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【 第一章 】 時の河を超える聖女
⑬ 今から始めれば
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「ここから北へ山を越えると、ユング王の所有する港があるわ。港とその領土、一帯に住む民も今ある船も全部付けて、あなたの国へ譲渡するという証書よ」
「それは国宝と引き換えにする価値のあるもの?」
「あなたの国がそう考えて提示した条件でしょう?」
「ユング王にとってはこちらの指輪を手に入れるため、その港を手放すのは問題ないってことね」
イナンナは、王が北方から下り領土争いに勝利し続けたがゆえに、広い領地を持ち、他にも港を所有していることを話した。それを聞いたアリアンロッドは、我が国には海がないので、未所持ゆえの切望というものもあるかも、と想像する。
「でもやっぱりしっくりこないわ。なんで我が国の要求するものが国土から遠いその港なんだろう……」
「嘘よ」
ぶつぶつ呟くアリアンロッドの様子を見て、イナンナの本心がこぼれた。彼女は馬鹿らしくなったのだ。
「えっ?」
「お望みの品を破られたなんて聞いたら、もっとこう慌てふためいて、悲嘆に暮れてもいいものを……。その反応はこれっぽっちも面白くない」
アリアンロッドはあんぐりした。
「そんな反応を見たくて破ったの!?」
「だから嘘だって言ってるでしょ?」
「ん?」
「破り捨てたのは譲渡書じゃないわ。別にそれを破る理由ないし」
アリアンロッドは彼女と対話するのに、自信を失いかけた。
「じゃ、じゃあ、何を破ったの?」
「恋文……」
その頃アリアンロッドは暗闇に目が慣れて、室内に並ぶ棚に置かれているものは、沢山の書物だと気付いた。
「ここは書斎よ」
かなりの蔵書があるが、一部はイナンナが持ち込んだ物のようだ。
「ヒルディス様の妻から送られてきた恋文も、この書斎の机に置いてあったの」
「……つまり。あんなことされてもまだあの男が好きなの!?」
腹立たしい思いを隠せないアリアンロッドだった。
「あんな男、全然尽くす価値ないわよ!」
「何に価値を感じるかなんて、人それぞれでしょう? 私は彼の、怠惰で卑怯で利己的で強欲で、それをちっとも隠そうとしないところが大好きなの」
「分からない、全く分からないわ。誠実で清潔で思いやりがあって、穏やかで博識で向上心に溢れた人がいいに決まってる」
もちろんアリアンロッドの脳裏に浮かぶのは清廉潔白なディオニソスの姿だ。
「そんな男、願い下げよ」
脳内に浮かんでいた素敵な彼のイメージ像が、イナンナのひと吹きで蹴散らされた。
「まぁ、他の誰にダメだとか止めろとか言われても止まらないの。この甘く苦しい気持ちはどうしようもないわ」
「それは分かる!」
「……」
「……」
そこでふたりは初めて、揃って笑った。
多少の共感を得たことで、アリアンロッドが次に口にするのは──
「ねぇイナンナ、一緒に国に帰ろう? 処刑はさせないから。聖女の権限で……そりゃ私の権力なんて、信用できないでしょうけど。ヴァルにだけ黙っててもらえば……」
「彼に国への裏切り行為を強要するの?」
アリアンロッドは黙ってしまった。そこにつけこむようにイナンナは言葉をたたみかける。
「嫌よ。処刑が怖いからではなくて、もうあの国には帰りたくない」
その声から静かな憎悪が伝わる。
「どうして……」
イナンナは言う。この隣国での彼女の立ち位置は貴族の補佐官だ。
この国では以前から、数はもちろん少ないが、女が官僚として働くことが認められている。
ところが我が国はどうだ。大聖女という最高権力者以外、牛耳る者はすべて男。
「下働きの侍女を除き、宮廷に女は立ち入ることができない。王族に嫁いだ女、王族に生まれた女は、すべて城の外で慎ましく暮らしていくことを余儀なくされる。なぜだか分かる?」
