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【 第七章 】 永遠に君のそばにいる
⑧ 今日の私は看護助手……
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「妻……って、二人目の?」
どうやら王宮での職務ではなく、二の妻のところの侍女が大変困っていると彼に連絡を寄越してきたので、顔を出すのだと。
「その方は……?」
「今から訪ねる妻は、グローアの実妹なのです」
アリアンロッドは思い起こす。イナンナの母ということだ。
「今、彼女は身体の具合が思わしくなくて……」
「忙しい夫に連絡が来てしまうほど、深刻なんですか?」
アリアンロッドは、その夫人が今も存命であることを知っている。
話も途中だが馬車が到着し、ふたりは急ぎ足で降りた。
玄関に入ると、そこで働く侍女らが出てきて、主人の機嫌がすこぶる悪く、もう彼女らでは手に負えないとルミエールに報告する。ルミエールは、みなしばらく離れで休むようにと労った。
「私だ、入れてくれないか?」
ルミエールが夫人の寝室を叩き、はきはきとした声で申し入れる。
「会いとうございません。お帰りください」
「……しばらくここに座っているから、気が向いたら開けてくれ」
そうドア越しに言って、彼は廊下に設置のソファに腰を下ろした。
アリアンロッドもその隣に腰掛けたら、
「妻は今、ここに子がいて」
彼は自身の腹を軽やかに手で叩いて見せた。
「えっ」
「それで心も身体も調子が乗らないのです。とは言え、このように門前払いされるのは、この時期に限ったことでもないのですが」
寂しそうに苦笑いした。
「3回帰って1回入れてもらえるかどうか。昔は本当によく懐いてくれて、この上なく可愛い子だったのに」
「それは……やきもちではなくて? あちらの奥方をより大事にしてるのが、目に見えるとかで」
アリアンロッドはイナンナの言葉を順に思い出していた。
「妻の気持ちが分かるのですか?」
彼は意外そうな顔をしている。
「い、いえ、私がやきもち焼きだから、かな……」
「それは、私も人の子だから、すべてうまく平等にとはできないけれど、こちらの妻もめいっぱい大事にしたいと思っているんだ。だってあんなに可愛いのだもの」
「可愛いんですか? ……ああ、顔は可愛いだろうけど」
イナンナの顔立ちが脳裡に浮かんでいた。
「社交場で、子どもの頃からよく知る子なので。姉妹を同時にもらってくれと侯爵である義父に言われた時は、それほど求められているのかと嬉しくなったのに」
少しふてくされたような彼の隣にて、アリアンロッドの頭は疑問符で埋まった。
(奥方をおざなりにしていたわけではないのね……。一方の話だけを聞いて判断するのはやっぱり良くないわ)
「ああ、平民の夫はいいなぁ。みなひとつの屋敷で、妻同士が共同生活をして過ごすなんて」
「ええ? そんなの、夫の立場が弱くなっちゃいそう。女は徒党を組むと強いから」
「私なんてすぐないがしろにされるだろうな。でも、それで妻も子も楽しく過ごせるならいいと思うんだよ」
王子の妻子は一所に置くと揉め事を起こすので、彼の希望はきっと叶えられない。
その時、またもや配下の者が彼を探してやってきた。彼にはまだまだ王代理としての職務があるようだ。
「私も執務室に戻らねば。あなたはどうしますか?」
アリアンロッドはもう、暦を見る必要もなくなったので。
「私は、じゃあ、夫人に挨拶しようかしら」
「ぜひ彼女とも友達になってあげてください」
柔らかな微笑みを見せた彼は、部下と急いで走っていってしまった。
「さてと」
アリアンロッドは夫ですら遠慮して、伺い立てて叩いたドアを、ええ──いっ! と気合入れ全力で押し出した。
「!?」
そこのソファに座っているのは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔の、小柄な少女。
「!!」
アリアンロッドは目を見張った。
(かっ、かっ……可愛い~~!!)
