3 / 148
【 序幕 】 未覚醒の聖女はお荷物
③ 神の力に目覚める時
しおりを挟む
月明りを頼りにふたりは夜道を駆けた。そこはすでに辺鄙な農村だ。川沿いを走り続けると道に傾斜が出てくる。
「山のふもとだな」
「もう、走れない……」
「今夜はここまでか」
ポラリスを頼りに方角を見ていたアンヴァルも足を止めた。
「どこに向かっているの? 行く当てなんて……」
戸惑う彼女は、アンヴァルの顔を不安げに見た。
「あら? 怪我してる」
月明りに照らされて、ようやくそれに気付いた。彼の頬に切り傷が刻まれ、血が滲んでいる。
「ああ、馬を走らせていた時、伸びた梢に引っかかって」
「手当てしなきゃ」
「いいよ、そのうち治る」
「だめよ。跡になってしまうわ!」
彼の頬は戦場に立つ男の持つものとは思えぬ、白磁さながらの滑らかな肌だ。本人はそんな扱いされたくないだろうが──、
アリアンロッドはこの頬に傷を残しては大変だと焦った。
周囲に草木の茂る原っぱも見える。一度目を閉じて、草の香りを嗅いでみると。
「ヨモギの香りが流れてる」
「おいっ」
彼女は間髪を入れず走り出した。
「うん。これこれ」
香りをアテにヨモギを摘み、近くの清い湧き水で洗ったら、それを彼の頬に当てた。
月明りで彼女の安心した顔を目に入れたアンヴァルは、己の頬に血が集うのを感じ、思わず彼女の手当てする手首を握った。
「……?」
「もう殺菌効果、出たから大丈夫だ。今夜はここで野宿するぞ」
「野宿っ?」
アリアンロッドはたじろいだが、確かにクタクタなので町まで歩ける気がしない。大人しく彼に指示に従うことにした。
アンヴァルが薪と葉を集め火を熾す間、アリアは自分の着衣の隙間に摘んだヨモギをせっせと忍ばせていた。
「何やってるんだ?」
「ヨモギは便利だから、できるだけ持ち運ぶわ」
ふたりはとりあえず腰を落ち着け暖を取る。アンヴァルの口ぶりでは、今は仮眠を取り、夜が明けたら近くの町を訪問するとのことだ。
彼の落ち着いた声音のおかげで、アリアンロッドも少しずつだが、思考がクリアになっていく。
「ねえ、どうしてあなたがここに? あなたはディオ様の近衛なのに」
アリアンロッドはアンヴァルに経緯を尋ねた。
アリアンロッドよりひとつ年上のこのアンヴァルは、子どもの頃、業務の一つとして彼女の護身術の指南役をしていた。しかし最近では彼も兵隊をまとめる任務に忙しく、アリアンロッドの暇つぶし相手にはなれずにいた。
その彼がこの緊急事態に、彼女の前に姿を現した。彼は目線をわずかに逸らし、頬を一本指で掻きながら言葉を返す。
「たまたま仕事に出る途中で、通りすがりに……」
長い付き合いでアリアンロッドには分かってしまう。アンヴァルの泳ぐ目線は、隠し事へのうしろめたさだということを。
「たまたまなんてあるわけないじゃない! やっぱりディオ様が……」
言葉にするのも恐ろしくて、その声は先細りしたが、耐えきれず零してしまった。
「私を消そうとして、賊を雇ったのよね?」
「は?」
「あなたも実は私に差し向けられた刺客なんでしょ!?」
「はぁ!?」
彼の顔に困惑と多少の憤りが浮かぶ。
しかし今の彼女は不信感の塊で、彼の表情を推し量ることもかなわない。
「あなたは知ってたんでしょう? それで確認しに来たんでしょ。私がちゃんと亡き者にされているか」
「殿下はそんな方じゃないだろ! お前がいちばん分かってるはずだ」
彼は苦悶混じりの顔を背け、呟いた。
「本当に何も聞かされていないのか……」
ただそんな一言は、アリアンロッドの耳に届かなかった。
「力に目覚めない聖女なんて国にとってなんの価値もない、そんなことずっと前から分かってる! でもディオ様は私を聖女ではなく、ただひとりの……人として、親愛の情を注いでくれていた……そう信じてた」
「アリア……」
彼女の膝に、ぽたりぽたりと涙がこぼれ落ちる。アンヴァルはそれをぬぐいたくて、しかし王太子ではない他の男の手ではいけないのだと、手をひっこめた。
「現実はディオ様にとっても私なんて、国家運営の駒の一つに過ぎなかった。予言のひとつもできない聖女で、今後目覚めるあてもない。それなら殺してしまえば、この胸の刻印が浮かび上がる少女がまた現れる。その新たな少女に賭けたほうがいくらか心休まるのでしょう」
「お前、本当に殿下のことを、そんなふうに思っているのか?」
アンヴァルの瞳が心底失望して見えるのは、アリアンロッドもまだ信じているからだろうか。
「だいたいあなただって、彼の命でここまで来たんでしょ? なんで私を助けたの!? もしかして、この人気の全くないこの場でっ……」
