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プロローグ
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緊張しながら校長先生の話を体育館で
聴いていたのが去年の4月
僕は今、
誰もいない教室に独り座っている
窓際まで静かに近付くと
そっと窓を開ける
その時、
春の風と一緒に桜の花びらが
教室の中へと運ばれ
綺麗に舞ってから
ゆっくりと落ちて行く
そして次に
春一番の力強い風が吹き付け
桜の木を激しく揺らした。
力強い風の勢いとは裏腹に
力なく落ちて行く桜の花びらは
誰も居ない教室と相まって
少し悲しげに見えた。
風の音が止むとあたりはとても静かで
僕の耳にはシーンという
静かな音だけが染み付いている
僕は、力なく落ちて行った桜の花びらを
一片 一片拾い上げ
今度は両手一杯分の花びらを
意味もなく、自分の息で
舞わせてみた。
僕はただ舞わせた桜をじっと
静かに見つめた。
それは、さっきと変わらず、
ゆらゆらと力なく落ちていった。
すべての花びらが落ちていった時
独りだった教室の扉が乾いた音をたて
僕以外の誰かが入って来る事を知らせる
(誰かが入って来た……)
改めてそう意識すると
不安が押し寄せて来て
緊張で体が強ばってしまう
だが、誰が入ってきたのか気になり
仕方がなく
恐る恐るそちらに視線を向ける。
視線の先に居たのは
良く知った顔で
僕はひどく安心した。
僕を不安にさせた当の本人はそんな事
知る由もなく 指定されている
座席を確認しながら僕に話しかけてきた。
「おはよう、亜樹 昨日はよく寝れた?」
「おはよう、亮 あんまり寝れなかったや」
僕の幼馴染みの亮は
年が離れた姉や妹がいるせいか
中学生とは思えないくらいに
大人びていて
落ち着いた雰囲気を持っている
そのせいか、たまに二人で出掛けると
大抵兄弟と間違われる。
別に嫌でもないが嬉しくもない
とても複雑な気分になる。
それに、たまに僕の事まで
子供扱いをして来る
困った幼馴染みだ。
でも、そんな困った幼馴染みの事を
好きになってしまった僕は……
きっともっと困った奴だと思う……
でも、この想いもきっと
今年の春に……この桜と一緒に……
散ってしまうんじゃないかと
そんな気がして
本当はその方が楽になれる筈なのに、
何処かこの気持ちと別れるのは
寂しいようなもったいない様な
そんな気がしてやまない。
聴いていたのが去年の4月
僕は今、
誰もいない教室に独り座っている
窓際まで静かに近付くと
そっと窓を開ける
その時、
春の風と一緒に桜の花びらが
教室の中へと運ばれ
綺麗に舞ってから
ゆっくりと落ちて行く
そして次に
春一番の力強い風が吹き付け
桜の木を激しく揺らした。
力強い風の勢いとは裏腹に
力なく落ちて行く桜の花びらは
誰も居ない教室と相まって
少し悲しげに見えた。
風の音が止むとあたりはとても静かで
僕の耳にはシーンという
静かな音だけが染み付いている
僕は、力なく落ちて行った桜の花びらを
一片 一片拾い上げ
今度は両手一杯分の花びらを
意味もなく、自分の息で
舞わせてみた。
僕はただ舞わせた桜をじっと
静かに見つめた。
それは、さっきと変わらず、
ゆらゆらと力なく落ちていった。
すべての花びらが落ちていった時
独りだった教室の扉が乾いた音をたて
僕以外の誰かが入って来る事を知らせる
(誰かが入って来た……)
改めてそう意識すると
不安が押し寄せて来て
緊張で体が強ばってしまう
だが、誰が入ってきたのか気になり
仕方がなく
恐る恐るそちらに視線を向ける。
視線の先に居たのは
良く知った顔で
僕はひどく安心した。
僕を不安にさせた当の本人はそんな事
知る由もなく 指定されている
座席を確認しながら僕に話しかけてきた。
「おはよう、亜樹 昨日はよく寝れた?」
「おはよう、亮 あんまり寝れなかったや」
僕の幼馴染みの亮は
年が離れた姉や妹がいるせいか
中学生とは思えないくらいに
大人びていて
落ち着いた雰囲気を持っている
そのせいか、たまに二人で出掛けると
大抵兄弟と間違われる。
別に嫌でもないが嬉しくもない
とても複雑な気分になる。
それに、たまに僕の事まで
子供扱いをして来る
困った幼馴染みだ。
でも、そんな困った幼馴染みの事を
好きになってしまった僕は……
きっともっと困った奴だと思う……
でも、この想いもきっと
今年の春に……この桜と一緒に……
散ってしまうんじゃないかと
そんな気がして
本当はその方が楽になれる筈なのに、
何処かこの気持ちと別れるのは
寂しいようなもったいない様な
そんな気がしてやまない。
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