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【 第七章 】 永遠に君のそばにいる
⑪ 歳の近いきょうだいあるある
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「ルシオーレ殿下! 私も行くから馬を貸してください!」
「あなたは馬に乗れるんですか?」
「当たり前よ!」
仮にも大聖女であるし、当たり前でもないと思うが、ルシオーレは微笑んだ。
「エールが無事でいてくれればいいのですが……」
ふたり、急いで王都を走り抜け、1時間ほど山道を駆け上り、物々しいオーラの漂ってくる方へと歩を進めると、先には大きな洞穴があった。更に注意深く進んでいくと、そこには項垂れたルミエールの姿が。
「エール、無事か!?」
ルシオーレがルミエールに近寄ったところで、奥に見えたのは、人の身体より少し大きいメスのワイバーンだった。それは目つきは鋭いが、動く気配はなく、どうやら身体の下で卵を温めているようだ。
「オーレ兄様、どうしてここへ……」
「わわぁ……」
アリアンロッドは初めて見るワイバーンが恐ろしく、洞穴の中の岩陰に隠れた。ルシオーレは槍を持ち出したが、アリアンロッドは準備など頭になく、何も武器を持ち合わせていない。付いてきたはいいが、何の役にも立ちそうにない自分にシュンとしてしまった。
「お前こそ! どうして軍隊が帰ってくるまで待たなかった!?」
「ちょうどいい、兄様。その槍を貸してください」
そう言って彼の持つそれを掴み取ろうとする。
「待て。何をするつもりだ」
手元を見るとルミエールは弓を持ってきたようだ。しかしその矢はすべて、ワイバーンの近くに折れて転がっている。
「持ってきた矢に睡眠薬を塗り付けておいたのですが、ワイバーンの固い羽にはまるで効かず、威圧にもならなかった……」
そしてルシオーレは気が付いた。転がる矢の周りに、つまりワイバーンの手前にて、茂る花々に。
「まさかあの花が、薬となる……」
「そう。ワイバーンは矢を放った私に反撃を仕掛ける様子はないですが、花を摘もうとすると威嚇してくる。ここより近付けば襲い掛かってくるのでしょう……」
「なら槍を渡すわけにはいかない。我ら個人では歯が立たぬ相手だ」
この兄の言い分に、ルミエールはこめかみをピクリとさせた。
「私はあなたと違い、日々の鍛錬を欠かしてはいない。昔はよく仕合ったのに、兄様は大人になってからというもの、ろくに槍を持たなくなりましたね」
「王子の趣味の鍛錬でどうにかなる話では」
ルシオーレは無意識だが、面倒くさそうに零すので、ルミエールはより態度を硬化させる。
「だいたい兄様はいつもそうだ。確かにあなたは鍛錬など積まなくても、何もかもおできになる。そしてそれ以上にちゃっかりしている。ここだって軍人に任せておけばよいなどと」
「だってそうだろう!?」
岩の裏に隠れたままのアリアンロッドが、「なんだか雲行きが怪しい……」と唇を引き結んだ時。
彼女の予想を裏切らず、ルミエールは悲痛な面持ちで、不平をこぼし始める。
「そうなんだ、兄様は神に愛された資質の持ち主で、努力などしなくてもすべてをそつなく完璧にこなし、人望を集めるのだ。その陰で割を食うのはいつも私」
「何を言っているんだ……?」
「あなたは何も意図せずその要領の良さで私の努力を蹴散らし、人々の信頼を勝ち取り、得意満面に生きていく」
元々第一王子のルシオーレが王の後継ではあるのだが、そこは実力主義のしきたりゆえに、国史上では必ずしも第一王子が、というわけではなかった。ルシオーレ本人は、さほど王位に固執しておらず、学業、政務においても真剣さは見られない。王や議員らは時に、第二王子の方が真面目で結果的には良い実を結ぶかもしれない、と考えるふしもあった。そのたびに、ルミエールは期待していた。真面目にこなしていれば、自分は兄を超えられるかもしれないと。
しかし結局、多くの者が認めるのはルシオーレのカリスマ性であった。取り組みが真剣でなくとも、なんであれ出した結果はすべてルシオーレの方が上回り、その懸命さを見せない性が、より余裕を感じさせ、大器を予感させる。
その輝きをルミエールは一番近くのすぐ隣で、否が応でも認めなくてはならなかった。
「それでも、私は地道に自分のできることを模索していくしかない。だからこの度は、私がここであの花を摘み、己の手で父様を救ってみせる。そうしたら彼はあなたでなく、私を後継に選ぶかもしれない」
岩陰からアリアンロッドは、集中して彼らの話を聞き取ろうとしている。
「お前は王位に就きたいのか? 私は、どちらがそこに就こうとも、手を取りふたりの力を合わせ、国をまとめていければいい。お前がそこに就くというなら、私はいくらでも助力……」
「違う! そうではない! 王位に就きたいのではないのだ。王といえども、実は政への意向の反映は少なく、その割に責任ばかりが重く、報酬だって労力に見合うほどでなく、地方領主の方がよほど左団扇で暮らしているではないか! みな分かっていて押し付けているのだ、結局そんな地位、我がままな大聖女と聖女の子守役だって!!」
(え~~!? 実は歴代王って“我がまま娘のお守りとか勘弁してくれよ~~”なんて思いながら大聖女と組んでいたんだ!?)
アリアンロッドは白目を剝いた。あまりにショックで声も出ない。
「そうまで分かっていてもその王になりたいのか」
「あなたを差し置いてその地位に就いた、という実績が欲しいのだ」
そこでルシオーレは怒りをあらわにする。
「そんな実績が何になるというのだ!!」
「あなたには分からない! 分かるわけないんだ! 人に褒められ認められ、求められるのが極々当たり前のあなたに」
そう聞いたら今度は溜め息をついた。
「分かっていないのはお前だ。正直に言おう。私はお前になりたい」
「何を!? 私なんかになったらあなたの人生はつるべ落としだ。何を好き好んでこんな、真面目さだけが取り柄の地味な男に……」
「なら派手な男とは何だ? すべてを手に入れた男か? 男の求めて止まないものは何だと思う? 地位、財産? それらに関して今我々は同程度だ。それなら次に求めるものは?」
アリアンロッドは「なんだろう?」と首を傾げた。
「女だ!!」
出題者からすぐに答えが聞けたアリアンロッド、ああそうですか、としか感想がない。
「それであれば、お前の方が格上の男だ。お前は私の愛して止まないふたりの女性の愛を、一身に浴びたのだから」
「ふたり?」
ルミエールは不審げな顔をする。
「すなわち、グローアとお母様だ!!」
「えぇ~~??」
響いたのはアリアンロッドの叫びだが、男ふたりは真剣なので気にしなかった。
「お母様はいつも、私よりお前を気にかけていた。やはり不器用な子の方が可愛いらしい。まぁそれは分からぬでもない。しかし私は何より、グローアだけは手に入れたかった……」
「えっ? 兄様はグローアを好ましく思っていたのですか? そのようなそぶりはまったく……」
「その心に気付いた頃には、お前たちはもう出来上がっていたのだ! そう、お前たちは5つの時点で既に思い合っていた。その仲は揺らぐことなく、ゴールイン……」
アリアンロッドは苦虫を噛み潰したような顔になった。
(あ──……5歳でファーストキスを経験していた派の人たちだ……)
「兄様も3人の美しい妻をお持ちではないですか……」
「もちろんそれぞれに美しくできた妻らだ、大事に思う。しかし私は齢6つで既に諦めなくてはならなかったのだぞ。初めて愛した女性を目の前で持っていかれ、それを生涯忘れ得ぬ運命に甘んずると……」
彼は項垂れた。その姿すらも美しい。
(兄弟共に思い込み激しくて、熱いなぁ……。兄弟喧嘩は犬も食わないわね)
アリアンロッドもこの思わぬ展開に、なりゆきを温かく見守る心構えができた。
「あなたは馬に乗れるんですか?」
「当たり前よ!」
仮にも大聖女であるし、当たり前でもないと思うが、ルシオーレは微笑んだ。
「エールが無事でいてくれればいいのですが……」
ふたり、急いで王都を走り抜け、1時間ほど山道を駆け上り、物々しいオーラの漂ってくる方へと歩を進めると、先には大きな洞穴があった。更に注意深く進んでいくと、そこには項垂れたルミエールの姿が。
「エール、無事か!?」
ルシオーレがルミエールに近寄ったところで、奥に見えたのは、人の身体より少し大きいメスのワイバーンだった。それは目つきは鋭いが、動く気配はなく、どうやら身体の下で卵を温めているようだ。
「オーレ兄様、どうしてここへ……」
「わわぁ……」
アリアンロッドは初めて見るワイバーンが恐ろしく、洞穴の中の岩陰に隠れた。ルシオーレは槍を持ち出したが、アリアンロッドは準備など頭になく、何も武器を持ち合わせていない。付いてきたはいいが、何の役にも立ちそうにない自分にシュンとしてしまった。
「お前こそ! どうして軍隊が帰ってくるまで待たなかった!?」
「ちょうどいい、兄様。その槍を貸してください」
そう言って彼の持つそれを掴み取ろうとする。
「待て。何をするつもりだ」
手元を見るとルミエールは弓を持ってきたようだ。しかしその矢はすべて、ワイバーンの近くに折れて転がっている。
「持ってきた矢に睡眠薬を塗り付けておいたのですが、ワイバーンの固い羽にはまるで効かず、威圧にもならなかった……」
そしてルシオーレは気が付いた。転がる矢の周りに、つまりワイバーンの手前にて、茂る花々に。
「まさかあの花が、薬となる……」
「そう。ワイバーンは矢を放った私に反撃を仕掛ける様子はないですが、花を摘もうとすると威嚇してくる。ここより近付けば襲い掛かってくるのでしょう……」
「なら槍を渡すわけにはいかない。我ら個人では歯が立たぬ相手だ」
この兄の言い分に、ルミエールはこめかみをピクリとさせた。
「私はあなたと違い、日々の鍛錬を欠かしてはいない。昔はよく仕合ったのに、兄様は大人になってからというもの、ろくに槍を持たなくなりましたね」
「王子の趣味の鍛錬でどうにかなる話では」
ルシオーレは無意識だが、面倒くさそうに零すので、ルミエールはより態度を硬化させる。
「だいたい兄様はいつもそうだ。確かにあなたは鍛錬など積まなくても、何もかもおできになる。そしてそれ以上にちゃっかりしている。ここだって軍人に任せておけばよいなどと」
「だってそうだろう!?」
岩の裏に隠れたままのアリアンロッドが、「なんだか雲行きが怪しい……」と唇を引き結んだ時。
彼女の予想を裏切らず、ルミエールは悲痛な面持ちで、不平をこぼし始める。
「そうなんだ、兄様は神に愛された資質の持ち主で、努力などしなくてもすべてをそつなく完璧にこなし、人望を集めるのだ。その陰で割を食うのはいつも私」
「何を言っているんだ……?」
「あなたは何も意図せずその要領の良さで私の努力を蹴散らし、人々の信頼を勝ち取り、得意満面に生きていく」
元々第一王子のルシオーレが王の後継ではあるのだが、そこは実力主義のしきたりゆえに、国史上では必ずしも第一王子が、というわけではなかった。ルシオーレ本人は、さほど王位に固執しておらず、学業、政務においても真剣さは見られない。王や議員らは時に、第二王子の方が真面目で結果的には良い実を結ぶかもしれない、と考えるふしもあった。そのたびに、ルミエールは期待していた。真面目にこなしていれば、自分は兄を超えられるかもしれないと。
しかし結局、多くの者が認めるのはルシオーレのカリスマ性であった。取り組みが真剣でなくとも、なんであれ出した結果はすべてルシオーレの方が上回り、その懸命さを見せない性が、より余裕を感じさせ、大器を予感させる。
その輝きをルミエールは一番近くのすぐ隣で、否が応でも認めなくてはならなかった。
「それでも、私は地道に自分のできることを模索していくしかない。だからこの度は、私がここであの花を摘み、己の手で父様を救ってみせる。そうしたら彼はあなたでなく、私を後継に選ぶかもしれない」
岩陰からアリアンロッドは、集中して彼らの話を聞き取ろうとしている。
「お前は王位に就きたいのか? 私は、どちらがそこに就こうとも、手を取りふたりの力を合わせ、国をまとめていければいい。お前がそこに就くというなら、私はいくらでも助力……」
「違う! そうではない! 王位に就きたいのではないのだ。王といえども、実は政への意向の反映は少なく、その割に責任ばかりが重く、報酬だって労力に見合うほどでなく、地方領主の方がよほど左団扇で暮らしているではないか! みな分かっていて押し付けているのだ、結局そんな地位、我がままな大聖女と聖女の子守役だって!!」
(え~~!? 実は歴代王って“我がまま娘のお守りとか勘弁してくれよ~~”なんて思いながら大聖女と組んでいたんだ!?)
アリアンロッドは白目を剝いた。あまりにショックで声も出ない。
「そうまで分かっていてもその王になりたいのか」
「あなたを差し置いてその地位に就いた、という実績が欲しいのだ」
そこでルシオーレは怒りをあらわにする。
「そんな実績が何になるというのだ!!」
「あなたには分からない! 分かるわけないんだ! 人に褒められ認められ、求められるのが極々当たり前のあなたに」
そう聞いたら今度は溜め息をついた。
「分かっていないのはお前だ。正直に言おう。私はお前になりたい」
「何を!? 私なんかになったらあなたの人生はつるべ落としだ。何を好き好んでこんな、真面目さだけが取り柄の地味な男に……」
「なら派手な男とは何だ? すべてを手に入れた男か? 男の求めて止まないものは何だと思う? 地位、財産? それらに関して今我々は同程度だ。それなら次に求めるものは?」
アリアンロッドは「なんだろう?」と首を傾げた。
「女だ!!」
出題者からすぐに答えが聞けたアリアンロッド、ああそうですか、としか感想がない。
「それであれば、お前の方が格上の男だ。お前は私の愛して止まないふたりの女性の愛を、一身に浴びたのだから」
「ふたり?」
ルミエールは不審げな顔をする。
「すなわち、グローアとお母様だ!!」
「えぇ~~??」
響いたのはアリアンロッドの叫びだが、男ふたりは真剣なので気にしなかった。
「お母様はいつも、私よりお前を気にかけていた。やはり不器用な子の方が可愛いらしい。まぁそれは分からぬでもない。しかし私は何より、グローアだけは手に入れたかった……」
「えっ? 兄様はグローアを好ましく思っていたのですか? そのようなそぶりはまったく……」
「その心に気付いた頃には、お前たちはもう出来上がっていたのだ! そう、お前たちは5つの時点で既に思い合っていた。その仲は揺らぐことなく、ゴールイン……」
アリアンロッドは苦虫を噛み潰したような顔になった。
(あ──……5歳でファーストキスを経験していた派の人たちだ……)
「兄様も3人の美しい妻をお持ちではないですか……」
「もちろんそれぞれに美しくできた妻らだ、大事に思う。しかし私は齢6つで既に諦めなくてはならなかったのだぞ。初めて愛した女性を目の前で持っていかれ、それを生涯忘れ得ぬ運命に甘んずると……」
彼は項垂れた。その姿すらも美しい。
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