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【 第四章 】 私が再会させてあげる!
⑧ 炎の中へ
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アリアンロッドの声援を受けた先代王が、歌劇団の舞台付近でぶらり散歩をしていると、後ろから人影が飛びかかるようにやってきた。
「お客さぁん」
突如、先代王の腕を捕まえたのは、劇団の若い娘だった。
「んん……?」
何やら目配せしてくる。
「ねぇお客さん。前うちの娘買っていらした時、聞こえてきたんですけどォ、探してる人がいるのでしょう?」
「あ、ああ……」
「それって私たちのような年ごろの娘だったりします?」
「あ、ああ……」
先代王は娘の積極性にたじたじになっている。
「じゃあ、私たちの中で探してみたらいかが? いらっしゃいよ」
饒舌な娘に、起こっている事態に、先代王の頭は対応しきれていない。娘はそんな彼に劇団の客室でもてなすと言い、強引に連れて行くのだった。
そのような経緯で、客間に座らされている先代王だった。自分は一体何をしているのだろう、と今現在、情けない気持ちでいっぱいだ。
その時、そこの扉をガチャガチャと音を立てて入ってきたひとりの娘が。
「ねぇ、今すぐここを出て」
例の歌姫だった。
「ん? 君は……」
「こんなところにいても、ろくなことないわ。さぁ、ぼうっとしてないで」
彼女は先代王の手を取り引っぱり上げた。そして急いで行こうとするのだが、彼の足は弱く、健常者のように移動できない。
「じゃあ私が支えるから、できるだけ踏ん張って」
といったふうに、ふたりはそこを出ていった。
「いったいどうしたのだい?」
ひとまず裏通りに出たら、説明もなしに連れ出された彼は歌姫ローズに尋ねた。
「あなた騙されるわ。あんなところにいたら」
「?」
彼女は劇団の幹部室で話されていたことを、包み隠さず話した。そこの廊下を通りすがり、客引きの娘と副団長との会話に、聞き耳を立てた成果を。
その話とは、劇団の娘を、彼が探している人物というのに仕立てあげ、更なる金銭を踏んだくろうという謀りごとだった。なにせ彼は初回にまとまった金貨を払ってみせたのだから。
「まさかあの時の話を聞かれていただなんて。まぁ、ここの娘たちは……私も含まれるのだけど、地獄耳が生き残る術だから」
諦めの溜め息を吐き、彼女は話を続ける。
「副団長は本当にがめつい人で、いつもお金のことばかり。彼が来てから確かにこの団は大きくなったけれど、私たちはただの消耗品となってしまった。団長はそれをやんわり諫めようとするのよ、でもやっぱり商売の上手い方がどうしても……なんて、つまらない話ね。とにかく、もうここには近付かない方がいいわ」
「いや、騙されるなんてことは」
「あなた、本当にお人好し」
「いいや……。私は、本当は金など少しも持っていないのだよ。この間のも、人から借りたものだった」
いい歳の男の弱みを、どこか優しい声色で打ち明けられたローズは、すぐに気の利いた言葉が出てこなかった。
「それに、家族に繋がる手掛かりが少しでも得られるなら、私だって嘘をつくよ。持ってもいない金をちらつかせ……だから、騙されたなんて他人に言える立場にもないのだ」
歌姫にはこの初老の男性が、とても可哀そうに思えた。
「そのご家族の方は、女性? どういった特徴の?」
その時だった。
「火事だ──!!」
劇団の拠点のほうからそんな叫び声が聞こえてきたのだった。
歌姫は慌ててそこへ向かう。先代王も足を引きずりつつできるだけ急ぎ、その後を追った。
彼女が到着すると、団の娘たちの寝室が連なる宿舎にまで、火がまわっていた。
怯みながらも自室に向かおうとする彼女に、なんとか追いついた先代王は焦りをあらわにする。
「どこに行くんだ!?」
「私の寝室に! あそこには大事なものがっ。離して!」
「だめだ、火が回ってくる」
「まだ大丈夫よ!」
「どうしてそこまで?」
「母の形見が、中に!」
このやり取りの隙にも先代王の腕を振り切って中へ飛び込もうとする彼女。その時、風に乗って飛んできた火の粉を目にし、彼女は不自然に震え出した。
「痛っ……熱い……いや! 怖い! やめて!!」
