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【 第四章 】 私が再会させてあげる!
⑩ アリアの思いで繋いだふたり
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それほど日も跨がない頃、南西の国の先代王をもてなすための宴にて、歌劇団の舞台が催されることになった。
豪華絢爛な広間、最前中央の円卓に先代王、その隣にはこちらの国王。
アリアンロッドは中央右端の円卓に、ディオニソスと共に席を取った。アンヴァルは自ら志願して、舞台袖で警備担当だ。
大勢の娘たちが歌い舞い、華やかな演目が続いた。盲目の先代王も満悦でいる。
メインの物語が始まると舞台中央に、満を持して主役の歌姫が登場する。その優美な見目、佇まいに、多くの観客は彼女が現れただけで釘付けになった。
彼女が会場を大きな両翼で包み込むように歌い出し、その物語が紡がれていく。すると次の瞬間、それまで耳より存分に楽しんでいた先代王の目から、はらはらと涙がこぼれ落ちた。
そして感極まったか、彼はとうとう立ち上がり、
「アマリリス!!」
と声高に叫んだのだった。
「……!」
彼女は歌と舞いを止め、その場で立ち尽くす。がやがやと客席はざわめき、楽団の奏でる曲も追って止まる。
歌姫は客席の先代王に向かい歩み出し、舞台の縁にて立ち止まった。
「あなたは……」
「あなたの背には」
円卓から伝い出てよろよろと歩み寄り、涙を流しながら先代王は、こう尋ねた。
「蝶の模様がありませんか?」
すると彼女は、くるっと客席に背を向け、気風良く上半身の衣装をすべて脱ぎ捨てた。
多くの観客は目を見張る。
その背中には、まるで羽ばたく蝶のような、火傷の跡が刻まれていたのだった。
彼女は右肩から振り返って、声を張り上げる。
「あります!!」
その時の彼女の破顔と声音は、客席がわっと沸き立つほどに可愛らしく、晴れやかなものであった。
「おお……」
先代王は喜びで胸をふるわせる。歌姫は舞台から駆け降り、そんな彼をしなやかに広げた両腕で抱きしめた。
「あなたはただの一度も、私を脱がしておりませんのに、どうしてこの印のことをご存じですの? 私がとうの昔に忘れてしまった、己が名前すらも」
彼はそれ以上何も口にせず、ただ彼女を抱きしめ涙を流し続けた。
それを眺めてアリアンロッドももらい泣きする。
「良かった……。再び会えて、本当に良かった」
その涙を、ディオニソスが指で優しく拭っていたのだった。
また幾日かの後、南西の国の先代王は、現在実権を握るは彼の息子であるが、この国との関係の向上に尽力すると約束し、隊に見送られ帰っていった。
にも関わらず、件の歌姫は相変わらずここにいて、アンヴァルに身受けを求める日々である。
「アマリリス! 団長が探していたぞ」
王城の片隅の、侍女の宿舎周りで子らの遊び相手になっていた彼女に、アンヴァルは先ほど見かけた団長の様子を伝えてやった。
「南に帰る準備をしろと言われるだけですわ。でも私は帰りたくないのです。王都はあんな田舎と比べたら面白いもの。だからアンヴァル様、今すぐ私を引き取って」
「あのな。大体お前、なんで団じゃなくて先代王に付いて帰らなかったんだ? 姫だろう? 望みの良い暮らしが待ってるじゃないか」
「私に焼き印を付けた妃が生きている間は、帰りたくないです」
「ああ……」
「それにただの良い暮らしじゃなくて、あなた様の妻となった上で、良い暮らしがしたいの」
「意味が分からん」
「年増はだめですか?」
「どうでもいい」
そこに散歩中のアリアンロッドがやってきた。
「あ。ローズ! 挨拶に来ていた団長が、帰り支度が忙しいって、あなたのことも探していたわよ」
駆け寄るアリアンロッドを前に、アンヴァルの腕にべたりとくっつき彼女は答える。
「私、アンヴァル様の妻になって、ずっとこの辺りで暮らしたいのです。アリアンロッド様、この方を説得してくださいませんか?」
「えっ?」
アンヴァルは、あれ? 意外に動揺してる? と、みぞおちにソワソワきた。が。
「なんでヴァル?」
ああ、疑問の「えっ?」か、と彼の無意識的な上昇気分はキュイッとカーブを描いて盛り下がる。
「だって、男のいいにおいがするし、この見た目で純情だし、言葉はきついようでその実とても優しいし。それにアンヴァル様だけです、私を本当の名で呼んでくださるのは」
「そりゃ、みなは呼び慣れたほうで呼んでしまうだけだろ……」