「俺は……」
今の興奮状態の彼女に何を言っても伝わらない、そう思い直したアンヴァルは、
「これからお前に付き従う」
簡潔に今後のことだけを話そうと決めた。
「え?」
「さっきのはおそらく隣国の間者に雇われた輩だ。王宮から出てくる馬車を無差別に襲い、内部の混乱を狙っているんだろう」
そこでやっとアリアンロッドは王太子が隣国との関係について、危惧する物言いをしていたことを思い出した。しかし不測の事態というなら、王太子近衛の彼が主君のそばを離れるのも釈然としない。
「あなたはディオ様の意中を、何か知っているの?」
その問いに、アンヴァルは形のいい唇を固く結び、真摯な目線だけを返した。
(そう。口の軽い近衛兵なんて王家の信頼は得られないわよね)
「王城に戻りたいか?」
「!」
アリアンロッドは目を見開いた。その目でじっと彼の眼を見つめると、髪色と揃いの漆黒の瞳に、蒼い炎が揺れる。
「何を言ってるの……」
「戻りたいか?」
戻ったところで居場所なんて、もう。と言いたかった。それでも。
「戻りたい!!」
たとえ受け入れられることはなくても傍にいたいと、温かい思いを寄せてきた人の、真実の心にもういちど触れたくて、力いっぱい声を張り上げた。
「私は次期大聖女だもの! そのためにずっと勉学、武術、歌の技術に王族の作法まで、鍛錬を積んできた。このままじゃ納得いかない。必ず帰るわ!」
その叫びの瞬間、アリアンロッドの心臓が、ドクンッ!と高ぶった。
「どうした?」
固まってしまった彼女の表情を訝しみ、アンヴァルは彼女の顔をのぞき込んだ。しかし彼女は彼の心配すら受け取る余裕なく、己の中の違和感と向き合っている。
「……? 声が聴こえる……」
アリアンロッドがバッと、自分の身体を両腕で抱きしめた。それはおぼつかなげな形相で。
「どうしたんだよ!?」
「ヴァル……、風が……なんだか私、吸い込まれそう……」
「は?」
「手を握って」
そう震える手をそっと差し出した。
「手?」
訳も分からずアンヴァルは、言われるまま両手を握る。
「だめ……だんだん強くなる……!!」
この訴えと同時に慌ててその手を振りほどき、彼の胸に飛び込んだ。
(このままでは……!)
しかし為す術もなく、心の中でこう悲鳴を上げていた。
────私、飛んでいっちゃう!!
「山のふもとだな」
「もう、走れない……」
「今夜はここまでか」
ポラリスを頼りに方角を見ていたアンヴァルも足を止めた。
「どこに向かっているの? 行く当てなんて……」
戸惑う彼女は、アンヴァルの顔を不安げに見た。
「あら? 怪我してる」
月明りに照らされて、ようやくそれに気付いた。彼の頬に切り傷が刻まれ、血が滲んでいる。
「ああ、馬を走らせていた時、伸びた梢に引っかかって」
「手当てしなきゃ」
「いいよ、そのうち治る」
「だめよ。跡になってしまうわ!」
彼の頬は戦場に立つ男の持つものとは思えぬ、白磁さながらの滑らかな肌だ。本人はそんな扱いされたくないだろうが──、
アリアンロッドはこの頬に傷を残しては大変だと焦った。
周囲に草木の茂る原っぱも見える。一度目を閉じて、草の香りを嗅いでみると。
「ヨモギの香りが流れてる」
「おいっ」
彼女は間髪を入れず走り出した。
「うん。これこれ」
香りをアテにヨモギを摘み、近くの清い湧き水で洗ったら、それを彼の頬に当てた。
月明りで彼女の安心した顔を目に入れたアンヴァルは、己の頬に血が集うのを感じ、思わず彼女の手当てする手首を握った。
「……?」
「もう殺菌効果、出たから大丈夫だ。今夜はここで野宿するぞ」
「野宿っ?」
アリアンロッドはたじろいだが、確かにクタクタなので町まで歩ける気がしない。大人しく彼に指示に従うことにした。
アンヴァルが薪と葉を集め火を熾す間、アリアは自分の着衣の隙間に摘んだヨモギをせっせと忍ばせていた。
「何やってるんだ?」
「ヨモギは便利だから、できるだけ持ち運ぶわ」
ふたりはとりあえず腰を落ち着け暖を取る。アンヴァルの口ぶりでは、今は仮眠を取り、夜が明けたら近くの町を訪問するとのことだ。
彼の落ち着いた声音のおかげで、アリアンロッドも少しずつだが、思考がクリアになっていく。
「ねえ、どうしてあなたがここに? あなたはディオ様の近衛なのに」
アリアンロッドはアンヴァルに経緯を尋ねた。
アリアンロッドよりひとつ年上のこのアンヴァルは、子どもの頃、業務の一つとして彼女の護身術の指南役をしていた。しかし最近では彼も兵隊をまとめる任務に忙しく、アリアンロッドの暇つぶし相手にはなれずにいた。
その彼がこの緊急事態に、彼女の前に姿を現した。彼は目線をわずかに逸らし、頬を一本指で掻きながら言葉を返す。
「たまたま仕事に出る途中で、通りすがりに……」
長い付き合いでアリアンロッドには分かってしまう。アンヴァルの泳ぐ目線は、隠し事へのうしろめたさだということを。
「たまたまなんてあるわけないじゃない! やっぱりディオ様が……」
言葉にするのも恐ろしくて、その声は先細りしたが、耐えきれず零してしまった。
「私を消そうとして、賊を雇ったのよね?」
「は?」
「あなたも実は私に差し向けられた刺客なんでしょ!?」
「はぁ!?」
彼の顔に困惑と多少の憤りが浮かぶ。
しかし今の彼女は不信感の塊で、彼の表情を推し量ることもかなわない。
「あなたは知ってたんでしょう? それで確認しに来たんでしょ。私がちゃんと亡き者にされているか」
「殿下はそんな方じゃないだろ! お前がいちばん分かってるはずだ」
彼は苦悶混じりの顔を背け、呟いた。
「本当に何も聞かされていないのか……」
ただそんな一言は、アリアンロッドの耳に届かなかった。
「力に目覚めない聖女なんて国にとってなんの価値もない、そんなことずっと前から分かってる! でもディオ様は私を聖女ではなく、ただひとりの……人として、親愛の情を注いでくれていた……そう信じてた」
「アリア……」
彼女の膝に、ぽたりぽたりと涙がこぼれ落ちる。アンヴァルはそれをぬぐいたくて、しかし王太子ではない他の男の手ではいけないのだと、手をひっこめた。
「現実はディオ様にとっても私なんて、国家運営の駒の一つに過ぎなかった。予言のひとつもできない聖女で、今後目覚めるあてもない。それなら殺してしまえば、この胸の刻印が浮かび上がる少女がまた現れる。その新たな少女に賭けたほうがいくらか心休まるのでしょう」
「お前、本当に殿下のことを、そんなふうに思っているのか?」
アンヴァルの瞳が心底失望して見えるのは、アリアンロッドもまだ信じているからだろうか。
「だいたいあなただって、彼の命でここまで来たんでしょ? なんで私を助けたの!? もしかして、この人気の全くないこの場でっ……」
「俺は……」
今の興奮状態の彼女に何を言っても伝わらない、そう思い直したアンヴァルは、
「これからお前に付き従う」
簡潔に今後のことだけを話そうと決めた。
「え?」
「さっきのはおそらく隣国の間者に雇われた輩だ。王宮から出てくる馬車を無差別に襲い、内部の混乱を狙っているんだろう」
そこでやっとアリアンロッドは王太子が隣国との関係について、危惧する物言いをしていたことを思い出した。しかし不測の事態というなら、王太子近衛の彼が主君のそばを離れるのも釈然としない。
「あなたはディオ様の意中を、何か知っているの?」
その問いに、アンヴァルは形のいい唇を固く結び、真摯な目線だけを返した。
(そう。口の軽い近衛兵なんて王家の信頼は得られないわよね)
「王城に戻りたいか?」
「!」
アリアンロッドは目を見開いた。その目でじっと彼の眼を見つめると、髪色と揃いの漆黒の瞳に、蒼い炎が揺れる。
「何を言ってるの……」
「戻りたいか?」
戻ったところで居場所なんて、もう。と言いたかった。それでも。
「戻りたい!!」
たとえ受け入れられることはなくても傍にいたいと、温かい思いを寄せてきた人の、真実の心にもういちど触れたくて、力いっぱい声を張り上げた。
「私は次期大聖女だもの! そのためにずっと勉学、武術、歌の技術に王族の作法まで、鍛錬を積んできた。このままじゃ納得いかない。必ず帰るわ!」
その叫びの瞬間、アリアンロッドの心臓が、ドクンッ!と高ぶった。
「どうした?」
固まってしまった彼女の表情を訝しみ、アンヴァルは彼女の顔をのぞき込んだ。しかし彼女は彼の心配すら受け取る余裕なく、己の中の違和感と向き合っている。
「……? 声が聴こえる……」
アリアンロッドがバッと、自分の身体を両腕で抱きしめた。それはおぼつかなげな形相で。
「どうしたんだよ!?」
「ヴァル……、風が……なんだか私、吸い込まれそう……」
「は?」
「手を握って」
そう震える手をそっと差し出した。
「手?」
訳も分からずアンヴァルは、言われるまま両手を握る。
「だめ……だんだん強くなる……!!」
この訴えと同時に慌ててその手を振りほどき、彼の胸に飛び込んだ。
(このままでは……!)
しかし為す術もなく、心の中でこう悲鳴を上げていた。
────私、飛んでいっちゃう!!
10
あなたにおすすめの小説
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる