チュートリアルと思ったらチートリアルだった件

へたまろ

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第3章:ダンジョンリフォームと初めての突撃お宅訪問!

第7話:流石にボスは一筋縄ではいかない件

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――――――
「【サドンデス突然死】」
「その攻撃は、既に対策済みだ!」
「なにっ!」
 
 魔法が不発に終わった事で、ワイトキングが一瞬固まる。
 その隙を逃さず攻撃をしようとして、寸止めする。
 あぶねっ!
 まだ、こいつこれしか使って無かったわ。

「他に、俺に勝てるような技でもあるのか?」
「ふんっ! 今のが最後のチャンスだったのに、阿呆め! 【グラビティプレス重力圧縮】」

 ごめん、死ぬたびにそのチャンスっての毎回来るんだけど?
 まあ良いや、取り合えず重力耐性ってのは持ってなかったな。

「あれっ?」
「フフフ! どうだ!動けまい!」
「いや、確かに重いんだけど……」
「なっ!」

 馬鹿みたいに鍛えてたお陰で、普通に動ける。
 いや、普段通りって訳じゃ無いけどね。
 でも、これ……かなり良い!
 あれじゃん?
 重力室と同じって事じゃん!
 某逆玉戦闘民族が訓練に使ってるのと同じじゃん!
 良いじゃん良いじゃん!
 良いスキル持ってんじゃん?
 こいつ、欲しい!

「この程度か?」

 目の前にダッシュで近付くと、顔を覗き込む。
 何もないしゃれこうべの眼窩で、青い炎が動揺を表すかのように揺れる。
 心なしか、その揺れも力ない。

「馬鹿め! 調子に乗るなよ? 【トゥワイスグラビティ重力重力】!」
 
 ダサい!
 魔法名がダサイ!
 重ね掛けって事だろうけどさ。
 おお! でも効果はフォーーー!
 これが本当のトゥー バイ フォオオオオ!

 いやすまん、リアル重力室計画が具体的に思い浮かべられて、テンション上がっておかしくなった。
 忘れて。
 自分でも、なんであんなこと叫んだか分からないんだ。

「何故じゃ! 何故、まだお主は動けるのじゃ!」
「なんでだろうね? 鍛え方が違うからとしか言いようが無いけどね」
「くそっ! 100倍ならどうじゃ! 【グラビティエンドプレス重力最大加重】」
「ぬおおおおお! って、本当に俺の身体どうなってんだろ?」

 ワイトキングが驚くのも無理はない。
 俺もびっくりだ。
 体重70kgだから、約7tの重量が掛かってるのにまだ立ってられるんだもん。
 ヤバいね。
 レベルアップと、筋トレの効果絶大だわ。
 ボキン!
 あっ!
 グシャッ!

 と思ったら、足の骨が折れた。
 そして次の瞬間に、潰れた蛙みたいに地面に張り付けられた。
 ああ、骨の強度が耐えられなかったた。
 こりゃ、カルシウムも捕って寝た方が良いか?
 いや、そもそもカルシウム云々でどうにかなるもんじゃないか。
 レベルアップと、耐久を上げないと。
 うん、新たな目標が出来た。

――――――
「ふんっ! 今のが最後のチャンスだったのに、阿呆め!【グラビティプレス重力圧縮】」

 ここで、俺は最大のミスを犯しかけていることに気付いた。
 よくよく考えたら、この状態異常をトレーニングで使いたいわけで、無効を極めてしまったらトレーニングに使えないという事だ。

「無駄だ!」
「なっ! 効いてないのか?」
 
 いや、効いてるんだけどね?
 でも、それをバラしちゃいけない。

「悪いな……その攻撃は、俺には効かないんだ! 自己重量変動のスキルを持ってるからな」

 嘘だけど。

「聞いたことのないスキルじゃな。ユニークスキルかのう?」

 うん、俺がいま考えた言葉だから、当然だ。
 それよりも。

「他に、お前に出来る攻撃は無いのか? さっきから、つまらん芸ばかり見せられて欠伸がでそうだ」
「くっ……なるほど! フハハ、フハハハ! ハッハッハッハッハ! そうか、お主そこまでの強者か!」