「……ふぅん。いいんじゃないの? なんでかヴァルの妻候補の座は、まったく空いてるみたいだし」
アリアンロッドの表情を見たふたりは、やっぱり動揺してたりするのかもと推しはかった。
その時、侍女がアリアンロッドに、ディオニソスからの伝言を持ってきた。
「え? 衣裳の市?」
どうやらこのあいだ出かけられなかった穴埋めに、近場で開かれる、貴人向けの衣裳市への忍びはどうか、と彼が誘いかけているという。
「ぜひ! ぜひ!!」
侍女は早速、返事を伝えに戻って行った。うきうきが止まらないアリアンロッドに歌姫は問いかける。
「いいんですの? アリアンロッド様」
「ん?」
「男性が女性に衣服を贈るのは、脱がすためですのよ」
「ぬ、脱がっ!?」
彼女はすぐさま真っ赤になった。
「そんな、それは進展しすぎじゃない!? もちろん全然、いいのだけど……ディオ様に限ってそんなこと……」
照れくさくて指先で地面をイジイジし始めた。しかしそれもすぐ止め、上を向く。
「ないけれど! でも、その3歩手前を妄想して楽しむことにするわ!」
前向きになったアリアンロッドは、スキップしながらまた王宮の奥へ帰っていった。
「……アンヴァル様、いろいろと不毛ですわよ」
「はぁ? 何が!」
彼女には、彼の表情が不機嫌そのものに見えたようだ。
「今回は見逃しますわ。私ももう少し、歌い手として花開いていたいですし。次にお会いする時にはきっと、妻にしていただきますわね」
ローズは彼の顔を覗き込む。
「それはそれとして」
「ん?」
「今宵、朝まで、私をお好きにしませんか? もちろんお代はいただきませんから」
「………………」
「もう!」
まったく意に介さずといった様子で、しかも何か考え事を始めてしまったアンヴァルに、彼女は更なる闘争心を掻き立てられるのだった。
ともあれ、彼女がそのまま立ち去ろうとした時。
「ああ、アマリリス。一晩付き合ってくれ。報酬は出すから」
「……え?」
そして翌日、お騒がせ歌姫は歌劇団のみなと共に、南へと帰って行った。
。*⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*。
第四章、お読みくださいましてありがとうございました。
アンヴァルが歌姫を一晩どうお好きにするのかの答え合わせシーンは第六章の後半に出てきます。(一応ヒントは1章後半にございます。……ヒントと言えないかも……)
豪華絢爛な広間、最前中央の円卓に先代王、その隣にはこちらの国王。
アリアンロッドは中央右端の円卓に、ディオニソスと共に席を取った。アンヴァルは自ら志願して、舞台袖で警備担当だ。
大勢の娘たちが歌い舞い、華やかな演目が続いた。盲目の先代王も満悦でいる。
メインの物語が始まると舞台中央に、満を持して主役の歌姫が登場する。その優美な見目、佇まいに、多くの観客は彼女が現れただけで釘付けになった。
彼女が会場を大きな両翼で包み込むように歌い出し、その物語が紡がれていく。すると次の瞬間、それまで耳より存分に楽しんでいた先代王の目から、はらはらと涙がこぼれ落ちた。
そして感極まったか、彼はとうとう立ち上がり、
「アマリリス!!」
と声高に叫んだのだった。
「……!」
彼女は歌と舞いを止め、その場で立ち尽くす。がやがやと客席はざわめき、楽団の奏でる曲も追って止まる。
歌姫は客席の先代王に向かい歩み出し、舞台の縁にて立ち止まった。
「あなたは……」
「あなたの背には」
円卓から伝い出てよろよろと歩み寄り、涙を流しながら先代王は、こう尋ねた。
「蝶の模様がありませんか?」
すると彼女は、くるっと客席に背を向け、気風良く上半身の衣装をすべて脱ぎ捨てた。
多くの観客は目を見張る。
その背中には、まるで羽ばたく蝶のような、火傷の跡が刻まれていたのだった。
彼女は右肩から振り返って、声を張り上げる。
「あります!!」
その時の彼女の破顔と声音は、客席がわっと沸き立つほどに可愛らしく、晴れやかなものであった。
「おお……」
先代王は喜びで胸をふるわせる。歌姫は舞台から駆け降り、そんな彼をしなやかに広げた両腕で抱きしめた。
「あなたはただの一度も、私を脱がしておりませんのに、どうしてこの印のことをご存じですの? 私がとうの昔に忘れてしまった、己が名前すらも」
彼はそれ以上何も口にせず、ただ彼女を抱きしめ涙を流し続けた。
それを眺めてアリアンロッドももらい泣きする。
「良かった……。再び会えて、本当に良かった」
その涙を、ディオニソスが指で優しく拭っていたのだった。