透き通るような瑞々しい肌に桃色の頬、小さな顔の上に乗る潤んだ瞳、ふっくらした唇。イナンナもグローアも十二分にキレイで可愛かったが、そして確かにみな似ているのだが、何と形容したらいいのだろうか、この娘の顔立ちは、すべてが調和した奇跡的な愛らしさというものがあり、そんな彼女に対するアリアンロッドの第一声は────
「あなた、何歳?」
初っぱなから、野外で可愛い娘を見つけた軽薄男のような質問をしてしまった。
「じゅ、16、ですが……」
狼藉者が一応女だとは分かったが、彼女は恐ろしさで抵抗できない。
「へぇ、16かぁ……」
聞いておいてこの返しは礼節にかけるが、アリアンロッドはこの短時間に感情の振れ幅が大きすぎて、自分の言動を制御できなくなっていた。
片や冷静になった第二夫人は、女といえども侵入者に睨まれているには違いなく、身の危機を感じ侍女を呼ぼうと声を上げた。すると身体に来たのか、嗚咽をあげ吐き始めてしまった。
「! え、ちょっと待って! 瓶! 瓶はどこ!!」
◇
「ふぅ……」
侍女は呼んでも出てこないので、客であるアリアンロッドがそこをすべて片付けた。区切りがついたら今度は、身重の彼女の背中を撫でてやる。
そうしたうちにそこそこの信頼を勝ち得たようで、一応は会話をしてくれるようになった。
「そう、あなた、ラーンっていうの。私はアリー。ルミエール殿下の友達よ」
ふたり目の妻・ラーンは、まだこの客人をそこまで信用できないらしく、疑いの目でじっと見てくる。
「せっかくルミエールさん来てくれたのに、何で追い払っちゃうの?」
「…………」
(口をつぐむ表情もまた可愛い。……って、ええっ?)
「あああ瓶! 瓶!!」
しかしその可愛い子は、前置きなく再び吐き始めるのだった。
「じゃあ捨ててくるわね……」
やはりお疲れ顔のアリアンロッド、廃棄場から戻ってきた後は、ただただ、彼女の背中をさすってやったのだった。
◇
「こんなに苦しいのは、この子が元気な男児という証なのよ……」
自分を納得させるように、ぼそっと呟くラーン。
黄昏時、窓からの西日の中で消え入りそうな彼女の背を撫でながら、アリアンロッドはイナンナの言葉を思い出していた。彼女はイナンナの前に生んだ子をふたり亡くしている。
「…………」
思い出さなければ良かった。心苦しいだけの情報だ。あんな神子のような赤子を、それも腹を痛めて生んだ我が子を、2度も亡くすことになる未来が待っているだなんて。それでも人の生き死にはどうしようもない。
今はやはり「男児」という思い込みが気になる。一般的には、彼らの身分なら当然のことであるが。
「女の子でもいいじゃない? 生んだ子が幸せならば」
「だめよ、エール様が、男児がいいと言うのだもの」
「ええぇ……?」
(そんなこと身重の妻に言ったのぉ……?)
16歳の少女にとって、子どもの頃から想っている人がすべてになるのも仕方ないと、アリアンロッドは苛立ちを募らせる。
モヤモヤっとしながらふいに首を傾げたら、そこで、部屋の隅の木机に羊皮紙が何枚も置かれているのを見つけた。何かびっしりと書かれているようである。
「ねぇ、あの紙の山、何? 見ていい?」
拾い上げて読んでみると。
「えっ、なにこれ。……可愛い可愛いラーン様、どうぞ私の熱い思いを受け止めて……○×伯爵家△◎□……親愛なるラーン様、私はあなただけを一途に愛す……あっちも! こっちも!?」
どれもこれも、まごうことなき恋文である。
「本当にしつこい人もいるのよ。私が夫のハーレムに入ってからもこうなのだから」
吐き気のようやく収まった彼女は、けだるげな様子で話す。
「すべてエール様に通告しているのだけど、彼は歯牙にもかけないの。私が相手にしなければいいのですって。お優しすぎるわ。それとも私なんてどうでもいいのかしら……」
彼は多分本当に、彼女が意に介さないならと思っているのでしょうけど、とアリアンロッドは想像する。
「お返事は?」
どうやら王宮での職務ではなく、二の妻のところの侍女が大変困っていると彼に連絡を寄越してきたので、顔を出すのだと。
「その方は……?」
「今から訪ねる妻は、グローアの実妹なのです」
アリアンロッドは思い起こす。イナンナの母ということだ。
「今、彼女は身体の具合が思わしくなくて……」
「忙しい夫に連絡が来てしまうほど、深刻なんですか?」
アリアンロッドは、その夫人が今も存命であることを知っている。
話も途中だが馬車が到着し、ふたりは急ぎ足で降りた。
玄関に入ると、そこで働く侍女らが出てきて、主人の機嫌がすこぶる悪く、もう彼女らでは手に負えないとルミエールに報告する。ルミエールは、みなしばらく離れで休むようにと労った。
「私だ、入れてくれないか?」
ルミエールが夫人の寝室を叩き、はきはきとした声で申し入れる。
「会いとうございません。お帰りください」
「……しばらくここに座っているから、気が向いたら開けてくれ」
そうドア越しに言って、彼は廊下に設置のソファに腰を下ろした。
アリアンロッドもその隣に腰掛けたら、
「妻は今、ここに子がいて」
彼は自身の腹を軽やかに手で叩いて見せた。
「えっ」
「それで心も身体も調子が乗らないのです。とは言え、このように門前払いされるのは、この時期に限ったことでもないのですが」
寂しそうに苦笑いした。
「3回帰って1回入れてもらえるかどうか。昔は本当によく懐いてくれて、この上なく可愛い子だったのに」
「それは……やきもちではなくて? あちらの奥方をより大事にしてるのが、目に見えるとかで」
アリアンロッドはイナンナの言葉を順に思い出していた。
「妻の気持ちが分かるのですか?」
彼は意外そうな顔をしている。
「い、いえ、私がやきもち焼きだから、かな……」
「それは、私も人の子だから、すべてうまく平等にとはできないけれど、こちらの妻もめいっぱい大事にしたいと思っているんだ。だってあんなに可愛いのだもの」
「可愛いんですか? ……ああ、顔は可愛いだろうけど」
イナンナの顔立ちが脳裡に浮かんでいた。
「社交場で、子どもの頃からよく知る子なので。姉妹を同時にもらってくれと侯爵である義父に言われた時は、それほど求められているのかと嬉しくなったのに」
少しふてくされたような彼の隣にて、アリアンロッドの頭は疑問符で埋まった。
(奥方をおざなりにしていたわけではないのね……。一方の話だけを聞いて判断するのはやっぱり良くないわ)
「ああ、平民の夫はいいなぁ。みなひとつの屋敷で、妻同士が共同生活をして過ごすなんて」
「ええ? そんなの、夫の立場が弱くなっちゃいそう。女は徒党を組むと強いから」
「私なんてすぐないがしろにされるだろうな。でも、それで妻も子も楽しく過ごせるならいいと思うんだよ」
王子の妻子は一所に置くと揉め事を起こすので、彼の希望はきっと叶えられない。
その時、またもや配下の者が彼を探してやってきた。彼にはまだまだ王代理としての職務があるようだ。
「私も執務室に戻らねば。あなたはどうしますか?」
アリアンロッドはもう、暦を見る必要もなくなったので。
「私は、じゃあ、夫人に挨拶しようかしら」
「ぜひ彼女とも友達になってあげてください」
柔らかな微笑みを見せた彼は、部下と急いで走っていってしまった。
「さてと」
アリアンロッドは夫ですら遠慮して、伺い立てて叩いたドアを、ええ──いっ! と気合入れ全力で押し出した。
「!?」
そこのソファに座っているのは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔の、小柄な少女。
「!!」
アリアンロッドは目を見張った。
(かっ、かっ……可愛い~~!!)
透き通るような瑞々しい肌に桃色の頬、小さな顔の上に乗る潤んだ瞳、ふっくらした唇。イナンナもグローアも十二分にキレイで可愛かったが、そして確かにみな似ているのだが、何と形容したらいいのだろうか、この娘の顔立ちは、すべてが調和した奇跡的な愛らしさというものがあり、そんな彼女に対するアリアンロッドの第一声は────
「あなた、何歳?」
初っぱなから、野外で可愛い娘を見つけた軽薄男のような質問をしてしまった。
「じゅ、16、ですが……」
狼藉者が一応女だとは分かったが、彼女は恐ろしさで抵抗できない。
「へぇ、16かぁ……」
聞いておいてこの返しは礼節にかけるが、アリアンロッドはこの短時間に感情の振れ幅が大きすぎて、自分の言動を制御できなくなっていた。
片や冷静になった第二夫人は、女といえども侵入者に睨まれているには違いなく、身の危機を感じ侍女を呼ぼうと声を上げた。すると身体に来たのか、嗚咽をあげ吐き始めてしまった。
「! え、ちょっと待って! 瓶! 瓶はどこ!!」
◇
「ふぅ……」
侍女は呼んでも出てこないので、客であるアリアンロッドがそこをすべて片付けた。区切りがついたら今度は、身重の彼女の背中を撫でてやる。
そうしたうちにそこそこの信頼を勝ち得たようで、一応は会話をしてくれるようになった。
「そう、あなた、ラーンっていうの。私はアリー。ルミエール殿下の友達よ」
ふたり目の妻・ラーンは、まだこの客人をそこまで信用できないらしく、疑いの目でじっと見てくる。
「せっかくルミエールさん来てくれたのに、何で追い払っちゃうの?」
「…………」
(口をつぐむ表情もまた可愛い。……って、ええっ?)
「あああ瓶! 瓶!!」
しかしその可愛い子は、前置きなく再び吐き始めるのだった。
「じゃあ捨ててくるわね……」
やはりお疲れ顔のアリアンロッド、廃棄場から戻ってきた後は、ただただ、彼女の背中をさすってやったのだった。
◇
「こんなに苦しいのは、この子が元気な男児という証なのよ……」
自分を納得させるように、ぼそっと呟くラーン。
黄昏時、窓からの西日の中で消え入りそうな彼女の背を撫でながら、アリアンロッドはイナンナの言葉を思い出していた。彼女はイナンナの前に生んだ子をふたり亡くしている。
「…………」
思い出さなければ良かった。心苦しいだけの情報だ。あんな神子のような赤子を、それも腹を痛めて生んだ我が子を、2度も亡くすことになる未来が待っているだなんて。それでも人の生き死にはどうしようもない。
今はやはり「男児」という思い込みが気になる。一般的には、彼らの身分なら当然のことであるが。
「女の子でもいいじゃない? 生んだ子が幸せならば」
「だめよ、エール様が、男児がいいと言うのだもの」
「ええぇ……?」
(そんなこと身重の妻に言ったのぉ……?)
16歳の少女にとって、子どもの頃から想っている人がすべてになるのも仕方ないと、アリアンロッドは苛立ちを募らせる。
モヤモヤっとしながらふいに首を傾げたら、そこで、部屋の隅の木机に羊皮紙が何枚も置かれているのを見つけた。何かびっしりと書かれているようである。
「ねぇ、あの紙の山、何? 見ていい?」
拾い上げて読んでみると。
「えっ、なにこれ。……可愛い可愛いラーン様、どうぞ私の熱い思いを受け止めて……○×伯爵家△◎□……親愛なるラーン様、私はあなただけを一途に愛す……あっちも! こっちも!?」
どれもこれも、まごうことなき恋文である。
「本当にしつこい人もいるのよ。私が夫のハーレムに入ってからもこうなのだから」
吐き気のようやく収まった彼女は、けだるげな様子で話す。
「すべてエール様に通告しているのだけど、彼は歯牙にもかけないの。私が相手にしなければいいのですって。お優しすぎるわ。それとも私なんてどうでもいいのかしら……」
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