火の粉が振りかかったわけではないが、どうも様子がおかしい。やたら混乱している。それでもなお、這ってでも行こうとする彼女に、
「私が行こう」
先代王が覚悟を決めた表情で言い放った。
「でも、あなたは足が……」
「形見とは?」
「……琴。竪琴!」
王はこくりと頷いてみせ、足の痛みを物ともせず、燃えかけの舎へ進入した。
それから腰の抜けてすぐに動けない歌姫は、「誰か! 来て──!!」と力いっぱいに叫んでいた。
そこにやってきたのは大きな水瓶を抱え、自身も水を大量に被った、ずぶ濡れのアリアンロッドだ。
「騒ぎを聞いて水を持ってきたわ! 必要な人は!?」
「だっ男性が、初老のっ、私の客だった人が中に!」
「あら? あなたは歌姫? まさか中にいるのって」
アリアンロッドは気付いたら当然のごとく青ざめた。
「彼が、私の代わりに中へ……」
すぐにも血相変えて歌姫を問い詰める。
「中のどこ!?」
「ここから4つ目の右の戸……」
そう聞き間髪を入れず、アリアンロッドも中へ走って行った。
「王様──! 返事して!!」
いつ建物の枠組みに火が燃え移るか分からない屋内で、アリアンロッドが4つ目の戸の前に辿り着いた時、
「ここだ!」
戸が崩れ落ち、先代王が現れた。楽器を脇に抱えている。
ひとまず彼が無事で安心した。
「良かった、さぁ早く!!」
「探しものは見つかった。生きて戻り、彼女に渡さねば」
アリアンロッドは抱えた瓶の水を彼にばしゃりとかけ、瓶を捨てた。
アリアンロッドが支えながらふたりは早歩きで出口へと向かったが、もう少しというところで彼の足に不調が走る。
「王様? 立っ……」
「これを、彼女に渡してくれ」
痛みでうずくまる彼は、脇に抱えていたそれをアリアンロッドに渡そうとする。
「だめよ、あなたから渡さなきゃ。私の背に乗って」
アリアンロッドは彼をおぶろうと、しゃがんで背を向けた。
「それではあなたまで……」
「もうすぐだから!! 早く!!」
彼を背負ったアリアンロッドが外に出ようという頃、歌姫のところにはお付きの娘が来ていて、彼女はその子らにまず下男を呼んでくるよう言っていた。
「ああ、ご無事ですか!?」
歌姫の目に留まったアリアンロッドは、燃え盛る宿舎から踏み出した途端、倒れこむ。
そして駆け寄った彼女に伝えるのだった。
「あなたの宝物は……私と、この人の、間に……」
すでに意識不明の先代王の下敷きになったまま、アリアンロッドも意識を失った。
「お客さぁん」
突如、先代王の腕を捕まえたのは、劇団の若い娘だった。
「んん……?」
何やら目配せしてくる。
「ねぇお客さん。前うちの娘買っていらした時、聞こえてきたんですけどォ、探してる人がいるのでしょう?」
「あ、ああ……」
「それって私たちのような年ごろの娘だったりします?」
「あ、ああ……」
先代王は娘の積極性にたじたじになっている。
「じゃあ、私たちの中で探してみたらいかが? いらっしゃいよ」
饒舌な娘に、起こっている事態に、先代王の頭は対応しきれていない。娘はそんな彼に劇団の客室でもてなすと言い、強引に連れて行くのだった。
そのような経緯で、客間に座らされている先代王だった。自分は一体何をしているのだろう、と今現在、情けない気持ちでいっぱいだ。
その時、そこの扉をガチャガチャと音を立てて入ってきたひとりの娘が。
「ねぇ、今すぐここを出て」
例の歌姫だった。
「ん? 君は……」
「こんなところにいても、ろくなことないわ。さぁ、ぼうっとしてないで」
彼女は先代王の手を取り引っぱり上げた。そして急いで行こうとするのだが、彼の足は弱く、健常者のように移動できない。
「じゃあ私が支えるから、できるだけ踏ん張って」
といったふうに、ふたりはそこを出ていった。
「いったいどうしたのだい?」
ひとまず裏通りに出たら、説明もなしに連れ出された彼は歌姫ローズに尋ねた。
「あなた騙されるわ。あんなところにいたら」
「?」
彼女は劇団の幹部室で話されていたことを、包み隠さず話した。そこの廊下を通りすがり、客引きの娘と副団長との会話に、聞き耳を立てた成果を。
その話とは、劇団の娘を、彼が探している人物というのに仕立てあげ、更なる金銭を踏んだくろうという謀りごとだった。なにせ彼は初回にまとまった金貨を払ってみせたのだから。