また幾日かの後、南西の国の先代王は、現在実権を握るは彼の息子であるが、この国との関係の向上に尽力すると約束し、隊に見送られ帰っていった。
にも関わらず、件の歌姫は相変わらずここにいて、アンヴァルに身受けを求める日々である。
「アマリリス! 団長が探していたぞ」
王城の片隅の、侍女の宿舎周りで子らの遊び相手になっていた彼女に、アンヴァルは先ほど見かけた団長の様子を伝えてやった。
「南に帰る準備をしろと言われるだけですわ。でも私は帰りたくないのです。王都はあんな田舎と比べたら面白いもの。だからアンヴァル様、今すぐ私を引き取って」
「あのな。大体お前、なんで団じゃなくて先代王に付いて帰らなかったんだ? 姫だろう? 望みの良い暮らしが待ってるじゃないか」
「私に焼き印を付けた妃が生きている間は、帰りたくないです」
「ああ……」
「それにただの良い暮らしじゃなくて、あなた様の妻となった上で、良い暮らしがしたいの」
「意味が分からん」
「年増はだめですか?」
「どうでもいい」
そこに散歩中のアリアンロッドがやってきた。
「あ。ローズ! 挨拶に来ていた団長が、帰り支度が忙しいって、あなたのことも探していたわよ」
駆け寄るアリアンロッドを前に、アンヴァルの腕にべたりとくっつき彼女は答える。
「私、アンヴァル様の妻になって、ずっとこの辺りで暮らしたいのです。アリアンロッド様、この方を説得してくださいませんか?」
「えっ?」
アンヴァルは、あれ? 意外に動揺してる? と、みぞおちにソワソワきた。が。
「なんでヴァル?」
ああ、疑問の「えっ?」か、と彼の無意識的な上昇気分はキュイッとカーブを描いて盛り下がる。
「だって、男のいいにおいがするし、この見た目で純情だし、言葉はきついようでその実とても優しいし。それにアンヴァル様だけです、私を本当の名で呼んでくださるのは」
「そりゃ、みなは呼び慣れたほうで呼んでしまうだけだろ……」
「……ふぅん。いいんじゃないの? なんでかヴァルの妻候補の座は、まったく空いてるみたいだし」
アリアンロッドの表情を見たふたりは、やっぱり動揺してたりするのかもと推しはかった。
その時、侍女がアリアンロッドに、ディオニソスからの伝言を持ってきた。
「え? 衣裳の市?」
どうやらこのあいだ出かけられなかった穴埋めに、近場で開かれる、貴人向けの衣裳市への忍びはどうか、と彼が誘いかけているという。
「ぜひ! ぜひ!!」
侍女は早速、返事を伝えに戻って行った。うきうきが止まらないアリアンロッドに歌姫は問いかける。
「いいんですの? アリアンロッド様」
「ん?」
「男性が女性に衣服を贈るのは、脱がすためですのよ」
「ぬ、脱がっ!?」
彼女はすぐさま真っ赤になった。
「そんな、それは進展しすぎじゃない!? もちろん全然、いいのだけど……ディオ様に限ってそんなこと……」
照れくさくて指先で地面をイジイジし始めた。しかしそれもすぐ止め、上を向く。
「ないけれど! でも、その3歩手前を妄想して楽しむことにするわ!」
前向きになったアリアンロッドは、スキップしながらまた王宮の奥へ帰っていった。
「……アンヴァル様、いろいろと不毛ですわよ」
「はぁ? 何が!」
彼女には、彼の表情が不機嫌そのものに見えたようだ。
「今回は見逃しますわ。私ももう少し、歌い手として花開いていたいですし。次にお会いする時にはきっと、妻にしていただきますわね」
ローズは彼の顔を覗き込む。
「それはそれとして」
「ん?」
「今宵、朝まで、私をお好きにしませんか? もちろんお代はいただきませんから」
「………………」
「もう!」
まったく意に介さずといった様子で、しかも何か考え事を始めてしまったアンヴァルに、彼女は更なる闘争心を掻き立てられるのだった。
ともあれ、彼女がそのまま立ち去ろうとした時。
「ああ、アマリリス。一晩付き合ってくれ。報酬は出すから」
「……え?」
そして翌日、お騒がせ歌姫は歌劇団のみなと共に、南へと帰って行った。
。*⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*。
第四章、お読みくださいましてありがとうございました。
アンヴァルが歌姫を一晩どうお好きにするのかの答え合わせシーンは第六章の後半に出てきます。(一応ヒントは1章後半にございます。……ヒントと言えないかも……)
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