11 / 15
第11話 監禁
しおりを挟む
しかしそんなことに気付いていない様子のロベルト様。なんだかあまりの無能っぷりにこんな方だったかしら、と別人のような気にもなってきてしまう。
「父上はご存じない。これから話すつもりだ」
お父様は頭を抱えた。そして深い溜め息を吐く。
「まずは国王陛下にご相談なさいませ。ロザリアに頼むのはそれからです」
「ナジェスト公爵、未来の王妃のためなのだぞ!?」
「その未来の王妃であるロザリアを捨てたのはどなたです」
「う……」
怒りを露わにするお父様。言葉は丁寧だが、激しい怒りを感じる。ロベルト様はそんなお父様から目を逸らし私を見た。
「ロザリア」
「私はお父様に従いますわ」
お父様が怒ってくださったおかげで私は少し落ち着いた。だからこそ冷静に返事が出来る。
フィリア様はなにもおっしゃらないけれど、ご自身のことなのになにを思ってらっしゃるのかしら。
ちらりとフィリア様を見ても、なんだか悔しさを滲ませたようなお顔をされてはいますが、一言も言葉になさらない。
自分が負かしたと思っていた女に、頭なんか下げたくありませんわよね。それは分かりますわ。ロベルト様がちょっとおかしいのよ。無神経というか、状況が見えていないというか……っとダメね。失言ばかりになってしまうわ。
「さあ、ロザリア帰ろう」
「ま、待て!!」
退室しようとお父様が私に促した途端、ロベルト様は私の腕を掴み引き戻した。
「ロベルト様!?」
「帰ることは許さない」
「「!?」」
そして私とお父様は王城に足止めされ、滞在という名で監禁されたのだった。
その後何度となくロベルト様がやって来ては話し合ったが、私がフィリア様のお手伝いをするまではここから出さない、帰さない、と脅され、王城へ到着してから一週間ほどが経ってしまったのだ。
ラキシスには毎日手紙を出しているのだが、果たしてちゃんと届けてもらえているのだろうか。心配をしていなければいいのだけれど。
もうすぐ結婚式だというのにこんなところに足止めされてしまうだなんて。
諦めて受け入れたほうがいいのかしら。受け入れたらここから出してもらえて結婚式も挙げられる? でもそのあとは? フィリア様の教育お手伝いなんてしてしまったら、ダルヴァン辺境伯領に戻れないじゃないの。ラキシスの傍にいられない。それはダメよ!
そんなことを行ったり来たりと悶々と考えていると、監禁されている部屋の扉が叩かれた。
「はい」
扉に向かって返事をすると、外からは聞き覚えのある声がした。
「フィリアです。ロザリア様、少しお話よろしいですか?」
「……どうぞ」
フィリア様はおずおずと部屋のなかへと入ってきた。
お父様に二人で話したいとお願いし、危険はないだろうと判断されたお父様は隣の部屋へと席を外した。
「お茶を召し上がりますか?」
いつまでももじもじと立ったままのフィリア様にテーブルへ着くよう促すと、侍女にお茶を用意するようにお願いした。
監禁といえどもさすがに牢屋とかにいるわけではない。お父様と二人で快適に過ごせるくらいの広さの部屋に、着替えなども用意され、侍女も付けてもらえている。
それは良かったのだけれど、外には自由に出ることが叶わない。扉の前には見張りの騎士が立っている。騎士たちは申し訳なさそうな顔をしながら、それでも王太子殿下には逆らえない。申し訳ない、と言いながら外出を阻む。だからやはり《監禁》なのだ。
「それで今日はどういったご用件で?」
侍女が用意してくれたお茶を口に運びながらフィリア様に言葉を投げる。
フィリア様はお茶のカップを握り締め、俯きながら考えているようだ。
「あ、あの……」
しばらくの沈黙を経て、フィリア様はようやく話し出した。
「あの……私、謝りませんから!」
「は?」
ようやく話し出したかと思ったらいきなりなにをおっしゃっているのかしら。
「私、謝りませんから!!」
「だからなにを」
フィリア様が謝ることといえば、ロベルト様を奪ったこと? 今回のお手伝いのこと? 夜会のときになんの言葉もなかったこと? お手伝いで揉めているときですらなにもおっしゃらなかったこと? 正直思い当たることが多過ぎてどれだか分からない。
「私、別にロザリア様からロベルト様を奪おうとか思ってなかったですから!」
「……」
なにを今さら……一体なんのお話なのやら……
「父上はご存じない。これから話すつもりだ」
お父様は頭を抱えた。そして深い溜め息を吐く。
「まずは国王陛下にご相談なさいませ。ロザリアに頼むのはそれからです」
「ナジェスト公爵、未来の王妃のためなのだぞ!?」
「その未来の王妃であるロザリアを捨てたのはどなたです」
「う……」
怒りを露わにするお父様。言葉は丁寧だが、激しい怒りを感じる。ロベルト様はそんなお父様から目を逸らし私を見た。
「ロザリア」
「私はお父様に従いますわ」
お父様が怒ってくださったおかげで私は少し落ち着いた。だからこそ冷静に返事が出来る。
フィリア様はなにもおっしゃらないけれど、ご自身のことなのになにを思ってらっしゃるのかしら。
ちらりとフィリア様を見ても、なんだか悔しさを滲ませたようなお顔をされてはいますが、一言も言葉になさらない。
自分が負かしたと思っていた女に、頭なんか下げたくありませんわよね。それは分かりますわ。ロベルト様がちょっとおかしいのよ。無神経というか、状況が見えていないというか……っとダメね。失言ばかりになってしまうわ。
「さあ、ロザリア帰ろう」
「ま、待て!!」
退室しようとお父様が私に促した途端、ロベルト様は私の腕を掴み引き戻した。
「ロベルト様!?」
「帰ることは許さない」
「「!?」」
そして私とお父様は王城に足止めされ、滞在という名で監禁されたのだった。
その後何度となくロベルト様がやって来ては話し合ったが、私がフィリア様のお手伝いをするまではここから出さない、帰さない、と脅され、王城へ到着してから一週間ほどが経ってしまったのだ。
ラキシスには毎日手紙を出しているのだが、果たしてちゃんと届けてもらえているのだろうか。心配をしていなければいいのだけれど。
もうすぐ結婚式だというのにこんなところに足止めされてしまうだなんて。
諦めて受け入れたほうがいいのかしら。受け入れたらここから出してもらえて結婚式も挙げられる? でもそのあとは? フィリア様の教育お手伝いなんてしてしまったら、ダルヴァン辺境伯領に戻れないじゃないの。ラキシスの傍にいられない。それはダメよ!
