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王太子妃→王妃→王太后→后王太后……疲れた
第12話:おや? こんな時間に誰かな?
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入学式を無事に終え、古くもなけりゃボロくもない……かといって新しいわけでも綺麗なわけでもない、特徴のない我が家に帰ってくつろぐ。
とりあえず、あのバカとの話し合いは学園でするとして。
出来る限り、接点を無くしたいねぇ。
幸い、相手の方が学年が一つ上だからね。
年がら年中、会うわけでもないし。
少し遅めの簡素な昼食を終えたあとで、少しベッドで横になる。
うーん……真昼間から、健康なのに眠れるなんて。
このうえない、贅沢だね。
少しだけ、寝かしてもらうかね。
***
少し寝すぎたかねぇ?
陽が傾き始めてるってことは、もうじき夕方かね。
しかし、さっきからコンコン、コンコンとうるさ……ノックか。
ドアノッカーの音だね。
しかしねぇ……
こんなところに、こんな時間に訪ねてくるとは。
嫌な予感しかしないよ……
「はい、どなたさんだい?」
「エリス……様ですね。お嬢様がお待ちです。すぐに、来てください」
ドアを開けて外に顔を出すと、いかにも執事な男性が立っていた。
といっても、家令とかってわけじゃないだろうけど。
30前後くらいかね?
まだ、若いねぇ。
歳のせいにしちゃだめな職業だけれど、私を見て表情を一瞬だけど強張らせたのは見逃さないよ?
「なんで見ず知らずの男についていかないといけないんだい? ここは壁が薄いから、大声で叫んだらすぐにご近所さんが来てくれるよ?」
「……フィアンス侯爵家から参りました。マリアンヌお嬢様がお待ちです」
「それを証明するものは?」
なんだって、貴族の関係者ってのはこう身勝手なんだろうね。
「こちらの招待状と、封蝋の印章でご確認ください」
「生憎とわたしゃ平民だよ。お貴族様の家紋なんざ、いちいち覚えちゃおらんよ」
困ってるねぇ。
でも私も学校初日から、疲れたくないからねぇ。
できれば、このままベッドで横になりたかったんだが?
また、パタパタと可愛らしい足音が近づいてきてるけど。
こんなところを歩いちゃ、靴が汚れちゃうと思うよ……
「オリバ、まだエリスさんは来られないの?」
「お嬢様、いま説明をしているところです」
「あんた、招待状を持たせてるのに、一緒に迎えに来たんかい?」
私のぞんざいな言葉遣いに、オリバと言われた男性が青筋を浮かべてこっちを睨みつけてきたが。
とりあえず、お主のような小物は無視だ無視。
相手すると、こっちまで品位が損なわれるからね。
今現在、そんなものは持ち合わせちゃいないけどね。
ケッケッケ。
「ひっ」
笑いかけてやったのに、何故怯える?
無礼者め!
というか、まずはお嬢様の問題行動を何とかした方がいいだろうに。
なかなか私が来ないから、しびれを切らしたんだろうけど……
それは、それでどうなんだい?
「その早くお会いしたくて」
「急ぎの用かい? 嫌な予感しかしないが」
本当に、碌な話じゃなさそうだねぇ。
「あっ、早く会いたかったのは文字通りの意味ですけど」
「そうかい? それは、嬉しいねぇ」
「ただ、お話の内容は……「厄介事かい?」」
私の質問に、マリアンヌが静かに頷く。
あんたの親が絡んでるのか、他の貴族が絡んでるのか……まさかの、馬鹿絡みじゃなければいいが。
「面倒なお話かどうかは、エリスさん次第ですね。人によっては、喜ばれる話でもあるでしょうし」
なるほど……面倒ごとだね。
とりあえず、あのバカとの話し合いは学園でするとして。
出来る限り、接点を無くしたいねぇ。
幸い、相手の方が学年が一つ上だからね。
年がら年中、会うわけでもないし。
少し遅めの簡素な昼食を終えたあとで、少しベッドで横になる。
うーん……真昼間から、健康なのに眠れるなんて。
このうえない、贅沢だね。
少しだけ、寝かしてもらうかね。
***
少し寝すぎたかねぇ?
陽が傾き始めてるってことは、もうじき夕方かね。
しかし、さっきからコンコン、コンコンとうるさ……ノックか。
ドアノッカーの音だね。
しかしねぇ……
こんなところに、こんな時間に訪ねてくるとは。
嫌な予感しかしないよ……
「はい、どなたさんだい?」
「エリス……様ですね。お嬢様がお待ちです。すぐに、来てください」
ドアを開けて外に顔を出すと、いかにも執事な男性が立っていた。
といっても、家令とかってわけじゃないだろうけど。
30前後くらいかね?
まだ、若いねぇ。
歳のせいにしちゃだめな職業だけれど、私を見て表情を一瞬だけど強張らせたのは見逃さないよ?
「なんで見ず知らずの男についていかないといけないんだい? ここは壁が薄いから、大声で叫んだらすぐにご近所さんが来てくれるよ?」
「……フィアンス侯爵家から参りました。マリアンヌお嬢様がお待ちです」
「それを証明するものは?」
なんだって、貴族の関係者ってのはこう身勝手なんだろうね。
「こちらの招待状と、封蝋の印章でご確認ください」
「生憎とわたしゃ平民だよ。お貴族様の家紋なんざ、いちいち覚えちゃおらんよ」
困ってるねぇ。
でも私も学校初日から、疲れたくないからねぇ。
できれば、このままベッドで横になりたかったんだが?
また、パタパタと可愛らしい足音が近づいてきてるけど。
こんなところを歩いちゃ、靴が汚れちゃうと思うよ……
「オリバ、まだエリスさんは来られないの?」
「お嬢様、いま説明をしているところです」
「あんた、招待状を持たせてるのに、一緒に迎えに来たんかい?」
私のぞんざいな言葉遣いに、オリバと言われた男性が青筋を浮かべてこっちを睨みつけてきたが。
とりあえず、お主のような小物は無視だ無視。
相手すると、こっちまで品位が損なわれるからね。
今現在、そんなものは持ち合わせちゃいないけどね。
ケッケッケ。
「ひっ」
笑いかけてやったのに、何故怯える?
無礼者め!
というか、まずはお嬢様の問題行動を何とかした方がいいだろうに。
なかなか私が来ないから、しびれを切らしたんだろうけど……
それは、それでどうなんだい?
「その早くお会いしたくて」
「急ぎの用かい? 嫌な予感しかしないが」
本当に、碌な話じゃなさそうだねぇ。
「あっ、早く会いたかったのは文字通りの意味ですけど」
「そうかい? それは、嬉しいねぇ」
「ただ、お話の内容は……「厄介事かい?」」
私の質問に、マリアンヌが静かに頷く。
あんたの親が絡んでるのか、他の貴族が絡んでるのか……まさかの、馬鹿絡みじゃなければいいが。
「面倒なお話かどうかは、エリスさん次第ですね。人によっては、喜ばれる話でもあるでしょうし」
なるほど……面倒ごとだね。
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