サトリ

マスター

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プロローグ

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 物心ついた時には人の心が-考えている事が勝手に聞こえた。

 産まれた瞬間からそうだったのかもしれない。

 ただ、気づいたら聞こえていた。

 幼い頃はその人が喋っているのか、心の声なのか全く区別がついていなかった。

 そもそも、自分にそういう能力がある事にすら気づいていなかった。

「-サトリだ」

 小学生の時、男子から言われた。

 妖怪図鑑という物を片手に「サトリ」と書かれたページを指差していた。

 そこで、初めて自分が異端だという事に気づいた。

 しかし、既に遅かった。

 彼女は転校した。

 自分を知る物がいない土地へ。

 彼女は必死で普通の人間であろうと努力した。

 自分が化物だと思い知らされるのが恐くて。

 彼女は遂に自分の能力のコントロールに成功した。

 それから随分と長い時間が経った。

 ある日、彼女は長い眠りから覚めた。

 心を読むだけでなく記憶の操作までできるようになって…。
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