アリアンロッドは、そういえば王族の女性を王宮内で見かけたことがない、と思い返したが、なんともなしに首を横に振った。
「大聖女様の機嫌を損ねないためよ」
「?」
「宮廷は大聖女様と聖女様の庭。宮廷にいる男はすべて、王族であろうとも、御二方のしもべ」
「……??」
「ふたりの聖女の次に、王族・貴族の男たち。それ以下は同列。そういった宮廷カーストだから、有能だと認められた王族の女は、有能ゆえに密偵という高度な役割を与えられ、国の外へ送られる。それは男たちにとってその女を利用しつつ、国の中枢から追い出す、一石二鳥の慣例」
イナンナはアリアンロッドの顔に、己の顔を近付けた。より強く言葉を届けるために。
「すべては大聖女様のため。大聖女様以外の女たちには力を与えず、唯一の女だと満足させておく……」
アリアンロッドには見当も付かない事実であった。
「大聖女は神同然だと崇め、軟禁しておけばいい。そうして聖女という偶像を利用し、男たちは権力を欲しいままにする。他の優秀な女たちの反抗を恐れながら。そんな狭量な男たちに支配されてきた国よ」
「ディオ様はそんなことない」
アリアンロッドはぽつりと呟いた。
「あなたもディオニソス次期王にとっては十分、都合のいい大聖女になるでしょうねぇ」
「…………」
アリアンロッドは取り付く島もないと心が折れそうだ。
現実はそうなのだろうか。
聖女の存在が、同じ国の民である女性たちの不遇の要因なのだろうか。
王も王太子も、そんな卑屈な精神で神の力を持つ女と向き合っているのだろうか。
今まで信じてきた、王太子やアンヴァルとの絆はまやかしだったのか。──このように、疑心による苛立ちが募っていく。
「そんなふうには思わない」
アリアンロッドはふぅ──と長く息を吐き、首を横に振った。
彼女の言うことは確かに事実だろう。実際にアリアンロッドも追放されて、今こうした事態にいるという現実がある。どういう了見なのか王太子を問い詰めたくて、王宮への帰還を目指しているのだ。もし本当に彼が、力に目覚めない聖女を利用価値がないとして処断するというのなら、自身もイナンナと変わらない境遇だ。
(でも事実は必ずしも真実じゃないもの。)
イナンナの話すことをそのまま鵜呑みにして、諦めるわけにはいかない。
アリアンロッドはこの焦燥感を力に換えようと、声を張り上げた。
「そんなに自分のこと有能だ優秀だ言うのなら、国に帰って国を変えようよ!」
その両手でイナンナの頬を包んだ。より強く瞳で訴えるために。
「国を、変える……?」
イナンナはアリアンロッドをこの舌戦で屈服させた気でいた。なのでこの、未だ心の折れていない現状にたじろいだ。
「その狭量な男たちより仕事ができて、国をより良くできる自信はあるんでしょう!? 変な男に入れ込まなければ」
アリアンロッドは巻き返す。余計な一言も言ってしまっているが。
「私が人の上に立つ統率者なら、性別の差なく! 有能な人をそばに置きたい。努力家で実直な人がいい!」
アリアンロッドはイナンナの目を見つめて、一瞬たりとも逸らさなかった。
「だから私を助けて。国を変えよう、一緒に」
「……あなたに何ができるの。可愛がられてるだけのお姫様のくせに」
イナンナは気持ちの上で負けているのだろう、とっくに目を逸らしていた。
「だからあなたの力が必要だって言ってるんじゃない。説得力のある女性が」
「そんなの無理に決まってる。この国だって、女性の官職が認められているとはいえほぼ建前みたいなもので、男女の差は歴然。何十年たっても何百年たっても、たとえ国が変わっても、男は女を支配し続けるわ」
「たとえ何十年後や何百年後は無理でも、何千年後は変わっているかもしれない、私たちが今から始めれば!」
「……何千年後って」
雲を掴むような話を大きな瞳で、この暗がりでさえ光を放って、人心を掴んだら放さない。そんな聖女の特別な力で、アリアンロッドは叫ぶのだ。
これにはイナンナも、
