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第二章:ダンジョンマスターと魔物と人とチーター
第2話:領主様
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「おお、博士か。話は聞いたぞ! それで、そちらの御仁がトラベラーの方かな?」
「ああそうだ、一応国王陛下の庇護下にあると思ってくれ」
「ふふっ、分かってるさ。まあ、先々代の頃から初めてのトラベラーだからな。私も会えて嬉しいし。ああ、挨拶だったな。私がこの街の領主のメイベル・フォン・レガードだ。父を早くに亡くしてしまってな。頼りないかもしれんが、この街に居る間は全力で保護させてもらおう」
そう言って、こちらに手を差し出してくる領主様。
うん、若い。
そして綺麗だ。
まさか女性とは……いや、最近では女性領主ルートも散見されるから、ある意味お約束かな?
「ムッ!」
『ムッ!』
何故かミランと、セーブポイントが不機嫌だけどまあ良いや。
お子ちゃまと、無機物に懸想するほど飢えてない。
というか、精神力がやばいくらいに上がってるから、そんなに感情に振れ幅も無くなってるみたいだし。
「ああ、初めまして。えっと、クラタ・ヨシキです。こっちだと、ヨシキ・クラタになるのかな? あまりこういった場での礼儀ってのは疎いから、無礼があるかもしれないけど許してね」
「お……ああ、気にしないでくれ。立場上では貴方の方が上だから」
その手を握ると、ちょっとだけ頬を上気させたメイベルが軽く握り返してくれた。
ニギニギ。
柔らかくて気持ちいい。
なにかに似てる気がするけど、ちょっとくらい良いよね。
金髪碧眼のベッピンさん。
髪がちょっと傷んでるのが気になるけど、もしかしたら知識チート用にあえて文化レベルを落としてるのかもしれない。
生産系の方でシャンプーやリンスをトリートメント普及させる的な楽しみもあるのかもしれない。
手を広げ過ぎると本当にゴールが見えなくなって唐突に飽きるから、ある程度は節操も大事だと思うけどね。
「あの……そろそろ手を放して貰えると」
う~ん、それにしてもスタイルも抜群に良いし。
やや巨乳の美乳とか、こんなに触感がリアルなゲームだったら良からぬ事を考えるプレイヤーも居るぞきっと。
精神力が前のままだったら、やばかったかもしれない。
これ、現世に戻ってもこんな冷めた性格になるのかな?
いや、冷めてるのとはちょっと違うか。
「あの……?」
それにしても足長いよなー。
腰の位置が凄い事になってるし。
でも、太もも柔らかそう。
本当にゲームかこれ?
「ヨシキは、いつまで手を握っている?」
『マスター?』
不意に手首に電気が走ったかと思うと、ミランがジッとこっちを見ていた。
言葉遣いが、博士モードだ。
どうやら、色々と思考がトリップしていたようだ。
「あっ、すいません。つい考え事を」
「フフッ、何を考えていたのか教えてもらっても?」
ああ……言える訳無いな。
綺麗な人だなまでは良いとして、やや巨乳の美乳なら急に揉みだすユーザーがいそうとか、足長くて太もも柔らかそうとか考えてましたなんて口が裂けても言えない。
「あっ、いや綺麗な人だなと思って」
「まあ、お上手ですね」
「あれっ?」
急に女性らしく、頬に手を当てて微笑んでくる。
さっきまでは領主たらんと、姿勢を正して固そうな喋り方をしていたのに。
「ああ、すまん。あまりそう言った方面で褒められる事が無くてな。つい、女が出てしまったようだ」
「まあ、女性ですから当たり前じゃないですか」
俺の疑問に気付いたのか、メイベルが真顔に戻って男みたいな喋り方に戻る。
でも、口元が引くついているのが妙に気になる。
どうせゲームだし、この際滅茶苦茶恥ずかしい言葉連ねて口説き落としてみようかと思ったが、ミランとセーブポイントの無言の圧力が凄かったので止めておいた。
別に二人が怖かった訳じゃない。
無駄に、揉めるのが嫌だっただけだから。
本当だから……
それにね、他にもヒロイン候補が出てくるかもしれないじゃん?
だから、序盤の登場人物で決めるのは時期尚早って思ってさ。
まあ、大体付き合いが長いキャラにほだされたりするけどさ。
取りあえず今あるのは、ミラン、ジェシカ、ロン、そしてメイベルルートか……
めっちゃセーブポイントが俺に対して圧力をかけて来てるけど、それは人を相手に懸想するなって警告だよね?