そんなことを行ったり来たりと悶々と考えていると、監禁されている部屋の扉が叩かれた。
「はい」
扉に向かって返事をすると、外からは聞き覚えのある声がした。
「フィリアです。ロザリア様、少しお話よろしいですか?」
「……どうぞ」
フィリア様はおずおずと部屋のなかへと入ってきた。
お父様に二人で話したいとお願いし、危険はないだろうと判断されたお父様は隣の部屋へと席を外した。
「お茶を召し上がりますか?」
いつまでももじもじと立ったままのフィリア様にテーブルへ着くよう促すと、侍女にお茶を用意するようにお願いした。
監禁といえどもさすがに牢屋とかにいるわけではない。お父様と二人で快適に過ごせるくらいの広さの部屋に、着替えなども用意され、侍女も付けてもらえている。
それは良かったのだけれど、外には自由に出ることが叶わない。扉の前には見張りの騎士が立っている。騎士たちは申し訳なさそうな顔をしながら、それでも王太子殿下には逆らえない。申し訳ない、と言いながら外出を阻む。だからやはり《監禁》なのだ。
「それで今日はどういったご用件で?」
侍女が用意してくれたお茶を口に運びながらフィリア様に言葉を投げる。
フィリア様はお茶のカップを握り締め、俯きながら考えているようだ。
「あ、あの……」
しばらくの沈黙を経て、フィリア様はようやく話し出した。
「あの……私、謝りませんから!」
「は?」
ようやく話し出したかと思ったらいきなりなにをおっしゃっているのかしら。
「私、謝りませんから!!」
「だからなにを」
フィリア様が謝ることといえば、ロベルト様を奪ったこと? 今回のお手伝いのこと? 夜会のときになんの言葉もなかったこと? お手伝いで揉めているときですらなにもおっしゃらなかったこと? 正直思い当たることが多過ぎてどれだか分からない。
「私、別にロザリア様からロベルト様を奪おうとか思ってなかったですから!」
「……」
なにを今さら……一体なんのお話なのやら……
98
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢は、ざまぁの先で国を動かす ――元王太子の後悔が届かないほど、私は前へ進みます』
ふわふわ
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢ロザリーは、
王太子エドワードの婚約者として完璧に役目を果たしてきた――はずだった。
しかし彼女に返ってきたのは、
「聖女」と名乗る平民の少女に心酔した王太子からの一方的な婚約破棄。
感情論と神託に振り回され、
これまでロザリーが支えてきた国政はたちまち混乱していく。
けれど、ロザリーは泣かない。縋らない。復讐に溺れもしない。
「では、私は“必要な場所”へ行きますわ」
冷静に、淡々と、
彼女は“正しい判断”と“責任の取り方”だけで評価を積み上げ、
やがて王太子すら手を出せない国政の中枢へ――。
感情で選んだ王太子は静かに失墜し、
理性で積み上げた令嬢は、誰にも代替できない存在になる。
これは、
怒鳴らない、晒さない、断罪しない。
それでも確実に差がついていく、**強くて静かな「ざまぁ」**の物語。
婚約破棄の先に待っていたのは、
恋愛の勝利ではなく、
「私がいなくても国が回る」ほどの完成された未来だった。
――ざまぁの、そのさらに先へ進む令嬢の物語。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
◆◆◆浪費家呼ばわりされた宮廷調香師ですが、私の香りを理解してくれる方と歩みます◆◆◆
ささい
恋愛
婚約者のジュリアンは、私の仕事を一度も認めてくれなかった。
「高価な香料ばかり使う浪費家」「誰にでも代わりが務まる仕事」――四年間、蔑まれ続けた。
でも、私の作る香りは王妃陛下や兵士たち、貧しい人々の心を癒してきた。
夜会で「香料の匂いが染みついた女」と罵られた時、私は決めた。
この場で婚約を解消しようと。
すると彼は修道院送り。一方、私は首席調香師に任命された。
そして、私の仕事を心から尊敬してくれる優しい薬師と出会う。
「俺、これからもあなたの仕事、一番近くで応援したいです」
私は今、自分の価値を理解してくれる人と、新しい道を歩み始める。
ざまあしっかり目に書きました。修道院行きです( ^^) _旦~~
※小説家になろうにも投稿しております
愛に代えて鮮やかな花を
ono
恋愛
公爵令嬢エリシア・グローヴナーは、舞踏会の場で王太子アリステアより婚約破棄を言い渡される。
彼の隣には無垢な平民の娘、エヴァンジェリンがいた。
王太子の真実の愛を前にしてエリシアの苦い復讐が叶うまで。
※ハッピーエンドですが、スカッとはしません。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる