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【 第九章 】 運命が許さなくても
① 私の味方をお願いします!
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お披露目の周遊を終え、王宮に戻って一月が過ぎた。
この日も、朝から庭園をぼうっと眺めるアリアンロッド。その視界に映る噴水のしぶきはいつも、大きく跳ねて虹色に光る。
それに反して彼女の心は、いまだ鈍色のままだ。
この一月のあいだ、ただひたすら憂鬱に過ごしていた。自身の運命が、国の未来が……、考えるべきことは多々あるが、それすらも今は進む道の端に転がして────
――――「お前、行った先で何してたんだよ!!」
その時を境に、アリアンロッドはアンヴァルに避けられていた。とは言え、彼は周遊中の大聖女付きの護衛であったので、傍にはいた。必要があれば会話もした。ただそれはあくまで、主君と従者の間の、形式に沿ったものだった。
そんな彼の態度を受け入れらるわけもない。が、彼女もどこか後ろめたい気持ちがあり、彼の深層へとがむしゃらに突破することをためらっていた。
王宮に戻ってきた後、アンヴァルは王太子付きに戻り、ふたりが顔を合わせることはなかった。
(ヴァルがそばにいないと、落ち着かない……。)
以前にも増して彼は、アリアンロッドにとって大きな存在になっていた。
“あれ”について誤解されたままではいられない。
(確かに私はあの男に気を許していたと思う……。でも私はあくまで被害者よ! 責められる謂れはないはず……。なのに、ヴァルは心底、私に失望してる……)
アリアンロッドは最終的に、彼は私の危機管理が甘かった点を非難しているのだ、といったふうに思い込んでしまった。となると、羞恥の思いで鼓動がテンポを上げ、顔も赤く染まっていく。
(でも! ヴァルはあの時、私の言い分をちっとも聞いてくれなかった!)
彼女の感情は幾度も揺らぐ。
確かに自分は、「あの男」を頼ってしまっていた。であっても、かなり切迫した状況であったし、少しは聞く耳を持ってくれてもいいじゃない、と苛立ちもする。
(やっぱり向き合って話がしたい……!)
とはいえ、彼のところに直接行く勇気もない。私の味方になってくれる人──第三者を挟まなくては、と思い立つ。
アリアンロッドはバッと立ち上がった。
◇
「ディオ様!」
「アリア。どうしたんだ?」
ディオニソスは彼女の元気の無さを一瞬で見抜いた。彼もこのところ忙しくしていて、王と大聖女として話し合う議題もなく、彼女の様子をあまりみられなかったと顧みる。しばらく配下に業務を任せ、彼女とふたりきりの時間をもうけることにした。
「あ、あの……」
アリアンロッドはとにかく聞いてもらいたくて仕方ない。
(……あっ……)
しかし困った。猪突猛進な彼女はそこでまた、ようやく気付いた。
(どうしよう……)
この相談をするには、首筋に跡を付けられたことを、よりによって彼に話さなくてはならない。
(そんなこと、話せるわけないじゃない! ……でも……)
これを黙っているということは、やましいことだと自認している、ということではないか、と気付いてしまった。
(ディオ様に隠し事をするの??)
まさに究極の選択だ。いったいどちらが正解なのか。
「アリア?」
ディオニソスが心配そうに彼女の顔を覗き込む。
アリアンロッドは自身の首筋を指で軽く押さえた。アンヴァルについての相談をすることより、目的が変わってしまった自分がいる。
「私、ここに、男に……口づけられたの……そして、吸われたみたい……。でも、ほんとにそれだけで、ちゃんと帰ってこれたし……」
結局、気付いてしまったから、黙っておけなかった。「やましいことを隠す」に耐えられない。
「…………」
ディオニソスは無表情のまま固まった。
「ディ、ディオ様?」
呆けた彼に罪悪感で、アリアンロッドの涙がぶわっと溢れだす。
「ごめんなさい……!! 私が油断したせいでっ……」
「はっ」
ぴーっと泣きわめく彼女を前に、ディオニソスの意識も復活した。
「あ、いや……あの、順序良く、話してくれるか……? 責めたりなど、決して……しないから……」
◇
彼もやはり心の整理ができない様子だ。
アリアンロッドは、周遊中の時空移動先で名も知らぬ男に首筋を吸われたこと、それをアンヴァルに咎められ、それからろくに顔を合わせていないことを話した。
「……かくかくじかじかでこういう状態なのっ、ヴァルのバカ──!」
ディオニソスの前で甘ったれな彼女は、最後にアンヴァルを詰った。
しかしディオニソスにとっては、アンヴァルとの関係がどうこうはほぼどうでもいいことで、話の前半部分が大問題であった。実際に神通力が失われていないのなら、“国の機構としては”問題としなくてもいいのだろうが。
「ディオ様?」
彼は切ない表情で彼女の首筋を見つめた。
「君を守れずにいる己が悔しいんだ……」
「…………」
アリアンロッドは嬉しかった。やっと自分の非を否定してもらえたのだ。
「ほんとにただ、からかわれただけなの。それ以上何が起こるなんてこともなかったし……。でも、ちょっと、怖かった……」
とことん甘えたくて彼に飛びついた。
「ディオ様がしてくれたらいいのに!」
ディオニソスはアリアンロッドの髪を撫でながら言う。
「こんな近くに首筋を持ってきて、それを言わないでくれ」
「だめなの? 力は失わないよ?」
「それ以上煽ると、吸うどころか噛みつくよ?」
普段は甘い微笑み顔のディオニソスが、狼のような顔をした。アリアンロッドは一瞬だがその、彼らしからぬ顔を見つけ、顔を赤くした。
彼女が怯んだ隙にディオニソスは、自身から彼女をぺりっと剥がして、いつものようにすとんと置く。
「で、アンヴァルがどうしたんだ?」
空気を変えようと右腕を利用するディオニソスだった。
「うん……、ヴァルに軽蔑されちゃったみたい。あんなふうに怒鳴る彼は初めて。それから避けられてるの……」
「ああ」
彼にしてみたら気持ちは分からなくもない、どころか、同情に余りある。神の思し召しには逆らえないので、彼女を独りで行かせてしまったことも仕方ないのだが──。
「大丈夫だ。それは、彼が己を恥じて顔見せできないだけなのだから」
「? 自分を恥じるって?」
アリアンロッドにはまったく意味が分からない。
「ヴァルは私を非難した。調子に乗った男の手出しすらあしらえない愚図って言いたいのよ。それとも、そんなことされて浮かれている不貞な女だと思われたのかしら?」
「そんなことは」
「だってすごく怖い顔して怒鳴ったもん!」
悔しさやら恥ずかしさやらで青くなった顔を押さえ、アリアンロッドは項垂れた。そんな彼女の両手を掴んで、彼は諭す。
「それを見つけた瞬間は、冷静さを失い、そのような態度をとってしまった。気付けば後悔の嵐、君に顔向けできるわけがない。君を守れなかった上に、それを棚上げしたのだから」
「そうなの……?」
彼女にとって彼の言うことは絶対だ。彼が言うのならそうなのだ。
「じゃあ、私からヴァルに会いにいっていいのね? ちょっと行ってくる……」
そこで、すちゃっと立ち上がり、出て行こうとした彼女に、ディオニソスは声をかける。
「アンヴァルは今いないよ」
「……え?」
「ああ、そうだ、言い忘れていた。彼は今、外交のため国を出ている。もう今頃は北西の国に入ったかな」
「えっ? ヴァル、王宮にいないの??」
この日も、朝から庭園をぼうっと眺めるアリアンロッド。その視界に映る噴水のしぶきはいつも、大きく跳ねて虹色に光る。
それに反して彼女の心は、いまだ鈍色のままだ。
この一月のあいだ、ただひたすら憂鬱に過ごしていた。自身の運命が、国の未来が……、考えるべきことは多々あるが、それすらも今は進む道の端に転がして────
――――「お前、行った先で何してたんだよ!!」
その時を境に、アリアンロッドはアンヴァルに避けられていた。とは言え、彼は周遊中の大聖女付きの護衛であったので、傍にはいた。必要があれば会話もした。ただそれはあくまで、主君と従者の間の、形式に沿ったものだった。
そんな彼の態度を受け入れらるわけもない。が、彼女もどこか後ろめたい気持ちがあり、彼の深層へとがむしゃらに突破することをためらっていた。
王宮に戻ってきた後、アンヴァルは王太子付きに戻り、ふたりが顔を合わせることはなかった。
(ヴァルがそばにいないと、落ち着かない……。)
以前にも増して彼は、アリアンロッドにとって大きな存在になっていた。
“あれ”について誤解されたままではいられない。
(確かに私はあの男に気を許していたと思う……。でも私はあくまで被害者よ! 責められる謂れはないはず……。なのに、ヴァルは心底、私に失望してる……)
アリアンロッドは最終的に、彼は私の危機管理が甘かった点を非難しているのだ、といったふうに思い込んでしまった。となると、羞恥の思いで鼓動がテンポを上げ、顔も赤く染まっていく。
(でも! ヴァルはあの時、私の言い分をちっとも聞いてくれなかった!)
彼女の感情は幾度も揺らぐ。
確かに自分は、「あの男」を頼ってしまっていた。であっても、かなり切迫した状況であったし、少しは聞く耳を持ってくれてもいいじゃない、と苛立ちもする。
(やっぱり向き合って話がしたい……!)