間違っても、アピールじゃないよね?
だってお前、無機物だぜ?
ん?
もし、この世界がゲームで彼女たちがNPCだとしたら、データでしかない?
ははは、ブーメラン、ブーメラン!
「つっ!」
また、腕に電気が走った。
さっきのも、お前か!
一応メイベルに夕飯をお招きに上がるという約束を取り付けて、解放された。
ダンジョンマスターということで、無条件に生理的に嫌われたりという鬼畜仕様ではなかったらしい。
その点は、このゲームを作った人を褒めたい。
というより、彼女自身公務が忙しくて夕方以降まで時間が取れないらしい。
特に最近はダンジョン関係で、おかしな流れが起きているらしくそちらの調査が急がれるとか。
まあ、良いや。
取り敢えず、宿の手配と冒険者ギルドの登録くらいはしとかないとな。
装備に関して言えば、うちには頼りになるセーブポイントさんが居るから、どうとでもなるし。
まあ、俺のボーナスポイントで買う訳だけどさ。
「まあ、物資に関しては頼りにしてるからさ。取りあえずお金送ってよ」
『もう、こういう時だけ頼りにされても嬉しくないです』
「いや、本当だって。結構優秀だと思うよ」
『そんな見え透いてお世辞言われても、嬉しくないですからね♪』
うん、♪マークとか出てるから。
割と分かりやすくて、扱いやすいのが救いだな。
でも、本音を言うとセーブポイントに人間味は要らないと思う。
機能だけなら滅茶苦茶優秀だから、事務的に対応してくれる方が楽で良いんだけど。
そんな事を思っていたけど、金貨が100枚と美味しそうなクッキーが送られてきたので敢えて黙って置こう。
てか、このクッキーってボーナスポイントと引き換えに出来る食料にあった気が。
勝手にボーナスポイント使われたのかな?
「このクッキーって?」
『ふふ、サービスです。ボーナスポイントなんて使わなくても、このくらいなら用意できますし』
なん……だと?
この件については、後程詳しく聞く必要がありそうだ。
だが、取りあえずはそれも後回しだな。
色々とやる事もあるしな。
「ああ、有難う」
『あらやだ、素直ですね』
後でしっかりと問い詰めさせてもらうけどね。
「ああそうだ、一応国王陛下の庇護下にあると思ってくれ」
「ふふっ、分かってるさ。まあ、先々代の頃から初めてのトラベラーだからな。私も会えて嬉しいし。ああ、挨拶だったな。私がこの街の領主のメイベル・フォン・レガードだ。父を早くに亡くしてしまってな。頼りないかもしれんが、この街に居る間は全力で保護させてもらおう」
そう言って、こちらに手を差し出してくる領主様。
うん、若い。
そして綺麗だ。
まさか女性とは……いや、最近では女性領主ルートも散見されるから、ある意味お約束かな?
「ムッ!」
『ムッ!』
何故かミランと、セーブポイントが不機嫌だけどまあ良いや。
お子ちゃまと、無機物に懸想するほど飢えてない。
というか、精神力がやばいくらいに上がってるから、そんなに感情に振れ幅も無くなってるみたいだし。
「ああ、初めまして。えっと、クラタ・ヨシキです。こっちだと、ヨシキ・クラタになるのかな? あまりこういった場での礼儀ってのは疎いから、無礼があるかもしれないけど許してね」
「お……ああ、気にしないでくれ。立場上では貴方の方が上だから」
その手を握ると、ちょっとだけ頬を上気させたメイベルが軽く握り返してくれた。
ニギニギ。
柔らかくて気持ちいい。
なにかに似てる気がするけど、ちょっとくらい良いよね。
金髪碧眼のベッピンさん。
髪がちょっと傷んでるのが気になるけど、もしかしたら知識チート用にあえて文化レベルを落としてるのかもしれない。
生産系の方でシャンプーやリンスをトリートメント普及させる的な楽しみもあるのかもしれない。
手を広げ過ぎると本当にゴールが見えなくなって唐突に飽きるから、ある程度は節操も大事だと思うけどね。
「あの……そろそろ手を放して貰えると」
う~ん、それにしてもスタイルも抜群に良いし。
やや巨乳の美乳とか、こんなに触感がリアルなゲームだったら良からぬ事を考えるプレイヤーも居るぞきっと。
精神力が前のままだったら、やばかったかもしれない。
これ、現世に戻ってもこんな冷めた性格になるのかな?
