46 / 136
本編 リディア編
第四十六話 相棒!?
しおりを挟む
イルと一緒に魔獣研究所へと行くと、ちょうどゼロとフィンが外に出ていた。
「あぁ、リディア様!」
魔獣のしつけ? らしきことをしていたレニードさんがこちらに気付き駆け寄って来た。
「昨日はありがとうございました!」
言おうとしていた言葉をレニードさんに先に言われてしまった。
「いえ、とんでもない、私の方こそありがとうございました。今日は何をされているのですか?」
「今日はフィンにここでの暮らしになれてもらおうかと……」
そうレニードさんが話していると、ゼロがこちらに向かって飛んで来た。
そのゼロの姿を目にし、負けるか! とばかりにフィンも飛んで来る。
二体の大きな魔獣が飛んで来るものだから、凄い風圧で砂埃が舞い、髪やスカートが舞い、必死にそれらを押さえる。
『リディア』
「ゼロ、昨日はありがとう、お疲れ様。疲れてない?」
『私は全くだ。リディアは大丈夫だったか?』
「アハハ、私はちょっと? いや、だいぶと? 疲れてた」
笑いながら言った。
『リディア!!』
ゼロと話しているとフィンも入って来る。ニョキッと顔を付き出し、話に入れろ、とすり寄って来た。
案の定ゼロの嫌そうな顔。いや、表情は分からないんだけどね。何でか物凄く嫌そうなのよ。
それが分かるから笑いそうになるが我慢。
「フィンも昨日は大丈夫だった?」
『俺はなんてことはない!』
フフン、と鼻を鳴らしたかのように自慢気に言うフィン。
この子も面白いなぁ、と感心していると、横ではイルが目を輝かせていた。
「イル、ゼロとフィンに触ってみる?」
そう言うとイルは大きな目をさらに見開き輝かせる。そして言葉を発するのを忘れるほど興奮したのか、何度も勢い良く首を上下にし頷いた。
背は高いのに、そういう仕草が子供のようで可愛いのよね。顔も可愛いからなおさらだ。
「ゼロ、フィン、良い?」
『私は良いぞ』
『俺も!』
イルはまずはゼロに触った。満面の笑みだ。可愛いなぁ。余程魔獣が好きなんだなぁ。
ゼロもまんざらでもない顔。
『俺も触って良いぞ!』
フィンはイルがゼロを触る手に頭をグイグイ押し付けている。
ハハハ、おかげでゼロの顔が歪んで物凄く迷惑顔。
「イル、フィンも触ってって」
イルはキラキラした表情のまま、フィンも触る。解放されたゼロは溜め息を吐きながらこちらへ寄って来た。
「フフ、ゼロ、フィンと仲良く出来そう?」
『無理だ』
「だと思った」
苦笑した。お互いの性格上まず仲良くは出来なさそうだな、と思ったよ。
「まあ喧嘩だけはしないでね」
『善処する。が、気は合わない』
「アハハ」
「リディア様、こちらを」
「?」
レニードさんが掌に乗るものを差し出した。
「これは?」
「ゼロを呼ぶための呼び笛です」
「呼び笛?」
「えぇ、ゼロに音を覚えてもらえば、離れた場所からでもゼロを呼べます。特殊な音で小さな音量ですが魔獣の聴力ならかなり遠くまで聞こえると思います」
「へぇぇ!! 凄いですね! ……ん?」
それって? 外でゼロに乗る前提の話?
「この笛はリディア様のためのものです、どうぞ」
「え、ちょっと待ってください。それを使うには城や街の外ですよね? 外でゼロに乗って良いんですか!?」
レニードさんはニコリと笑った。
「陛下に許可をいただいて来ました。ゼロはリディア様の相棒です。リディア様は自由にゼロに乗る権利がある。それに他の魔獣に襲われてもゼロが守れると証明もされましたし」
「え、それじゃあ……、自由にゼロに乗っても良いんですか!?」
「えぇ」
「!!」
ゼロの方に振り返った。
『だそうだ』
ゼロは当然だとばかりに言い切る。イルとフィンは相変わらずじゃれあっていたが、おもむろにこちらを向いた。
ゼロの首に抱き付き喜んだ。
「レニードさん、ありがとうございます!! 嬉しい!!」
これから自由にゼロに乗れる! 大空を飛べる!
「ゼロの檻にもう鍵は付いていません。どうぞご自由にいらしてください」
「!! ありがとうございます!!」
「笛はゼロと一緒に練習してくださいね。首から下げられるようにしてありますので」
「分かりました!」
呼び笛は細長い笛で、カナデの記憶と照らし合わせると犬笛みたい?
首から下げられるように銀色のチェーンが付いてある。
「じゃあまた色々練習しないとね!」
ゼロに向かって言った。
『あぁ、楽しみだ』
ゼロの声もウキウキしたように聞こえ嬉しかった。
「リディ、ゼロに乗るの?」
イルがフィンに触りながら聞いて来る。
「うん、ゼロは私の相棒だから今後自由に乗っても良いって許可をいただいたの」
「い、良いなぁ」
「イルもフィンに乗る練習をしてみる?」
「良いの!?」
フィンを撫でながら物凄く嬉しそうな顔だ。
「レニードさん、イルグスト殿下がフィンに乗ることは可能ですか?」
「イルグスト殿下がフィンに……。フィンはまだ騎乗練習を行っていないので、まず人間に慣れるために毎日会いに来てくださるならば……」
「来る!!」
おぉ、イルが大きな声で返事をした。
「イルグスト殿下はフィンと仲良くなりそうですね」
レニードさんはこれまた嬉しそうな顔をした。
「ではまた笛の練習を兼ねて騎乗しに来ますね」
「えぇ」
レニードさんの表情は嬉しさが滲み出ていた。イルと同様に分かりやすいくらい魔獣が好きなんだなぁ。
「ゼロ、また来るね」
『あぁ』
ゼロは顔を擦り寄せて来たかと思うと、頬を少し舐め、耳元で囁いた。
『楽しみにしている』
耳元で囁かれゾクリとし、すぐ横にあるゼロの顔を両手で押さえ、目を合わせた。
「もう! ゼロ!」
少し怒った顔をすると、ゼロは笑った。
『ハハ、楽しみなのは本当だからな』
「フフ、うん、分かってる、私も楽しみだよ」
「フィン、フィンはイルのことよろしくね!」
『ん? こいつか? こいつを乗せるのか?』
「そうだよ。イルって言うの。魔獣が大好きな子だから、きっとフィンと上手くやれるよ!」
『俺は誰とでも上手くやれるぞ!』
「うん、お願いね!」
そう言って魔獣研究所を後にした。イルにはそのまま魔獣研究所に残っても良いと伝えたが、迷った挙げ句、私に付いて来た。
部屋に戻るために歩いていると、ふと思う。
これからゼロに会いに行くのが増えそうだなぁ、なら魔獣研究所が遠いのは時間がもったいないなぁ。
「ルーに馬の乗り方教わる約束してたよねぇ」
「お嬢様?」
ボソッと呟いた言葉にマニカが反応した。イルもオルガもどうしたのか、という顔だ。
「あ、ごめん、以前ルーが馬の乗り方を教えてくれるって言ってたな、と思って。魔獣研究所へこれから行く機会増えそうだし、馬に乗れたほうが早そうだな、と」
マニカは呆れ顔。令嬢らしからぬ方向へどんどん進んでいるものね。ごめん。
「ルーに聞いてみようかな」
オルガにルーの私室を案内してもらい向かう。何故だかイルまで付いて来るけど。
ルーの私室までは少し距離があった。もうすぐ着く、あの角を曲がったところだ、とオルガに教わり、廊下の角を曲がると、正面からルーが歩いて来ていた。
「ん? リディ? 何してるんだ? こんなところで」
「あ、ルー、会えて良かった!」
「?」
「ルーにお願いがあって」
「? お願い? ……、何でイルグストと一緒にいるんだ?」
お願いの話をしようかとした時、背後のイルに目をやり聞いて来た。
「たまたま会って。陛下にもお願いされてたから」
「あー、そういえばそうだったな」
ルーは苦笑した。
「お願いって何だ?」
「うん、以前ルーが馬の乗り方を教えてくれるって言ってたでしょ? それ、教えてもらえないかな、と」
「あー、それな、良いぞ……」
「馬の乗り方なら私が教えよう」
「!?」
ルーが最後まで言い切るのを待たずに聞こえて来た返事は背後から聞こえた。
ルーの顔がひきつっている。
後ろを振り向くと、そこにいたのはシェスレイト殿下だった……。
「あぁ、リディア様!」
魔獣のしつけ? らしきことをしていたレニードさんがこちらに気付き駆け寄って来た。
「昨日はありがとうございました!」
言おうとしていた言葉をレニードさんに先に言われてしまった。
「いえ、とんでもない、私の方こそありがとうございました。今日は何をされているのですか?」
「今日はフィンにここでの暮らしになれてもらおうかと……」
そうレニードさんが話していると、ゼロがこちらに向かって飛んで来た。
そのゼロの姿を目にし、負けるか! とばかりにフィンも飛んで来る。
二体の大きな魔獣が飛んで来るものだから、凄い風圧で砂埃が舞い、髪やスカートが舞い、必死にそれらを押さえる。
『リディア』
「ゼロ、昨日はありがとう、お疲れ様。疲れてない?」
『私は全くだ。リディアは大丈夫だったか?』
「アハハ、私はちょっと? いや、だいぶと? 疲れてた」
笑いながら言った。
『リディア!!』
ゼロと話しているとフィンも入って来る。ニョキッと顔を付き出し、話に入れろ、とすり寄って来た。
案の定ゼロの嫌そうな顔。いや、表情は分からないんだけどね。何でか物凄く嫌そうなのよ。
それが分かるから笑いそうになるが我慢。
「フィンも昨日は大丈夫だった?」
『俺はなんてことはない!』
フフン、と鼻を鳴らしたかのように自慢気に言うフィン。
この子も面白いなぁ、と感心していると、横ではイルが目を輝かせていた。
「イル、ゼロとフィンに触ってみる?」
そう言うとイルは大きな目をさらに見開き輝かせる。そして言葉を発するのを忘れるほど興奮したのか、何度も勢い良く首を上下にし頷いた。
背は高いのに、そういう仕草が子供のようで可愛いのよね。顔も可愛いからなおさらだ。
「ゼロ、フィン、良い?」
『私は良いぞ』
『俺も!』
イルはまずはゼロに触った。満面の笑みだ。可愛いなぁ。余程魔獣が好きなんだなぁ。
ゼロもまんざらでもない顔。
『俺も触って良いぞ!』
フィンはイルがゼロを触る手に頭をグイグイ押し付けている。
ハハハ、おかげでゼロの顔が歪んで物凄く迷惑顔。
「イル、フィンも触ってって」
イルはキラキラした表情のまま、フィンも触る。解放されたゼロは溜め息を吐きながらこちらへ寄って来た。
「フフ、ゼロ、フィンと仲良く出来そう?」
『無理だ』
「だと思った」
苦笑した。お互いの性格上まず仲良くは出来なさそうだな、と思ったよ。
「まあ喧嘩だけはしないでね」
『善処する。が、気は合わない』
「アハハ」
「リディア様、こちらを」
「?」
レニードさんが掌に乗るものを差し出した。
「これは?」
「ゼロを呼ぶための呼び笛です」
「呼び笛?」
「えぇ、ゼロに音を覚えてもらえば、離れた場所からでもゼロを呼べます。特殊な音で小さな音量ですが魔獣の聴力ならかなり遠くまで聞こえると思います」
「へぇぇ!! 凄いですね! ……ん?」
それって? 外でゼロに乗る前提の話?
「この笛はリディア様のためのものです、どうぞ」
「え、ちょっと待ってください。それを使うには城や街の外ですよね? 外でゼロに乗って良いんですか!?」
レニードさんはニコリと笑った。
「陛下に許可をいただいて来ました。ゼロはリディア様の相棒です。リディア様は自由にゼロに乗る権利がある。それに他の魔獣に襲われてもゼロが守れると証明もされましたし」
「え、それじゃあ……、自由にゼロに乗っても良いんですか!?」
「えぇ」
「!!」
ゼロの方に振り返った。
『だそうだ』
ゼロは当然だとばかりに言い切る。イルとフィンは相変わらずじゃれあっていたが、おもむろにこちらを向いた。
ゼロの首に抱き付き喜んだ。
「レニードさん、ありがとうございます!! 嬉しい!!」
これから自由にゼロに乗れる! 大空を飛べる!