とはいえ、彼のところに直接行く勇気もない。私の味方になってくれる人──第三者を挟まなくては、と思い立つ。
アリアンロッドはバッと立ち上がった。
◇
「ディオ様!」
「アリア。どうしたんだ?」
ディオニソスは彼女の元気の無さを一瞬で見抜いた。彼もこのところ忙しくしていて、王と大聖女として話し合う議題もなく、彼女の様子をあまりみられなかったと顧みる。しばらく配下に業務を任せ、彼女とふたりきりの時間をもうけることにした。
「あ、あの……」
アリアンロッドはとにかく聞いてもらいたくて仕方ない。
(……あっ……)
しかし困った。猪突猛進な彼女はそこでまた、ようやく気付いた。
(どうしよう……)
この相談をするには、首筋に跡を付けられたことを、よりによって彼に話さなくてはならない。
(そんなこと、話せるわけないじゃない! ……でも……)
これを黙っているということは、やましいことだと自認している、ということではないか、と気付いてしまった。
(ディオ様に隠し事をするの??)
まさに究極の選択だ。いったいどちらが正解なのか。
「アリア?」
ディオニソスが心配そうに彼女の顔を覗き込む。
アリアンロッドは自身の首筋を指で軽く押さえた。アンヴァルについての相談をすることより、目的が変わってしまった自分がいる。
「私、ここに、男に……口づけられたの……そして、吸われたみたい……。でも、ほんとにそれだけで、ちゃんと帰ってこれたし……」
結局、気付いてしまったから、黙っておけなかった。「やましいことを隠す」に耐えられない。
「…………」
ディオニソスは無表情のまま固まった。
「ディ、ディオ様?」
呆けた彼に罪悪感で、アリアンロッドの涙がぶわっと溢れだす。
「ごめんなさい……!! 私が油断したせいでっ……」
「はっ」
ぴーっと泣きわめく彼女を前に、ディオニソスの意識も復活した。
「あ、いや……あの、順序良く、話してくれるか……? 責めたりなど、決して……しないから……」
◇
彼もやはり心の整理ができない様子だ。
アリアンロッドは、周遊中の時空移動先で名も知らぬ男に首筋を吸われたこと、それをアンヴァルに咎められ、それからろくに顔を合わせていないことを話した。
「……かくかくじかじかでこういう状態なのっ、ヴァルのバカ──!」
ディオニソスの前で甘ったれな彼女は、最後にアンヴァルを詰った。
しかしディオニソスにとっては、アンヴァルとの関係がどうこうはほぼどうでもいいことで、話の前半部分が大問題であった。実際に神通力が失われていないのなら、“国の機構としては”問題としなくてもいいのだろうが。
「ディオ様?」
彼は切ない表情で彼女の首筋を見つめた。
「君を守れずにいる己が悔しいんだ……」
「…………」
アリアンロッドは嬉しかった。やっと自分の非を否定してもらえたのだ。
「ほんとにただ、からかわれただけなの。それ以上何が起こるなんてこともなかったし……。でも、ちょっと、怖かった……」
とことん甘えたくて彼に飛びついた。
「ディオ様がしてくれたらいいのに!」
ディオニソスはアリアンロッドの髪を撫でながら言う。
「こんな近くに首筋を持ってきて、それを言わないでくれ」
「だめなの? 力は失わないよ?」
「それ以上煽ると、吸うどころか噛みつくよ?」
普段は甘い微笑み顔のディオニソスが、狼のような顔をした。アリアンロッドは一瞬だがその、彼らしからぬ顔を見つけ、顔を赤くした。
彼女が怯んだ隙にディオニソスは、自身から彼女をぺりっと剥がして、いつものようにすとんと置く。
「で、アンヴァルがどうしたんだ?」
空気を変えようと右腕を利用するディオニソスだった。
「うん……、ヴァルに軽蔑されちゃったみたい。あんなふうに怒鳴る彼は初めて。それから避けられてるの……」
「ああ」
彼にしてみたら気持ちは分からなくもない、どころか、同情に余りある。神の思し召しには逆らえないので、彼女を独りで行かせてしまったことも仕方ないのだが──。
「大丈夫だ。それは、彼が己を恥じて顔見せできないだけなのだから」
「? 自分を恥じるって?」
アリアンロッドにはまったく意味が分からない。
「ヴァルは私を非難した。調子に乗った男の手出しすらあしらえない愚図って言いたいのよ。それとも、そんなことされて浮かれている不貞な女だと思われたのかしら?」
「そんなことは」
「だってすごく怖い顔して怒鳴ったもん!」
悔しさやら恥ずかしさやらで青くなった顔を押さえ、アリアンロッドは項垂れた。そんな彼女の両手を掴んで、彼は諭す。
「それを見つけた瞬間は、冷静さを失い、そのような態度をとってしまった。気付けば後悔の嵐、君に顔向けできるわけがない。君を守れなかった上に、それを棚上げしたのだから」
「そうなの……?」
彼女にとって彼の言うことは絶対だ。彼が言うのならそうなのだ。
「じゃあ、私からヴァルに会いにいっていいのね? ちょっと行ってくる……」
そこで、すちゃっと立ち上がり、出て行こうとした彼女に、ディオニソスは声をかける。
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