いそうだ。

「この多さは厄介だな」
「な、何でこんな数……」
「魔物が増えているらしい話は聞いたが、これは多すぎだな」

 森の中からぞろぞろと出てくる。

「これ、どうすれば良いの?」
「一匹ずつ倒してる余裕はない。一気にやるぞ。どうにかして一ヶ所に集めるんだ!」

 一斉に襲いかかってきた。物凄い勢いで突進してくるもの、高くジャンプして上からくるもの、入り乱れて襲いかかってくる。

「ルナは後ろからオブは上空後ろから炎をお願い!」
『分かった』

 ルナとオブの炎が鼠を背後から追いやる。
 オブの炎凄い! 試しに見せてもらうはずが実戦になるとはね。

 背後から追いやられた鼠の行く先々で氷魔法の壁を作り行く手を阻む。
 しかし何匹かはすり抜けてしまう。
 残った鼠にだけ結界を張り閉じ込める。

「やっぱり無理か」

 全部一斉には無理だ。

「いや、今ので行こう! 俺たちは残りを追い詰める。その間にユウは今結界にいるやつを先に!」
「分かった!」

 結界を張ったまま、その中に炎を。結界の内部が分からなくなるくらいの業火で焼き付くした。

 結界内部の様子がまだ分からないため、結界は維持させたまま、ディルアスたちの方を見た。

 ルナが吐き出す炎の合間を突いて、鼠がルナに噛み付く。
 ルナが吼え鼠に牙を向けている。
 数が多すぎて飛べないルナに群がって来た。

「ルナ!!」

 風魔法でルナの周りの鼠を蹴散らす。ルナはその隙に高くジャンプした。

「ルナ! こっちに!」

 ルナはこちらに駆け寄った。
 空に向けて雷撃を撃った。空高く登った雷は上空で四方八方に弾け、無数の槍のように鼠たちに突き刺さる。

 ディルアスも数十匹を結界に封じ込め炎魔法をかけているところだった。
 先程まで張っていた結界を小さく小さくしていき、そしてグッと握り締め消滅させた。

 残り数匹、取り逃がした!
 残った数匹は森に逃げて行く、逃がしたらダメだ!
 と、思った瞬間、鼠が炎で焼かれた。

「えっ!?」

 ディルアスのほうを見ても、まだ結界と炎魔法で数十匹の相手をしている最中だった。

 どういうこと? あれは誰が!?

 鼠がいた方に向き直すと森から何かが出て来た。
 索敵に敵意は引っ掛からないが、また魔物か! と身構える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。 ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。  「シェイド様、大好き!!」 「〜〜〜〜っっっ!!???」 逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...