いや、冷めてるのとはちょっと違うか。
「あの……?」
それにしても足長いよなー。
腰の位置が凄い事になってるし。
でも、太もも柔らかそう。
本当にゲームかこれ?
「ヨシキは、いつまで手を握っている?」
『マスター?』
不意に手首に電気が走ったかと思うと、ミランがジッとこっちを見ていた。
言葉遣いが、博士モードだ。
どうやら、色々と思考がトリップしていたようだ。
「あっ、すいません。つい考え事を」
「フフッ、何を考えていたのか教えてもらっても?」
ああ……言える訳無いな。
綺麗な人だなまでは良いとして、やや巨乳の美乳なら急に揉みだすユーザーがいそうとか、足長くて太もも柔らかそうとか考えてましたなんて口が裂けても言えない。
「あっ、いや綺麗な人だなと思って」
「まあ、お上手ですね」
「あれっ?」
急に女性らしく、頬に手を当てて微笑んでくる。
さっきまでは領主たらんと、姿勢を正して固そうな喋り方をしていたのに。
「ああ、すまん。あまりそう言った方面で褒められる事が無くてな。つい、女が出てしまったようだ」
「まあ、女性ですから当たり前じゃないですか」
俺の疑問に気付いたのか、メイベルが真顔に戻って男みたいな喋り方に戻る。
でも、口元が引くついているのが妙に気になる。
どうせゲームだし、この際滅茶苦茶恥ずかしい言葉連ねて口説き落としてみようかと思ったが、ミランとセーブポイントの無言の圧力が凄かったので止めておいた。
別に二人が怖かった訳じゃない。
無駄に、揉めるのが嫌だっただけだから。
本当だから……
それにね、他にもヒロイン候補が出てくるかもしれないじゃん?
だから、序盤の登場人物で決めるのは時期尚早って思ってさ。
まあ、大体付き合いが長いキャラにほだされたりするけどさ。
取りあえず今あるのは、ミラン、ジェシカ、ロン、そしてメイベルルートか……
めっちゃセーブポイントが俺に対して圧力をかけて来てるけど、それは人を相手に懸想するなって警告だよね?
間違っても、アピールじゃないよね?
だってお前、無機物だぜ?
ん?
もし、この世界がゲームで彼女たちがNPCだとしたら、データでしかない?
ははは、ブーメラン、ブーメラン!
「つっ!」
また、腕に電気が走った。
さっきのも、お前か!
一応メイベルに夕飯をお招きに上がるという約束を取り付けて、解放された。
ダンジョンマスターということで、無条件に生理的に嫌われたりという鬼畜仕様ではなかったらしい。
その点は、このゲームを作った人を褒めたい。
というより、彼女自身公務が忙しくて夕方以降まで時間が取れないらしい。
特に最近はダンジョン関係で、おかしな流れが起きているらしくそちらの調査が急がれるとか。
まあ、良いや。
取り敢えず、宿の手配と冒険者ギルドの登録くらいはしとかないとな。
装備に関して言えば、うちには頼りになるセーブポイントさんが居るから、どうとでもなるし。
まあ、俺のボーナスポイントで買う訳だけどさ。
「まあ、物資に関しては頼りにしてるからさ。取りあえずお金送ってよ」
『もう、こういう時だけ頼りにされても嬉しくないです』
「いや、本当だって。結構優秀だと思うよ」
『そんな見え透いてお世辞言われても、嬉しくないですからね♪』
うん、♪マークとか出てるから。
割と分かりやすくて、扱いやすいのが救いだな。
でも、本音を言うとセーブポイントに人間味は要らないと思う。
機能だけなら滅茶苦茶優秀だから、事務的に対応してくれる方が楽で良いんだけど。
そんな事を思っていたけど、金貨が100枚と美味しそうなクッキーが送られてきたので敢えて黙って置こう。
てか、このクッキーってボーナスポイントと引き換えに出来る食料にあった気が。
勝手にボーナスポイント使われたのかな?
「このクッキーって?」
『ふふ、サービスです。ボーナスポイントなんて使わなくても、このくらいなら用意できますし』
なん……だと?
この件については、後程詳しく聞く必要がありそうだ。
だが、取りあえずはそれも後回しだな。
色々とやる事もあるしな。
「ああ、有難う」
『あらやだ、素直ですね』
後でしっかりと問い詰めさせてもらうけどね。
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