「なにそれ、途方もなさすぎるわ」
そうつぶやいて、苦笑いをした。
彼女は悪意なく笑うと意外なほど可愛らしい。アリアンロッドは少しばかりの手ごたえを感じたのだった。
「それは国宝と引き換えにする価値のあるもの?」
「あなたの国がそう考えて提示した条件でしょう?」
「ユング王にとってはこちらの指輪を手に入れるため、その港を手放すのは問題ないってことね」
イナンナは、王が北方から下り領土争いに勝利し続けたがゆえに、広い領地を持ち、他にも港を所有していることを話した。それを聞いたアリアンロッドは、我が国には海がないので、未所持ゆえの切望というものもあるかも、と想像する。
「でもやっぱりしっくりこないわ。なんで我が国の要求するものが国土から遠いその港なんだろう……」
「嘘よ」
ぶつぶつ呟くアリアンロッドの様子を見て、イナンナの本心がこぼれた。彼女は馬鹿らしくなったのだ。
「えっ?」
「お望みの品を破られたなんて聞いたら、もっとこう慌てふためいて、悲嘆に暮れてもいいものを……。その反応はこれっぽっちも面白くない」
アリアンロッドはあんぐりした。
「そんな反応を見たくて破ったの!?」
「だから嘘だって言ってるでしょ?」
「ん?」
「破り捨てたのは譲渡書じゃないわ。別にそれを破る理由ないし」
アリアンロッドは彼女と対話するのに、自信を失いかけた。
「じゃ、じゃあ、何を破ったの?」
「恋文……」
その頃アリアンロッドは暗闇に目が慣れて、室内に並ぶ棚に置かれているものは、沢山の書物だと気付いた。
「ここは書斎よ」
かなりの蔵書があるが、一部はイナンナが持ち込んだ物のようだ。
「ヒルディス様の妻から送られてきた恋文も、この書斎の机に置いてあったの」
「……つまり。あんなことされてもまだあの男が好きなの!?」
腹立たしい思いを隠せないアリアンロッドだった。
「あんな男、全然尽くす価値ないわよ!」
「何に価値を感じるかなんて、人それぞれでしょう? 私は彼の、怠惰で卑怯で利己的で強欲で、それをちっとも隠そうとしないところが大好きなの」
「分からない、全く分からないわ。誠実で清潔で思いやりがあって、穏やかで博識で向上心に溢れた人がいいに決まってる」
もちろんアリアンロッドの脳裏に浮かぶのは清廉潔白なディオニソスの姿だ。
「そんな男、願い下げよ」
脳内に浮かんでいた素敵な彼のイメージ像が、イナンナのひと吹きで蹴散らされた。
「まぁ、他の誰にダメだとか止めろとか言われても止まらないの。この甘く苦しい気持ちはどうしようもないわ」
「それは分かる!」
「……」
「……」
そこでふたりは初めて、揃って笑った。
多少の共感を得たことで、アリアンロッドが次に口にするのは──
「ねぇイナンナ、一緒に国に帰ろう? 処刑はさせないから。聖女の権限で……そりゃ私の権力なんて、信用できないでしょうけど。ヴァルにだけ黙っててもらえば……」
「彼に国への裏切り行為を強要するの?」
アリアンロッドは黙ってしまった。そこにつけこむようにイナンナは言葉をたたみかける。
「嫌よ。処刑が怖いからではなくて、もうあの国には帰りたくない」
その声から静かな憎悪が伝わる。
「どうして……」
イナンナは言う。この隣国での彼女の立ち位置は貴族の補佐官だ。
この国では以前から、数はもちろん少ないが、女が官僚として働くことが認められている。
ところが我が国はどうだ。大聖女という最高権力者以外、牛耳る者はすべて男。
「下働きの侍女を除き、宮廷に女は立ち入ることができない。王族に嫁いだ女、王族に生まれた女は、すべて城の外で慎ましく暮らしていくことを余儀なくされる。なぜだか分かる?」
アリアンロッドは、そういえば王族の女性を王宮内で見かけたことがない、と思い返したが、なんともなしに首を横に振った。
「大聖女様の機嫌を損ねないためよ」
「?」
「宮廷は大聖女様と聖女様の庭。宮廷にいる男はすべて、王族であろうとも、御二方のしもべ」
「……??」
「ふたりの聖女の次に、王族・貴族の男たち。それ以下は同列。そういった宮廷カーストだから、有能だと認められた王族の女は、有能ゆえに密偵という高度な役割を与えられ、国の外へ送られる。それは男たちにとってその女を利用しつつ、国の中枢から追い出す、一石二鳥の慣例」
イナンナはアリアンロッドの顔に、己の顔を近付けた。より強く言葉を届けるために。
「すべては大聖女様のため。大聖女様以外の女たちには力を与えず、唯一の女だと満足させておく……」
アリアンロッドには見当も付かない事実であった。
「大聖女は神同然だと崇め、軟禁しておけばいい。そうして聖女という偶像を利用し、男たちは権力を欲しいままにする。他の優秀な女たちの反抗を恐れながら。そんな狭量な男たちに支配されてきた国よ」
「ディオ様はそんなことない」
アリアンロッドはぽつりと呟いた。
「あなたもディオニソス次期王にとっては十分、都合のいい大聖女になるでしょうねぇ」
「…………」
アリアンロッドは取り付く島もないと心が折れそうだ。
現実はそうなのだろうか。
聖女の存在が、同じ国の民である女性たちの不遇の要因なのだろうか。
王も王太子も、そんな卑屈な精神で神の力を持つ女と向き合っているのだろうか。
今まで信じてきた、王太子やアンヴァルとの絆はまやかしだったのか。──このように、疑心による苛立ちが募っていく。
「そんなふうには思わない」
アリアンロッドはふぅ──と長く息を吐き、首を横に振った。
彼女の言うことは確かに事実だろう。実際にアリアンロッドも追放されて、今こうした事態にいるという現実がある。どういう了見なのか王太子を問い詰めたくて、王宮への帰還を目指しているのだ。もし本当に彼が、力に目覚めない聖女を利用価値がないとして処断するというのなら、自身もイナンナと変わらない境遇だ。
(でも事実は必ずしも真実じゃないもの。)
イナンナの話すことをそのまま鵜呑みにして、諦めるわけにはいかない。
アリアンロッドはこの焦燥感を力に換えようと、声を張り上げた。
「そんなに自分のこと有能だ優秀だ言うのなら、国に帰って国を変えようよ!」
その両手でイナンナの頬を包んだ。より強く瞳で訴えるために。
「国を、変える……?」
イナンナはアリアンロッドをこの舌戦で屈服させた気でいた。なのでこの、未だ心の折れていない現状にたじろいだ。
「その狭量な男たちより仕事ができて、国をより良くできる自信はあるんでしょう!? 変な男に入れ込まなければ」
アリアンロッドは巻き返す。余計な一言も言ってしまっているが。
「私が人の上に立つ統率者なら、性別の差なく! 有能な人をそばに置きたい。努力家で実直な人がいい!」
アリアンロッドはイナンナの目を見つめて、一瞬たりとも逸らさなかった。
「だから私を助けて。国を変えよう、一緒に」
「……あなたに何ができるの。可愛がられてるだけのお姫様のくせに」
イナンナは気持ちの上で負けているのだろう、とっくに目を逸らしていた。
「だからあなたの力が必要だって言ってるんじゃない。説得力のある女性が」
「そんなの無理に決まってる。この国だって、女性の官職が認められているとはいえほぼ建前みたいなもので、男女の差は歴然。何十年たっても何百年たっても、たとえ国が変わっても、男は女を支配し続けるわ」
「たとえ何十年後や何百年後は無理でも、何千年後は変わっているかもしれない、私たちが今から始めれば!」
「……何千年後って」
雲を掴むような話を大きな瞳で、この暗がりでさえ光を放って、人心を掴んだら放さない。そんな聖女の特別な力で、アリアンロッドは叫ぶのだ。
これにはイナンナも、
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そうつぶやいて、苦笑いをした。
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