「まさかあの時の話を聞かれていただなんて。まぁ、ここの娘たちは……私も含まれるのだけど、地獄耳が生き残る術だから」
諦めの溜め息を吐き、彼女は話を続ける。
「副団長は本当にがめつい人で、いつもお金のことばかり。彼が来てから確かにこの団は大きくなったけれど、私たちはただの消耗品となってしまった。団長はそれをやんわり諫めようとするのよ、でもやっぱり商売の上手い方がどうしても……なんて、つまらない話ね。とにかく、もうここには近付かない方がいいわ」
「いや、騙されるなんてことは」
「あなた、本当にお人好し」
「いいや……。私は、本当は金など少しも持っていないのだよ。この間のも、人から借りたものだった」
いい歳の男の弱みを、どこか優しい声色で打ち明けられたローズは、すぐに気の利いた言葉が出てこなかった。
「それに、家族に繋がる手掛かりが少しでも得られるなら、私だって嘘をつくよ。持ってもいない金をちらつかせ……だから、騙されたなんて他人に言える立場にもないのだ」
歌姫にはこの初老の男性が、とても可哀そうに思えた。
「そのご家族の方は、女性? どういった特徴の?」
その時だった。
「火事だ──!!」
劇団の拠点のほうからそんな叫び声が聞こえてきたのだった。
歌姫は慌ててそこへ向かう。先代王も足を引きずりつつできるだけ急ぎ、その後を追った。
彼女が到着すると、団の娘たちの寝室が連なる宿舎にまで、火がまわっていた。
怯みながらも自室に向かおうとする彼女に、なんとか追いついた先代王は焦りをあらわにする。
「どこに行くんだ!?」
「私の寝室に! あそこには大事なものがっ。離して!」
「だめだ、火が回ってくる」
「まだ大丈夫よ!」
「どうしてそこまで?」
「母の形見が、中に!」
このやり取りの隙にも先代王の腕を振り切って中へ飛び込もうとする彼女。その時、風に乗って飛んできた火の粉を目にし、彼女は不自然に震え出した。
「痛っ……熱い……いや! 怖い! やめて!!」
火の粉が振りかかったわけではないが、どうも様子がおかしい。やたら混乱している。それでもなお、這ってでも行こうとする彼女に、
「私が行こう」
先代王が覚悟を決めた表情で言い放った。
「でも、あなたは足が……」
「形見とは?」
「……琴。竪琴!」
王はこくりと頷いてみせ、足の痛みを物ともせず、燃えかけの舎へ進入した。
それから腰の抜けてすぐに動けない歌姫は、「誰か! 来て──!!」と力いっぱいに叫んでいた。
そこにやってきたのは大きな水瓶を抱え、自身も水を大量に被った、ずぶ濡れのアリアンロッドだ。
「騒ぎを聞いて水を持ってきたわ! 必要な人は!?」
「だっ男性が、初老のっ、私の客だった人が中に!」
「あら? あなたは歌姫? まさか中にいるのって」
アリアンロッドは気付いたら当然のごとく青ざめた。
「彼が、私の代わりに中へ……」
すぐにも血相変えて歌姫を問い詰める。
「中のどこ!?」
「ここから4つ目の右の戸……」
そう聞き間髪を入れず、アリアンロッドも中へ走って行った。
「王様──! 返事して!!」
いつ建物の枠組みに火が燃え移るか分からない屋内で、アリアンロッドが4つ目の戸の前に辿り着いた時、
「ここだ!」
戸が崩れ落ち、先代王が現れた。楽器を脇に抱えている。
ひとまず彼が無事で安心した。
「良かった、さぁ早く!!」
「探しものは見つかった。生きて戻り、彼女に渡さねば」
アリアンロッドは抱えた瓶の水を彼にばしゃりとかけ、瓶を捨てた。
アリアンロッドが支えながらふたりは早歩きで出口へと向かったが、もう少しというところで彼の足に不調が走る。
「王様? 立っ……」
「これを、彼女に渡してくれ」
痛みでうずくまる彼は、脇に抱えていたそれをアリアンロッドに渡そうとする。
「だめよ、あなたから渡さなきゃ。私の背に乗って」
アリアンロッドは彼をおぶろうと、しゃがんで背を向けた。
「それではあなたまで……」
「もうすぐだから!! 早く!!」
彼を背負ったアリアンロッドが外に出ようという頃、歌姫のところにはお付きの娘が来ていて、彼女はその子らにまず下男を呼んでくるよう言っていた。
「ああ、ご無事ですか!?」
歌姫の目に留まったアリアンロッドは、燃え盛る宿舎から踏み出した途端、倒れこむ。
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