 おお、笑いの3段活用。
 久しぶりに聞いた気がする。

「ならば、その身体! 貰わぬわけにはいかぬのう?」
「あ~……それはオススメしない」
「フハハ、フハハハ! ハッハッハッハッハ! 今更ビビっても遅いぞ!」
 
 いや、流石に2回目とか求めて無いから……
 でも、まあ良いか。
 楽しそうだし。

「あー、本当にオススメ出来ないんだけどね」
「もはや手遅れじゃ!【ポゼション憑依】!」
「あー、やっちゃったー!」
「フフフ、これでわしはもう一段上の……あれ? 魔力が……あれ? うわっ!」

 俺の身体に重なるように入り込んできたワイトキングが、弾き飛ばされる。
 魔力が無ければ、憑依も出来ないらしい。
 それどころか、俺の身体に魔力を吸い取られたせいかすこし薄くなってる。

「お主……一体?」
「ああ、ダンジョンマスターだからかな?」
「くっ、魔力が足りぬ。これでは、何も出来ぬではないか」
「よしっ、俺を殺せる方法があるならこのマジックポーションをやろう!」
「な! なんと、お主狂っておるのか?」
「なーに、俺は俺より強い奴を探してるだけだ」
 
 どうだ、決まっただろ?

「そうか、狂っておるのか」
「おいっ!」

 くそジジイめ!
 結局色々と話を聞いてみたけど、特にこれといって有効な攻撃は持ってなかったらしい。
 うん、残念。
 最後は、塩を思いっきりぶっかけまくった。
 塩が有効って本当だったのな?

『いや、あの勢いでバスケットボールサイズの岩塩をぶつけたら、大抵の生物は死ぬと思いますが?』
「あいつは、生物じゃないだろ? 塩が効いたんだよ」
『いや、身体の構成自体は物質ですからね? 上位半精神生命体や完全な精神生命体ならいざしらず、あの程度の低位半精神生命体でしたら、それを留める器が無くなれば霧散しますよ』
「だから、塩効果だろ?」
『もう良いです……』
 
 結果を見ないで、過程ばかりを気にする頭でっかちめ。
 勝ったか負けたかで良いじゃ無いか。

――――――
190階層

「ふんっ、所詮奴等は雑魚だからな? 悪いけど、この先は本当の強者しか進めない」
「うん、なんか皆お前みたいに偉そうだったけど、雑魚かったからその言葉に重みを感じない」

 目の前に黒い甲冑を着た騎士が立ち塞がる。
 有難うございます。
 どう考えても物理特化の脳筋ですね。
 旨味も無さそうだし。 
 ここはサクッと。

「【ソウルイーター魂喰い】!」
「おおう!」

 なんか、ごっそりと吸い取られたんだけど?
 名前からして、新耐性付きそうな予感が……

「ほう、一度で削り取れなかったか。だが、次は無いぞ? 【ソウルイーター魂喰い】!」
「グハッ!」
「いや、お主いま自分から当たりに? あれっ? おいっ、返事をしろっ! おいっ!」

――――――
 いやあ、そりゃ黄泉のダンジョンの終盤ボスが通常の物理攻撃のみなんてありえないよね?
 うんうん、こりゃ捗るわ!
 もっかい行ってこよ!

 パリーン!
 あれっ?

『割れましたね?』
「まだ、72回しか使って無いんだけど?」
『マスターLUK低いから』
「ああ、LUK上げる装備無い?」
『多少なら、ありますよ?』

 ポカッ!
 カタログが頭の上に落ちてきた。
 痛くは無いけど、酷い。
 

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