「ゼロの檻にもう鍵は付いていません。どうぞご自由にいらしてください」
「!! ありがとうございます!!」
「笛はゼロと一緒に練習してくださいね。首から下げられるようにしてありますので」
「分かりました!」
呼び笛は細長い笛で、カナデの記憶と照らし合わせると犬笛みたい?
首から下げられるように銀色のチェーンが付いてある。
「じゃあまた色々練習しないとね!」
ゼロに向かって言った。
『あぁ、楽しみだ』
ゼロの声もウキウキしたように聞こえ嬉しかった。
「リディ、ゼロに乗るの?」
イルがフィンに触りながら聞いて来る。
「うん、ゼロは私の相棒だから今後自由に乗っても良いって許可をいただいたの」
「い、良いなぁ」
「イルもフィンに乗る練習をしてみる?」
「良いの!?」
フィンを撫でながら物凄く嬉しそうな顔だ。
「レニードさん、イルグスト殿下がフィンに乗ることは可能ですか?」
「イルグスト殿下がフィンに……。フィンはまだ騎乗練習を行っていないので、まず人間に慣れるために毎日会いに来てくださるならば……」
「来る!!」
おぉ、イルが大きな声で返事をした。
「イルグスト殿下はフィンと仲良くなりそうですね」
レニードさんはこれまた嬉しそうな顔をした。
「ではまた笛の練習を兼ねて騎乗しに来ますね」
「えぇ」
レニードさんの表情は嬉しさが滲み出ていた。イルと同様に分かりやすいくらい魔獣が好きなんだなぁ。
「ゼロ、また来るね」
『あぁ』
ゼロは顔を擦り寄せて来たかと思うと、頬を少し舐め、耳元で囁いた。
『楽しみにしている』
耳元で囁かれゾクリとし、すぐ横にあるゼロの顔を両手で押さえ、目を合わせた。
「もう! ゼロ!」
少し怒った顔をすると、ゼロは笑った。
『ハハ、楽しみなのは本当だからな』
「フフ、うん、分かってる、私も楽しみだよ」
「フィン、フィンはイルのことよろしくね!」
『ん? こいつか? こいつを乗せるのか?』
「そうだよ。イルって言うの。魔獣が大好きな子だから、きっとフィンと上手くやれるよ!」
『俺は誰とでも上手くやれるぞ!』
「うん、お願いね!」
そう言って魔獣研究所を後にした。イルにはそのまま魔獣研究所に残っても良いと伝えたが、迷った挙げ句、私に付いて来た。
部屋に戻るために歩いていると、ふと思う。
これからゼロに会いに行くのが増えそうだなぁ、なら魔獣研究所が遠いのは時間がもったいないなぁ。
「ルーに馬の乗り方教わる約束してたよねぇ」
「お嬢様?」
ボソッと呟いた言葉にマニカが反応した。イルもオルガもどうしたのか、という顔だ。
「あ、ごめん、以前ルーが馬の乗り方を教えてくれるって言ってたな、と思って。魔獣研究所へこれから行く機会増えそうだし、馬に乗れたほうが早そうだな、と」
マニカは呆れ顔。令嬢らしからぬ方向へどんどん進んでいるものね。ごめん。
「ルーに聞いてみようかな」
オルガにルーの私室を案内してもらい向かう。何故だかイルまで付いて来るけど。
ルーの私室までは少し距離があった。もうすぐ着く、あの角を曲がったところだ、とオルガに教わり、廊下の角を曲がると、正面からルーが歩いて来ていた。
「ん? リディ? 何してるんだ? こんなところで」
「あ、ルー、会えて良かった!」
「?」
「ルーにお願いがあって」
「? お願い? ……、何でイルグストと一緒にいるんだ?」
お願いの話をしようかとした時、背後のイルに目をやり聞いて来た。
「たまたま会って。陛下にもお願いされてたから」
「あー、そういえばそうだったな」
ルーは苦笑した。
「お願いって何だ?」
「うん、以前ルーが馬の乗り方を教えてくれるって言ってたでしょ? それ、教えてもらえないかな、と」
「あー、それな、良いぞ……」
「馬の乗り方なら私が教えよう」
「!?」
ルーが最後まで言い切るのを待たずに聞こえて来た返事は背後から聞こえた。
ルーの顔がひきつっている。
後ろを振り向くと、そこにいたのはシェスレイト殿下だった……。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる